最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 事案の概要と本判決の要旨
本件は,平成24年12月16日に施行された衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)について,小選挙区東京都第1区の選挙人であるXが,東京都選挙管理委員会(Y)に対し,衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し...
〔解 説〕
1 本件は,Yらから売買(本件各売買)により土地区画整理事業の施行地区内の土地(本件各土地)を購入したXらが,本件各売買後に土地区画整理組合の総代会の決議により賦課金を課されたため損害を被ったと主張して,Yらに対し,瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事案である。本件の主な争点は...
〔解 説〕
1 ①,②事件は,いずれも,地方の中堅企業であるX社が,メガバンクであるY銀行との間で行った金利スワップ取引に係る契約を締結した際,Y銀行に説明義務違反があったと主張して,Y銀行に対し,損害賠償を求めた事案である。
事実関係は,各事件の判文を参照していただきたいが,補足すると,...
〔解 説〕
1 はじめに
本件は,更生会社である株式会社武富士(現在の商号はTFK株式会社。以下「武富士」という。)の管財人であるXが,Yのために同社が提供した担保(供託金)につき担保の事由が消滅したとして,その取消しを求めた事案である。本件の主な争点は,上記担保の被担保債権が会社更生法(...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,傷害,強盗,建造物侵入,窃盗の各共同正犯で起訴された被告人に関し,いわゆる承継的共同正犯と呼ばれる場合の傷害罪の成立範囲が問題となった事案である。その職権判示に係る事案の概要は,先行者2名が,被害者2名に対し,こもごも暴行を加え,更に場所を移して同様に暴...
〔解 説〕
1 本件は,革労協関係者である被告人らが,福岡地裁で開かれた別件公判の傍聴券交付,警備等の業務を妨害したという威力業務妨害と,地裁所長から庁舎敷地外への退去命令を受けたのに退去しなかったという建造物不退去の事案において,第1審裁判所が事件を公判前整理手続に付したところ,公判前整理...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,裁判員対象事件である強盗致傷等事件の被告人が,裁判員等選任手続において,裁判員候補者1名に関し,不公平な裁判をするおそれ(裁判員法18条)があるとして,いわゆる理由あり不選任決定の請求(同法34条4項)をしたが,同請求を却下され,これに対し,地方裁判所に...
〔解 説〕
1 本件は,いわゆる攻防対象論の適用の有無が問題となった事案である。当初の訴因は,暴力団の組長である被告人が,組員と共謀の上,組事務所で麻雀賭博による賭博場を開張して利益を図ったという賭博開張図利の共同正犯の訴因であったところ,1審裁判所は,審理の終盤で,検察官からの賭博開張図利...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告は,タクシーを運転中に,交差点手前に設けられた黄色の実線による進路変更禁止標示をまたいで進路変更をし,進路変更禁止違反行為(道交法26条の2第3項)を行ったとして警察官による取締りを受け,上記違反行為を含む各違反行為を基礎として,運転免許の効力を60日間停止...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,九州財務局長(処分行政庁)が株式会社Aに対し,平成22年3月25日付けでした製造たばこ小売販売業の許可処分(以下「本件処分」という。)について,同許可処分に係る営業所(以下「本件営業所」という。)の近隣で同小売販売業の許可を受けて同業を営むXが,本件処分...
〔解 説〕
1 事案の概要
控訴人は,平成21年7月23日,帰化により日本国籍を取得し,同年8月12日,住民登録された。
平成21年7月21日の衆議院の解散により,同年8月30日施行された第45回衆議院議員総選挙(本件総選挙)においては,選挙時登録の日が同月17日と定められた。公職選挙法...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,株式会社ヒューザー(以下「ヒューザー」という。)が分譲したマンション(以下「本件マンション」という。)の区分所有権を購入したXらが,本件マンションには耐震強度不足の瑕疵があるとして,建築確認を行った指定確認検査機関であるY1に対し,Y1が構造計算書の問題...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,米国金融情報通信社Yの記者であるXが,勤務能力ないし適格性の低下を理由とする解雇の無効を主張して,地位確認及び解雇期間中の賃金支払の請求をした事案である。
Xは,大学卒業後,通信社等の記者勤務を経て,平成17年にYに記者として入社した後,部署間異動をし...
