最も長い歴史をもつ判例実務誌
主として、自宅などで療養する患者への適切な医療や的確な療養の確保など結果回避義務の一環としてなされる説明(療養指導)義務について
《解 説》
一 事案の概要
1 Xは、貸金業者Yから二〇〇〇万円を年利三六・五%の約定で借り受け(利息天引)、その際、公正証書を作成した上、その所有する土地建物に根抵当権を設定した。その後、Xは、当初の弁済期の経過後約一年間にわたって、約定の利息を支払うことにより(これらの利息を、以下「...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、本件建物の賃借人Xが、賃貸借契約締結に際し、前賃貸人(本件建物の前所有者)に保証金の名称で敷金を差し入れたと主張して、前所有者から本件建物を譲り受けて賃貸人の地位を承継したYに対し、賃貸借契約の継続中に、右敷金返還請求権の存在確認を求めるものである...
《解 説》
一 富山県立近代美術館は、出展された原告大浦の制作した版画(以下「本件作品」という。本件作品はコラージュと呼ばれる手法を用いた作品であり、昭和天皇の写真、東西の名画、解剖図、家具、裸婦などで構成されている。)を買い取って収蔵し、本件作品を含め出展された作品の図録を作成していたと...
《解 説》
一 産業廃棄物処理業者である原告は、県知事に対し、都市計画区域内にある土地を敷地として、特殊建築物たる一般産業廃棄物処理施設の用途に供する建築物を新築することにつき、建築基準法五一条ただし書にいう許可を求めたものであるが、県知事(Y)が不許可処分をしたため、これを不服として右不...
《解 説》
Xは平成三年四月、就学の在留資格で在留期間六か月として上陸を許可され、以後就学の継続のため同資格により三回の在留期間更新許可を受けて本邦に滞在した。Xは同四年一〇月、日本人女性Aと婚姻し、同年一一月、Yに対し、Aとの婚姻を理由に日本人の配偶者等(出入国管理及び難民認定法別表第二...
《解 説》
一 訴外A(四二歳)は、平成六年一二月当時、高知市内の銀行に勤務していた者であるが、同月二九日、市内の繁華街で開かれた取引先忘年会に出席した後、二次会、三次会に出席して飲酒し、その後自家用車で迎えにくる妻と落ち合うため、はりまや町付近をあるいていたところ、誤って国道から近くを流...
《解 説》
一 Xは、Y県立高校の三年生に在学当時、生徒指導担当のA教諭から授業中の態度が悪いと説諭を受けていた際、暴行を受けた(その態様については、争いがある。)。
Xは、本件事件後、頭部痛や吐き気、上下肢のしびれ感等の症状を訴えて、長期にわたり多数の病院で入通院治療を受け、左上下肢機...
《解 説》
一 本件は、平成九年改正条例(本件改正条例)による改正前の職員の給与に関する条例(旧給与条例)一三条の規定に基づき職員に支給した特殊勤務手当(本件手当)が、給与条例主義に反する違法な公金の支出に当たり、都に対して本件手当相当額の損害を被らせたとする、地方自治法二四二条の二第一項...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、債務者に雇用されている債権者が、平成九年六月二〇日、債務者から企業廃止に伴い解雇する旨の意思表示(以下「本件解雇」という。)を受けたが、本件解雇は、債権者を排除するための偽装企業廃止であり、本件解雇は解雇権濫用にあたり無効であるとして、地位保全及び給料...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和四四年七月からB海運会社に船員として勤務し、平成元年六月には一般貨物船(約四四九トン)の機関長として勤務していたが、同月一一日、航海中の船内のトイレで倒れ、くも膜下出血の発症(以下「本件発症」という。)により死亡した。
そこで、Aの妻であるXは、平成元年七月...
