最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、大阪府高槻市の内申書開示請求訴訟の控訴審判決である。
市立中学三年に在学していた原告Xは、公立高校への入学願書の提出に先立ち、高槻市個人情報保護条例に基づいて、市教育委員会Yに対し、入学者選抜の資料として公立中学から公立高校に送付される調査書(内申書)の開示を請求...
《解 説》
X1の夫であり、X2の父であるAは、平成三年一一月六日午後六時五〇分ころ、自宅付近をジョギング中、町道に掘削された穴(深さ八二センチメートル)に転落し、一〇日後に急性心不全により死亡した。Xらは、町道の設置者であるY1町に対しては国家賠償法二条一項に基づき、工事業者であるY2社...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年一〇月二四日から、神戸市中央市民病院に入院し、高血圧症等の治療を受けていたが、同月二七日、同病院一一階の面会コーナーに設置されていた椅子に腰掛けたところ、右椅子の座席部分を支える鉄パイプが突然外れたため、仰向けに一回転して床にひっくり返り、頚椎捻挫、腰椎捻挫...
《解 説》
一 本件は、昭和四一年一一月一八日Y社に入社し、平成六年三月一〇日に定年退職したXが、平成六年一月一日から三月一〇日の定年退職の日までの間に合計一二日間の休暇を取得したところ、Yはそのうち四日分は年次有給休暇と認めたが、それを超える部分は欠勤としてそれに見合う賃金を退職時に支給...
《解 説》
一 本件は、中学校及び高等学校を経営する学校法人Yが、専任講師として採用していたXに対し、(一)一年間の雇用期間が満了した、(二)仮に期間の定めのない雇用契約であるとしても一年間の試用期間中の本採用拒否であり留保された解約権に基づく解雇であるとして、雇用契約の終了を通告したのに...
《解 説》
Xの夫Aは、昭和二九年四月にN市立中学校教諭として採用され、同五二年四月からT中学に勤務し、理科を担当するほか、同五三年四月から生徒指導主事の地位にあったものであるところ、同五八年六月の未明に胸の痛みを訴えて倒れ、救急車で病院に運び込まれたが、心筋梗塞により死亡した。Xは、Aの...
《解 説》
X信用金庫は、昭和五八年八月、A株式会社との間で信用金庫取引契約を、Yとの間で、AのXとの間の信用金庫取引契約に基づく債務について、期間を同六一年九月末まで、金額を元本限度額二億円及びこれに附帯する利息・損害金とする限定連帯保証契約をそれぞれ締結した。XはAに対し、同信用金庫取...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年一二月、ゴルフ会員権の売買などを業とするYから、株式会社野澤観光が将来開設するゴルフ場(大月中央カントリークラブ)の正会員の地位を代金三二〇万円で買受け、Yに対して右売買代金を支払ったが、野澤観光が平成二年末ころ倒産し、右ゴルフ場の開設は不可能となった。
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《解 説》
XはA社(代表者B)に合計一二億五〇万円を貸し付けたが、Yが連帯保証したと主張し、Y所有の不動産につき仮差押えを申請したほか、Yが代表者であるC社の有する賃料債権がYに帰属するものであるとして賃料債権につき仮差押えを申請し、いずれも認容された。Yは右各仮差押決定に異議を申し立て...
《解 説》
一 X(株式会社)は、会社の余剰資金を運用する目的で、経理部長であるAを担当者として、証券会社Yとの間で、昭和六〇年一月から現物株式などの有価証券取引を行っていたところ、昭和六二年六月にYの従業員であるBからワラント購入の勧誘を受け、平成三年四月までの間に、延べ約二〇〇回のワラ...
《解 説》
本件は、現職の国会議員が破産宣告の申立てを受け、議員歳費まで差し押さえられたとして社会の耳目をひいた事件である。
当時衆議院議員で建設政務次官であったXが、Y1発行の「週刊新潮」「『破産・代議士』X氏のそれでも『政務次官』」との記事が名誉を毀損するとして提訴したところ、これを...
《解 説》
一 X(当時八〇歳・無職)は、平成元年六月、Yらとの間で、X及びその家族らをそれぞれ被保険者とする各変額保険契約(基本保険金額合計一七億五〇〇〇万円、一時払い保険料合計約六億七〇〇〇万円)を締結し、金融機関からの借入により右保険料を支払ったが、同五年九月、Xを被保険者とするもの...
