最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成八年一〇月二〇日に執行された衆議院議員総選挙のうち小選挙区選出議員選挙(以下「本件選挙」という。)の東京都第二〇区における選挙人五名が、公職選挙法(以下「公選法」という。)中の衆議院議員選挙の選挙運動について規制する規定の一部が憲法に違反しているこ...
《解 説》
一 本件は、いわゆる花王化粧品販売事件の控訴審判決である。本件においては、化粧品のいわゆるカウンセリング販売(対面販売)が義務づけられた特約契約において、小売店がこれに違反したことを実質的理由とする解約の効力の有無が争われたものである。
事案の概要は次のとおりである。化粧品小...
《解 説》
本件訴訟は、農業協同組合の監事が組合を代表して理事に対し貸付け管理に落ち度があったなどとして損害の賠償を求めて提起したものであり、審理においては、監事の訴訟代表権の在り方が問題とされた。本判決は、問題とされた点に関して初判断を示したものであり、商法の関係条文の解釈等にも影響を及...
《解 説》
一 本件の事実関係は、次のとおりである。(1) 平成三年九月三〇日、大阪地裁は、Aの所有する不動産について、抵当権の実行としての競売の申立てに基づき、競売開始決定をした、(2) 同年一〇月一一日、Aは、破産宣告を受け、被告が破産管財人に選任された、(3) 同月二三日、東大阪税務...
《解 説》
一1 本件の争点は、滞納に係る国税の本税の金額が法定納期限後における一部納付等により減少した事案において、税務署長が、国税債権につき不動産競売の執行裁判所に交付要求するに際し、交付要求書の延滞税欄に「法律による金額・要す」とのみ記載して交付要求した場合、この交付要求の効力がどの...
《解 説》
Xら二名はそれぞれY1県のY2知事に対し、情報公開条例に基づき女川原子力発電所使用済核燃料の輸送計画に関する公文書の開示を申し立てたところ、Y2は本件各公文書の一部につき、同条例九条四号(犯罪の防止に支障がある)、五号(電力会社との信頼関係を損なう)、七号(県の事務事業の円滑な...
《解 説》
日本共産党員のXは、昭和五九年一一月七日午後一一時二〇分ころ、軽四輪貨物自動車を運転していたところ、警察官Aらから停止を求められ、一時停止違反等の事実について簡単な質問を受けた後、派出所に任意同行を求められた。Xは、同所においてAらから同党や日本民主青年同盟に関する情報の提供者...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、A県が、被告社団法人の法人県民税については国が賦課した当該年度の法人税額を課税標準とし、法人事業税については国が賦課した当該年度の法人税の課税標準とされた所得を課税標準として算出し、平成元年から平成五年度までいずれの税についても課税しなかったところ、A...
《解 説》
一 本判決は、A市がB財団法人(以下「被告協会」という)から同被告主催の世界デザイン博覧会(以下「デザイン博」という)の施設・備品を購入したのは同博覧会の赤字隠しのためであり、無価値で必要のない物件の購入により同市に損害を与えたとして、市民グループが被告協会及び同市市長個人らを...
《解 説》
一 Xは、昭和四九年四月から、愛知県の公立学校教員として勤務している者であるが、昭和五九年二月、定期健康診断の際X線検査を受検しなかったこと、X線検査を受検するよう命じた校長の職務命令を拒否したこと、職務専念義務に違反して職場離脱をしたことを理由として三か月間一〇分の一の減給処...
《解 説》
一 本件は、銀行であるXが、Y1に対する融資を打ち切って融資金の返還を請求し、貸付け当時Y1の代表取締役であったY2に対しては保証債務の履行を請求したのに対し、Yらが、Xには貸し手責任があり、本件請求は権利濫用であると主張した事案である。Yらはこのほか、Xは自らの債権回収のみを...
《解 説》
一 Yは、平成二年二月、Aから「ゴルフ&カントリークラブグランマリヤ」のゴルフ会員権を購入するにあたり、代金の内金一〇〇〇万円についてクレジット会社に保証の委託をし、XがYの保証人としてAに対し右代金を代位弁済することを承認し、Xが代位弁済した場合、Yは、Xに対し、右代位弁済金...