《解 説》
Xは昭和三九年にYの前身である日本電信電話公社との間で加入電話契約を締結し、東京都B区に加入電話を設置していた。Yの電話サービス契約約款の一四三条には、「当社は、電話帳の種類ごとに、当社が別に定める掲載地域別に電話帳を分冊し、当社が別に定める周期により発行します。」、一四四条に...
《解 説》
一 貸金業法四三条一項のみなし弁済の規定の適用の有無が争われた事件である。すなわち、銀行振込の方法によって弁済がされた場合でも、同法一八条一項の受取証書を交付する必要があるか、また、債務者が受取証書の送付を要しない旨を申し出た場合にもこれを交付しなければならないか、が争点である...
《解 説》
Yは、日蓮正宗を包括団体とする宗教法人であるが、寺院の移転新築を計画し、平成元年一〇月ころから寺院新築のための寄附金を募るようになり、当時の住職Aは新寺院は平成三年ないし同年度中には完成すると説明していた。Xら信徒はそれぞれYに対し、三〇〇〇円から一〇〇万円を寄附した。しかし、...
《解 説》
Y町は、昭和四七年三月、医師を誘致する目的で「国民健康保健診療施設の勤務医師に対する特別報償に関する条例」(本件条例。その内容の詳細は判決別紙参照)を制定し、通算して一五年以上勤務した医師に六〇〇平方メートル以内の住宅用地を与えることとした。X医師は右の条例を信頼してY町立国民...
《解 説》
XとYは東京都区内の土地の地上げを共同で行い、XからYに多額の金銭が交付されたが、その後XとYの業務提携は解消され、XはYに交付した金額と主張する一二億五〇〇〇万円の返還を求めて提訴した。その法律構成は、X・Y間の土地売買契約の解除に基づく原状回復請求、業務提携契約の解除に基づ...
《解 説》
Y1は、弁護士Y2を代理人としてXに対し、通行地役権又は袋地通行権を被保全権利として木造平家建事務所の建築工事禁止仮処分決定の申立てをし、その旨仮処分決定を得たが、起訴命令の期間内に本案の訴えの提起又はその係属を証する書面を提出しなかったため、右決定は取り消された。Xは、Yらの...
《解 説》
Xは大学教授であり、「『戦争謝罪』国会決議を許さない国民の集い」の代表者として活動してきた者であるが、平成七年四月上旬、日刊紙Yの「論壇」欄に「『歴史を直視する勇気』とは」と題する論文を掲載を求めて投稿した。同月下旬、XとYの社員Aとの間で論文掲載に関する交渉があり、Aは原論文...
《解 説》
一 本件は、中学校の女性教師である原告が、同僚の男性教師である被告に対し、同人等が勤務していた中学校(以下「本件中学校」という。)の内外で、被告により原告に対する性的な侮辱を含む誹謗中傷をされたため、原告の学校内外における就労及び活動の環境・条件が悪化させられ、原告が精神的に追...
《解 説》
一 訴外A(昭和五七年生)は、昭和六三年九月、自転車に乗って埼玉県上福田市内の市道を進行中、走行してきたタクシーに衝突され、頭部等の傷害を負ったため、直ちに救急車によってYが経営する病院(以下、「Y病院」という。)に搬入され、病院長の診断を受けたが、頭蓋骨骨折はないとして、帰宅...
《解 説》
一 X1は、昭和五〇年九月、手足の脱力感及びしびれ感があったため、徳島大学医学部付属病院に入院して精密検査を受けたところ、不治の筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」という。)と診断され、同年一一月、同病院を退院した。
そして、X1は、その後は民間の指圧やマッサージに通うなどして...
《解 説》
XはA、Bを連帯債務者としてCの連帯保証のもとに三〇〇万円を貸し付けた。Cは夫から借地権付建物を相続したが、債権者であるXを害することを知りながら、これを娘であるYら二名に持分各二分の一の割合で相続させ、C自信は一切相続しない旨の遺産分割協議をし、これに基づいてYらが右建物につ...