《解 説》
一 本件は、Yが、冒頭で「Xに新たな疑惑!『伊勢丹』へ脅迫状」とのテロップを流した後、アナウンサーが「昨年の秋、Xがロンドンにいる時、同じロンドンからこちらの伊勢丹本社に一通の脅迫状が届いていることが明らかになりました」等述べた後、「産業能率大学教授安本美典(文章心理学)」「X...
《解 説》
Xは自転車に乗っていたところ、Yの自動車が後方から追突し、Xは救急車で病院に搬送され、入院日数合計八〇日等を要する顔面挫創、鼻骨骨折、右膝裂創、上下肢擦過傷、上歯列骨折、頭部外傷、頚椎捻挫等の傷害を負った。XはYに対し、不法行為及び運行供用者責任に基づき、総額二三六〇万円余の損...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年一月、出張先の富山市で胸部痛等を感じ、富山日赤病院に緊急入院したが、その後関西労災病院に転院し、一か月に一回の割合で同病院に通院していたが、同年一〇月、兵庫県が運営する「姫路循環器病センター」を訪れ、診察を受けた。
同センターの診察で、Aは、僧帽弁狭窄...
《解 説》
一 X1は、第二子Aを懐妊したが、血小板が減少し、出血傾向が出現する可能性のある特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に罹患している疑いがもたれたため、切迫流産及びITP合併妊娠管理の目的で、国立大学医学部付属病院に入院した。その後、胎児は、推定体重が二七一二・三グラムになるなど正...
《解 説》
本件は、小型移動式クレーンを操作していたAが右クレーンの下敷きとなって死亡したことから、Aの使用者及びAの相続人であるXらが、保険会社であるYに対し、普通傷害保険契約及び自動車保険契約に基づいて、保険金の支払を求めた事案である。
本件においては、(1)本件事故が、普通傷害保険...
《解 説》
一 本件は、郵便貯金の預金名義人の母親(親権者)と祖父との間で預金の真の権利者が誰であるかについて争いのあるケースにおいて、郵便局員が預金名義人の母親に対してした郵便貯金の払渡しが郵便貯金法二六条の「正当の払渡」にあたるか否かが問題となった事案である。
二 郵便貯金法二六条は...
《解 説》
一 Xは、貸金返還請求事件について一審において、三億八一五〇万円の支払を命じられたので、これを不服として控訴したが、法定の手数料を収入印紙をもって納付しなかったところ、裁判長から、控訴の手数料として、収入印紙一八九万五四〇〇円の納付を命ずる補正命令を受けたため、これを不服として...
《解 説》
一 Aの申立てにより、Bに対して支払命令が発布されたところ、第三者であるXが、このAとBを相手に独立当事者参加をする目的で、この支払命令に対する意義申立てをし、併せて独立当事者参加の申立てをした。第一審ではXの各申立てはいずれも却下され、さらに各抗告も棄却された。この各棄却決定...
《解 説》
一 Yは旅行業等を行う会社であり、ホテルを経営するAとの間で、宿泊券の発行及びこれに関連する業務について定めた宿泊券契約を締結していたところ、Xは、Aを債務者、Yを第三債務者として、旅行者とYとの旅行契約に基づく宿泊に関しAがYに対して有する売掛金債権について仮差押決定を得、そ...
《解 説》
破産会社Aに対するB等の届出債権は、いずれもA所有の不動産に設定された根抵当権の被担保債権であり、その内容は、A社の代表者らが共謀して偽造した疑いの持たれているX振出名義でAの裏書に係る約束手形の手形買戻債務等である。Xは、B等から手形金ないし不法行為による損害賠償の請求を受け...
《解 説》
一 本件は、いわゆる撚糸工連事件の差戻後の控訴審判決である。撚糸工連事件は、昭和六〇年九月から六一年五月にかけて、撚糸の生産業者を組合員とする商工組合の連合会である日本撚糸工業組合連合会(いわゆる撚糸工連)の経理課長の使い込み事件に端を発し、同連合会の不正経理の発覚、同連合会幹...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
1 警察車両に乗車していた警察官は、被告人車両とすれ違った際、プレートの状態等から被告人車両が無車検車ないし盗難車ではないかとの疑いを抱いて追尾したところ、午後一時三八分ころ、被告人車両は現場道路を後退進行して停止し、警察車両も被告人...