最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
第1 はじめに
第2 本訴訟類型における法律上の問題点
第3 対象裁判例の分析
第4 本訴訟類型における争点整理の際の留意点
第5 最後に
預託法(平成21年法律第49号による改正前のもの)違反及び景表法(平成26年法律第71号による改正前のもの)違反に係る調査の結果に関する情報が情報公開法(平成26年法律第67号による改正前のもの)5条6号イ所定の不開示情報に該当しないとした原審の判断に違法があるとされた事例
1 家賃債務保証業者に賃貸借契約を無催告解除する権限を付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号,10条に該当するとはいえないとして,適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
2 賃借人が賃料等の支払を2か月以上怠り,家賃債務保証業者において合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下,電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ,かつ,賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに,賃借人が明示的に異議を述べない限り,賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を家賃債務保証業者に付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号,10条に該当するとはいえないとして,適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
離婚した元夫婦である抗告人(母)と相手方(父)の間において,未成年者ら(C,D)の親権者である相手方が前件調停条項により,未成年者らを監護する抗告人に対し,未成年者らを相手方に引き渡すよう求めた事案において,原審は,前提として,前件調停条項の面会交流が実施されないことから,相手方自身が監護するために未成年者らの引渡しを求めているのであるから,未成年者らの福祉に反することが明らかな場合など特段の事情がない限り,抗告人は,これを拒むことができないとし,相手方の申立てを認めたが,抗告審は,前件調停条項どおりの面会交流が実施できなかった責任が主として抗告人にあるとはいえず,相手方は,前件調停条項における抗告人への未成年者らの監護の委託を解除することができず,抗告人は,現在でも相手方から委託されているというべきであるとした上で,抗告人による監護状況や未成年者らと相手方又は抗告人との親和性,未成年者らの意思等を総合考慮すると,子の福祉の観点から,現時点において,未成年者らを相手方に引き渡すのは相当でないとし,原審判を取り消し,相手方の申立てを却下した事例
民家敷地内への住居侵入被告事件において,被告人が立ち入った場所は住居に当たるとして住居侵入罪の成立を認めた原判決を破棄し,無罪とした事例
相続財産に含まれる不動産について,財産評価基本通達の定める評価方法に基づき価額を評価することによって,かえって租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかであるといえるような特別の事情があることから,その時価は不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて鑑定した評価額であると認めるのが相当であるとされた事例
トンネル建設工事につき,設計業者が構築物の安全性に関する説明義務を怠ったために損害が発生したとして,設計業者の不法行為責任を認めたが,発注者である地方公共団体にも十分な確認や検討を怠った注意義務違反があり,その程度は重大であるとして,8割の過失相殺をした事例
認可外保育施設に宿泊保育を目的として預けられていた9歳の児童が同施設において熱中症により死亡した事案において,同施設を運営する法人,その代表者及び同施設の保育従事者等並びに同施設に規制権限等を有する市に対する損害賠償請求訴訟において,同施設を運営する法人とその代表者のほか市の損害賠償責任を認めた事例
株式会社が,その経営支配権に現に争いが生じている場面において,当該株式会社の株式の敵対的買収によって経営支配権を争う特定の株主の持株比率を低下させ,経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持することを主要な目的としてする新株予約権の無償割当てが,会社法247条2号所定の「著しく不公正な方法により行われる場合」に該当するとされた事例
1 商品又は営業を表示するものとして文字から構成される標章の著作物性
2 ANOWA等の文字から構成されるロゴタイプが著作物には該当しないとされた事例
所得税の不申告ほ脱犯の事案において,他人名義の銀行口座から仕入代金を送金したこと,他人名義を含む多数のアカウントを用いて販売取引をしたこと,内容虚偽の市・県民税申告書を提出したことについては,所得秘匿工作該当性が否定されたものの,居住実態のない住所に住民登録をしたことについては,所得秘匿工作該当性が肯定された事例
1 特別縁故者に対する相続財産の分与申立事件において,申立て後,審判前に死亡した申立人の相続人らに相続財産の一部を分与した事例
2 特別縁故者に対する相続財産の分与申立事件において,申立人が既に民法958条の3第2項の期間を経過した者との間で,申立人に対する相続財産分与審判が確定することを停止条件とする贈与契約を締結したことの考慮の当否を判断した事例