最も長い歴史をもつ判例実務誌
化膿性髄膜炎の治療としてなされたルンバールの結果により、けいれん性不全麻痺、知能障害等を後遺とさせた医師の過失が肯定された事例
河川の氾濫により被災した住民からの国家賠償請求事件において、被告県に対し同被告がその水害発生以前に内部資料として作成した、河道計画調査報告書について、文書提出命令を申し立てることができないとされた事例
国民健康保険の課税要件を定めた秋田市国民健康保険条例が憲法84条に規定する租税法律主義の原則に違反する無効なものであるとして国民健康保険税賦課処分が取消された事例
生活保護受給権を違法に侵害された結果これを回復するための訴訟に要した弁護士費用を含む裁判費用が生活保護法の保護の対象に当たらないとした事例
共同代表取締役の1人に対し他の共同代表取締役がした当座預金払出しのための小切手振出権限の委任及びこれに基づく小切手の振出しが共同代表の定めに反しないとされた事例
1 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の脱退組合員に対する払戻持分の計算のための組合財産の評価にあたり将来退職する組合役員・従業員に支払われるべき退職慰労金・退職金につき当期末現在で算出したその相当額を負債として計上することの可否 2 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の理事全員の協議により組合の経理業務を担当することとされた理事の事務処理に非違があった場合と同法38条の2第1項所定の損害賠償責任
1 構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的 2 構成部分の変動する集合動産の譲渡担保につき目的物の範囲が特定されているとはいえないとされた事例
市職員が、印鑑証明書の発行を請求する権限のないものに対して、印鑑証明書を発行してしまった場合において、右事務担当職員に過失があるとはいえないとされた事例
強制競売における競落許可決定に対する即時抗告申立後の弁済供託書(写)の提出が民訴法550条4号の書面の提出にあたるとされた事例
1 土地に抵当権が設定され登記が経由された後地上に建築された建物に、同一債権を担保する抵当権が設定された場合に、土地建物が個別に競売されたときは、建物の競落人は法定地上権を取得するが、これをもって土地の競落人に対抗することができない 2 建物について法定地上権が認められない場合において、土地建物の利用状況からその一括競売をすべきであったとして、競売手続を取消した事例
競売手続が停止された記録添付前の当初の不動産競売事件の債務者たる不動産の賃借人が記録添付した事件の不動産引渡命令の相手方となるか(消極)
民訴法630条3項により仮差押債権者のための供託がされたのちに仮差押債権者が被保全権利につき確定判決を取得した場合と供託された元本相当額に対する利息および損害金の帰すう
執行方法の異議申立に関する仮差押執行の取消申立に基づいて、仮差押の執行を取消した裁判所の措置が違法とはいえないとして、国の賠償責任が否定された事例
他人の土地の無断転借人が賃貸人に対し転貸承諾の確認手続をとらなかったとしても転借権ありと信ずるについて過失がないとして土地転借権の時効取得が認められた事例
12指腸切除後の患者が、医師の病室変更の指示に従い移動中、急性心不全により死亡するに至ったとし、医師の右指示上の過失が肯定された事例
腸管運動不全を基盤にする消化管麻痺を起こした患者(女児12才)が開腹手術後数日にして死亡した事故につき、病院側に誤診療等の過失はないとされた事例
預託金会員組織のゴルフ場を経営する会社の発行したゴルフクラブ正会員資格保証金借用証書は、民法施行法57条の指図証券にあたり公示催告手続の対象となると解される
一般の取引者・需要者は「VILLAGE」を「ヴイレッジ」と英語読みするのが通常であり、米国の会社である原告の商号とも共通しているから、フランス語読みの「ヴィラージュ」の称呼を生ずるとはいえないので、右欧文字と図形を組合せた出願商標は、「BELAGE」を横書した引用商標と類似しないとして、登録拒絶審決を取消した事例
技術思想が開示されているというためには、当該文献にその構成が記載されていればよく、日的・作用効果まで記載されていることを要しない
特許庁審査官が分割出願の取扱いに関して出願人に対し注意的に発した通知は行政処分に当らず、取消訴訟の対象とならないとした事例(訴却下の原判決維持)
1 変更出願の際における優先権主張の補充も 補正の対象となる 2 優先権主張に基く特許出願(原出願)を実用新案に変更出願(第一次)する際に失念した優先権主張を補うため、第一次変更出願取下書と第二次変更出願書を同時提出した行為は、優先権主張の補充のための、第一次変更出願に対する補正手続と解するのが相当であるとして、第二次変更出願書の不受理処分を取消した事例
特許法132条第3項の規定は、共有権利関係の画一をはかっており、例外は認められていないから、たとえ審判請求が共有にかかる権利を保存する結果となるとしても、右規定によらねばならず、共有者の1名単独でなした審判請求は、請求人適格を欠き、不適法で補正することはできない(審決維持)
著作権法の保護の対象となる応用美術作品は、実用的製作意図を一応捨象して観察し、通常美術鑑賞の対象となるものに限定されるとして、アルファベット装飾文字をデザインした書体の著作物性を否定し、著作権に基く使用差止・損害賠償等の請求を却けた事例
著作者である原告に無断で写真を複製し、原告の氏名を表示することなくこれを掲載した書籍を販売頒布したことにより複製権・氏名表示権を侵害したとして使用料相当7万円の財産的損害、および7万円の慰藉料の請求を擬制自白により認容した事例
1 覚せい剤の自己使用罪につき、訴因不特定の主張を排斥した事例 2 被疑者の意に反して行った尿の強制採取手続を違法とした事例 3 違法な手続によって採取した尿を被検資料とする鑑定書の証拠能力を肯定した事例
故意によらず、あるいは思い違いによる計算違いによって客観的に負担する税額と申告税額との間に齟齬を生じ、客観的には脱税の結果を生じても逋脱犯を構成しないとされた事例
傷害現行犯人逮捕の際犯行現場でもある被告人の自室を捜索した手続は必要性を欠き違法とすべきであるが、その捜索の結果発見押収された覚せい剤粉末の証拠能力を肯定した事例
甲に売却する目的でけん銃2丁を不法所持した所為と、甲からのけん銃を他のけん銃に交換するように求められて、同一ホテル内別室で待機していた乙らに売却するためこれを不法所持した所為が、それぞれ別個の所持となり、各別に起訴されても、後の起訴が二重起訴とはならないとされた事例
所有権並びに所持を放棄した覚せい剤の没収につき、覚せい剤取締法41条の6本文により没収することはできず、刑法19条1項1号2項によるとした事例