最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 被控訴人(一審原告)は水面貯木場における水面倉庫業(寄託原木の荷捌き、保管及び出庫)を営む株式会社であり、控訴人(一審被告)は港湾運送事業法(以下法という)三〇条一項、同法施行令五条一項一号に基づき運輸大臣の委任を受けて港湾運送事業の適性確保のため、この事業に関する免許権限...
《解 説》
本件は、市街地再開発事業の施行区域内に宅地等を有していた者ら(Yら)が、権利変換計画に定められた従前資産の価額が不当に低額であるとして、都市再開発法八五条一項に基づき収用委員会に対して価額の裁決を申請したところ、収用委員会は申請に係る従前資産の一部について、Yらの主張を一部認め...
《解 説》
訴外Aは、平成四年八月当時、北海道大学大学院工学部応用物性学研究科で応用物理学を専攻し、同大工学部応用物性学第一講座に所属していた者であるが、同月一〇日、右大学の低温実験室内で右講座の助手とともに倒れていたのを発見され、まもなく低酸素血症により死亡した。
Aの遺族である原告ら...
《解 説》
本件は、民間開発業者の所有する古墳を含む開発予定地の土地開発公社による取得金額(五億四〇〇〇万円)が過大であったとして、市民Xらから市長Yに対し、土地開発公社との間で鑑定価格(三億九六四四万円余)を超える価格で売買契約を締結すること及び売買代金の支出の差止めを求めた訴訟の控訴審...
《解 説》
Xらはいずれも旧国鉄の職員であり、秋田県内で就労していた国労の組合員であるが、旧国鉄の解体直前にそれぞれ山形県内の職場への配転命令を受け、JR東日本(Y)の成立に伴い、配転命令を受けた職場への配属発令を受けた。Xらは、旧国鉄の配転命令は不当労働行為であって、Yはその実質的同一性...
《解 説》
一 本決定によれば、本件事案は概ね次のとおりである。Yは経理課員であるXが同僚社員とともに会社代表者名義の(法人)クレジットカード利用明細書添付のクーポン券を集め、応募用紙に会社代表者名義を冒用してクーポン券と一緒にカード会社に送付し、六年間にわたり総額約一四万円相当のカラーテ...
《解 説》
一 本件事案は以下のとおりである。
Xの借地は、公道に面しておらず、袋路となっているため、Xの借地から排水される下水はその西側に隣接するYの借地(地主は同一人)の地下に、X自身が埋設した排水管を通って公共下水道に流入している。しかし、便所汚水に限っては、X宅が汲取り式便所であ...
《解 説》
一 本件は、包括根保証をした者の責任が信義則上限定されるかどうかが争われた事案である。
事案の概要は、次のとおりである。
訴外Aは、カメラ店を経営していたものであるが、昭和五四年Y1信用金庫との間に信用取引契約を結び、Aの義弟であるXは、AがY1に対して負担する現在及び将来...
《解 説》
一 本件は、機器販売を業とする原告が、韓国の会社に対して機械を輸出するに際し、韓国国民銀行を発行銀行、被告を通知銀行とする荷為替信用状(L/C)による決済方式をとっていたところ、原告は適切な買取申請をしたのに、被告が、右買取申請書に荷為替信用状に必要とされていない船積指示書を原...
《解 説》
一 Xは半年ごとに九回利息を支払った後、最終の一〇回目の利息の支払時に元本も併せて返済する方式によりYから金銭を借り受けたが、その際、九回の利息の利率は五パーセントとし、一〇回目の利息は、オージーバルーン方式で返済するとの方法が選択された。バルーン方式というのは、顧客の資金需要...
《解 説》
本件火災事故は、A及びB(当時一〇歳)並びにBの弟C(当時六歳)が、閉鎖されて空き家となっており、外部からの立入りも容易であった建物に立ち入り、Aらにおいて右建物内部にあった可燃性の液体をジュース缶に移し、Aにおいてストローにライターで火を付けて遊んでいたところ、Bにおいてスト...
《解 説》
一 Xは、貸金業者Y(貸金業法二条二項)に利息制限法の制限を超える利息損害金を支払うことを合意した上、長期分割の約定で一〇〇万円を借り受けた(右貸金に関して作成された執行証書には、同法所定の制限利率に基づく利息・損害金を支払うべき旨が記載されたが、同公正証書作成嘱託用に当事者が...
《解 説》
一 本件は、原告の妻A子を保険契約者兼被保険者、原告を死亡保険金受取人として、被告との間で締結された介護保障保険契約に基づき、原告が、被告に対し、A子が死亡したことによる死亡保険金六一六万円の請求をしたところ、被告は、原告に告知義務違反があったとして、本件保険契約を解除し、右保...
《解 説》
一 本件は、「高知東急」の芸名を使用して平成五年一月ころから芸能活動を行っている被告に対し、原告東京急行電鉄株式会社が、「東急」の表示は、原告及び原告を中核とする東急グループの周知の営業表示であるとして、不正競争防止法二条一項一号に基づき、芸名の使用の差止めを請求し、右請求が認...
《解 説》
一 本件は、「成熟ヒト白血球インタフエロンのアミノ酸配列含有ポリペプチド」に関する特許権を有する原告(脱退)の承継参加人が、新有効成分含有医薬品として薬事法に基づく製造承認を取得するためにコンセンサスインターフェロンを用いた臨床試験を行っている被告に対し、右臨床試験を行うことに...
《解 説》
一 本件は、阪神・淡路大震災により借家が全壊した相手方が罹災都市借地借家臨時処理法二条に基づく賃借の申出をなしたのに対し、抗告人らがこれを拒絶したため、拒絶に正当事由が在するかどうかが争われた事例である。
二 本決定は、抗告人同士が共有物分割訴訟で争っており、抗告人らのそれぞ...
《解 説》
Xは所有土地を売却するため、平成四年五月二六日宅建業者であるAとの間で専任媒介契約を締結し、同月二八日Aから本件土地の実測売買のために下刈り、間引き、伐採等の必要があると言われ、一三五万円を支払った。しかし、Aが右作業を実行しないため、XはAに右金員の返還を求めたところ、Aは同...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、JR東海道本線新橋駅前でY1が建築主となって建物建築を進めており、Y2が設置する予定の競輪場外車券売場(本件場外車券売場)の建設工事について、建設予定地周辺の住民らであるXほか六三〇名が、本件場外車券売場の建設により付近の生活環境及び教育環境が悪化ない...
《解 説》
Yは、訴外会社甲(代表取締役乙)に対し、織布用経糸糊材を継続的に販売していたが、右売掛債権の担保のため、平成六年一二月ころ、乙所有のゴルフ会員権を担保取得した。その際、乙は、Yに対し、ゴルフ会員権譲渡通知書を交付したが、Yは右ゴルフ会員権につき名義書替手続をしておらず、対抗要件...