最も長い歴史をもつ判例実務誌
[目次]
1 始めに
2 伝聞法則が適用される原供述の構造
3 供述が裁判に及ぼす影響
4 供述の証拠能力
5 結び
宅地建物取引業法3条1項の免許を受けない者が宅地建物取引業を営むために免許を受けて宅地建物取引業を営む者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意の効力
監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は,計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり,当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば,その任務を尽くしたといえるか
道路交通法施行令別表第2に規定する「酒気帯び運転(0.25未満)」とは,運転時に呼気検査をすれば呼気1lにつき0.15mg以上のアルコールが検出される状態であることをいい,身体に血液に吸収される前のアルコールが保有されているだけでは足りないとした1審判決を取り消した事例
1 行政処分の取消訴訟には,過失責任主義の適用はない
2 申請医の不正なケースレポートに指導医として署名したことを理由とする指導医に対する精神保健指定医の指定取消処分について,重視すべきでない事情(チーム医療における申請医のカルテ記載の量及び質)のみを専ら考慮して申請医の不正の存在を認定した点において,裁量権の逸脱及び濫用があり違法であるとして,処分が取り消された事例
会社の取締役責任調査委員会の委員を担当した弁護士らが,同委員会の責任がある旨の調査結果に基づき,取締役であった者に対して提起した損害賠償請求事件において,当該弁護士らが会社の訴訟代理人として訴訟行為を行うことが,弁護士法25条2号,4号に違反するとして,当該弁護士らの訴訟行為を排除した事例
患者が医師の説明義務違反を根拠とした損害賠償を請求した事案において,医師の説明義務違反があったとしても,治療行為と因果関係のある悪しき結果が発生したとは認められない場合には,説明義務違反に基づく損害賠償は認められないとした事例
少年が,共犯少年と共謀の上,被害者の背部を飛び蹴りして転倒させるなどして金品を強取し,負傷させたという強盗傷人保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,在宅処遇の可能性を慎重に検討しておらず,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づく経営許可がされた納骨堂の周辺に居住する者等が当該許可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例
地方公共団体である被告の設置運営する高校に在籍していた原告が,被告に対し,高校教員らから頭髪指導として頭髪を黒く染めるよう繰り返し強要され,高校に登校しなくなった後は生徒名簿から氏名を削除されるなどして精神的苦痛を被ったなどとしてした国家賠償請求等につき,染髪を禁じた校則及びこれに基づく頭髪指導は高校及び教員らの裁量の範囲内で適法であるとする一方,生徒名簿からの氏名の削除等は教育環境を整える目的でされたものではなく,手段の選択も著しく相当性を欠くなどとして,原告の国家賠償請求を一部認めた事例
河川に設置されていた市の管理に係るスクリーンが豪雨の際に流下物によって閉塞したことにより近傍の旅館が浸水被害を受けた場合において,当該スクリーンに設置又は管理の瑕疵があるとして,市に対する損害賠償請求が認められた事例
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成28年法律第51号による改正前のもの)に基づく宗教団体が所轄庁に提出した役員名簿等の写しの情報公開請求に対する不開示決定のうち,役員名簿,財産目録,収支計算書,貸借対照表,境内建物に関する書類及び公益事業以外の事業に関する書類の存否を明らかにしないで不開示とした部分が違法であるとされた事例
1 ソフトウェア開発会社におけるプログラマーの会社に対するソースコード提出義務の有無につき判断した事例
2 前記義務の不履行による損害額の認定について民事訴訟法248条を適用した事例
3 前記義務の不履行等を理由とする懲戒解雇が無効とされる一方,雇止めが有効とされた事例
学校法人である原告が新キャンパス開設のために被告から購入した土地に,①土壌汚染対策法上の形質変更時要届出区域指定相当の土壌汚染が存在していたこと及び②地中埋設物が存在していたことは,いずれも改正前民法570条の「隠れた瑕疵」に該当するものの,土壌汚染対策として行われた汚染土壌自体の除去は不相当であるとして,瑕疵と除去費用等の因果関係は認めず,調査費用や埋設物の撤去費用等の一部についてのみ損害との因果関係を認めて請求の一部を認容した事例
米国カリフォルニア州を本拠とする被告と日本企業である原告との間のパソコン用の部品の製造・供給契約に関する紛争において,債務不履行に基づく損害賠償請求及び不法行為に基づく損害賠償請求における準拠法がいずれもカリフォルニア州法であるとされた事例
夫である申立人(日本国籍)が,妻(ルーマニア国籍)と自身との間の子として出生届を提出した民法772条の嫡出推定の及ばない子を相手方として,親子関係不存在の確認を求めた事案で,嫡出親子関係も非嫡出親子関係も存在しないとして,申立人と相手方の間には親子関係が存在しないとの合意に相当する審判をした事例