最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件2つの決定は,いずれも,株式交換方法によるいわゆる三角合併に反対する株主からの株式買取請求,会社からの株式買取請求において,株式の買取価格が問題となった事案である。第1事件と第2事件の差は,第1事件においては個人株主が相手方となり,第2事件においては海外の投資ファンドが...
《解 説》
1 本件のうち,判示事項に関する部分の概要は,本決定の1項に摘示されているとおりであり,要するに,病院ブローカー業等を営むA株式会社の実質的代表者として,医療法人B会及び関係者Cの破産管財人D弁護士との間の裁判上の和解に基づき,A会社からD及びB会に順次譲渡されたものの,所有権...
《解 説》
1 本件は,被告人(当時27歳の男性)が,正当な理由がないのに,平成19年8月26日午前3時20分ころ,東京都新宿区西新宿2丁目の路上で,人の生命を害し,又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具である催涙スプレー1本(以下「本件スプレー」という。)をズボンの左前ポ...
《解 説》
1 本件は,平成15年(基準年度)1月1日現在の本件土地所有者(前所有者)が,同年度の固定資産課税台帳登録価格が不当に高額であるとして,Y(委員会)に対し審査の申出をしたところ,Xが,同年6月23日に前所有者から本件土地を買い受けて,地方税法(法)433条11項・行政不服審査法...
《解 説》
1 本件は,東京都港区(Y)がした①地区計画を変更する決定及び②第1種市街地再開発事業に関する都市計画の決定について,①の決定に係る地区計画の区域内に不動産を所有する者らであるXら(ただし,Xらは,②の決定に係る市街地開発事業の施行区域内に不動産を所有する者らではない。)が,主...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,和歌山県内の警察署において未決勾留中のAが死亡したのは,戒具の使用方法等に係る教養を受けていない留置担当官らによる違法な戒具使用があったためであるなどとして,Aの相続人等であるXらが,国及び和歌山県に対して損害賠償を求めた事案である。
Xらは,国家賠...
《解 説》
1 本件は,地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟である。大阪府茨木市は,公営住宅法に基づき建設された市営住宅を所有,管理している。茨木市は,市営住宅条例において駐車場に関する特別な規定を設けていなかったものの,車社会の進展や社会状況の変化を踏まえ,30年以上前から,...
《解 説》
1 本件事案の概要
Xは,昭和49年4月1日,東京都教育委員会(都教委)により,Yの公立学校教員に採用され,平成19年3月31日に定年退職した。平成16年3月1日,校長から,東京都教育庁の平成15年10月23日付け「入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(...
《解 説》
1 本件は,自宅敷地の道路に面した幅約2.7メートルの部分(以下「係争部分」という。)が自己の所有地であると主張するXが,これを争う東京都の特別区であるYに対して,Xの所有であることの確認を求めた事案である。Xは,係争部分は,もともとAが国から払い下げを受けた土地(以下「甲土地...
《解 説》
1 会社員であるXは,Y地方公共団体が運営するA大学院の入学試験を受験して入学を許可され,入学金を納付して入学手続を行った。
Xは,この入学手続の際,社会人として働きながらA大学院の過程を履修できることが前提となっていたが,実際にはこれがかなわなかったとして,上記入学に関する...
《解 説》
1 本件土地は,土地上にある本件建物とともにYを含む3人の共有であったが,担保不動産競売手続によってXが取得したことにより,本件土地には本件建物のための法定地上権が成立した。
XY間で地代についての協議が調わなかったことから,Xは,Yを被告として地代確定訴訟を提起し,同訴訟の...
《解 説》
1 本件は,Xが,Y1から買い受け,Aに売った本件土地から,環境基準値を大幅に超える高濃度のヒ素が検出されたことにつき,売主であるY1が,①ヒ素の存在する隠れた瑕疵のある本件土地を売却したとして,民法570条,566条に基づき,②完全に浄化された土地を引き渡す義務(汚染浄化義務...
《解 説》
第1 事案の概要
1 原告Aは,インターネット上で消費者問題に関する電子掲示板「悪徳商法?マニアックス」を管理,運営している者であり,原告Bは,原告Aの妻である。
被告は,インターネット上のトラブル解決を業とする旨自称している。
2 インターネット上の電子掲示板「2ちゃんね...
《解 説》
1 Xは,平成16年3月8日に発生した交通事故により右大腿骨骨折等の傷害を受けたが,平成17年8月3日,加害運転者及び任意保険加入共済Yとの間で,傷害部分について,示談契約を締結した。
Xは,平成18年1月17日,自賠責保険において,後遺障害10級3号と認定されたが,同月16...
《解 説》
1 本件は,被控訴人らが控訴人に対し,控訴人が開設する病院に勤務する医師の過失により入院中の娘Aが死亡したとして,不法行為(使用者責任)又は診療契約上の債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案である。
2 事実経過の概要は次のとおりである。
Aは,平成10年6月26日ころか...
《解 説》
本判決は,「音素索引多要素行列構造の英語と他言語の対訳辞書」との名称の発明につき,請求不成立とした拒絶査定不服審判の審決を取り消したものである。
本願発明は,綴りが分からなくても発音から単語を検索できる英語辞書を引く方法の発明である。すなわち,英語は綴りと発音のズレが大きく,...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,被告の従業員であった原告が,被告に対し,被告在職中に他の従業員と共同でした職務発明に係る特許を受ける権利について,その共有持分を被告に承継させたとして,平成16年法律第79号による改正前の特許法35条3項に基づき,その承継の相当の対価を求めた事案である...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,財産開示手続実施の要件を定めた民事執行法(以下「法」という。)197条1項1号の「配当等」の該当性が問題となった事案である。
抗告人は,債務者の預金債権等につき強制執行をしたものの,その額が少なくて請求債権の満足を得られなかったことをもって,同項1号...
《解 説》
1 本件は,平成14年9月9日に再生手続開始決定を受けたA社について,平成15年6月25日,再生計画認可決定日以降の遅延損害金を免除するとの内容を含む再生計画認可の決定が確定した後,再生計画の履行中である平成19年10月26日,破産手続開始決定がなされたところ,A社の破産管財人...
《解 説》
1 本件公訴事実の概要は,次のとおりである。産婦人科医師である被告人が,入院中の妊娠37週の患者A子(当時31歳)の分娩介助を行うに当たり,A子に陣痛の発来が認められなかったため,陣痛誘発剤を投与したところ,胎児に徐脈傾向が見られ胎児仮死が懸念されたため,分娩を早めるべく,急速...