最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 いわゆるリクルート事件では、文部事務次官であった本件被告人の収賄関係のみが控訴(被告人及び検察官の双方から)されていたが、本件判決で被告人の控訴が斥けられ、検察官の控訴が容れられて破棄自判された。被告人から上告があったので、事件の決着は最高裁に持ち越された。本件判決の判例と...
《解 説》
一 原告X(被上告人)は、Aに対して、保証債務履行請求権と立替払により生じた求償債権とを有していた。保証債務の主債務は、株式会社B(代表取締役A)がXに対して負っていた貸金債務等であった。Aは多額の債務を負っていたが、自分の内妻である被告Y(上告人)に対して、他の債権者を害する...
《解 説》
一 平成五年一一月一〇日に死亡したAには、実子であるXらと平成五年三月一一日に養子縁組の届出をした養子Yとがあった。Aは、昭和六三年七月二〇日付け公正証書遺言をもって、本件不動産を含む全財産をYに遺贈していた。Xらは、各六分の一の遺留分を有する。
遺留分減殺請求権については、...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、立替払した相続税等の不当利得返還請求をしたところ、Yが、不当利得返還義務の存在を争うとともに、別件訴訟において一部請求をしている違法仮処分を理由とする損害賠償債権の残部をもって相殺の抗弁を主張した事案である。争点はこれに限られないが、事項・要旨として取...
《解 説》
X及びAは詐欺等事件の被疑者Bの弁護人に選任された者である。Xは、Bの勾留が延長された日の翌日である平成三年一〇月一四日午後〇時四五分ころ、Bが勾留されている警察署の留置場に赴き、警務課管理係のC巡査に対してBと接見させることを求めた。本件の担当検事Dは、警察署長に対して予め、...
《解 説》
Yは国立大学附属病院歯科口腔外科診療科長、歯・口腔診療グループ長、教授の地位にあった者、Xは同グループに属する助教授である。Xは昭和六三年八月九日患者に対し右側顎下部ガマ腫の摘出手術を行った際、患者との間でトラブルが発生した。Yは、右トラブルを理由に同年九月七日、Xに対し、前記...
《解 説》
本件は、A県議会議員の出張旅費の支出についてカラ出張によるものであるとして県民Xらが責任者(判決文から必ずしも明確でないが、議会事務局長のようである)Yに対し、同県に代位して損害賠償を求めた事案であり、原審においてその大部分が認容されたため、Yが控訴し、Xらが附帯控訴するととも...
《解 説》
T市は、昭和五八年以降、国民健康保険の保険料滞納者に対する滞納処分の執行を停止した分について当該滞納者の納付義務が消滅していないのに当該年度の調定額を減額させていたが、国(厚生省)は同市が国民健康保険法七二条に基づく調整金を過大に受け取ったとして調整金交付決定を一部取り消し、平...
《解 説》
一 被告は、従来東京をホームベースとする原告ら日本人エアホステスに対し、基本給のほかに付加手当五〇〇マルク(五万五〇〇〇円)を支給していたが、ドイツにおける課税方法の変更により原告らの給与の手取額が一一ないし一二万円増加することとなったため、平成三年八月以降付加手当の支給を取り...
《解 説》
一 本件は、被告に雇用され、新幹線の運転士として勤務している原告らが、所属する労働組合の指示を受けて、新幹線「のぞみ」号の乗務について、時速二七〇キロメートルで通過することとされている岐阜羽島、三河安城及び新富士の三駅を時速二三〇キロメートルで通過するよう減速して走行する、いわ...
《解 説》
Xは、競争馬の所有、育成、牧場経営等を業とする会社であるが、平成六年九月、米国のA社から競争馬(同四年四月生まれ)を代金等二八万ドル余で買い受け、その輸入・登録の代行をB社に委託したところ、Bは本件馬を同年一二月五日に輸入し、同月一四日軽種馬の血統登録機関であるYに血統登録を申...
《解 説》
本件は、被告Y1所有ビルの抵当権者である原告が、物上代位権に基づいて本件ビルの賃借人である被告Y3らに対し賃料の支払及び供託金の還付請求権を有することの確認を求めた事案である。本件ビルの賃料債権は、被告Y1から被告Y2に譲渡され被告Y3らが右債権譲渡を承諾したことにより対抗要件...
《解 説》
一 Y(被告・被控訴人)は、Mから平成四年開設予定のゴルフクラブ会員権(以下「本件ゴルフ会員権」という。)を購入する(以下「本件売買契約」という。)にあたり、X(原告・控訴人)との間で、Xは、YのMに対する本件ゴルフ会員権購入代金支払債務を保証すること、Xが保証人として代位弁済...
《解 説》
一 本件は、年間売上が三〇〇〇万円を下回り消費税免税事業者であった依頼者X(旧ビルを運用していた)が、会計・税務上の顧問契約を締結していた税理士(公認会計士)Yに対し、旧ビルを新ビルに建て替えるに際し多額の建築費用を支払いその仕入れ税額も多額になったことから、新ビル建築の前年度...
《解 説》
一 X3(X1会社の取締役でX2会社の代表取締役)は、X1所有のベンツをY1会社が経営しY2会社が管理運営する駐車場(路外駐車場)に預けたところ、Y2の従業員Aが、第三者に本件自動車の鍵を渡してしまい、本件自動車が窃取された。この自動車は滋賀県下で発見されたため、X3が引き取っ...
