最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 事案の概要
(1)Xらは,「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(昭和47年条約第2号。以下「沖縄返還協定」という。)の締結に至るまでの日本政府と米国政府との間の交渉(以下「沖縄返還交渉」という。)において,日本が米国に対して沖縄返還協定で規定し...
[解 説]
1 固定資産評価基準は,家屋の評価に関し,各家屋について評点数を付設し,当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとし,非木造家屋の評点数は,原則として,再建築費評点数に経過年数に応ずる減点補正率(経年減点補正率)を乗じることによって求めるもの...
[解 説]
1 本件は,平成3年3月にY(上告人)から本件土地を買い受けたX(被上告人)が,Yに対し,本件土地の土壌にふっ素が基準値を超えて含まれていたことが民法570条にいう瑕疵に当たると主張して,瑕疵担保による損害賠償を求める事案である。本件売買契約締結当時,土壌に含まれるふっ素について...
[解 説]
1 本件は,新築建物を購入した買主が,当該建物に重大な瑕疵があるとして,建物の施工業者等に対し,不法行為に基づき,建て替え費用相当額の損害賠償を請求する場合において,買主が引渡し後当該建物に居住していること等を利益とみてこれを損益相殺等の対象として損害額から控除することが許される...
[解 説]
1 本件は,貸金業者である被告との間で,基本契約に基づき継続的に金銭の借入れと弁済を繰り返した原告が,被告に対し,いわゆる過払金の返還を求める事案である。
本件では,取引が当初20万円の借入れから始まり,その後新たな借入れと弁済が繰り返されることにより借入残高に増減が生じたこと...
[解 説]
1 本件は,インターネット上の電子掲示板にされた書き込みによって名誉感情を侵害されたと主張するXが,その書き込みにつきインターネット接続サービスを提供したYに対し,①特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)...
[解 説]
1 本件は,権利能力のない社団であるAを債務者とする金銭債権の債務名義を有するX(上告人)が,本件不動産はAの構成員全員の総有に属する不動産(すなわち,社団の資産たる不動産)であり,その登記名義人であるY(被上告人)は民事執行法23条3項所定の「請求の目的物を所持する者」に準ずる...
[解 説]
1 本件は,中学校の教員として勤務していた被告人が,前後20回にわたり,当時14から15歳であった被害児童が満18歳に満たないことを知りながら,同児童をして,被告人を相手に性交させ,又は性交類似行為をさせ,もって淫行をさせる行為をするとともに,20回のうち13回において,同児童を...
[解 説]
1 本件は,当時44歳の被告人が,息子(養子)の妻(当時28歳)及びその夫婦の長男(当時1歳10か月)を,息子宅であるマンションの室内で殺害し,その後,同室内で放火したという殺人,現住建造物等放火の事実で起訴され,第1審で無期懲役,第2審で死刑といずれも有罪の認定がなされたにもか...
[解 説]
1 本件は,原告が,本来は課税対象ではない不動産貸付けに対して個人事業税が課されたことにより,損害を被ったとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害の支払を求めるとともに,選択的に,被告は原告による個人事業税の過誤納金によって不当に利得を得たとして,被告に対し,不当利得...
[解 説]
1 本件は,飲食店経営等を業とする被告会社に平成19年4月に入社し,飲食店の調理場で勤務していたA(昭和58年5月生)が,平成19年8月11日,急性左心機能不全により死亡したことにつき,Aの両親である原告らが,Aの死亡の原因は被告会社での長時間労働にあると主張して,被告会社に対し...
[解 説]
1 本件は,原告が,更生会社の管財人である被告との間において,原告が更生会社のいわゆるスポンサーとなる契約(本件契約)を締結し,被告に対して保証金を支払ったところ,更生会社の損益見込み,修繕費等に関して被告から提供された情報が実際と著しく乖離していたから,本件契約は錯誤無効である...
[解 説]
1 平成12年12月信用組合であるYが破綻したが,Xは,その約9か月前に1000万円を出資しており,Yの破綻によって出資金の返還が受けられなくなった。Xは,平成20年10月訴えを提起し,Yは出資をした時点で既に実質的な債務超過の状態にあり早晩破綻のおそれがあることをY役員らにおい...
[解 説]
1 本件は,原告が,学習塾のフランチャイズチェーンを経営する会社として,被告らとの間でフランチャイズ契約を締結したところ,後に被告らが学習塾を独立開業したことについて,①被告ら3名につきフランチャイズ契約の競業禁止条項に反すると主張して,違約金条項に基づき,違約金各約500万円と...
[解 説]
1 Xは,平成16年1月25日,Yとの間で,痴呆対応型共同生活介護利用契約(以下「本件契約」という。)を締結し,同日から平成19年2月14日まで,Yの運営する本件施設に入居していた。
Xは,平成18年7月20日,本件施設のXの居室内にて転倒し,右大腿骨転子部骨折の傷害を負い(以...
[解 説]
1 Xは,平成15年10月23日,普通乗用自動車を運転して,福岡県中間市内の道路を走行中,Yの運転する軽四輪乗用自動車に追突され,同月25日から平成18年3月まで,頸椎捻挫,腰部捻挫の治療のため入通院して治療を受けたが,脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)を発症したとし,Yに対して,...
[解 説]
1 事案の概要
本件は,被告が,名称を「呼吸装置」とする発明に係る原告の特許(請求項の数・全1項)について特許無効審判を請求したところ,特許庁が,訂正を認めた上,訂正後の本件発明が進歩性を欠くとして特許を無効とする審決をしたことから,原告がその取消しを求めた事案である。
本件...
[解 説]
1 事案の概要
原告は,発明の名称を「モータ」とする日本国特許権を有する日本法人である。原告は,韓国法人である被告が,本件特許発明の技術的範囲に属する被告物件につき,我が国で譲渡の申出を行っていると主張して,当該申出行為の差止め,及び弁護士費用の損害賠償を求めた。
これに対し...
[解 説]
1(1)本件は,マンションの管理組合である原告が,管理費等を滞納した前所有者からマンションの一室(本件物件)を取得した被告及び被告引受承継人(被告ら)に対し,前所有者の滞納に係る管理費等の支払を求めた事案である。
(2)原告は,マンションの区分所有者全員で構成される管理組合であ...
[解 説]
1 本件は,被告人が,金品窃取の目的で,店舗併用住宅の1階店舗部分へ,隣接する物置の塩化ビニール製波トタン壁に穴を開けて侵入した上,切手,収入印紙等を窃取した,という住居侵入,窃盗の事案である。
被告人は犯人性を争っており,現場に遺留された毛髪のDNAと被告人の口腔内細胞のDN...