〔解 説〕
1 事案の概要
X会社は,企業経営のコンサルタント業務等を目的とする株式会社,Y会社は,陶磁器,ガラス器の輸入・販売等を目的とする株式会社,Z会社は,油類及び雑貨類の販売等を目的とする株式会社である。
Y会社は,X会社との間で,Y会社の事業について株式譲渡の手続によりX会社が...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,
ア 不動産の分譲等を行う業者(被告Y)から鉄筋コンクリート造陸屋根14階建の共同住宅(本件建物)の建築を請け負った建築業者である原告が,被告Yに対し,請負契約に基づく残代金15億8145万円及び遅延損害金の支払を求めた事案(甲事件)と,
イ ...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,Y(銀行)に普通預金口座を有していたところ(以下「本件口座」という。),A弁護士から同口座が競馬攻略法詐欺に利用されているとの情報提供及び犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(本判決にいう「振り込め詐欺被害者救済法」である。...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,コンビニエンスストアのフランチャイジーであるXらが,フランチャイザー(本部)のY会社に対して,加盟店が顧客に対して販売することが可能な期限として設定した販売期限が迫ったデイリー商品(弁当,おにぎり等の年間を通じて毎日店舗に納品される商品)を値引きして販売...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,交通事故で死亡した被害者の相続人らの代理人である弁護士が,医療過誤に基づく解決金6600万円を病院から受領したことを秘したまま加害者に対し損害賠償請求訴訟を提起し,訴訟上の和解に基づき損害賠償金9000万円の支払を受けたことが,損害の二重請求をした不法行...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,被告会社が製造する治験薬(通称リモナバント〔以下「本件治験薬」という。〕)の治験(以下「本件治験」という。)に参加し,これを服用していた被験者(以下「本件被験者」という。)が,平滑筋肉腫を発症し,死亡したことについて,本件被験者の相続人である原告ら...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件事案の概要は,次のとおりである。Y社は,株式数3000株を発行している株式会社である。3000株のうち1000株はAが所有し,残り2000株は,XとBの2名による持分2分の1ずつの準共有状態にある(以下,上記2000株を「本件準共有株式」という。)。本件準共...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,交通事故で死亡した被害者の遺族であるXらが,被害者が損害保険会社であるYとの間で締結していた自動車保険契約のうちの人身傷害補償保険(以下「本件人傷保険」という。)に基づき,Yに対し,人身傷害補償保険金(以下「人傷保険金」という。)の支払を求めた事案である...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,X(個人)が,Y(全国生活協同組合連合会)との間で締結していた本件火災共済契約及び本件生命共済契約(以下「本件各共済契約」という。)に基づき,当該各共済契約に係る共済事故(以下「本件各共済事故」という。)として,①本件火災事故,②本件転落事故,③本件第1...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,被告が特許権を有し発明の名称を「環状アミン誘導体」とする特許権につき,平成20年6月25日に延長期間を5年とする存続期間の延長登録(本件延長登録)がなされたことに対し,原告らが無効審判請求をしたが,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,これに不服...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,福島県喜多方市に所在する,同市内のラーメン店が加入する協同組合であるXが,平成18年4月1日,特許庁に対し,商標法(以下「法」という。)7条の2第1項の地域団体商標として,標準文字で「喜多方ラーメン」と記してなる商標(以下「本願商標」という。)の登録出願...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,音楽著作物の著作権等管理事業者であるX(被控訴人・原審原告)が,動画投稿サイトを運営するY会社(控訴人・原審被告)が運営主体となって提供するサイトのサーバに,各ユーザが投稿したXの管理する著作物の複製物を含む動画ファイルを蔵置し,これを各ユーザに送信して...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,いわゆる適格消費者団体が,電気通信事業等を営む事業者に対して,2年間の契約期間の定めのある携帯電話通信契約を中途解約する際に解除料として9975円の支払義務があることを定める条項が消費者契約法(以下「法」という。)9条1号・10条に反し無効であるとして法...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,住友電気工業株式会社(以下「住友電工」という。)の光ファイバーケーブル製品等に関するカルテル(以下「本件カルテル」という。)に関する株主代表訴訟において,本件カルテルについて公正取引委員会の職員が調査した過程において収集した資料について,株主らが文書提出...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原審における損害賠償等請求事件と,独立当事者参加申立事件とからなるが,各事件の概要は,それぞれ,以下のとおりである。
まず,損害賠償等請求事件であるが,X1(個人)において,Y(株式会社みずほ銀行)から購入したMMF(マネー・マネージメント・ファンド)...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,大型貨物自動車(コンテナセミトレーラを牽引するトラクタ)を運転する被告人が,自車周囲の安全確認を尽くさずに,対面青色信号に従って発進して進行した過失によって,自車右側から自車前方に進行してきた被害者運転の自転車に気付かないまま衝突して,被害者を死亡させた...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,控訴審が,第1審の訴訟手続には,強盗殺人の訴因について,検察官の主張する現場共謀のうち黙示的な意思連絡の点について判断していないなどの審理不尽(訴訟手続の法令違反)があるとして,原判決(裁判員裁判)を破棄して事件を原裁判所に差し戻した事例である。
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