最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 政治犯罪人不引渡の原則は国際慣習法か 2 政治犯罪人不引渡の原則の適用される「政治犯罪」の意義 3 韓国から密入国した者が、日本国内で韓国特殊犯罪処罰特別法に該当する行為をしたから韓国に送還されると政治犯罪人として処罰されるので、韓国を送還先とする退去強制令書発付処分は違法であるとの主張を排斥した事例
火葬場よりの悪臭、粉じん等が完全に防止できる確証がえられないとして、完成した火葬場の操業等を1年間禁止する旨の仮処分が認められた事例
1 「ベトナム侵略反対・米軍立川基地拡張阻止」なるプレートを着用して執務することが電々公社就業規則で禁止された政治活動にあたらないとした事例 2 電々公社の懲戒戒告無効確認の訴えが適法とされた事例
公職選挙法142条、146条における選挙運動の意義等 2 国家公務員法102条1項、110条1項19号における政治的行為の意義
1 いわゆる危急時遺言の遺言書における日附の記載と遺言の効力 2 いわゆる危急時遺言書に対する証人の署名捺印が遺言者の面前でなされなかった場合に遺言の効力が認められた事例
実質上の株主が1人の株式会社で法定の選任手続を経ないまま代表取締役として行動してきた右株主が会社を代表してした会社の債権の譲渡行為につき法人格否認の法理を適用してその効力を認めた事例
1 双方代理により振り出された約束手形と振出完成の時期 2 民法108条に違反して振り出された約束手形の第三取得者に対する本人の手形上の責任
1 約束手形の振出署名者の得た除権判決の効力 2 約束手形の振出署名者の申立にかかる除権判決により手形が無効になった場合と除権判決前に手形上の権利を取得していた者の権利行使の方法
1 泥棒運転中の事故について、所有者に自賠法3条の責任が否定された事例 2 右事故について、所有者に民法715条1項の責任が否定された事例
鉄筋コンクリート造4階建従業員宿舎の築造により、日照を阻害された南側隣接地の居住者らからなされた損害賠償請求が棄却された事例
被害者の加害者に対する損害賠償債権の執行が容易でない場合には、被害者は右債権を保全するため、加害者に代位して保険会社に保険金の支払を求めることができる(保険会社は判決未確定であるというだけでは拒否できない)と認めた事例
不良会社との取引打切の機を失した代表取締役の行為につき、同取締役の善管義務違反があるとして、会社に対する損害賠償責任が認められた事例
郵便局郵便課の窓口係(書類、小包受付等)から通常係(郵便物の差立等)への配置換を争うことが、確認訴訟の対象となるべき法律上の利益を欠くとされた事例
私立高校教員の授業内容を無断で録音し、その左翼偏向等を理由とする解雇が、授業内容の当否を論ずるまでもなく、無断録音解雇という方法に照らし教育に対する不当な支配であるとして、公序に反し無効とされた事例
1 仮の地位を定める仮処分命令によって設定された雇傭契約上の地位に基づき、使用者から被用者に対し、就労義務の履行を求める新たな仮処分申請ができるとされた事例 2 就労請求権のように強制執行にしたしまない権利については、債務者の任意の履行が期待しえないことが明らかな場合には、仮の地位を定める仮処分の必要性を欠くとされた事例
1 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合と第1回公判期日前における勾留理由の開示をなすべき裁判官 2 準抗告審の決定が決定後の事由により特別抗告審において取り消された事例
1 対向直進車との距離が70メートル以上ある場合と右折車運転者の安全確認義務 2 自車を対向車線上に約1メートル進出させたことが事故原因としての過失にあたらないとされた事例
1 瑕疵ある差押および競売手続に関し談合罪の成立が認められた事例 2 受任執行吏から援助の依頼を受けた執行吏に対する職務執行報酬の供与と贈賄罪の成立
県公安委員会のなす車両等の一時停止の指定が、同委員会の告示の文言上右停止場所を明らかにしていない場合、該指定の効力が無効とされた事例
