最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権(以下「被保証債権」という。)を当該根保証契約に定める元本確定期日前に譲り受けたXが,保証人であるYに対し,保証債務の履行を求める事案であり,根保証について,元本確定期日前にも随伴性が認められるかが問題となった事案で...
〔解 説〕
1 本件は,いわゆる平成電電詐欺事件の事案であるが,判示事項との関係で問題となったのは,被告人質問の際に被告人に示され,その後公判調書中の被告人供述調書に添付されたものの,これとは別に証拠として取り調べられていない電子メール(写し。以下「本件電子メール」という。)の証拠としての取...
〔解 説〕
1 本件は,被告人の前科に係る犯罪事実や被告人の前科以外の類似する他の犯罪事実(以下「類似事実」という。)を,犯人と被告人の同一性を立証する間接事実として用いることができるかが問題となった事案である。
2 被告人は,家屋に対する住居侵入,窃盗(未遂を含む。以下同じ。),現住建造...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1) 本件は,建築基準法(以下「法」という。)77条の21第1項の指定確認検査機関であるYが,本判決別紙1「建築物目録」記載1の建築物(以下「本件西棟」という。)の計画についてした建築確認処分(以下「本件確認処分1」という。)及び同目録記載2の建築物(以下「本件...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,文京区小石川5丁目に所在する国の重要文化財である「旧磯野家住宅」(通称「銅(あかがね)御殿」)の近隣に居住する住民であるXらが,①銅御殿の隣地においてAが行った地上12階建のマンション(以下「本件マンション」という。)の建築(平成21年6月着工,平成23...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,国土交通省がそのホームページ上に,一級建築士である原告が構造計算プログラムにより表示された2か所のワーニングメッセージを削除する(以下「本件削除行為」という。)という「構造計算書の偽装」を行ったとの記事(以下「本件記事」という。)を掲載して報道発表したこ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,見知らぬ男性Y1から暴行を受けた中学2年生の女性X1及びその母親であるX2が,Y1に対し損害賠償を求めるとともに,この事件の刑事裁判において,検察庁の担当者から公判期日の通知を受けなかったため,被害者等通知制度により公判期日の通知を受ける利益等を侵害され...
〔解 説〕
1 事案の概要
原告らは,いずれも倉庫業者であり,被告の区域内に倉庫を所有し,被告に対して固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)を納付してきたが,被告の知事及び税務担当職員が,平成元年度から平成13年度までの各年度における倉庫についての固定資産税等の賦課決定の前提となる価格を...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,弁護士業を営んで事業所得を得ている者であり,弁護士会,弁護士会連合会及び日弁連(以下,併せて「弁護士会等」という。)の役員等を務めていたところ,これらの役員等としての活動に伴い支出した懇親会費等を,事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができ,また,...
〔解 説〕
1 事業の概要
Aは,地方公共団体であるB(町)に採用され,昭和49年7月15日から職員として勤務し,平成18年7月には,理事を除いては一般職として最上位にある地位(企画グループ統括・町長秘書を兼務)に就いていたところ,町長選挙で初当選したC町長から,同年8月1日付けで,行政職...
〔解 説〕
1 事案の概要と本件契約条項について
本件は,適格消費者団体である原告が,不動産賃貸業を営む事業者である被告に対し,被告の使用する賃貸借契約書の条項(本件契約条項)が消費者契約法(以下「法」という。)9条各号又は10条に該当するとして,法12条3項に基づき,同契約書による意思表...
〔解 説〕
1 事案の概要
Yは,AのBに対する債権を将来発生する債権として譲り受けたが,同債権が発生した際,譲渡禁止の特約が付された。その後,Xは,Aに対する租税債権を徴収するため,AのBに対する上記債権を差し押さえた。そこで,Bは,民法494条により,A又はYを被供託者として,供託をし...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,借家契約において,Yほか(賃貸人ら)から賃料の増額請求を受けたA(賃借人)や,その包括承継人Xが,従来どおりの賃料に加えて,請求された増額分の一部を支払っていたところ,後日の確定裁判においてその増額の一部のみが正当とされ,これに照らすとAないしXの支払額...
〔解 説〕
1 事案の概要
亡Aは,Yから,「中央三井償還条件付株価参照型ファンド07─01」という投資信託(本件ファンド)の受益権(本件商品)を,331万8250円で購入したが,満期に償還された金額は198万7590円でしかなく,それまでに受領した分配金を含めても,113万7606円の損...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
(1) Xは,平成2年5月,Bから,Y2が施工,Y1が設計・工事監理をして,同年2月に新築した建物(本件建物,9階建ての賃貸マンション)を買い受けた(ただし,平成14年6月に,競売により,第三者に売却された。)。本件建物には,廊下,床,壁のひび割れ,はりの傾斜...
