最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、川崎市川崎区又は同市幸区に居住又は勤務し、公害健康被害補償法に定める指定疾病(慢性気管支炎、肺気腫及気管支喘息)の認定を受けた患者ら又はその遺族Xら多数が国道一号線、一五号線、一三二号線、四〇九号線を設置管理する国(Y1)及び神奈川県道高速横浜羽田線(横羽線)を設置...
《解 説》
一 本件は、酒税法違反の刑事事件において酒類販売業免許制度を定めた酒税法九条一項及びその罰則規定である同法五六条一項一号の合憲性が争われた事案である。
同制度の合憲性に関する本判決以前の最高裁判例としては、「角田酒販」にかかる免許拒否処分取消請求事件である最三小判平4・12・...
《解 説》
A県の県民であるXは、愛知県公文書公開条例に基づき、同県代表監査委員Yが保管している「平成七年度の他の自治体からの監査委員事務局への来庁に関する依頼書」の公開を求めたところ、同文書は同条例六条一項二号(個人に関する情報)及び五号(国、他の地方公共団体との協力関係、信頼関係を損な...
《解 説》
一 本件は、国立大学の学生が、六か月間の停学処分を受け、その処分の取消しを求めた事案につき、停学期間の経過により処分取消の訴えの利益が消滅したとして、訴えが却下された事例である。
二 本件の経過は次のとおりである。当時、国立大学の五年次生に在籍していたXは、平成八年一一月一五...
《解 説》
一 X1(昭和五四年三月生れ)は、平成七年一二月当時、松任市立光野中学校の三年生であったが、同月一二日、同中学校に設置されたプールにおいて、正課である体育授業中に、水泳の練習として飛び込み台から飛び込みをした際、プールの底部に頭部を激突させ、頚髄損傷等の重傷を負った。
そこで...
《解 説》
建設工事を業とする有限会社XはY町に本店があり、昭和四六年ころからYの発注する建設工事について指名競争入札参加資格を有していたが、平成五年一一月から同六年一一月までの間、一度も指名を受けなかった。X代表者は、同五年九月の町長選挙において当選した町長Aの推薦状に署名せず、対立する...
《解 説》
一 事業受託方式によるサブリース契約とは、デベロッパーと呼ばれる転貸事業目的の不動産業者甲が地権者乙に土地有効利用法としてビルを作らせ(建築資金や工事にも関与するのが普通)、ビルのオーナーとなった乙からそのビルを一括して賃借(長期年数の賃貸借契約で賃料自動増額・最低賃料保証特約...
《解 説》
一 XYは、平8・12・27土地建物につきいわゆるローン条項特約〔ローンが組めなかった場合には売買契約を解除することができる旨の特約〕付きの売買契約(代金一億二〇五〇万円)を結び(買主はXとA)、その後Xは、Yに対して、一〇〇〇万円の手付金を支払った。Xの銀行に対する五〇〇〇万...
《解 説》
Xら二名はY1及びY2から土地と建物(但し、Xらにおいて取り壊す予定)を六四八〇万円で買い受ける契約を締結し、手付金として六〇〇万円を支払った。同契約を締結するについて買主側の仲介業者としてY3、売主側の仲介業者としてY4が関与した。XらはYらに対する訴状により本件売買契約には...
《解 説》
Xは昭和六一年一〇月、東京都区内にあるマンションの二〇五号室六九・九三平方メートルをYに代金三億円で売却した。右売買においては、①YはXに本件マンションの購入単価の最高値を保証する、②YはXに全ての購入価格を開示する、③Xは開示された購入価格中の最高値を選択して売買価格を変更す...
《解 説》
本件は、Y3市内に架設中のモノレール(アストラムライン)の橋桁が落下し、折から車で通行中であった者等、合計一五名の者が死亡した事故について、そのうち三名の被害者の遺族Xら八名が、請負業者Y1及びその下請業者Y2に対しては使用者責任に基づき、発注者であるY3に対しては注文者の過失...
《解 説》
一 X(昭和二二年生)は、昭和六三年三月、野菜、果物等の仲卸売業を営むY1会社にアルバイトとして入社し、平成元年五月より正社員として勤務し、売上、仕入等の経理関係のコンピューター入力と社員の売上管理表の作成業務に従事していたが、会社の営業時間内に、営業所内において、同社の専務ら...
《解 説》
Xら一一名はいずれも中国人であるが、第二次世界大戦中に中国から秋田県にあったYの花岡出張所に強制連行され、強制労働及びこれに伴い虐待を受け、肉体的、精神的被害を被ったと主張し、Yに対し、不法行為ないし安全配慮義務違反に基づき、それぞれ五五〇万円の損害賠償を求める訴えを提起した。...
《解 説》
一 X1とX2の子である訴外Aは、平成七年七月一九日、自動二輪車を運転して、兵庫県西宮市内の国道を走行中、普通貨物自動車と衝突して多発肋骨骨折等の傷害を負ったため、救急車で「熊野病院」に搬送され、同病院において、レントゲン撮影等の諸検査、刺創の縫合等の処置を受けていたが、その途...
《解 説》
一 本件はいわゆる「うつぶせ寝」の事件である。本件を時系列に沿って述べると以下のとおりとなる。原告両名の子は、平成七年一月五日、被告病院にて出生した。本件乳児は普段は原告(母)とは別室の新生児室にいた。同月八日午前二時三〇分、被告病院の看護婦が搾乳二〇CC、ミルク五〇CCを本件...
《解 説》
一 本件は、Y1を発行所、Y2を発行人とする被告書籍につき、Xらが、被告書籍の記述はX7~X10(X出版社ら)が発行した雑誌に掲載されたX1~X6(X個人ら)に関するインタビュー記事の著作権・著作者人格権を侵害すると主張して、被告書籍の出版の差止め、損害賠償等を求めた事案である...
《解 説》
一 本件は、漫画の著作者・著作権者であるXが、かつて原告の漫画を書籍として出版したY1及びその代表者であるY2に対し、出版後もその漫画の原稿をXに返却しなかったことが不法行為又は債務不履行になると主張して、損害賠償(他社から復刻版を出版できなくなったことによる逸失利益、慰謝料及...
《解 説》
一 本件は、銀行の作成した貸出稟議書が、民事訴訟法二二〇条三号後段の法律関係文書であるとして、その文書の提出を命じた高裁の決定である。
原審の決定(金法一五二六号六九頁、金判一〇五三号八頁)は、本件の貸出稟議書が同条三号の法律関係文書にも、四号の文書にも該当しないとして、文書...
《解 説》
本件は、不動産会社の社長である被告人甲が、従業員乙と共謀して会社の銀行預金に対する差押えを免れるため、会社の預金を隠匿したという強制執行妨害、及び、従業員丙と共謀して系列会社に対する支配権を確保するため、その株式についていわゆる見せ金による無効な増資を行って、虚偽の登記手続を行...
《解 説》
一 私人による現行犯逮捕の際に被逮捕者との間で抗争が生じ、被逮捕者が違法な抵抗をして逮捕者に傷害を負わせたなどとして起訴されたり、逆に逮捕者が違法な実力を行使して被逮捕者に傷害を負わせたなどとして起訴されることがある。本件は、後者の場合につき、逮捕者の行為が現行犯逮捕に伴う適法...
《解 説》
一 A会社はY会社との間で請負契約を締結しており、下請・元請の関係にあった。A会社は破産したため、同社破産管財人であるXが、Yに対し、請負契約に基づき三四〇〇万円余の請負代金請求をしたのが、本件訴訟である。
これに対して、Yは、①被請負代金相当分は孫請会社に対して立替払をした...