最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、平成七年七月二三日に施行された参議院議員選挙(以下「本件選挙」という。)について、東京都選挙区の選挙人らが、公職選挙法一四条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定(以下「本件定数配分規定」という。)は憲法一四条一項等に違反して無効であり、これに基づき...
《解 説》
本件は、オウム真理教の「治療省大臣」であった被告人が、多数の教団幹部らと共謀の上、①大量の注射用チオペンタールナトリウムを無許可で製造したという薬事法違反の事実、②教団信者である元女優の長女を教団施設等に監禁したという事実、③教団信者であるピアニストを教団施設に監禁したという事...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告が、酒税法(以下「法」という。)九条一項に基づき、酒類販売業の免許を申請したところ、税務署長から、法一〇条一一号の規定に該当する事由(需給均衡維持の必要)があるとして申請を拒否する本件処分を受けたため、その取消しを求める事案である。
原告は、法九...
《解 説》
一 本件は、(1) 共同不法行為者の一人甲が被害者丙との間でした訴訟上の和解における債務の免除の効力が、他の共同不法行為者乙に対して及ぶか否か、(2) 免除の効力が及ぶとした場合には、甲から乙に対する求償金額の算定はどのように行われるかが問題となった事案である。ここでは、争点を...
《解 説》
一 賃貸借契約に伴って授受される敷金については、契約終了時に延滞賃料等を控除した残額を返還すべきものであるが、敷金のうち一定金額ないし一定割合を返還しない旨の特約がされることがある。この特約は、関西地方では「敷引き(しきびき)」と称されている。平成七年一月一七日に発生した阪神・...
《解 説》
一 本件は、商法二八〇条ノ三ノ二所定の公示(公告又は通知)を欠く新株発行の無効の訴え(同二八〇条ノ一五)において、新株発行差止めの事由の有無が問題となったもので、著しく不公正な方法によるもの(同二八〇条の一〇)ではないとはいえないとして、公示を欠く右新株発行を無効とした最高裁の...
《解 説》
一 本件は、日本(内地)人である母の婚外子として昭和二五年一月一一日にわが国において出生した(昭和二五年五月四日法律第一四七号による改正前の国籍法三条参照)Xが、Y(国)に対して、日本国籍を有することの確認を求めた事件である。
二 Xの国籍喪失についてのYの主張は次のとおりで...
《解 説》
一 本件は、宇都宮地決平2・11・2(行集四一巻一一・一二号一八一一頁)の執行停止決定の本案事件であり、本誌八七九号一四八頁に掲載された宇都宮地判平6・5・25の控訴審判決である。原審の判断が全面的に是認されたものであり、事案の概要等の詳細は、原判決についての前記コメントを参照...
《解 説》
X1は、分離前相被告会社(以下「分離前相被告」という。)から金銭を借り受けた(以下「本件消費貸借契約」という。)者であり、X2は、本件消費貸借契約に基づくX1の分離前相被告に対する債務についての連帯保証人である。
Yは、本件消費貸借契約に関し、強制執行受託条項付公正証書(以下...
《解 説》
一 本件は、都立高校の定時制の教師であるXが、東京都人事委員会(Y1)に対し、地方公務員法四六条に基づき、①年次休暇取得に関する不平等取扱いの是正及び②教員の海外旅行に関する東京都教育委員会の許可制の廃止を求め措置要求を行ったところ、Y1がいずれも認めない旨の判定を行ったために...
《解 説》
一 事案の概要
X1は海上運送業務を営む株式会社であり、X2ないしX4は船舶運航業務に従事する外国法人である。X1は、X2ないしX4と、定期傭船契約を締結している。Y1は、日本における船員を構成員として組織されている全国組織の職能別単一労働組合であり、Y2ないしY4は、Y1の...
《解 説》
Xは某区分所有建物の管理組合であり、同建物の区分所有者らの規約によれば、管理費、組合費及び修繕積立金の翌月分を毎月末日限り支払うべきものとされている。その二〇三号室はもとSの所有であったが、平成八年一〇月Yが競売により所有権を取得した。同室の管理費等は同二年五月から同九年三月ま...
《解 説》
一 本件で問題となっている本件通路は、昭和四年ころ、当時の土地の所有者である訴外Aが、自己の農作業の利便のために、自らの費用で造成し、農作業用の通路として利用を始め、附近の田の耕作者らにも通行を認めてきた。
Xは、昭和三〇年に、Aから本件道路を含めた土地を取得し、Aと同様附近...
《解 説》
Xは建築請負業者であるが、平成五年二月ころ、Yから住宅の建築を請け負い(代金額はXによれば三七四一万円、Yによれば二六五五万円である)、同年一二月末までに本件建物を完成してYに引き渡した。XはYから支払を受けた二四一六万円を控除し、残代金一三二五万円の支払を求めて出訴した。これ...
《解 説》
Yは寛永一一年(一六三四年)以来、Xの塔頭寺院であるが、平成三年九月ころから本堂等の改築を計画し、旧建物の取り壊しについてはXの許可を得てこれを実行したが、二階建ての建物の再築について許可を得るべく交渉中、再築を強行しようとし、仮処分決定によって建築工事が中止された。本件はXか...
《解 説》
Xは、A(債務者)から、AのB(第三債務者)に対する現在及び将来の売掛金債権を平成九年一月二三日に譲り受けたので、平成九年四月三〇日及び同年五月三一日に弁済期が到来したBのAに対する買掛金につきBが弁済供託した供託金につき、還付請求権を有することの確認を、国税滞納処分により平成...