猛毒を有する4エチル鉛により汚染された船体を清掃するにあたり、毒性除去不十分のまま無防備で作業員に右清掃をさせた船長および一等航海士の過失が肯定された事例
共同抵当物件である物上保証人所有の甲不動産と債務者所有の乙不動産のうち、甲不動産が先に競売配当されて共同抵当物件全部につき順位1番の抵当権者が完済を受けた場合、乙不動産につき法定代位した物上保証人と後順位抵当権者との優劣
履行不能の可分な給付の一部を除く残部の履行がなされても、債務の目的を達することができないため、債務全部の履行不能となるとして填補賠償請求を認容した事例
1 土地の賃借権を建物の表示登記をもって対抗しうるとした事例 2 右表示登記に記載されない土地につき対抗力を認めた事例
婚姻を継続し難い重大な事由を招来したことにつき、夫婦のいずれか一方に主たる帰責事由があると認められないことを理由として、双方の離婚請求をともに認容した事例
戸籍の記載によれば50才前後の女性が懐胎出産したことになるとして実父母を確定しないまゝ親子関係不存在確認の請求が認容された事例
1 被害者の妻が付添看護のため勤務先を休業したことによる損害と被害者たる夫の負傷との相当因果関係が否定された事例 2 右の場合に、付添看護婦費用相当額を被害者の妻の固有の損害とする請求が排斥された事例
A運送会社の運送業務に従事するかたわら、CおよびDを使っていわゆる白トラ運送を営業していたA会社の従業員Bが、Aの運送業務に従業する際、Aには無断で自らの雇用人CおよびDにA所有の加害車を利用するよう指示し、その運送途上、Cの過失でDが死亡した事故につき、Aの運行供用者責任を肯定した事例
現実には340万円程度の支出がなされた葬儀費用について、そのうち25万円が事故と相当因果関係のある損害にすぎないとされた事例
中央分離帯のない、変則二車線で供用開始された中央高速道路を走行中の車が、センターラインをオーバーして走行して来た対向車と正面衝突し、両車の乗員全員が死亡した事故について、右道路の設置管理者である日本道路公団には、設置上・管理上の瑕疵はなかったと判断した事例
被告会社の車の保管職務にあたる従業員が、飲酒の上被告会社の車を無免許にて運転し、飲酒遊興に赴く途中で起した追突事故物損について、外形的に被告会社の業務執行にあたるとして、被告会社の使用者責任を肯定した事例
1 会社を退職した後もたびたび会社に出入し、またしばしば会社に頼まれて会社の運転業務に従事していた元従業員が、無断で加害車を持ち出し運転中に起した事故について、会社に運転供用者責任と使用者責任を認めた事例 2 個人会社の代表者傷害により生じた企業の損害につき、事務管理の構成をとって会社代表者に対して立替え支払われた給与分について損害を認容したが、請負った建築工事の納期遅れによる企業損害を認めなかった事例 3 使用人運転の被害車に同乗して事故で受傷した会社代表者、および同代表者の受傷で損害を蒙った会社は、いずれも過失相殺の被害者側の範囲に入る、とされた事例
事実上、原告が経営する、妻が代表者となっている個人会社について、賃金名下にその純益のすべてを帰属させる労働契約も無効ではないとして、原告個人の逸失利益を算定した事例
1 交通が渋滞して停止していた自動車の前を横断しようとして発生した事故について、過失割合を横断者2、運転者8とした事例 2 1ケ月当り1万円の養育費を控除した事例
1 貧血のため道路中央附近に倒れたために事故にあった事案につき、4割の過失相殺をした事例 2 水中モデルの逸失利益算定例
3才の幼児が1人で横断歩道の約1米北側を走って横断中、事故車が衝突した事案につき、過失割合を前者側1、後者9とした事例
原・被告および友人1名の3人が費用平等負担の約束で、運転免許証のある被告名義でレンタカーを借り受け、被告運転中、助手席に同乗中の原告が受傷した事案につき、原告は、共同運行供用者であり自賠法3条の「他人」にはあたらないとした事例
むちうち損傷(頚椎捻挫)治療のため入院中、病院をぬけ出して強姦事件を起した事案につき、休業期間を右事件までで打ち切った事例
