最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、日本国籍を有しない東京都の職員(保健婦)であるX(原告、控訴人)が、Y(被告、被控訴人)が実施する平成六年度及び平成七年度の課長級の職への管理職選考を受験しようとしたところ、Yは、外国人であるXには右管理職選考を受験する資格はないとして、平成六年度の選考についてはX...
《解 説》
(事案の概要)
一 被控訴人(本訴被告・反訴原告)は、控訴人ら(本訴原告・反訴被告)が日の出町谷戸沢廃棄物広域処分場(以下「本件処分場」という。)を設置するに際して、被控訴人が居住する第二二自治会等との間で締結した公害防止協定等(以下「本件協定」という。)に基づいて、本件処分...
《解 説》
一 本件は、自動車の借主が起こした事故につき貸主が運行供用者責任を負うかどうかが争われた事件である。
1 Yは、所有する本件自動車を友人のAに二時間後に返還するとの約束の下に無償で貸与した。
しかし、Aは、当初から右自動車を長期間使用する意図を持ちながら、これを隠して借り受...
《解 説》
本件は、日本法人がドイツに居住する日本人に対して契約上の金銭債務の履行を求めた訴訟について、日本の国際裁判管轄の有無が争われた事件である。
Xは、自動車等や自動車部品の輸入を行っている日本法人であり、Yは、昭和四〇年ころからドイツ国内に居住し、フランクフルト市を本拠として営業...
《解 説》
一 本件は、原告が有する大阪市所在の宅地の共有持分についての平成六年度(地方税法三四一条六号に定める基準年度)の固定資産課税台帳に登録された価格に関し、原告が大阪市固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたが、同委員会がこれを棄却する旨の決定をしたので、その取消しを求めた事案であ...
《解 説》
Xらの子供であるAは、原動機付自転車(以下「原付車」という。)を運転してYが維持管理する国道を夜走行していたが、交通が渋滞し、停止・発進を繰り返している状況で、前方の大型トレーラーを追い抜くため、走行車線から道路の路肩に進入して右トレーラーを追い越し始めたところ、歩道の縁石に運...
《解 説》
一 本裁判例は、都市ガス供給等を業とする会社であるXのした法人税確定申告(青色申告書によるもの)について、Yがした更正及び過少申告加算税賦課決定の取消請求に関するものである。Yは、Xの法人税確定申告において原料ガスの仕入価額が過大に計上されていることを理由として右更正及び過少申...
《解 説》
一 事案の概要
千葉県の宅地開発事業等の基準に関する条例(以下「本件条例」という。)は、五条一項で一〇ヘクタール以上のゴルフ場等の開発事業を行おうとする者は、その計画についてあらかじめ知事に協議し、同意を得なければならないと定めており、同条四項で、協議を申し出ようとする者は、...
《解 説》
一 亡Aは、昭和五八年七月三日午前一一時五〇分頃、貸し切り客を乗せたバスを運転して目的地の旅館に到着後、駐車中のバス内で倒れ、翌四日午前〇時〇三分頃、先天性のバルサルバ洞(大動脈起始部で、三個の大動脈弁とそれに対する大動脈壁で囲まれたポケット状の空間で、各大動脈につき三個ある。...
《解 説》
一 被告に勤務する原告は、昭和五九年ころから勤務中に精神の異常を疑わせるような行動に出るようになり、昭和六一年七月には精神病院に入院し、昭和六二年三月からは同病院から通勤する(ナイトホスピタル)ようになり、同年九月には同病院を退院して通常の勤務についたが、平成元年に上司に殴りか...
《解 説》
X1ら八名は、JRに勤務する職員で構成されるX9労働組合の組合員であり、いずれも動力車の乗務員であった。X1らは旧国鉄が分割民営化される直前の昭和六二年三月一〇日、駅直営売店等での営業係の兼務を命じられ、そのままJRに移行した。しかし、同六三年四月五日にはYから乗務員兼務を解職...
《解 説》
一 事案の概要は以下のとおりである。
1 甲は、平成二年九月一三日、乙に対し、金三〇〇〇万円を貸し渡したが、右貸付の目的は、以下の制度に投資することを前提としたものであった。すなわち、乙を初めとする投資者が、甲の一〇〇パーセント孫会社丙との匿名組合契約を締結して、甲からの借入...
《解 説》
XはYに対し、養鰻池を賃貸したと主張し、その明渡しを求める訴えを提起した。第一審判決は、Xが賃貸したのは旧借家法の適用を受ける養鰻ハウスであるとしてXの請求を棄却した。
Xは同判決に対して控訴し、XのYに対する賃貸の中心は養鰻池であり、ハウスはその付属物にすぎないこと、ハウス...
《解 説》
本件は、共同市場の区分所有者らが総会を開催し、建物の区分所有等に関する法律三一条一項に定める多数決により右建物の大部分をオープンフロアのスーパーマーケット風に改造し、反対者Xらの店舗については仕切壁によりオープンフロアと遮断することとし、これに伴って、三・六メートルの幅員のあっ...
《解 説》
N県内にゴルフ場を開発するため、昭和六三年四月、A社(資本金五〇〇〇万円)が設立され、Xはその株式の過半数(六六〇株、額面三三〇〇万円相当)を引き受けた。Aは、Y1信用金庫から平成二年六月以降、ゴルフ場の建設資金を継続的に融資を受け、Xは同四年八月、Aの債務につき根保証を約し、...
《解 説》
一 Xは、平成六年一二月、Y1からその所有の土地を、Y2から同土地上の建物を、代金総額七一〇〇万円で買い受け、代金を支払って、平成七年四月、右不動産の引渡を受けた。
ところが、その後、Xに、Y1の父でY2の夫である訴外Aが平成六年七月右建物の中で首吊り自殺をしていたことが判明...