〔解 説〕
1 事案の概要
X(85歳)は,自宅周辺の路上で佇立していたところ,Y1(14歳・中学2年生)の運転する足踏み式自転車(以下「自転車」という。)と衝突して転倒した(以下「本件事故」という。)。Xは,本件事故による胸椎及び腰椎の圧迫骨折等の傷害により自賠法施行令所定の後遺障害等級...
〔解 説〕
1 本件事案の概要
(1) Xは,平成16年8月から平成17年3月にかけて,Y会社との間で,医療保険,生命保険の各契約(本件各保険契約)を締結した。本件各保険契約の約款(本件約款)では「契約者が保険料を払込期月(月単位の契約応当日の属する月の初日から末日まで)の翌月末日までに支払...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,車両保険を付帯特約とする自動車保険契約(以下「本件保険契約」という。)を損害保険会社である被告Yとの間で締結していた原告Xが,被保険車両(以下「本件車両」という。)を訴外会社Zの駐車場(以下「本件駐車場」という。)に駐車していたところ,本件車両のタイヤ2...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「通気口用フィルター部材」とする特許発明についての,無効審判請求成立審決の取消しがされた事案である。
本件特許の請求項は1項のみであり,その請求項1は「……不織布を……レンジフードの角形の通気口に合わせて切断し……通気口を不織布で直接覆って...
〔解 説〕
1 事案の概要
X(控訴人。第1審原告)は,発明の名称を「餅」とする特許発明(以下「本件発明」という。)に係る特許権(以下「本件特許」又は「本件特許権」という。)を有していた。Xは,Y(被控訴人。第1審被告)の製造,販売及び輸出する被告製品(切餅等)が本件発明の技術的範囲に属す...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告Xが登録を受けた後記本件商標(判文中に掲載)につき運動靴等の製造販売で著名な補助参加人Y社が登録異議を申し立てたところ,特許庁が本件商標の登録を取り消すとの決定をしたので,Xがこの決定の取消しを求めた事案である。本判決に至るまでには,後記のとおり複数...
〔解 説〕
第1 事案の概要
1 本件は,X(原告・被控訴人・上告人)が,Y(被告・控訴人・被上告人)に対し,Yが映画のDVD(本件商品)を輸入し,頒布する行為について,昭和25年公開の本件各映画の著作権を侵害すると主張して,①著作権法112条に基づき,本件商品の製造,輸入及び頒布の差止め並...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,AがYとの間で生命保険契約(本件保険契約)を締結していたところ,本件保険契約における死亡保険金受取人であるXが,Aが死亡したとして,Yに対し生命保険金1500万円と遅延損害金の支払を請求した事案である。本件保険契約の約款には,保険契約者が払込期月までに保...
〔解 説〕
1 事案の概要
不動産賃貸業等を営む事業者である被告は,不特定かつ多数の消費者との間で建物賃貸借契約を締結又は更新する際に使用している契約書において,契約が2年間更新されるに際して,更新後の契約における賃料,共益費及び附帯施設管理費(以下「賃料等」という。)1か月分相当額の更新...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件事案の概要は次のとおりである。
X社は各種半導体製造装置の販売等を目的とする日本法人,Y1社は資本財設備の輸出入業等を目的とする韓国法人,Y2はY1社の代表者で,韓国に住所を有する外国人である。
X社は,転売を目的として,Y1社との間で,Y1社が所有する...
〔解 説〕
1 事案の概要
借地権付き建物の競売において,最高価買受申出人となったAが,物件明細書には敷地所有者が国(財務省)とされていたにもかかわらず,買受けの申出時においてはその所有権が建物の所有者であるBに移転していたとして,民事執行法75条1項に基づき,売却の不許可の申出をした。原...
〔解 説〕
1 事案の概要
破産者であるXは,破産手続開始決定前から長男Zを契約名義人及び被保険者とする生命保険契約及びこれと同種の共済契約を締結していたが,破産手続開始決定後にZが死亡したため,死亡保険金及び死亡共済金の払戻しを受けた上,これを現金化して保管している(上記各契約に基づく保...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,Aが民事再生手続の開始決定を受けた後,Aとの間で,同手続の廃止決定を期限の利益喪失事由として5億円を貸し付ける旨の金銭消費貸借契約を締結したところ,Aが同手続の廃止決定を受けたために期限の利益を喪失したとして,その後破産手続開始の決定を受けたAの破...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件事案の概要は以下のとおりである。被告人と被害者との間でいさかいが生じ,被告人は,被害者と向かい合って立った状態で,被害者に対して直接殴ったり蹴ったりしないように気を付けながら,一定の距離を保ったまま,被害者を威圧するようにして被害者に向かって前進した。被害者...
〔解 説〕
1 事案の概要等
本判決は,居住するアパートの隣家の女性(被害者)との間で野良猫の餌付けなどに関してトラブルを抱えていた被告人が,被害者を牛刀で2回突き刺して殺害し,その際正当な理由なく牛刀を携帯した,という殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件の控訴審判決である。
原審段...