《解 説》
一 Xは、マンション建設目的で、Yから土地を購入したが、購入後に土地を調査したところ、地中に従前建物の地下室を伴う基礎が存在することが判明した。そこで、Xは、Yに対し、地中障害が発生した場合にはYの責任と負担において解決する旨の条項に基づき、撤去費用等の損害賠償を請求した。
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《解 説》
一 X1は、日本国内におけるホテル経営を業とする株式会社であるが、主要取引先銀行であるYの勧誘により、ロサンゼルス近郊所在の本件ホテルを、Yからの融資金で買収することを企画した。そして、Yとの間で、YはX1のため本件ホテル買収に必要なコンサルティングを行い、買収契約成立時にはX...
《解 説》
一 本件は、被告が発行する週刊誌「アエラ」において、被告が、「未成年者に貸し親から取立て」との見出しでAさんから原告に対して提起された民事訴訟事件についてAさんの主張が正しいかのごとく構成した記事(以下「記事一」という。)を掲載したり、「今の金利は実は法律違反」との見出しで貸金...
《解 説》
一 Aは、幼いときに右眼を失明し、左眼も桐沢型ブドウ膜炎(急性網膜壊死とも呼ばれ、その症状としては硝子体混濁等があり、進行すると網膜剥離をひき起こす。)に罹患したため、その視力も失われていったことから、眼科治療には定評のあるY1病院を受診した。そこで、Y1は、Y2医師を執刀医と...
《解 説》
一 訴外A(昭和二三年五月生)は、数年前から、いびきが強く、昼間眠気があったため、平成四年二月、Yの設置する「福島労災病院」において診察を受けたところ、「睡眠時無呼吸症候群」と診断されたため、同年三月一七日、同病院に入院したが、その後無呼吸症状等が改善したので、同月二四日、同病...
《解 説》
本判決は、当事者双方の主張及び理由の大部分について原判決を引用しており、本件の事案の詳細は不明であるが、同族会社X1がその元代表者Y1に対し、Y1が会社整理の申立てをしたことを忠実義務、善管注意義務違反及び不法行為に当たるなどと主張して損害賠償等を求め(なお、右会社整理の申立て...
《解 説》
Xは、昭和五七年八月一〇日、Y保険会社との間で、Xの代表者であるAを被保険者、保険金受取人をXとする災害割増特約付の生命保険契約を締結していたが、Aは、平成七年一〇月三一日午後二時三〇分頃、Xが下請けした屋上防水補修工事の工事現場である五階建建物の屋上から転落して死亡した。Xは...
《解 説》
一 Xは、医薬品の発明についての特許権を有し、薬事法の製造承認を得て特許発明にかかる医薬品の製造販売をしていた。Yらは、右特許権の存続期間満了後に製造販売する予定の右医薬品(先発品)のいわゆる後発品について、右存続期間中に製造承認の申請をし、これを得たが、右申請の添付資料を作成...
《解 説》
一 本決定は、特許権侵害訴訟において、文書提出命令によって提出された文書(本件文書)の閲覧、謄写等の方法を、裁判所の訴訟指揮権に基づいて定めたものである。
二 特許権を有していた原告は、被告らがこれを侵害したとして、損害賠償を請求している。そして、原告は、損害の計算に必要な書...
《解 説》
一 本件は、不動産競売事件において、評価人が競売市場の特殊性を考慮して減価率を四〇パーセントとしたことは不当であり、最低売却価額の決定に重大な誤りがあること等を理由とする売却許可決定に対する執行抗告の申立てに対し、最低売却価額の決定に重大な誤りはないとして、抗告を棄却した事案で...
《解 説》
本件建物を所有しているA社は、平成五年一二月一六日破産宣告を受け、Xが破産管財人に任命された。これに先立ちAは、同年九月三〇日、Yとの間でYが本件建物について商事留置権を有することを確認し、右留置権の存続する間、Yが本件建物を第三者に賃貸することを承諾する旨合意し、Yはこれに基...