1 安全柵の設置された横断禁止場所(横断歩道より10米のところ)を横断中の歩行者と制限速度を約20粁超過して進行してきた事故車との接触事案につき、過失割合を前者7、後者3とした事例 2 傷害事案において慰藉料を400万円認めた事例
信号機により交通整理の行われている交差点における直進車と対向右折車との衝突事案につき、過失割合を前者3、後者7とした事例
交通事故による損害賠償の請求を受けた者が、その事故について刑事責任の有無が確定するまで賠償請求に応じるか否かの回答の猶予を求めた場合には、その後になって刑事責任の確定前に完成した消滅時効を援用することは信義則に照らして許されないと判断した事例
ブルドーザー持ち込みで工事をしていた下請人が、ブルドーザーの修理のために他から借り受けた電気溶接機を返還に行く途中で発生させた事故について、元請会社の業務執行につき生じた事故ではないと判断した事例
交通事故により傷害を受けた子供の看病のために両親が休退職した場合に、逸失利益は事故と相当因果関係のある損害とはいえないが、看病そのものを損害として評価すべきあるとして、母親に対して1日当り1,500円の割合による損害の発生を認めた事例
道路横断を始めてから後戻りした老人と、その背後を通過しようとした自転車が接触した事故について、自転車運転者に過失を認めて、過失割合を運転者2、歩行者8とした事例
1 家族が共同して従事している家業(農業と材木運搬業)に使用されていた加害車(息子A所有)を息子Bが運転中に発生した事故につき、一家の責任者である父親にも運行供用者責任を認めた事例 2 農業従事者の逸失利益算定例
1 附近の土地の利用状況の変化を理由に借地条件を変更した事例 2 右変更に伴う附随処分として更地価格の15%に相当する金銭の支払いを命じた事例
1 準防火地域の指定、附近の土地の利用状況の変化等を理由に借地条件を変更した事例 2 右変更に伴う附随処分として、借地条件変更後の借地権価格の増加分(更地価格の12%)に相当する金銭の支払いを命じた事例
「循環式乾燥機」に関する実用新案登録出願について、本願考案における、籾に与えられる余熱作用が引用例のうちに示されているとして拒絶相当の結論を是認した事例
染料などの指定商品について、登録出願をした商標が、引用商標と、やや縦長の二つの六角形を左右に鎖状に組合わせた図形としての印象を共通にしている以上、登録拒絶を相当とした事例
1 商標権侵害差止訴訟において「使用のおそれある場合」に該当するとされた事例 2 月桂樹をあしらった標章はひろく用いられているとして、類似の範囲を限定して解釈した事例 3 「慣用商標」は業者間における使用によって自他商品の識別力を失ったものをいう
「殺虫性組成物」に関する特許発明について、その技術的範囲は、出願経過からみて、被告使用の塩素化ポリエチレンを担体とする組成物には及ばないとされた事例
チューブマットに関する実用新案権につき、対象物件が「実用新案に係る物品の製造にのみ使用する物」には該当しないことを判示した事例
「海苔を採取する方法」に関する特許発明につき、この方法を実施するための海苔採取機を製造することは特許法101条2号による権利侵害である
1 地方公営企業における争議行為に際しなされた職務命令文書の破棄と公文書毀棄罪の成立 2 地方公営企業労働関係法11条1項の合憲性
刑法45条前段の併合罪の関係ある各罪に付き別個の判決を言い渡した第一審に訴訟手続上の法令違反ありとしていずれもこれを破棄し、右2個の事件につきあらためて1個の裁判により刑の言渡しをなした事例
1 申立人と相手方は、離婚調停において、事件本人の親権者を相手方、監護者を申立人とし、相手方は申立人に対し右調停成立の2年半後に離婚にともなう慰藉料として60万円を支払うこととし、これの履行完了のときに事件本人の監護者をも相手方と変更し同人を相手方に引き渡すことにして離婚したものであるが、2年半経過した現在も相手方は離婚の原因となった生活態度を改めず右60万円の支払も履行しないなど判示事情のもとにおいては、事件本人の親権と監護権を分有させる必要性がなく、事件本人の幸福のためには親権者を申立人に変更するのが相当であるとした事例
