最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、「愛媛玉串料訴訟」として著名な住民訴訟事件についての最高裁大法廷の判決であり、国や地方公共団体の行為が憲法の政教分離規定に違反するという判断を示した初めての最高裁判決である。
本件の事案は、愛媛県が、昭和五六年から昭和六一年にかけて、宗教法人靖國神社の挙行した恒例...
《解 説》
一 有限会社法一九条二項は、社員がその持分を社員でない者に譲渡しようとする場合においては社員総会の承認を要するものと規定している。本件では、社員総会の承認はないが、譲渡人以外の社員全員が譲渡を承認していた場合に、当該譲渡が譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効といえるかが...
《解 説》
一 本件は、公職選挙法一九九条の二第一項、二四九条の二第一項の公職の候補者等の寄附禁止違反の罪の成否が問題となった事案の上告審判決である。
被告人は、現職の市長であったが、再選を目指して立候補を予定していた次期市長選挙の約三か月前に、「初盆参り」と称して市内の初盆を迎えた家庭...
《解 説》
一 Xは、平成五年法律第四三号による改正前の道路交通法(以下「法」という。)四五条一項に違反する駐車をしていたとして、法五一条の二第一項所定の指定車両移動保管機関(以下「指定機関」という。)であるYによって車両の移動・保管措置を執られ、その費用の納入通知及び督促を受けた。Xは、...
《解 説》
一 御所浦町長であるYは、平成七年六月一三日から遡って過去一年間に、訴外A海運会社の船舶を利用して合計六回の公務出張(以下「本件出張」という。)をした際、Aから予めYが交付を受けていた無料パス(以下「無料パス」という。)を使用して船運賃の支払をしなかったにもかかわらず、同町から...
《解 説》
本件は、全身火傷を負って倒れていた女性Aを消防署員及び警察官が救護しなかったのは違法であるとして、夫X1、子X2らがY1市及びY2府に対して国家賠償を求めた事案である。
事実関係はおよそ次のとおりである。すなわち、平成元年九月一六日二三時四九分ころ、警察署に団地で人が燃えてい...
《解 説》
一 Xは、Yの経営する住吉学園高等学校の教諭であるが、①単位不認定の可能性の高い生徒の両親に、「校長や教頭やったら何とかなる。」と言って両親を教頭に会わせ、単位認定の公正を疑わしめる行為をした ②中学三年生を対象とした入試説明会の際、校内において会場に向かう生徒や保護者に対し、...
《解 説》
一 本件はいわゆる過労死事件である。甲銀行の銀行員であり、旅行代理店乙に出向していたAは、年末御用納めの翌日(休日)朝、自宅で排便中に倒れ、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血で死亡した。Aの妻であるXはY1(労基署長)に対し、Aの死亡は乙の業務上によるもの(過労死)であると主張して...
《解 説》
本件は、クラブを経営する原告と雇用契約を締結したホステスが右契約締結の際、特約として、客の原告に対する飲食代金債務の未払が九〇日を越えた場合ホステスが債務引受すること、原告からホステスに対して交付した契約金について正当な理由なく退店等した場合には全額返還義務があることが定められ...
《解 説》
Xは昭和五六年五月、鉄道会社から分譲住宅を購入し、同年五月から居住しているが、X宅の前の公道上がX宅を含めて一二世帯のごみ集積場として利用されてきた。X及びこれと同様の立場にある団地住民が平成二年以降ごみ集積場所の移動の可否等を検討し、その結果同六年に六ブロックにおいてごみ集積...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年一二月、Yに対し、その所有する横浜市瀬谷区内の土地を、期間二年、賃料月額二万円の約定で貸し渡し、その後二度更新したが、平成五年一一月、期間満了ないし合意解約により右賃貸借は終了したと主張し、Yに対し、地上建物の収去と右土地の明渡を求めた。
これに対し、Yは...
《解 説》
食肉店を三店舗経営するXは、昭和六三年三月ころからY1証券会社に口座を開設して証券取引を行っていたが、平成二年七月ころ、Y1の外務員Y2の勧誘により外貨建ワラント一〇ワラントを代金一八四万三八七五円で購入したものの、権利行使期間が満了し、代金相当額の損害を蒙った。
Xは、Yらに...
《解 説》
Xは、大学卒業後、昭和五二年四月から同五四年三月までの間、Y証券会社に勤務していたことがある者であるが、Yの社員Aの勧誘を受け、平成二年一月、権利行使期間を同六年一月とするワラントを母親Bを代理して代金二三九万円で買い受けた。X又はBは、本件ワラントを売却しないまま、その権利行...
