最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本判決は、いわゆるトリカブト事件につき、被告人を有罪と認めて無期懲役に処した第一審判決に事実誤認はないとして控訴を棄却したものである。
この事件が発生してから被告人が起訴されるまでの特殊な経過については、第一審判決の解説(本誌八七八号八七頁)に詳しく紹介してあるので、ここ...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、園部税務署の管轄区域内で酒販業を営む業者である原告ら六七名が、被告がAに対してした酒税法一六条一項に基づく酒類販売免許販売場移転許可処分の取消を求めた抗告訴訟である。この背景には、訴外○○産業が、新規に酒類販売業免許を得られる余地のない同地区において酒...
《解 説》
X2、X3の子X1はY市の市立中学二年生で、水泳部に所属していたが、平成四年七月、校内のプールにおいて部活動の練習中、逆飛込みをしてプールの底に頭を打ち、頚椎骨折等の傷害を負った。Xらは、本件プールには設置管理の瑕疵があり(国賠法二条)、また、顧問教諭の指導上の安全保護義務違反...
《解 説》
一 S市は、昭和六二年六月一九日、本件土地を、当時の国鉄から、仙台市土地開発公社を経由して、コンピューター関係の教育施設の建設用地に供する約定で取得し、同年七月一日、Y1及びY2との間で、本件土地につきコンピューター関係の教育施設を建設する約定で賃貸借契約を締結したが、その後、...
《解 説》
Xら三名はF市の住民であるが、F市と産業廃棄物収集運搬等を業とするY6株式会社(代表者Y7)との間の汚土の収集運搬委託契約が随意契約によったことは違法であり、しかもY6は、汚土以外の物件を収集したり、F市の指示に基づかずに汚土を収集運搬して委託料を得ており、市長Y1、助役Y2な...
《解 説》
一 本件は、O町住民であるXが、町長及び収入役に対し、決算に添付する「財産に関する調書」(地方自治法(以下「法」という。)二三三条一項、四項(平成三年法律第二四号による改正後は五号)、法施行令一六六条二項)の記載に誤りがあり、また、記載が正規の様式による区分をしていないにもかか...
《解 説》
X銀行とその得意先Yとの間において日本円とスペイン・ペセタとのクーポン・スワップ取引契約が締結された。同契約の要点は、二年間、合計四回にわたり、Yが日本円(想定元本金額一〇億円)による年二五・五パーセントの割合による利息を、Xがこれに対応するスペイン・ペセタ(想定元本金額六億六...
《解 説》
XはY市立の中学校教員であり、勤務先中学校における禁煙措置が不十分なため、健康被害を被り禁煙教育の効果に支障が生じているなどと主張し、これまで原告が勤務した中学校内を完全な禁煙としなかったことが安全配慮義務違反ないし不法行為に該当するなどと主張し、精神的損害の賠償を求めて提訴し...
《解 説》
一 Xは船員を組合員とする労働組合であるが、組合の余裕資金の一部について、昭和六三年七月、投資顧問業者であるY1との間で投資一任契約を締結し、その運用を一任した。Y1における運用担当者はY2であった。
この投資一任契約は、平成五年六月末に終了するまで毎年更新されていたが、その...
《解 説》
一 Xは、大正一五年生まれの老人で、昭和六一年に勤務会社を退職後は、主として年金収入により一人住まいの生活を送っていたが、平成五年春ころ、商品先物取引の委託業務を営むY会社の群馬支店の従業員の再三にわたる生糸等の商品先物取引の勧誘を受け、平成六年七月から同年一一月までの間、Yに...
《解 説》
一 本件は、ワラント取引により損害を被った顧客Xが、証券会社Y1及び担当者Y2に対し無断売買、説明義務違反等を理由に損害賠償を請求した事案である。
Xは海産物の小売・加工販売商店を経営しており、過去約一〇年にわたり、Y2や他の証券会社との間で国債、株式の取引をし、株式の信用取...
《解 説》
Xは医師であり、昭和五八年八月ころ証券会社Yとの間で有価証券の売買取引の受託契約を締結し、取引が開始された。Xは、Yの社員がXに無断でXの資金により仮名口座二口を開設し、払戻金を着服したと主張し、受任者に対する受取物引渡請求権若しくは寄託物返還請求権又は使用者責任による損害賠償...
《解 説》
X弁護士は、株式会社Y1と顧問契約を結び、法律相談に応じ、ある事件について着手金を得、顧問料を受領したが、Y1の代表者AはXの金銭要求の態度が強硬かつ強引に過ぎ、支払った金額もXの仕事内容に比べて高額に過ぎると考え、書面で支払った金員の半金の返還を求めるとともに顧問契約を解約す...
