最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、共同相続人間の遺産をめぐる紛争であり、事実関係及び訴訟の経過の概要は、次のとおりである。被相続人(平成二年一〇月二七日死亡)の法定相続人は、妻と四人の子であったが、被相続人は、その所有財産を妻と三男Xに持分二分の一ずつ取得させる旨の自筆証書遺言を作成していたところ、...
《解 説》
一 本件は、被相続人の遺産である土地建物を相続人間で共有とする旨の遺産分割をした後に、一部の共有者から共有物分割が求められた事案である。本件の事実関係及び訴訟の経過の概要は、次のとおりである。
被相続人の死後、その子X1X2Y1Y2Y3Y4の間で、遺産である土地建物(本件不動...
《解 説》
Xら三名は、農業振興地域の整備に関する法律(農振法)八条に基づいてY市が定めた農業振興地域整備計画中の農用地区域内において農業及び養鰻経営を行っていたところ、Y市は同法一三条一項に基づき当該地域を農用地区域から除外する変更決定を行った(Xらによれば、当該地域を市街化区域に編入し...
《解 説》
一 本件は、神戸市内の市立中学校の剣道部に所属する女子生徒であった原告が、ホームルーム終了後、同校格技室内で、体育祭の練習に使用した剣道の防具を片付けるとともに、その後予定されていた部活動の用意をしていたところ、当時、同室内において男子剣道部員が竹刀の鍔を外して床に置き、これを...
《解 説》
一 本件は、Xらが、Xらの息子が道路に横臥していた際にセンターラインを越えてきた車両に轢かれて死亡した交通事故につき、(一)Y2所属の警察官が、唯一の目撃者が指示説明した轢過地点と異なるセンターライン寄りの場所を轢過地点とする誤った図面を添付した実況見分調書を作成し、かつ目撃者...
《解 説》
一 本件は、A市の住民であるXが、A市市役所本庁舎改修工事の一環として行われた市長・議長車専用車庫(以下「本件車庫」という。)の設置及びその後に行われた本件車庫の撤去に関し違法な財務会計上の行為が行われ、A市が損害を被ったとして、地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二第一...
《解 説》
一 本件は、使用者(原告・破産会社)による破産申立、破産申立後破産宣告前になされた従業員の解雇及び破産申立後破産宣告前になされた団体交渉拒否等が、いずれも不当労働行為に該当するとしてなされた救済命令に対する取消訴訟である。
二 事案の概要
判決によると、本件事案の概要は次の...
《解 説》
一 本件は、司法書士である被告甲が原告に融資先を斡旋し、根抵当権設定登記手続も行ったところ、甲が斡旋した融資先は、実際は他人になりすまし、運転免許証を偽造した上、被告東大阪市において他人の印鑑登録廃止届をなした上、新たな印鑑登録をし、印鑑登録証明書を得た上で、原告に融資を求めた...
《解 説》
一 本件は、土地建物の売買につき、建物に瑕疵があるとして、瑕疵担保責任に基づく売買契約の解除及び建設業者の不法行為責任を問題とした事案である。
二 原告は、被告不動産業者が被告建築業者の施工により建築する予定の鉄筋コンクリート造の建物(以下「本件建物」という。)及びその敷地を...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、昭和四七年生まれの会社員で、被告は貸金業者である。原告の母は、昭和六二年ころ家出をし、原告とは平成五年一月ころから音信不通であった。原告の母は、被告から平成三年三月以降、一一回にわたり合計三三万二〇〇〇円を借り受け、遅滞がちながら平成五年一月までその返...
《解 説》
一 本件は、原告の息子でオウム真理教の信者であった太郎が、オウム真理教の幹部信者である乙川の関与のもと、原告の農協の貯金を無断で引き出して(本件引出行為)オウム真理教に布施として交付したことについて、原告が、オウム真理教に対し、使用者責任若しくは共同不法行為に基づく損害賠償又は...
《解 説》
本件は、深夜に個人タクシー運転業務に従事する原告が、居住するアパートに隣接して行われたマンション建設工事の騒音被害により日中の睡眠を妨害されたとして、建設会社及び施主に対し、慰謝料等の損害賠償を求めた事案である。
原告は、マンション建設工事により、社会生活上の受忍限度を超える...
