最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 本件は,八代市(以下「市」という。)が経営すると畜場(以下「本件と畜場」という。)の廃止に当たり,市が本件と畜場の利用業者等に対してした支援金(以下「本件支援金」という。)の支出は違法であるなどとして,市の住民である上告人らが,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のも...
[解 説]
1 本件の事案の概要は,以下のとおりである。
(1)韓国人であるXら7名は,昭和20年8月6日広島市に投下された原子爆弾に被爆した。Xらは,現在居住する韓国から,代理人を通じて,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号。以下「被爆者援護法」という。なお,平...
[解 説]
1 本件は,両事件の各原告が波崎町の土地区画整理組合(以下「本件組合」という。)に対して行った融資について,波崎町が各原告との間で締結した「損失補償契約」の法的性質及び効力が争われた事案である。
2 ①事件について
(1)原告と波崎町は,平成7年3月22日,原告が本件組合に対...
[解 説]
1 X1(昭和49年生)は,平成13年6月から平成16年11月まで,レストランを経営する会社であるYの従業員として稼働し,平成16年11月当時A店舗の支配人であったが,同月10日,自宅で就寝中に心室細動を発症し,低酸素脳症となり(以下「本件発症」という。),脳性の完全麻痺等の後遺...
[解 説]
1 本件の原告らの請求は,①労働契約(労働基準法)に基づく割増賃金及び付加金の請求と,②異動命令が労働組合を結成し活動したことを理由とするものであるとする不法行為に基づく損害賠償請求に大別される。
①被告は空港における保安検査等の警備業務の請負を業とする株式会社であり,原告らが...
[解 説]
1 本件は,原告らが,被告との間で農林漁業団体職員共済組合(共済組合)が所有する通称名「虎ノ門パストラル」(本件不動産)の売買につき媒介契約を締結し(本件媒介契約),原告ら・被告間に媒介手数料の協議が整わない限り,規定手数料上限額を媒介手数料とする旨の合意が成立し(原告ら主張報酬...
[解 説]
1 事案の概要
被告が開設した証券取引市場において取引を行っていた原告が,被告の証券取引市場に新規上場した株式(本件銘柄)につき「61万円で1株」の売り注文を出そうとしたが誤って「1円で61万株」の注文(本件売り注文)を発し,被告の市場システムにおいて受け付けられた後,本件売り...
[解 説]
1 本件は,被告から土地を購入した原告が同土地上に12階建てマンションを建築しようとしたところ,地中に岩塊,コンクリート埋設物,アセチレンボンベ等の埋設物が存在したため,当初予定した工法を用いることができず,工法変更を余儀なくされたことにより,増加工事費,工事遅延による逸失利益(...
[解 説]
本件は,昭和56年8月14日,貸金業者であるYとの間で,金銭消費貸借契約を締結し,同日から平成17年4月12日までの間,Yから借入れをしたAの破産管財人であるXが,Yに対する弁済金について利息制限法に引き直して計算すると過払金が生じていると主張して,不当利得の返還を求め,さらに,...
[解 説]
1 Aは,Y2会社企画・主催に係るスクーバ・ダイビング(以下「ダイビング」という。)のツアーに参加した際,同会社の従業員であるY1がガイドを務めたダイビングにおいてでき死した。Aの夫であるXは,Y1に対しては,Aがおぼれるのを防ぐ義務を怠った過失があるとして,不法行為に基づき,ま...
[解 説]
1本判決は,横浜地判平18.6.15判タ1254号216頁に対し,原審被告が控訴し,原審原告が附帯控訴したのに対する控訴審判決である。事案の概要については,原判決の《解説》「1 事案の概要」を参照されたい。
2 控訴人らは,原判決が,獣医師は飼育動物に対し飼い主が望む最善の治療...
[解 説]
本件は,中枢神経障害による体幹機能障害によって歩行・起立・座位不能であったAの両親である原告らが,Y1会社との間で締結した居宅介護契約に基づき,原告ら宅において,Y1会社の従業員であり訪問介護員であったY2がAに対して食事介助を行っていた際に,Aが食物を誤嚥したことによって死亡し...
[解 説]
1 事案の概要
被告を商標権者とする商標(本件商標。①事件:「タフロタン」の文字及び「Taflotan」の文字を二段に横書きして成る商標,②事件:「Taflotan」を表示して成る商標)の登録について,原告が,商標の不使用を理由とする登録の取消しを求めて,商標法50条1項に基づ...
[解 説]
1 本件は,原告が有する「高圧縮フィルタートウベール,およびその製造プロセス」との発明に係る特許につき,被告が26項にわたる請求項すべてについて請求した無効審判において,特許庁が,原告からの特許請求の範囲等の訂正の請求を認めることができないとした上で,訂正前の請求項26項に係る発...
[解 説]
1 被告は,「新極真会」の文字を標準文字で表してなる商標(指定役務は第41類,以下「本件商標」という。)の商標権者である。原告(極真会館の創始者の遺族の一人)は,本件商標に対して,本件商標登録は商標法4条1項7号及び19号に該当し無効であるとの理由で無効審判請求をしたところ,特許...
[解 説]
1 本件は,宗教法人Xが,寺院等を運営する宗教法人又は個人であるYらに対し,宗教法人としての名称使用権(最二小判平18.1.20民集60巻1号137頁,判タ1205号108頁参照)に基づき,Yらの運営する寺院等の看板等からXの名称である「N宗」を削除すること,N宗の名称を含む名称...
[解 説]
1 事案の概要
抗告人が,その所有する土地及び建物の上に相手方が有する条件付所有権移転の仮登記上の権利(以下「本件仮登記上の権利」という。なお,判文においては,この権利について「条件付所有権」と略称しているところ,後述するとおりこの権利は「所有権」そのものではないのであり,所有...
[解 説]
1 本件の起訴時における公訴事実の要旨は,「A社を経営する被告人が,B社を経営する共犯者と共謀の上,B社が発注しC社に請負建築させたC社所有の未登記建物(以下,「本件建物」という。)につき,C社担当者から,C社名義の建築工事完了引渡証明書等の交付を受けた上,共犯者において,C社担...
[解 説]
1 本件事案の概要及び手続の経過は,次のとおりである。すなわち,本件は,被告人が,ホテルの一室において,勤務先の関係者である被害者(当時58歳)に対して,その顔面等をげん骨で数回殴るなどの暴行を加え,よって,同人をびまん性軸索損傷により死亡させたという傷害致死の事案である。本件は...