最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 本件は,議会の定例会等に出席した市議会議員に費用弁償として日額1万円を支給するという札幌市条例(以下,「本件条例」という。)の定めにつき,当該日額が高額に過ぎ,地方自治法によって与えられた議会の裁量権の範囲を逸脱して無効であると主張して,札幌市の住民が,費用弁償の支給を受けた...
[解 説]
1 本件は,大阪府教育委員会が導入した教職員の評価・育成システムに基づき作成された大阪府茨木市の市立学校の教職員に係る文書(以下「本件各文書」という。)について,1審原告(以下,「原告」という。)が,市教育委員会に対し,茨木市情報公開条例(以下,「本件条例」という。)に基づき,情...
[解 説]
1 本件は,Yの従業員であったXが,Yによる普通解雇(以下「本件解雇」という。)が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上是認し得ないもので違法であるとして,Yに対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。なお,第1審判決をした裁判官は,本件訴訟に先立って行われた労働審判手続...
[解 説]
1 本件は,被上告人Xの従業員であった上告人Y1,Y2が,Xを退職後,有限会社である上告人Y3を事業主体として競業行為を行ったため,Xが,損害を被ったとして,Yらに対し,不法行為又は雇用契約に付随する信義則上の競業避止義務違反に基づく損害賠償を請求する事案である(以下,Y1及びY...
[解 説]
1 本件は,医療法人に出資した者の相続人であるXが,医療法人であるYに対し,出資金の返還等を求める事案である。なお,原審である東京高裁までは,県や医療法人の関係者である個人も被告となっていたが,それらの者との関係では,上告受理申立ては受理されず,Xの請求を棄却すべきとした原判決が...
[解 説]
1 本件は,明石市花火大会歩道橋事故として著名な事件であり,事案の概要は,次のとおりである。すなわち,平成13年7月21日,明石市民夏まつりで実施された花火大会において,参集した多数の観客が,花火大会が実施された公園と最寄りの駅とを結ぶ歩道橋に集中して過密な滞留状態となり,強度の...
[解 説]
1 本件は,一級建築士が不正な構造計算を行っていたいわゆる耐震強度偽装問題の一事例である。原告は,建築基準法上の指定確認検査機関である被告の建築確認を受けてビジネスホテル(本件ホテル)を建築したところ,本件ホテルの設計監理業者から提出された構造計算書は建築士が耐震強度を偽装したも...
[解 説]
1 本件は,A市の住民(Xら3名)が,A市の元市長(B)の市長在任当時の交際費の支出が違法であると主張して,現市長(Y)に対し,BがA市に当該支出によって被った損害金及び遅延損害金を支払うよう請求することを求めた地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟である。
2 Xら...
[解 説]
1 電気通信事業を業とする会社の再編成に基づいて設立された会社の一つであるXの社員等で組織されている少数派労働組合Z(参加人)は,Xにおける経営計画に基づく構造改革に伴う退職・再雇用制度の導入に関して,Xと団体交渉をもった。Zは,当該団体交渉において,Xが,①退職・再雇用制度の導...
[解 説]
1 Xは,おにぎりのテイクアウト販売を行う店舗の開店を企画していたところ,不動産仲介業者であるY2の仲介により,Y1からY1所有の建物の1階店舗部分(本件建物)を賃借した。しかし,本件建物に備わっている防火シャッター収納口は,本件建物と建物の通路部分を隔てる壁に塞がれて正常に作動...
[解 説]
1 事案の概要
(1)事実経過
ア 住宅メーカーであるAと建築内装材メーカーであるYは,共同研究基本契約書を取り交わし,住宅用床材である本件製品(クロス合板の表面に柄入りプリント強化紙[化粧シート]をはり合わせ,エンボス加工[表面を押し上げて浮かす加工]を施し,その上からUV...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,Y(控訴人・附帯被控訴人,1審被告)及びW社との間で,営業譲渡契約を締結したX(被控訴人・附帯控訴人,1審原告)が,同契約に基づき,Yに対し,同契約の対象財産である特許権,意匠権及び商標権(本件各権利)の移転登録手続を求めるとともに,Xが,特許を受ける権...
[解 説]
1 本件事案の概要
Xは,平成2年,Aゴルフ場を経営するY会社に対し,預託金4000万円(本件預託金)を支払って,ゴルフクラブ(本件ゴルフクラブ)の会員になった。本件ゴルフクラブでは,会員は預託日から7年が経過したときには預託金全額の返還を請求できるとの会則が定められていたが,...
[解 説]
1 原告は,東京大学大学院医学系研究科の病理学教授で日本病理学会副理事長である。被告は,病理専門の医学博士であり,Ai(オートプシー・イメージング。死後画像診断)の研究を行うとともに,「海堂尊」のペンネームで執筆活動を行っている。被告がインターネット上の2つのサイトに,原告が厚生...
[解 説]
1 本件は,貨物船(以下「本船」という。)の座礁沈没事故により積載されていた鉄鉱石が海中に没した損害についてその損害を受けた訴外会社(鉄鉱石の輸送を委託していた会社)に対して保険金の支払をした原告(損害保険会社)が,上記損害は,本船が航海に堪える状態になかったこと等のために発生し...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,被告が,名称を「化粧用パッティング材」とする発明に係る原告の特許(請求項の数・全3項)について特許無効審判を請求したところ,特許庁が,訂正を認めた上,訂正後の本件発明1ないし3(本件各発明)がいずれも進歩性を欠くとして特許を無効とする審決をしたことから,...
[解 説]
1 本件は,主に投資用中古ワンルームマンション(所有者と居住者とが異なる中古ワンルームマンション)の売買の仲介業を営む原告が,同種仲介業を営む被告会社,いずれも原告の元従業員であった,被告会社の元代表者(死亡につき相続人が被告),被告会社の現代表者及び被告会社の従業員らなどに対し...
[解 説]
1 事案の概要
造船会社であるAは,社長の交代に伴い財務諸表を検討した結果,前年の決算で損失を生じており,債務超過状態であることが判明した。Aは資金繰りを検討した結果,資金不足が見込まれたため,債権者である金融機関に対して任意整理手続の開始と債務の弁済の一時停止を申し入れた。そ...
[解 説]
本件は,被告人が起訴された傷害と業務妨害の2つの訴因のうち,相手方の暴行ないし脅迫行為に対し,その顔面を1回手拳で殴って傷害を負わせた行為につき,正当防衛の主張がされ,過剰防衛を認めた原判決に対し,控訴審は,正当防衛の成立を認めて原判決を破棄して,傷害の訴因につき無罪を言い渡した...