《解 説》
一 本件は、宮崎地判平8・3・18本誌九二七号二〇二頁の控訴審判決である。
患者Aは、平成三年当時四二才で、腎臓病で人工透析を必要とする状態となったため、同年七月一二日及び一七日の二度にわたって、被告Y1が運営する病院を受診して、人工透析療法を求めたが、担当のY2医師は、二度...
《解 説》
一1 Aは、平成五年三月、人間ドックにおけるバリウム浣腸による検査の結果、異常を指摘され、同年八月二〇日、大腸内視鏡検査のためにY1(学校法人)が設置する附属病院の第四内科に入院し、ストリップバイオプシーの施行を二回受けたが、S状結腸癌を完全に除去できなかった。そこで、Aは、同...
《解 説》
一 訴外A有限会社は、昭和六三年六月、資本金六〇〇万円で設立され、建築工事等、大工工事業等を行って順調に利益を上げていたが、営業不振となった関連のB会社に対する多額の資金援助や金融機関からの融資拒否等が原因で、平成三年一一月、破産宣告を受けるに至ったため、XのA会社に対する債権...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告が、被告との間で、いわゆるホールインワン特約付きゴルファー保険契約(被保険者がゴルフ競技中にホールインワンを行った場合に、慣習として贈呈用記念品購入、祝賀会等の費用を負担することによって被る損害を保険金額を限度に填補する特約付きの契約。)を締結して...
《解 説》
一 本件は、門外不出であることで有名ないわゆるバーンズコレクションの美術展覧会の開催に際して、ピカソの七つの絵画が、新聞、入場券・割引引換券、書籍等に複製掲載されたが、これについて、ピカソの相続人らの代表者である原告が、書籍の印刷の差止め、損害賠償等を求めた事案である。
これ...
《解 説》
一 本件は、米国の楽器メーカーであるXが、自社の製造、販売する三つのモデルのエレクトリックギターと類似する形態のエレクトリックギターを製造、販売するわが国の楽器メーカーであるYに対し、主位的に、Yの行為は不正競争防止法二条一項一号の不正競争に当たるとして差止め及び損害賠償を、予...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。Xらは、Yとの間で、Yが運営する本件年金に加入し、年金規程を記載したしおりを送付された(なお、規程二五条は「財団は、五年毎に本制度につき年金数理に基づく再検討を行うものとし、基礎率等の変動により必要があると認めたときは掛金等の引上げ等財政...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。債権者(抗告人)Xは、平成九年九月一日、債務者Yに対し、各種工事用物品を売り渡したところ、債務者Yは右物品を第三債務者Zに転売したとして、動産売買先取特権(物上代位)に基づき、YのZに対する転売代金債権を差押え、転付命令の発付を求めるとの申...
《解 説》
一 A会社は、平成七年一一月二二日破産宣告を受け、Bは、平成七年一一月二四日破産宣告を受けた。ゴルフ会員権の名義はBとされており、Yは本件会員権を担保(譲渡担保及び質権)として会員権証書を占有している。本件は、このゴルフ会員権が、X(Aの破産管財人)・Y間、X・Z(Bの破産管財...
《解 説》
本件は、建設会社の経理事務員であった被告人が、約九か月間の間に預り金合計一七〇〇万円以上を横領し(業務上横領)、税務調査によって右犯行が発覚するのを防ぐため、騒ぎを起こして調査を延期させようと考え、右会社の所在するビルのテナントである理髪店に放火した(非現住建造物等放火)という...
《解 説》
本件は、被告人両名が、新幹線回数券や商品券を偽造、行使して、新幹線の特別補充券や商品等をだまし取り、偽造新幹線回数券を使って新幹線の特別補充券をだまし取ろうとしたが未遂に終わり、また、千円札を偽造、行使し、商品をだまし取ったという各事案である。以上の各行為が、有価証券偽造、同行...
《解 説》
一 本件は、行政書士である被告人が、平成二年から平成五年にかけて前後一七回にわたり、多数の依頼者から嘱託を受けて、福島県内の法務局支局ないし法務局出張所において、有限会社の設立や取締役の変更、所有権の移転などの登記申請代理行為を行ったことにつき、司法書士以外の者が他人の嘱託を受...
《解 説》
一 Xは、菓子の製造・販売を業とする会社の会長であったが、昭和六三年五月、相続対策のため、Y1(銀行)から七億二〇〇〇万円の融資を受けて、所有者であるY2(会社)から中古の賃貸用マンションを、代金六億七三一七万九〇五〇円で買い受けたが、右マンションは雨漏りがひどく、修理不能な欠...