最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
はじめに
第1 管轄
第2 請求の趣旨
第3 訴額
第4 担保提供命令
第5 訴訟手続(1)―処分権主義・弁論主義との関係
第6 訴訟手続(2)―証拠の収集提出
第7 責任追及の範囲(1)
第8 責任追及の範囲(2)
第9 判決の効力
第10 費用等の請求(1)
第11 費用等の請求(2)
第12 株主代表訴訟を提起した株主等の損害賠償責任
第13 再審の訴え
地方運輸局長がした特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法16条1項に基づく一般乗用旅客自動車運送事業に係る旅客の運賃の範囲の変更が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであると一応認められるとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方公共団体が経営する自動車運送事業のバスの運転手として勤務していた職員が運賃の着服等を理由とする懲戒免職処分に伴って受けた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断に違法があるとされた事例
個人として免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因と,法人の代表者として法人の業務に関し免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因との間に公訴事実の同一性が認められた事例
生活保護の受給者が自動車の保有条件を遵守せず,指導指示内容の履行がされていないことを理由として受けた保護停止処分につき,指導指示等の必要が低く,違反の程度は大きくない一方で,保護停止により重大な不利益を与えるものであったとして,保護停止処分が取り消され,国家賠償請求が一部認容された事例
オリンピック・パラリンピックの選手村として使用することなどを目的とした東京都が保有する土地等を施行地区とする再開発事業に係る一連の行為に違法はないとされた事例
生活保護の受給者Xが,精神障害者保健福祉手帳2級を取得し,障害者加算の要件があったにもかかわらず,その届出をしていなかったものの,ケースワーカーらYの担当職員としては,Xの精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた事実を認識し得たと認められ,それにもかかわらず,その交付の有無を確認し,提示を求めるなどの極めて容易な調査すら行わなかったことは,公務員として通常尽くすべき職務上の調査義務を漫然と怠ったものであり,国家賠償法1条1項の違法性があり,かつ,過失があるとして,障害者加算金に相当する損害の賠償が認められた事例
1 原爆投下時に被爆地周辺に所在し,現実に放射線を直接浴びた可能性のある被爆者等と,被爆時には存在していなかった被爆二世とでは,原爆の放射能により健康被害が生じる可能性の前提となる,ヒトに対する放射線の影響(被爆二世は遺伝的影響)に関し,その基礎となる医学的・科学的知見に顕著な差異があるというべきである
2 被爆二世の訴える健康上の不安に対処すべく,被爆二世を援護の対象に加えるか否か,その援護の在り方については,総合的・政策的判断を要する立法府の合理的な裁量的判断に委ねられているというべきであり,被爆二世を原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の被爆者に含めるなどして同法による援護の対象にしないことが,合理的理由のない差別的取扱いにあたるということはできない
1 気象庁が火山の噴火に先立って噴火警戒レベルのレベル2への引上げ(噴火警報の発令)をしなかったことが,当該火山の噴火によって死傷した登山客に対する関係で,国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
2 地方自治体が,火山に設置した地震計の故障を修理しなかったことが,当該火山の噴火によって死傷した登山客に対する関係で,国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
1 被告人が,詐取したキャッシュカードを用いてATMを操作し,被害者の口座から被告人らが管理する第三者名義の口座に送金するという方法で,電子計算機使用詐欺の犯行の機会に犯罪収益等取得事実仮装を行った事件が複数起訴され,併合審理された事案において,各犯罪収益等取得事実仮装の罪の関係について,犯意の同一性などを根拠に全体として包括一罪である旨の主張に対し,各犯行に用いられた振込先口座がそれぞれ異なっていることなどを指摘し,再投資防止の観点から法益侵害の一体性を肯定できるような実質的隠匿状況の共通性がない場合であって併合罪であるとした事例
2 ATMを操作して被害者の口座から振込送金操作を行い,第三者口座の残高を増加させる方法で行われた電子計算機使用詐欺罪とその際に行われた犯罪収益等取得事実仮装の罪の関係について,併合罪であるとした事例
1 検察官の行った公訴提起が,国家賠償法1条1項上違法ではないとされた事例
2 検察官の行った逮捕及び勾留が国家賠償法1条1項上違法ではないとされた事例
3 検察官の原告に対する取調べが,国家賠償法1条1項上違法ではないとされた事例
労働組合法7条1号の不当労働行為の成立には,不当労働行為意思を要することを前提とし,労働組合の組合員である従業員が解雇された事案につき,使用者には不当労働行為意思が存在していたとはいえないと判断された事例
1 スポーツ選手である本訴被告が,ライバル選手である本訴原告の運営するブログに匿名で投稿したコメントについて,名誉毀損を理由とする本訴被告の不法行為責任が認められた事例
2 本訴原告が,本訴被告の所属競技団体等に上記投稿の事実等を周知した行為について,名誉毀損又はプライバシー侵害を理由とする本訴原告の不法行為責任が否定された事例
1 海上運送契約の当事者の確定について判断した事例
2 コンテナの海上運送契約において,海上運送人の運送約款の効力が海上運送契約の当事者である荷送人のみならず,荷送人の代理人にも及ぶとされた事例
銀行が,デビットカードを用いた取引がマネー・ローンダリング等のおそれがあると判断して,同行の取引約款に基づいて預金口座の取引停止措置を講じたことは相当であるが,これを継続することには相当性がないとして預金払戻請求を認めるとともに,同カードの利用に伴うキャッシュバック金の支払請求を認めた事例
1 東京都は,指定確認検査機関の職員(確認検査員)が建築主事に代わって行った建築確認等の行為について,国家賠償法1条1項の責任主体となる
2 指定確認検査機関の職員(確認検査員)は,東京都に対する建築基準関係規定の解釈・適用等に関する必要な照会等を怠ったとはいえず,その行為は国家賠償法1条1項の適用上違法とは認められない
3 東京都の職員は,指定確認検査機関に対する報告要求,立入検査・質問権等の必要な規制・監督権限の行使を怠ったとはいえず,その行為は国家賠償法1条1項の適用上違法とは認められない
4 東京都は,建築確認が取り消されたことについて,憲法29条3項の損失補償義務を負わない
会社法346条1項により引き続き取締役としての権利義務を有していた被告に対する,任務懈怠に基づく損害賠償請求(予備的請求)を,信義則違反ないし権利の濫用に当たるとして排斥した事例
申立人ら(養母となるべき者は日本国籍,養父となる者はインド国籍)と未成年者(日本国籍)との間の特別養子縁組につき,特別養子適格があることの確認をするとともに,本件の申立人らと未成年者との生活実態等も考慮した上で,準拠法であるインド法の一部の要件の適用を排除し,特別養子縁組の成立を認めた事例