《解 説》
本件は、写真週刊誌の記者らの取材方法の適否が争われ、事実経過について当事者間に争いがあったが、本判決は、およそ以下のとおり認定し、記者らの取材方法は暴行、暴言に当たり、正当な取材行為とはいえないとして、出版社及び記者らに慰謝料五〇万円の支払いを命じたものである。
Y1の発行す...
《解 説》
Xは、マンションの建設・販売を業とする会社であるところ、平成六年一〇月に東京都区内に地上八階建てのマンションの建設を計画し、周辺住民に対する説明会を行った上、同七年五月から建築工事に着工した。Yは、本件マンションの西側に面する公道を隔てた一角にある木造建物に居住する者であるが、...
《解 説》
一 X1は、Yの運営する病院で胆石症のため胆のう摘出手術を受けたが、その後に右上腹部痛を訴えるようになった。Y病院では、約二年間かけて入通院による検査・治療を繰り返したが、結局痛みの発生原因は判明せず(検査等によっても異常な所見は認められず、むしろ心因的なものではないかという疑...
《解 説》
一 本件は、Xに対して包括遺贈する旨の公正証書遺言をした後、その遺言を取り消す旨の公正証書遺言(本件遺言)をした被相続人Aの養子であったXが、A(当時九四歳)は本件遺言の当時、老人性痴呆により意思無能力であったとして、Aの法定相続人であるYらに対し、本件遺言の無効の確認を求めた...
《解 説》
Xは、現在、大韓民国の国籍を有する者であるが、昭和一九年一二月下旬、国民徴用令に基づき、旧三菱重工業株式会社長崎造船所に連れて来られ、資材運搬等の業務に従事した。Xは、同二〇年八月九日、原爆に被爆し、自力で朝鮮半島に帰った。同社は、会社経理応急措置法に基づき、会社の事業の継続等...
《解 説》
一 本件は、ミドリ十字株主代表訴訟の担保提供申立事件につき発せられた担保提供命令に対する即時抗告事件である。ミドリ十字株主代表訴訟においては、株主Xは、ミドリ十字の取締役・監査役であるYらに対して、同社がHIV感染のおそれのある非加熱血液薬剤を製造販売したことについて、業務執行...
《解 説》
XはAの所有する普通乗用自動車(A車)にAを同乗させて高速道路を走行していたがハンドルを取られ、A車はガードレールに激突した後、追越し車線で停車し、同車線を走行してきた大型貨物自動車(B車。B所有、C運転)に追突され、Aが受傷し、その後死亡するという事故が発生した。XはYとの間...
《解 説》
一 本件は、賃料自動増額条項の定めがあるオフィスビルの転貸借特約付き賃貸借契約(サブリース契約)について、賃料自動増額条項の効力、賃料の減額請求権の有無等が問題となった事案である。
不動産の賃貸等を業とする会社であるXは、土地を賃借していたところ、土地の所有者であるA、不動産...
《解 説》
一 本件は、損害賠償請求事件について、Yらから新民訴法一七条〔遅滞を避ける等のための移送〕による移送が申立てられた事件である。
本案事件は、旧銭亀澤村がY2(函館市)との合併に伴い、本件土地(函館市に所在)を、Y3(漁業協同組合)に売却したが、条件としてY3はX2及びX1の先...
《解 説》
一 本件は、被告Yが原告Xに対する別訴第一審の仮執行宣言付判決に基づきXの賃料債権に対し債権差押命令を得て賃料債権の取り立てを継続中、別訴控訴審で別訴第一審の仮執行宣言付判決が変更(一部取消)され、その後Xは上告せず別訴控訴審判決(変更判決)で認容された給付内容と既に取り立てら...
《解 説》
一 本件は、ボランティア活動を量刑上評価した判決として、当時、マスコミにより大きく報道された判決(判時一五八九号一六一頁)の控訴審判決である。被告人は、自動車の無免許運転をして起訴されたものであるところ、原審において、裁判所から阪神大震災の被災者の仮設住宅の訪問等のボランティア...
《解 説》
一 本件は、町長選挙及び衆議院議員総選挙における各選挙長の立候補届出の受理業務(以下、「受理業務」という。)を種々の手段、言動を用いて妨害したという事件であり、①受理業務が業務妨害罪の「業務」に該当するか否か、②本件において被告人の用いた手段、言動が偽計、威力に該当するか否かが...
《解 説》
一 本件は、被告人が、被害者の腹部を足で三、四回強く踏みつけるなどの暴行を加えて外傷性小腸穿孔等の傷害を負わせ、その二日後に被害者が救急搬送された病院において右傷害に基因する汎発性腹膜炎で死亡したという事案である。弁護人は、被害者の死亡は、その治療に当たった医師が、被害者の腹腔...
《解 説》
本件は公職選挙法(以下「公選法」という)二一一条一項に基づくいわゆる連座訴訟であるが、現職の衆議院議員に対して当選無効を申し立てるものとして訴訟提起の段階から注目され(訴訟提起時点で現職であったが、その後辞職した例はある。)、検察官の請求を認容し当選無効を言い渡したことから、政...
《解 説》
一 市立甲小学校の教諭Aは、市内小学校の球技大会を目指したポートボールの練習を指導する中心的な立場にあったが、昭和五三年一〇月二八日、出勤後ポートボールの練習指導や時間割通りの授業を行った後、乙小学校での練習試合や他校同士の試合の審判をするため、午後一時ころ自家用車で乙小学校へ...