最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要と本判決
1 昭和六〇年一一月二一日に開かれた第一〇三回国会衆議院社会労働委員会において、当時衆議院議員であり同委員会の委員であったY1は、同日の議題であった医療法の一部を改正する法律案の審議に際し、同法律案の問題点を指摘するとともに、B病院の問題を取り上げて質...
《解 説》
新聞記事による名誉毀損の不法行為責任に関しては、表現の自由の保護との調整基準(免責法理の適用の在り方)と関連して、当該記事が事実を摘示するものであるか意見ないし論評を表明するものであるかの区別が問題となるが、この点につき最も議論の多いのが、ある事項から他の事項を推論する形式の記...
《解 説》
本件は、けん銃と実包の譲受けを幇助したとして起訴された銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法という。)違反幇助の事案である。事実関係は、本決定に指摘されているように、被告人が、所属する暴力団の若頭からけん銃等の入手方を依頼されたため、知り合いの暴力団組員にその当てについて打診した...
《解 説》
一 市立中学校二学年在籍中の女子生徒が二学期の初日に自殺した。その原因について、他の生徒によるいじめであるとの疑いを抱いた両親は学校側に調査を求めたが、学校側はいじめとは断定できないとし、更なる事実解明を求める両親と学校側との間に見解の対立が生じていた。本件は、右生徒の父親Xが...
《解 説》
Xは昭和六三年ころからY村内でのゴルフ場の開発を企図していたが、平成元年八月、国土利用計画法二三条及びM県の大規模土地取引等に関する事前指導要綱に基づき、同村長に予備協議申出書を提出した。村長はこれを直ちに県知事に具申することなく、Xに対し無農薬管理のゴルフ場とするよう行政指導...
《解 説》
一 本件は、被告らのタクシー乗務員である原告らが年次休暇権を行使したところ、被告らが欠勤として取り扱い賃金及び一時金をカットしたため、原告らが被告らに対し、右カットは違法であると主張して、右カット分の支払を求めた事案である。
二 本件の詳細は次のとおりである。いわゆるバブル景...
《解 説》
一 本件は、境界確認書への署名押印をしてもらうに当たり、XがYに対し支払った和解金名目の三二〇万円について、その支払が暴利行為に当たるかどうかが問題となった事案である。Xは、右和解金の支払には合理的な根拠はなく、境界確認ができずに土地建物の売買契約が解除されれば六四〇万円の違約...
《解 説》
本件は、昭和二二年ころからYに対して本件建物を賃貸していたXが、平成四年五月二七日、Yとの間で、賃貸借期間を平成七年六月二六日までと定めた上、「本契約更新の際、賃借人は、賃貸人に対し、更新料として新賃料の四か月分相当額を支払うものとし、賃料については当事者協議のうえ決定するもの...
《解 説》
一 Xはコンピューターシステムの販売を目的とする会社であり、Yは図書教材の販売等を目的とする会社である。
従前仕事で使用していたパソコンの処理能力に不満を抱いていたYはXに対し、コンピューター及び教材販売システムのソフトを注文した(そもそも右契約が売買契約かリース契約かについ...
《解 説》
Xらは平成八年五月一日に婚姻を届け出、同年六月ころ、旅行会社Yとの間でYが主催する「ハネムーンプラン グレートバリアリーフの休日&エアーズロック、シドニー九日 ヘイマン島コース」との旅行契約を締結し、各自旅行代金四五万円余を支払って、同年七月六日から同月一四日までの九日間、右旅...
《解 説》
一 Xは国立病院(重度身体障害者を対象に療養看護を行う病院)に賃金職員として採用され、当該病院の洗濯場に勤務する女性であり、Y1は洗濯場の洗たく長として勤務するXの直属の上司である。Y1はXに対し、職場において性的嫌がらせをし、これを拒否したXに仕事に必要な指示を与えない等の不...
《解 説》
本件は、政治家Xの政治団体名義の預金に関するYの発行する新聞記事及びその見出しが名誉毀損に当たるとしてXがYに対し損害賠償及び謝罪広告を求めた事案である。
Xが、本件において問題とするのは、①本件記事の見出しに「帰属不明」、「東京地検、通帳を押収」とあって、東京地検が帰属不明...
《解 説》
一 本件は、大腸癌の早期発見に関する医師の判断の当否が争われた事例である。
Aは、六四歳であった平成元年一二月、健康診断で便潜血反応が陽性であったことから、精密検査が必要となって、被告Yが運営する社会保険中央総合病院を受診した。主治医は胃と腸の造影検査を実施し、腸に主要な病変...
