最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 平成六年九月四日の関西国際空港の開港に伴い同空港で発生するタクシー需要に対応するため、近畿運輸局においては、同空港を事業区域とするタクシー事業者以外のタクシー事業者に対しても、同空港を発地とする旅客の輸送に限り同空港の地域において業務を行うことを可能にするために「ポイント免...
《解 説》
本件は、土地区画整理法に基づく仮換地指定(借地については仮に権利の目的となるべき宅地の指定)を受けたXらが施行者であるY市を相手に同処分の無効確認又は取消しを求めた訴訟である。Xらが仮換地指定を無効又は違法とする理由は、本件事業計画自体において、同法二条にいう「公共施設の整備改...
《解 説》
X1・X2夫婦の子であり、X3の孫であるY3市立小学校六年生のAは、平成四年四月一四日、学校近くの道路上で校外写生授業中、運送会社Y1の従業員Y2の運転するトラックに轢過されて死亡した。XらはYらに対し損害賠償を求める訴えを提起した。右訴訟においてY1が自賠法三条により、Y2が...
《解 説》
一 平成二年九月の台風一九号に伴う集中豪雨の際、和歌山県の二級河川日置川に設置された利水ダム(殿山ダム)の下流域で日置川が氾濫し、田畑や家屋が浸水するという被害が発生した。これらの浸水被害を受けたXらは、日置川が氾濫したのはダム操作に誤りがあったこと等に原因があるとして、殿山ダ...
《解 説》
Xは、殺人等被告事件につき第一審で死刑判決を受け、控訴中であり、T拘置所に勾留されている者である。Xの実母はXのためノートを差し入れたが、Xは、同拘置所所定の「ノート使用許可願」に多数の注意事項が記載されているのを不服として右願箋に署名指印をしなかったため、右ノートの交付を受け...
《解 説》
Xらは、米軍が使用している伊江島補助飛行場の敷地の所有者であるが、米軍用地使用等特措法一四条、土地収用法七二条により使用裁決が下され、昭和六二年三月、一〇年間分の使用料相当の損失補償金を受け取った。Xらは、確定申告をした後、税額等の計算に誤りがあったとしてY税務署長に更正の請求...
《解 説》
Y銀行は、六〇歳定年制を採用しており、行員一人当たりの経常利益が全国地方銀行の中でも最下位グループを低迷していたことなどから、昭和六一年五月以降、五五歳以上の者の給与額を凍結し、五五歳に達した管理職階者は、原則として専任職として従来の役職から外れることとした。次いで、同六三年四...
《解 説》
一 原告らは、郵便局等に勤務する郵政職員であるが、所属の郵便局長等は、近畿郵政局長達第五九号等を受けて、氏名札の着用を命ずる職務命令を発し、これに従わない職員に対し、訓告処分を発した。
郵政省人事局長通達等によれば、引き続く一年以内に三回以上の訓告処分を受けた職員は、定期昇給...
《解 説》
一 Aは、昭和二六年九月から昭和五五年三月までの約三〇年間にわたり、主に坑夫として粉じん作業ないしこれに類する作業に従事していたところ、昭和五五年ころじん肺と診断され、同年九月九日付けで、じん肺法四条二項所定の管理区分「管理三ロ」との決定を受けた。Aは、遅くとも昭和五六年一一月...
《解 説》
一 Xは、「朝日九段マンション」の区分所有者であるが、同マンションの管理組合法人であるYが、平成元年二月一九日開催の定期総会においてした「管理組合・規則」の改正に関する決議(「所有個数及び専有面積に拘わらず、組合員は一票の議決権を有する」旨の改正)について、建物の区分所有等に関...
《解 説》
一 X1は昭和六〇年九月、X2は昭和六三年四月、X3は昭和六一年二月、Yから、鉄筋コンクリート造五階建共同住宅の一部をそれぞれ賃借していたところ、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災により右共同住宅は損傷し、修理しない限り使用不可能な状態になったにもかかわらず、Yが修繕を行わ...
