最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 事案の概要
(1) 本件の係争地である砂川市(以下「市」という。)所有の2筆の土地上には,地域の集会場等の建物(以下「本件建物」という。)が建てられており,その一角に空知太神社(以下「本件神社」という。)の祠が設置され,建物の外壁には「神社」との表示が設けられている。また,...
[解 説]
1 事案の概要
(1) 本件の係争地である砂川市内の2筆の土地(以下「本件各土地」という。)は,戦前に富平町内会(以下「本件町内会」という。)の前身の団体から小学校の教員住宅用地として砂川町に寄附された市有地であったが(なお,戦後,上記教員住宅の取壊しに伴いその用途は廃止された...
[解 説]
1 本件は,有限会社Bに対して400万円を貸し付けた株式会社Xが,B社の当時の代表取締役であり,上記貸付けに係る貸金債務を連帯保証したYに対し,保証債務の履行を求めた事案である。Yは,「X社の実体は,株式会社Aの財務部門であって,独立の企業体ではなく,他方,B社は,A社を頂点とす...
[解 説]
1 本件は,Xが,商品取引員であるY1に委託して行った商品先物取引において損失を被ったことについて,その従業員であるY2による説明義務違反等の違法行為があると主張して,Yらに対し,不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。
2 Xは,Y1との間で商品先物取引委託契約を締結し,...
[解 説]
1 本件は,Yが設置する中学校又は高等学校(以下,両校を「本件各学校」という。)に在籍していた生徒の親であるXらが,Yは,本件各学校の生徒募集の際,学校案内等において,論語に依拠した道徳教育の実施を約束したにもかかわらず,子の入学後に同教育を廃止したことは,XらとYとの間で締結さ...
[解 説]
1 本件は,精神的疾患のある被告人が,平成16年6月2日午前4時10分ころ,隣に住む男性方において,同人の頭部を金属バットで強打し,更に2階に逃げた同人を追いかけてサバイバルナイフでその胸部等を突き刺すなどして,殺害し,さらに,殺意をもって,同人の二男の右頸部等を上記サバイバルナ...
[解 説]
1 本件は,刑法96条の2にいう「強制執行」と抵当権の実行としての競売との関係が問題となった事案である。
職権判示に係る強制執行妨害に関する事案の概要は,暴力団組長である被告人が,その立場を利用して,抵当権に基づく競売を妨害し,本件建物からの賃料等の多額の利益を得ようとして共犯...
[解 説]
1 本件は,共犯関係の解消の成否が争われた事案であり,その職権判示に係る事案の概要は,被告人が,共犯者数名と住居に侵入して強盗に及ぶことを共謀したところ,共犯者の一部が家人の在宅する住居に侵入した後,見張り役の共犯者が既に住居内に侵入していた共犯者に電話で「犯行をやめた方がよい,...
[解 説]
1 本件は,被告人が,共犯者と共に,パチスロ店内で,回胴式遊技機(パチスロ機)から,いわゆるゴト行為によってメダルを窃取したという事案である。原判決の認定によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。すなわち,共犯者が,パチスロ機に針金を差し込んで誤動作させるなどの方法によって,...
[解 説]
1 本件は,防衛庁(当時)調達実施本部副本部長等の職にあった被告人が,調達実施本部と私企業との間で締結した装備品の製造請負契約において,法令等に違反した水増し請求がなされていたことが発覚したことから,その過払い相当額を国に返還させるに当たり,被告人が,私企業の幹部らと共謀の上,そ...
[解 説]
1 本件は,旧日本債券信用銀行の首脳陣である被告人らが,バブル経済崩壊後に抱えた巨額の不良債権を隠ぺいするため,その額を過少に積算した内容虚偽の有価証券報告書を作成提出したという証券取引法違反(虚偽記載有価証券報告書提出罪)で起訴された事案である。
被告人らは,1審以来,有価証...
[解 説]
1 本件は,食肉販売等を営む株式会社の取締役及び食肉等の輸入販売等を営む株式会社の代表取締役などであった被告人が,(1)C食肉事業協同組合連合会(以下「C」という。)理事,Cの傘下組合であるD食肉事業協同組合の実質的統括者及び食肉販売等を営む上記会社(以下「本件会社」という。)の...
[解 説]
1 本件は,佐賀県(以下「県」という。)の住民であるXらが,県の平成5年度から平成9年度の複写機リース会社に対する複写機使用料に係る支出の一部6億4433万6000円が複写機使用料名下に水増しされた違法な支出であるとして,①地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下...
[解 説]
1 本件は,被告に雇用されていた原告らが,60歳を迎え,退職することになったところ,被告が採用している60歳定年制が,高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年雇用安定法」という。)9条1項に違反して無効であり,その結果,被告では定年制の定めがないものとなるとして,①原告ら...
[解 説]
1 本件は,被告の開設する病院において受けた治療によって予期しない後遺症の残った原告が,治療が不首尾に終わった経過・原因等について被告が説明する際に診療録等を開示しなかったことが,診療契約上のてん末報告義務違反に当たるなどと主張して,診療契約の債務不履行又は人格権侵害の不法行為に...
[解 説]
1 本件は,Xらが,東京都知事であるY1が首都大学東京の設立に関連して4回にわたってした発言(本件各発言)によって名誉を毀損されたなどとして,Y1及びY2(東京都)に対し,損害の賠償及び謝罪広告の掲載等を求めた事案である。本件各発言は,フランス語そのものや東京都立大学のフランス語...
[解 説]
1 本件は,株式会社日本経済新聞社(以下「日本経済新聞社」という。)の従業員が,平成17年8月ころから平成18年1月までの間,日本経済新聞社が管理するコンピュータ内の広告主の法定公告に関する情報を利用してインサイダー取引を行い,その一部について刑事責任を問われたことについて,日本...
[解 説]
1 事案の概要(判示事項に関するものに限る。)
(1)本件は,原告を再生債務者とする再生手続において,被告が届け出た再生債権の額を被告の届出のとおり291万5000円と査定した決定に対し,原告が異議を請求した事案である。
(2)被告は,原告に対する再生債権(金融商品取引法21...
[解 説]
1 本件は,「肌優」の漢字2文字からなる商標(本件商標)が,中段に漢字「優肌」,上段にひらがな「ゆうき」,下段に欧文字「YU―KI」を配した引用商標と称呼,外観及び観念のいずれにおいても類似しないから,商標法4条1項11号に該当しないとした無効不成立審決の取消訴訟である(審決では...
[解 説]
1 中国法人であるXは,電気通信役務利用放送事業者のY1及び同社から委託を受けた電気通信事業者Y2が中国のテレビドラマ「苦菜花」(以下「本件ドラマ」という。)についてCSデジタル放送(通信衛星〔CS〕を利用したデジタル多チャンネル放送)をした行為が本件ドラマについてXの有する著作...
[解 説]
1 本件は,小規模個人再生事件の決議において,1名の反対債権者の反対により再生計画案が否決されて廃止決定がされた後に,当該反対債権者から再生計画案への同意が得られたとしてされた抗告に基づき,廃止決定を取り消して事件を原審に差し戻した抗告審の決定である。
2 事案の概要は次のとお...
[解 説]
1 本件は,統合失調症にり患していた被告人が,
元勤務先の塗装店及びその付近において,62歳の男性経営者の顔面等を手けんで数回殴打する暴行を加え,約1週間後に搬送先の病院で死亡させたという傷害致死の事案について,責任能力の有無・程度が争点となったものであり,本判決は,(1)原審が...