《解 説》
一 Xは、Yの経営する私立幼稚園の園児であった者(当時四歳)であるが、同幼稚園の教室内において右眼瞼挫創、右眼裂傷等の傷害を負う事故に遭い、右眼視力が〇・〇五に低下するなどの後遺障害を残すに至った。
Xは、主位的に、本件事故は、Y幼稚園の同じ組の園児であるAがハサミを手に持っ...
《解 説》
本件は、被相続人Aの嘱託により作成された公正証書遺言の効力が争われた事案である。
Aの相続人であるXらは、その他の共同相続人及び遺言執行者である弁護士(遺言の作成にも立会った)を被告らとして、Aにつき、本件公正証書遺言作成当時、満九四歳で老人性痴呆の状態にあり、しかも危篤状態...
《解 説》
亡きAの長女Xは、Aの長男であるY1及びその妻でAの養子となったY2に対し、Aから右Yらへの遺贈がXの遺留分を侵害するとして減殺の意思表示をして不動産の持分移転登記を求め、あるいは不動産の処分により持分権を侵害されたと主張して損害賠償を求め、さらにAから売買により不動産を買い受...
《解 説》
本件は、約束手形の所持人であるXから第二裏書人とされるY(第二裏書人欄に「日本電信電話株式会社NTT東京通信システム営業本部長」Aとの記名印及び本部長印が押捺された)に対し、主位的には手形金請求(Aの代理権、表見支配人、表見代理の各主張を伴う)として、第二次的には融資契約の債務...
《解 説》
一 訴外Aは、社団法人いわき理容美容協会の理事長であったが、平成五年六月、自動車運転中に、北茨城市の大津漁港の埠頭から、自動車ごと海中に転落して死亡した。
そこで、Aの遺族であるXらは、Aを被保険者として傷害保険契約等を締結していた保険会社Yらに対し、死亡保険金等の支払を求め...
《解 説》
一 本件は、平成三年法律第六五号商標法の一部を改正する法律(改正法)により創設された役務商標(いわゆるサービスマーク)に係る商標権侵害訴訟である。
Xは、「役務の区分第四二類 ラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として、別添の商標公報に示されているとおり、漢字で「古潭」...
《解 説》
X及びYらは、A・B夫婦の相続人(代襲相続人を含む)であるところ、XはYらに対し、土地、建物、借地権、出資金、株式等につきAないしBの相続財産であることの確認並びに土地、土地及び建物の使用借権につきAないしBのみなし相続財産であることの確認を求めて提訴した。
本判決は、これら...
《解 説》
Yは抵当権に基づきAの所有する本件不動産について競売を申し立て、競売が開始されたが、国XはAに対する租税債権に基づき本件不動産を差し押さえ、執行裁判所に対して交付要求をした。Xの係官は右交付要求書において昭和四五年分の期限後申告に基づく所得税債権について、本税を四万円、延滞税を...
《解 説》
一 Xは、クレジット業務、貸金業等を行う会社であって、平成二年二月、Yとの間で、立替払契約を含むカード契約を締結したところ、Yが、平成七年五月から六月にかけて、加盟店においてカードを利用して飲食したが、その後破産宣告を受け、破産免責が確定したため、Yの飲食によりXが被った損害賠...
《解 説》
本件は、約束手形金請求事件の訴訟代理人であった被告人が、その依頼人所有の敷地に強制競売の申立てがなされたことを奇貨として、共犯者から強制執行停止保証金名下に金員を騙し取ろうと持ちかけられた際、共犯者に弱みを握られていたため、その誘いを断りきれずに承諾し、依頼人から一六〇〇万円を...
《解 説》
一 本件は、中国人である被告人が、(1)有効な旅券又は乗員手帳を所持しないで本邦に不法入国した上、(2)中国福建省福清市在住の共犯者らと共謀の上、大蔵大臣の免許を受けないで、甲ほか八名から、前後九回にわたり、原則として送金額の〇・五パーセントの手数料を受け取る約束で、その指定す...
《解 説》
一 本件は通訳人を同行しない外国人(イラン人)宅に対する捜索差押手続や通訳を介しない右外国人からの薬物(あへん及びLSD)の任意提出手続の適法性が争われた事案である。問題となった捜索差押手続の概要は次のとおりである。
警視庁甲警察署の警察官らは、裁判官から覚せい剤取締法違反等...