《解 説》
Xは歯科医であるが、平成二年七月、Y証券会社の営業担当者Aの勧誘によりワラント四〇口を価格一二八〇万円、手数料九万八六〇〇円で購入したが、その直後、湾岸戦争が勃発したため、株価が低迷し、平成六年三月の権利行使期限までに株価が回復しなかったため、売買されず、無価値のものとなった。...
《解 説》
一 Xらは、本件マンション(一階は、事務所・店舗、二階以上が住居)の七階に居住していたが、八階の部屋に入居することとなったAが部屋の改装工事をした際に、受忍限度を超える騒音・振動が発生したため、ホテルに一時避難しなければならない等の損害を被った。そこで、Xらは、この工事を設計監...
10 手術に際し輸血を行う麻酔担当医は、輸血用カテーテル挿入部位を観察し、同部位から血液が血管外へ漏出していないかどうか観察する注意義務を有するとされた事例
(広島高裁岡山支部平10・1・29判決)
《解 説》
一1 Aは、平成三年三月ころ、大腸癌便潜血反応検査を受けたところ、便潜血反応が陽性となったので、至急、専門医療機関において精密検査を受けるよう指示され、同月一九日、大阪大学医学部附属病院第二内科において精密検査を依頼し、同年四月三日、同病院B医師の指示により、大腸レントゲン検査...
《解 説》
一 訴外Aは、店舗内装工事の設計、施工等を業とする資本金五〇〇万円のX1株式会社の経営者であるが、平成七年三月二三日の夕刻、自動車を運転して商用による出張先の鹿児島市から福岡市内の自宅に帰る途中に行方不明となり、同年七月五日、熊本県八代市の球磨川河口付近の八代海海上において遺体...
《解 説》
一 本件は、保険会社である被告との間で被保険者の事故を原因として保険金が支払われる旨の傷害保険契約を締結した原告(株式会社)が、被保険者(原告の前代表者)が転落死したことにより保険金合計一億一〇〇〇万円を請求したところ、普通保険約款一条「被保険者の急激かつ偶然な外来の事故」に該...
《解 説》
一 本件の事案の概要は以下のとおりである。原告らと被告らとの間で、従前から目的建物の職作業欄に皮革製品加工工場と記載して普通火災保険契約を締結、更新をしてきたが、その保険期間の終期の経過後間もなく原告が事業を閉鎖する予定であったため契約を更新せず一度は契約関係がとぎれた。その後...
《解 説》
本件はダイヤルQ2サービスに関する情報料及びこれに伴う通話料(回線使用料)の債務不存在確認請求及び不当利得返還請求訴訟の控訴審である。第一審神戸地判平7・3・28本誌八八七号二三二頁は、Xらのうち一名につき、ダイヤルQ2サービスの利用事実を認め、Y(NTT)が情報料の請求権の主...
《解 説》
一 宅地建物取引業法(以下「法」という。)は、消費者保護の制度として、二五条において、宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない(一項)、その額は政令で定めるとし(二項)、六四条の八において、宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業...
《解 説》
一 本件は、税関長の知的財産権侵害物品の水際取締に関し、知的財産権者の側からなされた国家賠償事案である。その内容は、判決の事案の概要の記載を参照していただきたい。本件では、国家賠償特有の問題もあるが、その点については、多数裁判例等のあるところであるので、以下では、関税定率法に関...
《解 説》
一 本件は、宗教法人の住職兼代表役員の地位にあった原告が、包括法人により罷免されたのに対し、当該罷免処分は被包括関係廃止決議を行ったことを理由とするものであるから、被包括関係の廃止にかかる不利益取扱を禁じた宗教法人法七八条に反し無効であるとして、原告が被告の代表役員たる地位にあ...
《解 説》
Aは、債権者をY、債務者をBとする金銭消費貸借契約について連帯保証ないし根抵当権を設定した事実はないと主張し、Yが申し立てた不動産競売事件の停止と抵当権の実行禁止を求めて仮処分を申し立て、Xが第三者として三〇〇万円の保証を立て、仮処分命令が発された。Aは、右仮処分事件の申立てに...
《解 説》
一 事案の概要
被告人は、本件犯罪当時、実父である被害者Aのアパート居室に身を寄せていたものであるが、Aと二人で酒を飲み始めたところ、被告人の生活態度などに関して口論となり、Aは一旦同室から出て行ってしまった。被告人は飲酒を続け、午後七時三〇分ころ眠りに就いたが、午後一一時過...
《解 説》
一 本件は、①覚せい剤約四七グラムの単純所持、②覚せい剤の自己使用、③覚せい剤約二・五グラムの単純所持の事案であるところ、被告人から量刑不当を理由に控訴があったが、控訴審は、職権で、原判決が全部被告人の所有にかかるものとして没収した右③の覚せい剤のうち一袋については、被告人が捜...