《解 説》
一 訴外Aは、貝島炭砿の炭鉱跡地において、ブルドーザーを使用して埋立工事を行っていたが、昭和六三年一二月、右ブルドーザーを運転して作業現場を移動していたところ、右ブルドーザーが急に動かなくなったため、右ブルドーザーの下にもぐり込んで点検していた際、手足がキャタピラーに挟まれて動...
《解 説》
Xが販売代理店をしている浄水器Nについて経済企画庁の外郭団体である国民生活センターY1は、浄水能力等をテストし、その結果、水道法の水質基準を超える一般細菌が発生し、表示どおりの抗菌力はなかったこと、浄水におけるカルシウムの量は水道水と変わらず、表示どおりの効果はなかったことを記...
《解 説》
一 Xは、本件ワラント取引当時六七歳で、電力会社を退職後、零細な酒店を経営していた者で、早くに妻を亡くし一人暮らしをしていた。Xは、それまで優良銘柄の現物株式取引をしていたが、老後の生活資金を少しでも増やそうとして、Y会社の従業員から積極的な勧誘を受け、比較的短期間に四回にわた...
《解 説》
Y(日本中央競馬会)は、T市内に場外勝馬投票券発売所及び払戻金交付所(場外馬券売場)を設置し、平成六年二月五日から場外馬券の発売及び払戻金の交付を行っている。本件売場の周辺に住むXら五一名は、Yに対し、人格権の侵害を理由に場外馬券の発売及び払戻金の交付の差止めを求め、併せて不法...
《解 説》
一 被相続人A(平成九年四月三〇日死亡)の長女であるXら(抗告人ら)は、同年八月一日に共同相続人Bらに遺産の全部を取得させる旨の遺産分割協議をした。ところが、同年九月二九日に相続債権者から請求を受けBから事情聴取した結果、総額で約五〇〇〇万円以上の多額の相続債務の存在が明らかに...
《解 説》
X男(昭和四五年生)とA女(同四三年生)は平成四年八月婚姻届を提出し、同年五年二月両名間にY(本件未成年者)が生まれた。XとAは同年八月離婚し、その際、Yの親権者をAと定めた。Yは、Aの実家でAにより養育されたが、Aが平成六年九月急死した後、Aの母BがYを養育している。Xは家裁...
《解 説》
一 AはY銀行に預金を有していたが、平成六年一二月二三日に死亡し、その子であるX、Y補助参加人であるM及び訴外Nがこれを相続した。Y銀行は平成八年一二月三〇日に到達した書面でXが本件預金の三分の一の払戻請求をしたので、M及びNにXの払戻請求に応じてよいか意向を確認したところ、M...
《解 説》
一 X会社は、甲野太郎及び甲野花子夫妻によって「甲野ガーデン」の名称で営まれていた生花販売業を会社組織化したもので、昭和五九年二月一八日に生花、鉢物の仲卸及び販売等を目的として設立された。花子は、太郎との離婚に伴い、平成元年一二月、いったんはX会社の業務から離れたが、翌年初めに...
《解 説》
Aは、Y1会社の従業員であったが、Y1会社は、B生命保険会社との間で、Aを被保険者、Y1会社を保険金受取人とする生命保険に入っていた。Aの病死により、生命保険会社は、Y1会社に対し保険金一五〇〇万円を支払ったが、Y1会社は、Aの相続人であるXらに対し、謝礼金の名目で一〇〇万円を...
《解 説》
一 訴外Aは、教科書出版等を業とするX1会社を経営していた者であるが、平成四年五月二九日の深夜、X1の本店のある東京都港区所在の赤羽橋ビルの外壁に設置されていた非常階段の六階と七階の間の踊り場から地面に転落し、頭蓋内損傷により死亡した。
そこで、X1とAの遺族X2~X4、その...
《解 説》
一 弁護士Xは、訴外Aから、同人の所有する土地上の建物所有者である訴外Bに対して、右建物を取り壊したうえ、土地を返還するよう請求してほしい旨の依頼を受け、平成五年四月二二日、Bに対し、建物収去土地明渡等請求訴訟を提起した。右訴訟において、Xは、Aの代理人として、同年七月二一日、...
《解 説》
本件は、人物絵の絵柄(本件絵柄)の著作権を有するXが、本件絵柄の使用許諾期間満了後もその使用を継続して右著作権を侵害したYに対し、Yの商品の小売価格の三パーセントに製造個数を乗じた額が右著作権の行使につき通常受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法一一四条二項)であると主張し、...
《解 説》
Xは食料品等の販売を業とする有限会社であり、共同店舗(ショッピングセンター)の設置等の事業を行うY協同組合に加入し、二九四二口(額面一口が一万円)の出資持分を有していたが、平成八年一月末、Yに対し任意に脱退する旨届け出た。Yの定款一四条には、組合員が脱退したときの払戻金額につい...
《解 説》
一 本件は、自動車の割り込みをめぐるトラブルから、相手方運転者によって、運転席窓越しに、胸ぐらを掴まれて前後に揺すぶられたり、顔面や頭部を手挙で殴打されるなどの暴行を受けた挙げ句、車外に引き出された被告人が、威嚇のために自車の後部トランクから金属バットを持ち出したところ、相手方...
《解 説》
一 本件は、娘の無断外泊を巡って父娘間で口論となり、娘の態度に憤激の余り、父親である被告人が娘に対し背後から出刃包丁を投げつけたところ、後頭部に出刃包丁が命中し、小脳刺創等により死亡させたという事案である。被告人は、殺人罪で起訴された。
二 本件では、主として殺意の有無が争わ...