《解 説》
一 X1は、有限会社Aの従業員であったが、A社の代表取締役であったBの死亡後A社の経営権をめぐって紛争が生じ、Bの相続人らは、X1及びAを被告として、Bらの社員権の存在確認、X1の社員権の不存在確認、X1を取締役とする社員総会決議の不存在確認等を求める訴訟を提起した。X1は弁護...
《解 説》
一 本件は、原告が、第二次世界大戦中、出生地の朝鮮から当時川崎市内にあった被告会社の工場に労務動員として強制連行され、奴隷的待遇の下で強制労働に従事させられ、さらに、被告会社の当時の従業員らから暴行を加えられたため傷害を負い、重い後遺障害が残ったと主張して、被告に対し、主位的に...
《解 説》
一 X(当時A財団法人常務理事)は、Y2が発行する雑誌『選択』(予約購買者に対して直送するという方法で頒布する雑誌、平成七年五月号)の「マエストロ小澤の夢と現実」と題する記事において、Xを「財団屋」と呼び、「音楽の理想に全く耳を貸そうとせず、逆に財団設立のエキスパートとしての保...
《解 説》
本件は、夜間、飲酒の上、自転車に乗って歩道を走行していたAが、折からの車道拡幅工事のため、歩道の植木を撤去した後、土砂が陥没していた箇所にハンドルを取られて転倒し死亡した事故について、Aの相続人であるXらが、右工事の元請業者であるY1、Y1の現場代理人であるY2、並びに下請業者...
《解 説》
一 X1は、平成元年三月、Yの開設する病院において、訴外Aを出産し、同年四月に退院したが、その後Aの黄疸症状が強くなったことから、Yの病院において受診していたところ、同年五月、他の小児科医院において頭蓋内出血の疑いがある旨診断され、国立療養所三重病院においてビタミンK欠乏性頭蓋...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五八年三月、その所有する財産全部を二女のYに相続させる旨の公正証書遺言(以下「第一遺言」という。)をしたので、昭和六三年九月、YがAの所有する本件不動産について相続を原因とする所有権移転登記を経由したが、これより先の昭和五九年一一月、その所有する財産全部を包括...
《解 説》
一 Xは、貸金業等を目的とする会社であり、平成五年四月、訴外A会社に対して六〇〇〇万円を貸し付けたが、その際、右貸付の担保として、訴外B会社が振出し、Y(合資会社)が引受けした本件手形(額面金額及び支払日は白地)の交付を受けた。
しかし、その後、A会社が右借受金を支払わないた...
《解 説》
原告は、ニット製品の製造、販売等を業とする株式会社であるが、平成四年三月から平成六年一月にかけて、被告との間で、工場及び工場内の動産等について火災保険を締結していたところ、平成六年七月二八日に工場内から出火した火災により工場及び工場内の動産が全焼したため、被告に対し、保険金請求...
《解 説》
一 Xは、昭和三五年八月に東京で設立した会社であって、いわゆるファンシー商品の企画・製造・販売、書籍・雑誌の編集・発行、レストランの経営等の営業を行っており、その商品に「サンリオ」「SANRIO」の商標を付して製造・販売しているものであるが、昭和五四年八月に名古屋で「株式会社サ...
《解 説》
一 事案の概要
被告(ロータリー・クラブ)の理事会は、その会員であった原告の会員身分を終結させる旨の決定をし、原告がこれに対して定款所定の不服申立てをしたが、被告の会員は、特別例会において、右理事会の決定を支持したので、原告の会員身分は終結された。
本件は、原告が、被告に対...
《解 説》
宗教法人Y1、Y2は写真週刊誌を発行するXに対して名誉毀損を理由として謝罪広告の掲載等を求める訴訟(前訴)を提起したが、前訴において、Xが同誌上において客観的かつ公正な報道をする、Y1らはその余の請求を放棄する等の内容の和解が成立した(和解条項の詳細につき、別紙その一参照)。そ...
《解 説》
本件は、借地権付建物の売却許可決定に対する執行抗告事件である。売却を申し立てたXは、本件建物の最低売却価額の基となった評価人の評価について、①抵当権設定後に本件建物に隣接して新築された件外建物の敷地を二割とし、本件建物の借地権の及ぶ範囲を借地の八割に縮減したこと、②路線価図上、...
《解 説》
一 本判例は、豊胸手術につき、手術にあたって必要とされる措置をとらずにこれを行ったことを理由として、たとえ被施術者の承諾があったとしても、その違法性は阻却されないとしたものである。
第一審判決は、罪となるべき事実として、①医師の資格がないのに、業として、女性甲に隆鼻手術、女性...
《解 説》
一 本件は、昭和四三年一〇月二一日の「国際反戦デー」に、被告人らベトナム戦争反対を唱える多数の学生が中心となって、当時国鉄新宿駅を経由して行われていた米軍用ジェット燃料輸送を阻止するため、新宿駅周辺で集団示威行進を行った上、駅構内を占拠し、列車等の運行を妨害するなどして駅の内外...
《解 説》
本件は、自己の運転免許証の上に他人の運転免許証の写しから氏名、生年月日、本籍・国籍、住所、交付の各欄を切り取って該当箇所に重ねるようにして置き、氏名欄の氏の部分に更に別の他人の氏の記載のある紙片を置いて、その上からメンディングテープを貼り付け固定するなどしたものを、融資申込の際...
《解 説》
一 親告罪の告訴期間は、刑訴法二三五条一項により、「犯人を知った日から」六箇月と定められている。この「犯人を知った」というためには犯人に関してどの程度認識していることが必要かについては、学説上も判例上も完全には明らかにされておらず、実務上しばしば争いになる(新しい文献として、注...