最も長い歴史をもつ判例実務誌
パン工場でオール夜勤の製品仕分け作業に従事していた高血圧素因のある労働者の急性心臓死について、その業務起因性が認められた事例
無認可保育所で保育中の幼児が死亡した事故について、死因が原因不明の突然死であり、右死亡と保育措置との間に相当因果関係がないとされた事例
1 覚せい剤について不正の行為により関税を免れた者に対し関税法110条1項1号ることと憲法38条1項 2 覚せい剤について不正の行為により関税を免れた者と関税法110条1項1号
遺留分権利者が減殺すべき贈与が無効として訴訟上抗争している場合であっても、右無効の主張が一応事実上もしくは法令の解釈適用上の根拠があり、遺留分減殺請求権を行使しないことにつき相当の理由があると認められないかぎり、右減殺請求権の時効の進行が開始する
一定の金員の即時給付を命ずる確定判決が存在し、その義務者は支払能力あるにも拘らず右給付義務を任意に履行せず、そのため権利者において強制執行手続を取ることを余儀なくされ、その結果、権利者が右手続費用を支出した場合、その後において義務者が前記支払義務を任意履行したとしても、権利者は民訴法554条1項によらず、独立の訴をもって右支出費用の償還を求めることは許されない
1 債権転付命令の執行手続は債務者および第三債務者の両者に対して送達されなければ終了しない 2 債権転付命令の発令後債務者に対する送達前に強制執行停止決定がされたが、右停止決定正本が執行裁判所に提出されないうちに、その転付命令が債務者に対し送達された場合に債権転付命令の執行が終了したものとされた事例
医療過誤訴訟において、審理上の便宜や訴訟費用の点からみれば被告(地方自治体)所在地の裁判所で審理するのが相当であるが、遠隔地に居住する原告が貧困であるため、移送により弁護士の出張費用等経済的負担が極めて大きくなり、訴訟継続を事実上不可能にする危険があるとして、被告のなした移送申立を却下した事例
銃器を奪取するため自衛官に変装して駐とん地の営門を通過した犯人が巡察中の自衛官を刺殺した事故について国の自衛官に対する安全配慮義務の不履行が認められなかった事例
建物の区分所有等に関する法律17条1項の管理者は法定訴訟担当ないし任意的訴訟担当の法理により訴訟における当事者適格を有するか(消極)
土地の交換契約にあたって対象物件の同一性の誤認を要素の錯誤と認めたが、登記簿を閲覧し、あるいは登記簿謄本の交付を求め、地図を調査してその所在を確認するだけの注意も払われなかったとして右錯誤につき重大な過失があったとした事例
1 警察官が告訴を受理しなかったからといって、告訴者に対する関係で直ちに違法となるわけではない 2 警察官が職務執行中に法定の手続の下に行なわれる場合以外の人に対して「逮捕する」と告げることは違法であり、相手に対して不法行為を構成する
建物所有による敷地占有がある場合、建物の使用、占有とその敷地が使用、収益ができなかったこととの間には特段の事情のない限り相当因果関係はない
継続的取引について将来負担することあるべき債務についてした連帯保証契約につき、責任の限度額が定められており、かつ主債務が連帯保証人の存命中に既に発生していたものであることを理由に、右保証債務の相続を認めた事例
1 労働組合が郵便局庁舎内に設置された掲示板を使用できる法律関係は、国有財産法18条3項の許可処分である 2 郵政省庁舎管理規程及びその運用通達は憲法21条、28条、労組法7条に違反しない
メーカー側が自己の販売ルートの秩序維持を確保するために、輸出会社が右ルートを逸脱して輸出した機械について、輸出先に赴きその部品をひそかに抜き取り、また新品とは認めない旨の虚偽の確認書を交付した各行為につき、自衛のための正当行為とはいえず、営業妨害行為であるとした事例
賃貸借契約において、賃貸人の附随義務の不履行によって賃借物件の十全な使用収益の目的が達成されぬときは、それに対応する部分及び期間の賃料支払を拒絶できるが、右不履行がなくなった後、右期間以外の賃料について支払を拒絶できるものではない
過怠約款付月賦弁済契約の債務者が債権者への送金を委託した信用組合において3ヶ月分を一括して債権者に送金したとしても、信用組合は債務者の履行補助者でないから、債務者に過怠約款の発動による損害は生じ得ないとした事例
会社が労働組合に組合事務所として無償貸与した建物の使用貸借について、契約に定められた目的に従った使用及び収益が終了したとされた事例
1 造船業に従事する労働者に対する安全配慮義務を怠ったとして、会社の債務不履行責任が認められた事例 2 造船業に従事している労働者が、作業現場で長年粉じんを吸入した結果、結核性じん肺にかかり、3年3ヶ月の入院生活を余儀なくされ、かつ、じん肺そのものは不治であるが、その後合併症である肺結核がほとんど治癒し、重労働でない限り就労もでき、かつ、現に現職に復帰している等の諸事情を勘案して、会社に慰藉料100万円の支払を命じた事例
1 観光ホテルの入浴客が8階大浴場外側のベランダから転落して死亡した事故につき、窓及びベランダの設置、保存に瑕疵があるとして、ホテル側の損害賠償責任を認めた事例 2 右死亡した入浴客の過失割合は5割である
大幅な債務超過の状態にあった会社が、つなぎの営業資金の融資を得るために唯一の有形資産を担保に供し、その支払ができなかったために右契約に基づいて所有権を移転した行為が詐害行為にあたるとして取消を認めた事例
歩行者用信号機が故障して現示停止しており車両用信号機のみが正常に作動している交差点において発生した横断歩行者と車両の衝突事故につき、信号機の管理に瑕疵があったがこれと右事故との間には因果関係はないとされた事例
1 生後6か月の乳児の腸重積症を感冒と誤診し、早期に適切な治療措置を受けさせなかったとして、医師の注意義務違反を認めた事例 2 医療過誤による損害賠償請求事件につき、被害者の保護者に医師の指示に従わなかった過失があったとして、過失相殺を認めた事例
1 新民法(昭和22年法第222号)施行前に建立された墳墓の権利が、建立者の家督相続人に承継されず、建立者の生前処分によって家業の承継人に承継されたと認められた事例 2 家審法9条1項乙類6号の権利の承継人指定申立事件において、申立人の指定希望者以外の者を、権利の承継者として指定することが許されるか(積極)
1 株主総会決議不存在確認の判決を求める者の株主資格が争われている場合に、その者の名義の分を含めた会社の全株式が有効に発行・存在するとの事実は、自白の対象となる 2 取締役選任決議不存在確認請求訴訟の係属中、定款所定の会社存立期間の満了により会社が解散し、取締役がその地位を喪失したでも、定款の定めによる清算人又は株主総会の選任による清算人がないときは、右訴えの利益がある
客待ちの売春婦を自己の経営するホテルに待機させホテルの客にあっせんしてホテルの内外において売春させていた場合と管理売春の成否(積極)
捜索差押許可状(爆発物取締罰則違反)中、差押目的物の特定を「本件の思想的背景に関係ありと認められる書籍」とする記載部分は、特定表示として不十分であり違法である