《解 説》
一 Xは、平成二年四月、筑波大学大学院経営・政策科学研究科に入学し、平成四年三月、「オプション組み入れポートフォリオの収益率分布評価システムの構築」を修士論文として、同大学院に提出し、同修士課程を終了した者であるが、同論文の中核である「オプション組み入れポートフォリオの収益率分...
《解 説》
一 Xは、昭和五八年一〇月二〇日、Y1の運転する自動車の助手席に同乗していたところ、Y2の運転する自動車との衝突事故が起き、脳挫傷等の傷害を負ったが、まもなく、髄液鼻漏(鼻から髄液が漏れる症状)が現れた。
そのため、Xは、八年以上にわたり、幾度となく入通院と手術を繰返し、髄液...
《解 説》
一 事実関係には本判決からだけでは判然としない点もあるが、ほぼ次のようなものであったものと考えられる。
昭和六〇年八月三〇日、当時二三才の会社員であったAは交通事故で重傷を負い、Y医師がその救急医療を担当した。Aの身体状態は一旦安定したようであるが、数時間を出ずして容体が急変...
《解 説》
一 訴外A(昭和五年生)は、平成三年八月二六日、Yの開設する「広島赤十字・原爆病院」において、胆石症及び胆嚢炎と診断され、早期手術を勧められたため、同病院に入院し、同年九月一三日、全身麻酔のうえ胆嚢摘出術を受けたが、翌一四日、心不全により死亡した。
そこで、Aの遺族であるXら...
《解 説》
一 本件は、いわゆる統一教会の合同結婚式に出席し、Y(韓国籍)との婚姻届出を済ませたX(日本国籍)が、Yに対し、右婚姻の意思がなかったことを理由に、婚姻無効確認訴訟を提起した事案である。なお、Yは、裁判所に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しなかった。
本判決は、まず、本...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六〇年一二月、自家用自動車を運転して、愛媛県伊予郡内の国道五六号線を走行中、道路右側の擁壁に右自動車を衝突させ、右自動車が炎上する事故が起きたため、死亡した。
そこで、Aの相続人であるXらは、右自動車を被保険自動車とする自動車保険契約とAを被保険者とする傷害...
《解 説》
一 訴外A弘済会は、平成五年三月一日、Y(保険会社)との間で、訴外Bを被保険者として、勤労保険及び癌死亡保険契約(以下「本件契約」という。)を締結していたところ、Bが、平成六年二月一四日、胃癌により死亡したため、保険金受取人であるXは、Yに対し、本件契約に基づき、合計一四一〇万...
《解 説》
本件は、特許出願の拒絶査定に対し、A及びBを代理人として審判請求を行ったXが、手続補正指令書で指定した期間内に補正書の提出がなかったことを理由に右審判請求を無効とした特許庁長官Yの処分に対し、手続補正指令書がX代理人らの事務所に到達していないなどとして、右処分の取消し等を求めて...
《解 説》
一 X(原告)はAに対して、元利金を毎月分割して支払うとの約定で八七〇〇万円を貸し付け、Y(被告)はこれを連帯保証したが、右消費貸借契約には、分割金の支払を一回でも怠ったとき又はAにつき和議開始の申立てがあったときは期限の利益を喪失する旨の特約があった。右貸付け後、XはAから元...
《解 説》
一 本件事案は、ゴルフ場建設中に倒産したゴルフ場運営会社について、新規融資によりゴルフ場を完成させて、新たにゴルフ会員権を販売し、その販売益によってゴルフ場建設等の開業に要した費用及び和議債権の弁済をするという再建計画を中核とする和議を認可したものである。和議不認可事由としては...
《解 説》
一 本件は、被告人が用心棒をしていた飲食店の経営者に対し、知人である暴力団組員が恐喝をすることを予想しながら、被告人が右経営者を右組員に引き合わせ、さらに、同人に代わって右経営者から喝取金の交付を受けてそれを組員に渡すなど、喝取金受渡しの仲介などをした事案である。原判決が、脅迫...
《解 説》
一 本件は、中学校教諭である被告人が、その教え子である女子中学生二名に対し、それぞれ性具である電動バイブレーターを提供するなどして、被告人の面前で自慰行為をさせたことが児童福祉法六〇条一項、三四条一項六号(以下、「本号」という)にいう「児童に淫行をさせる行為」をした罪に当たると...
《解 説》
本件は、東京銀座の中心部(みゆき通りと西銀座通りの角地)にある賃貸店舗等について、増額賃料の確認等を求める事件である。従前の建物の賃料が近隣の建物賃料に比較して低額であったのを、家主が改訂しようとしたことと、最近における固定資産税の増徴により、建物敷地の地代の額が急激に上昇し、...