《解 説》
一 本件は、個人指導による高度な学習内容を掲げて生徒を募集した学習塾における指導内容が、当初の説明内容と全く異なる低レベルのものであったとして、中学二年生ないし三年生の児童及びその父親が、学習塾の経営者を被告として、授業料全額の返還及び慰謝料の支払いを請求した事案である。
二...
《解 説》
一 本件は、賃貸借契約の解約に基づく建物明渡請求事件において立退料の支払と引換えに建物の明渡を命ずる判決を受けた賃借人が、賃貸人に対し、右判決で認定された立退料の支払等を求めた事件である。
賃貸人である被告は、建物明渡請求事件の第一審において立退料なし又は五〇〇万円の立退料を...
《解 説》
XとYはいずれも中国人であり、わが国に勉学目的で滞在している者であるが、ある日、YがXの右目付近をナイフで刺し、Xの右目を失明させた。XはYに対し、損害賠償請求の訴えを提起した。Xは、損害額の計算方法として、逸失利益については日本の賃金センサスにより、慰謝料についてはわが国の基...
《解 説》
一 原告Xはオートバイによる配達業を目的とする会社であるところ、Xの従業員であった被告Y1及び訴外Aは、Xを退職後、Y1の父親である被告Y2の協力を得て、Y2の経営する訴外会社の一部門として、Xと営業内容を同じくするオートバイによる配達業を開業した。Y1及びAは、開業にあたり、...
《解 説》
一 本件は、AVM(脳動静脈奇形)の全摘出手術に関する医療過誤事件である。
二 Aは、昭和四八年ころから左半身の麻痺や頭痛等の症状が出現し、大型のAVMと診断された。その後数年間、本件手術を行った病院等において投薬治療等を受けてきたが、症状の増悪、AVMの成長がみられたとして...
《解 説》
一 本件は、A株式会社の株主であるXが、①A株式会社のB株式会社に対する貸付金について、Yが右両社の代表取締役であるにもかかわらず取締役会の承認がなく、また、高額の貸付けであるにもかかわらず担保を徴しておらず、回収不能である、②A株式会社のB株式会社に対する土地売却について、代...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年一〇月二九日、山口県熊毛町内の県道上を、軽貨物自動車を運転して走行中、島田川にかかる橋の欄干に衝突し、全身打撲により死亡するに至った。
そこで、Aの相続人であるXらは、Aが傷害保険契約を締結していたY保険会社に対し、死亡保険金八〇〇〇万円を請求した。
...
《解 説》
一 Xは、Y(病院)において頚椎前方固定手術を受けたが、Yが右手術前にXに対して行った心電図検査ではXには異常が発見されており、Yは右手術を行うべきではなかったという事実を立証するために、右心電図記録(以下「本件文書」という。)が必要であるとして、その提出命令を求めた。これに対...
《解 説》
一 Xは、液化石油ガス等の仕入販売を業とする会社であり、昭和五一年一二月に更生手続が開始されたA会社のいわゆるスポンサー会社であって、A会社の必要とする原材料を供給したり、資金援助をしてきたが、平成四年四月A会社が手形の不渡りを出して倒産し、同六年八月に更生手続も終結したため、...
《解 説》
本件は、インターネット接続専門会社(プロバイダー)の会員である被告人が、同社のサーバーコンピューターにホームページを開設し、男女の性器・性交場面等を露骨に撮影したわいせつ画像のデータを記憶・蔵置して、インターネットの利用者が容易に被告人のホームページにアクセスして右わいせつ画像...
《解 説》
一 本判決は、常習累犯強窃盗罪における過去一〇年間に三回以上六月の懲役以上の刑の執行を受けた罪に、刑法二四〇条の強盗致死傷の罪が含まれる、としたものである。
二 盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律三条では、常習として同法二条に掲げた刑法各条の罪又はその未遂罪を犯した者で、「其ノ行...
《解 説》
本件は、覚せい剤の自己使用の事案であるが、被告人の尿から覚せい剤成分が検出され、被告人も、自宅を掃除中に覚せい剤のような結晶一個を見つけてなめてみたら、思ったとおり覚せい剤であったが、口に入れた後だったので水で飲み込んだ旨の自白をしたものの、他方、被告人方から注射器が発見され、...