最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件決定は,被告人が,隣に居住する被害者とトラブルになり,所携の果物ナイフで同人を多数回突き刺すなどしたが,殺害の目的を遂げなかったという殺人未遂被告事件において,被告人の捜査段階における供述の任意性が争われ,検察官による取調べ状況を一部撮影したDVD(以下「本件DVD」と...
《解 説》
1 認定事実は次のとおりである。Yはプラズマディスプレイパネル(PDP)を製造する会社であり,別法人であるAとPDP生産の業務委託契約を締結していたところ,Xは平成16年1月20日,Aとの間で,期間2か月,更新あり,時給1350円の労働条件で雇用契約を締結し,Y工場において作業...
《解 説》
1 本件は,Y(守口市)の住民であるXらが,住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)により行政機関が住民の個人情報を同意なく収集,管理又は利用(以下「管理,利用等」という。)することは,憲法13条により保障されたプライバシー権その他の人格権を違法に侵害する...
《解 説》
1 本件は,平成13年3月31日,Xの子である当時16歳のAが,当時15歳のB及び当時17歳のC(以下,この両名を併せて「加害少年ら」という。)から暴行を受けて死亡したことについて,①Xが,本件事件の現場に居たY1,Y4及びY7(いずれも当時15歳。以下,この3名を併せて「被告...
《解 説》
1 本件は,大阪市内に居住していたA(承継前被上告人。当時76歳)運転の普通自動二輪車(以下「A車」という。)と加害者であるB運転の原動機付自転車(以下「B車」という。)とが衝突した事故について,Aが,B車を被保険自動車とする自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)...
《解 説》
1 本件は,昭和59年7月から昭和61年6月まで厚生省薬務局生物製剤課長の地位にあった被告人が,HIVが混入しているおそれがある非加熱血液製剤について,行政上適切な措置を採らなかったため,医師からその投与を受けた患者をHIVに感染させた上,エイズを発症させて死亡させたとして業務...
《解 説》
1 本件は,被告人が,覚せい剤密売組織における売り子として稼働し,業として行う覚せい剤等の営利目的譲渡行為を幇助した事案である。被告人は,関与した個々の販売において実行行為を行っているが,業とする行為の中では地位が低いとみられたのか,共同正犯ではなく幇助犯として起訴された。事実...
《解 説》
1 本件は,民家内における強盗殺人及びそこで奪ったキャッシュカードを使用した窃盗等の事案である。この事件では,最終的に被害者の遺体が発見されておらず,被告人が身に覚えがないとしてほぼ黙秘するなどして,犯人性のみならず事件性まで強く争われ,捜査官による容ぼう等の撮影及び排出された...
《解 説》
1 本件は,不法残留を理由に退去強制の手続をとられた外国人男性が難民に該当すると判断され,これを理由に,退去強制令書発付処分及びその前提となる法務大臣の裁決が取り消され,また,法務大臣がした難民の認定をしない処分が無効であることが確認された事例である。
出入国管理及び難民認定...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,処分庁から健康保険法80条及び81条に基づき保険医療機関指定取消処分及び保険医登録取消処分(以下「本件各処分」という。)を受けようとしている保険医療機関の指定を受けた歯科医院の開設者であり,かつ保険医の登録を受けた歯科医師である原告らが,本件各処分は違...
《解 説》
1 Aは,学校法人である原告の理事長であるとともに,原告の設置する高等学校及び中学校の各校長の職にあったところ,平成14年3月31日をもって同各校長の職を退き,原告の設置する大学の学長に就任した(なお,Aは,同年4月1日以後も原告の理事長の地位にあったほか,同日の前後を通して,...
《解 説》
1 本件は,推計による所得税の更正処分(所得税法156条)の取消訴訟において,文書提出命令の申立て(以下「本件申立て」という。)がされた事案である。
被告は,原告の事業所得の金額を算定するに当たり,同業者の売上原価率及び特前所得率(以下,「売上原価率等」という。)を適用して推...
《解 説》
1 東京都千代田区飯田橋に所在する地上11階建ての本件マンションY管理組合法人は,平成16年11月に開催された臨時総会において,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)62条に基づき,区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成多数で,本件マンションを建て替える...
《解 説》
1(1) Xは,Y1から,飲食店の経営等を行うY1の子会社Aに関する業務提携やM&A方式による企業買収を持ちかけられて交渉した後,Yらとの間で,Aの株式譲渡に係る基本契約(本件基本契約)を締結した。本件基本契約には,Aの財務内容,資産状況等に関する重大な不利益,資産状況,情報等...