祭祀承継者指定の審判において、被相続人との血縁関係、親族関係、共同生活関係、祭祀承継の意思および能力、被相続人との親和関係等については、養女である申立人と、被相続人の前妻の生存中から被相続人と婚外関係にあり同女の死後に婚姻して妻となった相手方との間に差異はないが、本件墳墓取得の目的、管理等の経緯からすると養女を祭祀承継者とするのが相当であるとした事例
被相続人の唯一の遺産である物件について相続人から持分を譲り受けた者は、相続分譲受人と同視され、遺産分割申立適格あるものと解すべきである
内容虚偽の相続分がない旨の証明書を作成し、これを使用して単一の相続人に遺産の相続登記をする方法が、分割協議の便法として利用されている現状を考えると、相続人全員が遺産を一人の単独所有にさせる旨の合意をしており唯単に手続のうえで簡便な前記証明書を利用することを了解しているような場合にまで、右の方法による分割協議を無効とする必要はない
郵便貯金は郵便貯金法24条により親族に対する譲渡及び遺言による譲渡の場合を除き譲渡を禁止されているが、特別縁故者に対する相続財産分与制度の趣旨、同法1条の精神をふまえて同法24条の法意を類推すれば、親族は遺言によってする場合に準じ、相続財産分与の審判があったときも譲渡を許すものと解すべきである
医学的な見地から精神病者、精神薄弱者および精神病質者とされない者については、少なくとも精神の障害のため自傷他害のおそれが顕著でないかぎり、保護義務者を付すべき精神障害者に含まれないと解すべきである
保護義務者の第一順位にある事件本人の配偶者は、夫たる事件本人からしばしば暴行を受けたりしたため、別居中であり、離婚の申出があるので保護義務者になることを辞退し、父である申立人が保護義務者になることを強く望んでいるなどの事情のもとにおいては、保護義務者の順位を申立人に変更するのが相当である
隔地者間の親子関係不存在確認事件において、 1 家審法23条の合意は、手続的効果しかなく、調停期日における合意を形式的に絶対視することは、殊に隔地者間の事件処理上妥当性を欠き、当事者の主張が正義にかない事実が真実に合致すると認定された以上、当事者に同法25条の異議権を与え、同法24条の要件をみたすことによって、右合意の要件に代えることができる、 2 同24条2項は対象を任意処分可能な事項に限定していないし、同条の立法趣旨は、身分関係については正義・真実に基づき裁判所が当事者間の合意を積極的に形成ないし擬制することを認めたものと解せられ、23条審判と24条審判とを当事者間の合意の有無によって区別しうる対立する制度としてではなく、紛争解決のための制度として総合的に理解すべきである、 3 23条事件を24条により審判する場合には、24条の要件のほか23条の要件をも充足すべきである、として24条審判した事例
襲名による名の変更は、先代の死亡により職業を継承するとかその地方の慣習として世帯の代表者としての呼称のため欠くことができないというような特別な事情があって、襲名をしなければ日常生活上著しい支障を生ずる虞れがある場合は格別、先祖代々長男の地位にある者が家督相続に伴い襲名する慣行があるというだけでは正当の事由があるとはいえない
幼児を養子とした養親からなされた養子の名の変更申立に対し、改名の必要性に乏しく、呼称秩序の安定性からいって戸籍上の名を尊重するのが妥当であり、また養子縁組した場合に養子の名の変更に正当事由があると解するときは、再養子縁組の場合にも同様の問題が生じ、かくては各人の恣意による名の変更をも許容せざるをえないことになるとして申立を是認できないとした事例
少なくとも認知者自身が事実に反することを認識しながらなした、いわば仮装認知ともいうべき認知は認知無効の裁判を経るまでもなく当然無効であるが、このように認知が当然無効である場合は、認知無効ないし父子関係不存在確認の裁判を経ることなく、戸籍法113条もしくは114条によって認知に関連する戸籍の記載を訂正することが許されるものと解すべきである