最も長い歴史をもつ判例実務誌
土地の賃借権の存在を知りながら右賃借権及び地上建物について登記のないのに乗じ、かつ、自己使用の必要もないのに右土地を明渡させる目的でこれを買受けた者は、背信的悪意者であって、土地賃借権につき対抗要件の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとした事例
耕地整理法(昭和6年法律第68号による改正前のもの)29条の2に基づくいわゆる仮換地の指定処分について、従前地を他に譲渡してしまった者は登記簿上の所有名義を有している場合であっても、その従前地についての仮換地指定義務の確認を求める等の訴えの利益を有しないとした事例
弁護士懲戒請求者の異議申出を棄却した日本弁護士連合会の裁決の違法を理由とする右請求者の右連合会に対する損害賠償請求が棄却された事例
金員を借用するについてその証人となってほしい旨を告げられて、金銭消費貸借契約書の主債務者の名前に並んで署名した場合に、連帯保証人としての責を負わないとした事例
金融業者が、貸金の担保のため建物に対する根抵当権及び賃借権設定契約を結ぶに際し、建物の権利証、印鑑証明書及び白紙委任状を持参した者を担保権設定者の代理人と信じた場合に、表見代理の成立を否定した一事例
後日、関係書類が補充されたときに抵当権設定登記手続を委託することを約して、司法書士に対し、関係書類の一部を預けていたのに、登記権利者に何んらの連絡もなく、登記義務者からの登記権利者を害する登記の委任を受け登記を了した司法書士の行為が違法であるとして、右登記権利者より求めた損害賠償請求の棄却された事例
クロレラライト原液等の継続的供給契約の即時解除がやむを得ない事由によるものであるとして解除者の損害賠償責任を否定した事例
電力会社及びガス会社の電気、ガス料金の値上げ申請に対する認可が違法であるとして、国に対し損害賠償を求める訴訟において、国の所持する公聴会調書、物価安定政策会議特別部会議事録、査定報告書の各文書が、民訴法312条3号後段の文書に当たらないとして、同法417条1項に基づき、右文書に対する文書提出命令の申立てを認容した原決定を取り消した上、右申立てを却下した事例
借地法の適用のある土地賃貸借につき、賃借人の破産が解約申入れの正当事由を肯定する一要素となるとして建物収去土地明渡請求を認容した事例
警察官及び消防吏員が、深夜路上に駐車したトラックに積載されている数頭の競走馬の鼻息や馬体の湯気が高さ2メートル位立ち昇っているのを火災発生と誤認し、消火剤の噴射及び放水による消火活動を行って右競走馬に損傷を与えたとしても、過失又は義務違反がないとされた事例
真宗大谷派の法主の地位により同派の包括する福井別院本瑞寺の住職、代表役員たる地位にあった債権者が、宗務総長から新たに右本瑞寺の住職、代表役員に任命された債務者に対してした職務執行停止等の仮処分申請が、大谷派内紛解決の和解の趣旨に反し必要性を欠くとして却下された事例
建築主事は建築確認に際し当該建築行為が都市計画法上の開発行為にあたるか否かについて審査する権限を有しないとされた事例
1 夫が妻名義で確定申告したとしても、夫自身の申告があるものとはいえないとした事例
2 税務署長が無申告の場合に誤って過少申告による更正処分をしたことは違法であるが、納税義務者は右更正分取消訴訟において右違法を主張することは許されないとした事例
(イ)人身保護法によって求めた夫婦の一方からの子どもの引渡請求を棄却した事例
(ロ)別居中の妻から夫およびその両親にに対して子どもの引渡しを求めて提起された人身保護請求を認めた事例
子宮癌摘出手術患者が、2年後の膣洗に際し膣断端からの大量出血により死亡した事故につき、医師の膣鏡操作との間に因果関係がないとされた事例
弁護士費用に係る損害賠償債務についての遅延損害金の起算日(右費用が現実に出捐されていない場合には判決言渡の翌日と解すべきである)
妊娠初期の交通事故被害女性が、レントゲン撮影による胎児への影響を危惧して妊娠中絶した場合に、その精神的苦痛に対する賠償等が肯定された事例
1 貨物自動車からの荷降ろし中の事故について、自動車の運行によって生じたといえる旨判示した事例
2 交通事故による損害賠償請求事件の裁判上の和解において、被害者に対し連帯して損害賠償金を支払う旨約した2名の加害者の内の1人の弁済は、他の1名との関係でも、自賠法15条の「自己が支払をした」ときにあたるとした事例
制限速度30キロメートル毎時で走行してきた軽四輪自動車が、停止車両の間を通って道路を横断しようとした歩行者を4.9メートル先に発見したが間に合わず衝突し、負傷させた場合において、4割の過失相殺をした事例
路面電車が道路を横断しようとしてその中央の軌道敷部分に入った4歳の幼児を轢過した事故につき、電車運転士には、右事故を予見し回避することは不可能であったとして、過失を認めず、使用者責任を否定した事例