《解 説》
1 本件は,被告の預金口座に誤って150万円余りを振り込んだ(本件誤振込)原告が,被告に対し,不当利得による利得金返還請求権に基づき,誤って振り込んだ金銭の返還を求めた事案である。これに対し,被告は,上記金員が誤って振り込まれたものであることは認めた上で,原告に対して請負代金請...
《解 説》
本件は,殺人事件発生の26年後に被害者の遺族らから提起された不法行為に基づく損害賠償請求の訴えについて20年の除斥期間の適用ないし起算日いかんが争われた事案である。
関係する出来事を時系列順に並べると,次のとおりである(西暦で表す)。
1978.8.14 YがAを殺害
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《解 説》
1 本件は,亡母と共に自宅建物の建築を依頼したXが,建物の瑕疵を主張して,施工会社及び建築事務所Yに対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
2 事案の概要は,次のとおりである。
X及びXの亡母は,Yに対し,自宅建物建築に当たっての設計監理業務を委託...
《解 説》
1 Xは,平成15年当時,Z医科大学の講師であり,解剖学教室に所属していたが,同年5月22日の月例教室会議において,主任教授であるYから,Xの研究の価値及び教育活動を一切否定するような発言をされ,また,同年6月19日の教室会議において,Xを討論会から排除する旨の発言をされた。
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《解 説》
1 本件は,X(昭和5年7月生)がY(奈良県)が設置するA病院に入院中にベッドから転落して後遺障害を負った事故について,A病院医師及び看護師に転落防止措置等に関する注意義務違反があったとして,XがYに対し損害賠償を請求した事案である(他に,傷害保険契約に基づいて保険会社に対する...
《解 説》
1 事案の概要
本件の抗告人(以下「債権者」という。)と相手方(以下「債務者」という。)との間では,別件で離婚訴訟がなされ,その確定判決(以下「本件判決」という。)において,附帯処分として「被控訴人(本件の債務者)は,控訴人(本件の債権者)に対し,控訴人が長男A及び二男Bと月...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Y社(以下「旧レックス」という)は,A,B,C社等の持株会社であり,Xらは旧レックスの株主である。旧レックスは,平成18年8月21日,同年12月期業績予想について下方修正を行い,これに伴い,同社株式の株価は下落した。Z社は,平成18年11月...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,平成9年7月から同10年8月にかけて7回にわたり合計1万1000株の西武鉄道株式(以下「本件各株式」という。)を1株5910円から4550円の価格で購入した。西武鉄道株式は,平成16年12月17日,上場廃止処分を受け,同株式は大幅に下...
《解 説》
1 Xは,平成14年9月25日,損害保険会社Yとの間で,その所有の本件建物と家財について,住宅総合保険契約を締結し,次いで,同年12月28日,Yとの間で,その所有の本件建物と家財について,住宅総合保険契約を追加締結していたところ,平成15年1月13日,本件火災によって本件建物と...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,X(特許権者)が有する「おしゃれ増毛装具」に関する発明についての特許に係る訂正審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。審決は,刊行物1記載の発明(刊行物1発明)を主たる引用発明とし,刊行物2記載の発明(刊行物2発明)及び刊行物3記載の発明(刊行物3...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,特許異議申立てに基づいて,X(特許権者)が有する「おしゃれ増毛装具」に関する特許の請求項1,2,4に係る発明についての特許を取り消した特許庁の決定の取消訴訟である(以下では,請求項1及び4については説明を割愛する。)。決定は,刊行物1記載の発明(刊行物...
《解 説》
1 本件は,区分所有建物(マンション)の管理組合法人Xが,その区分所有者であるYらに対し,Yらの区分所有建物に接する各バルコニーになされた増築(和室の部屋を増床したもの)は管理規約等に違反すると主張して,昭和58年法律第51号による改正後の「建物の区分所有等に関する法律」(以下...
《解 説》
本件は,株式会社Yの民事再生手続開始決定について債権者である銀行Xが抗告し,本件手続開始申立てには民事再生法25条4号の棄却事由(不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき,その他申立てが誠実にされたものでないとき)があったと主張し,開始決定の取消しを求めた事案である。
X...
《解 説》
1 本件は,社会的な耳目を集めた飲酒運転事故の事案である。その概要は,被告人が,飲酒の上自動車を運転し,橋の上の道路において,前方を走行する被害者車両の後部に自車前部を衝突させ,その衝撃により,被害者車両を左前方に逸走させて橋から海中に転落させ,よって,被害者車両に乗車していた...
《解 説》
1 本件は,家事調停により別居していた法律上の妻(控訴審において正式に離婚)に対し,夫が脅迫を加えて,姦淫したという事案である。
1審判決は,被告人に対して,強姦罪を認定し(なお,1審・控訴審を通じて,被告人自身は事実を争っていない。),懲役3年を言い渡したところ,控訴審にお...