《解 説》
一 ①事件は、Xが、妻であるYが「エホバの証人」を信仰するようになって以降、その信仰をめぐる対立等のために婚姻関係が破綻したとして、Yとの離婚等を求めたという事案である。
本件のように、配偶者の一方の信仰の内容や宗教活動のために婚姻生活に支障が生じたとして提起された離婚事件に...
《解 説》
一 本件は、「FRED PERRY」の英文字又は月桂樹の図形から成る「FRED PERRY標章」(本件標章)を付したポロシャツをXらが輸入販売したことにつき、いわゆる真正商品並行輸入として商標権侵害及び不正競争行為としての実質的違法性を欠くかどうかが争われた事案である。
二 ...
《解 説》
Xは、米国法人のゴルフクラブメーカーであり、本判決添付目録記載の登録商標(本件登録商標)についての商標権者である。Yは、本件登録商標が付されたゴルフクラブヘッドに第三者の製造するシャフトを結合したゴルフクラブ(Yゴルフクラブ)を製造して販売している。Xは、Yの右行為が商標権侵害...
《解 説》
一 本件は、亡Aの遺産をめぐる相続人間の争いである。Aの二男であるXは、Y1その他の相続人らに対し、Aの生前にAから売買契約によりA所有土地の一部を買い受けたとして、右土地につき所有権移転登記手続等を、また、Aのした本件遺言はAが遺言能力を欠如等してしたもので無効であるとして、...
《解 説》
一 Xは、亡Aの遺言執行者に指定された者であるが、平成二年四月、Aがその遺産全部を法定相続人の一人であるBに相続させる旨の遺言をし、平成三年一月、Aの死亡により右遺産全部がBに帰属したのにかかわらず、右遺産の一部についてY1、Y2名義の所有権移転登記等が経由されていると主張し、...
《解 説》
一 本件は、「ウルトラQ」等のテレビ映画(本件著作物)の日本国外における利用に関する紛争であり、XがYに対し、本件著作物の利用許諾を内容とする契約書が真正に成立したものでないこと、Xがその著作権者であること及びYが本件著作物につき利用権を有しないことの確認、Yが利用権を有する旨...
《解 説》
一 X(ドイツ法人)はY(日本の会社)を被告として、ドイツのベルリン地方裁判所に対し、Yの子会社であるA(ドイツ法人)の債務についての保証債務の履行を求める訴えを提起し、その訴状及び答弁書提出催告書は、約五〇日後に在東京ドイツ領事が書留郵便で送付する方法によりYに送達され、Yの...
《解 説》
一 訴外K(金融機関)は、訴外会社S所有の土地及び同土地上の建物に共同根抵当権を設定した。訴外会社Sは、根抵当権設定後に右建物を取り壊し、Yは土地を買い受けて所有権移転登記をし、さらに右土地上に新建物を建築して保存登記した。訴外Kは、右土地について根抵当権実行による競売を申し立...
《解 説》
一 本件は、虚偽の事実を内容とする脅迫文言によって財物を交付させた点について恐喝罪の成否が(判示事項一)、また、妻の死体を遺棄したとの公訴事実につき、妻の死を悼む愛情の気持ちにより当該行為を行った旨被告人が供述していること(判示事項二)に関して死体遺棄罪の成否が(判示事項二)、...
《解 説》
一 事案の概要等
本判決の認定及び記録によれば、本件の事案は概要次のようなものである。
被告人A及びBとその友人であるC(弁論分離前相被告人)は、共に飲酒後歩道を歩いていた(AとBが先を行き、その二、三〇メートル後方をCが遅れて歩いていた。)ところ、その直前にAとCとが公衆...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
Y1は出版物の編集、発行、販売等を行う会社であり、Y2は、Y1の代表取締役である。Yらは、若手男性人気芸能人であるXら一八名の自宅又は実家の所在地が番地まで特定されて表示され、当該所在地を示す地図とその建物の写真が掲載された「ジャニーズ...