最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、平成四年七月二六日に施行された参議院議員選挙について、大阪府選挙区の選挙人が大阪府選挙管理委員会を被告として、公職選挙法(平成六年法律第二号による改正前のもの。以下同じ。)一四条、別表第二の参議院(選挙区選出)議員の定数配分規定(以下「本件定数配分規定」という。)は...
《解 説》
一 本件は、いわゆる保険金詐欺目的の殺人、詐欺等の事件について、第一審で死刑が宣告され、原審でもその科刑が維持されたが、最高裁が刑訴法四一一条二号によって職権で原判決及び第一審判決を破棄した上自判し、被告人を無期懲役に処した事案である。
原判決(本誌六七四号二四七頁)及び第一...
《解 説》
一 事案の概要
那覇防衛施設局長は、建築基準法一八条二項に基づいて、海上自衛隊の庁舎の建築工事に関する計画を那覇市建築主事に通知し、右建物の設計図及び建築申請に関する資料を提出したところ、建築主事は、右申請が建築基準法に適合している旨の判断をした。その後、この資料は那覇市で保...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Y3銀行からの借入金により保険代理店Y2を通じて保険会社Y1に保険料を支払い、変額保険契約を締結した六八歳から七八歳までの老人四名(X1、X4、X6、X7)及び信用保証会社Y4の求償債権等を担保するために所有不動産に根抵当権を設定した親族等四名(X2、...
《解 説》
一 本件は、「名古屋市議会の議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例」に基づく定数配分規定の下で平成七年四月九日に行われた名古屋市議会議員一般選挙につき、投票価値の較差、逆転現象及び人口比定数と現行定数のかい離等から定数配分規定は公職選挙法(以下「公選法」と...
《解 説》
一 本件は、被告の経営する「浴場を主体とした遊戯施設」においてマッサージ師として勤務していた原告が、被告のした解雇の無効を主張して、未払賃金の請求をした事件である。
第一審及び原審は、以下のように判示して、本件解雇は無効であるが、被告がその後予備的にした解雇は有効であるとして...
《解 説》
一 連帯保証債務を担保するための抵当権に基づく競売の申立て及び競売開始決定正本の連帯保証人に対する送達が、連帯保証の主債務の時効中断の効力を有するかが争われた事件である。
二 本件の事実関係の概要は次のとおりである。
1 Xは、住宅ローン融資などを業とする会社、Aは、不動産...
《解 説》
一 借地法一二条二項は、賃料増額紛争について、同条一項の賃料増額請求により請求時に当然に適正額に増額されたことになることを前提として、借地権者は、増額を正当とする判決の確定までは「相当ト認ムル」賃料を払えば足りる(支払額が結果的に適正額に不足していたとしても債務不履行にならない...
《解 説》
一 申立人らは、使用団体名を「徳山ダム建設中止を求める会」として、建設省との対話集会、全国集会(本件集会)を開催するため、被申立人に対し、大垣市学習館・文化会館(本件施設)の使用許可の申請をし、被申立人はこれを承認した。しかし、被申立人は、本件集会が本件施設の設置目的に違反する...
《解 説》
X1・X2夫婦の子Aは自転車に乗っていたところ、Bの運転する貨物自動車による交通事故のため死亡した。右交通事故については業務上過失致死事件として立件されたが、検察官はこれを不起訴処分とした。X1は、検察審査会に審査の申立てを行ったところ、同会はX1を検察審査会法三〇条の申立権者...
《解 説》
Xらの先代Aは昭和二六年以来、Bから土地を賃借していたが、同六二年二月末日に土地賃貸借契約の期間が満了したとして建物収去及び借地の明渡しを求める訴えを提起された。その訴訟中にBが土地をCと交換したため、Cが訴訟に当事者参加し、Bは訴訟を脱退した。CのAに対する請求は、立退料とし...
《解 説》
本件建物は、Aが持分一〇分の七、Bが持分一〇分の三を有していたところ、AとBは連帯債務者としてY1から九六〇万円を借り受け、本件建物等に抵当権を設定した。その後Bは、Y2に対する保証委託契約に基づく求償債権三五〇万円について抵当権を設定した。これに次いでXはY1に二二〇〇万円を...
《解 説》
一 本件は、ゴルフ場開発会社である被告との間で、正会員としての入会契約を締結した原告が、いつまでたってもゴルフ場が開場しないため、履行遅滞を理由に入会契約を解除し、入会金及び預託金の返還を求めた事案である。
本判決は、ゴルフ場の開場予定が平成四年一〇月で、原告による解除の意思...
《解 説》
一 本件の事案の概要は以下の通りである。
Y1は、Xから土地(以下「本件土地」という。)を賃借し、その上に建物(以下「本件建物」という。)を建築したが、その後、A銀行(補助参加人)のために、本件建物に極度額四億八〇〇〇万円の根抵当権を設定し、その登記を経由した。右根抵当権設定...
《解 説》
一 Xは本件変額保険契約締結時の年齢が六二歳の無職女性であり、公務員であった夫を一年前に亡くし、その際の五億円を超える相続財産についての相続税の申告の経験から、相続税対策の必要を感じていた者である。Y1は保険会社、Y2は保険料を融資した銀行、Y3は右融資の保証会社、Y4はY2か...
《解 説》
Xら姉妹は、税理士Y4に亡母の相続税の申告を依頼し、X1が事務員のY5に自身の相続税対策について相談したことから、Y5がX1宅にA保険会社の社員Y3を伴って訪れ、Y3からXらに対し、変額保険の説明と勧誘をした。その結果、XらはA社の変額保険に加入する手続をとろうとしたが、Xらは...
《解 説》
本件は、大正七年生の女性からY証券会社に対し、外貨建てワラントと株取引について、代金の返還又は損害賠償を求めた事案である。ワラントについてXは、無断で取引がなされた、又は転換社債と同様のものと錯誤して取引したとして代金の返還を求め、あるいは、Yの社員がXに適合性がなく、その危険...
《解 説》
Y弁護士は、Aの代理人としてXらに対し、AがB社から購入した物品の代金五七一万九〇〇〇円について、Xらがいわゆる霊感商法に関わったことを理由に返還を請求する通知書を送った。XがYに支払義務がない旨回答すると、Yはその後三回にわたり、Xに支払義務のあること等を記載した通知書を送っ...
《解 説》
亡Aの相続人として妻B、子Xら三名のほか三名がおり、Xらの相続分は一二分の一であった。Xらは、AのY1銀行に対する預金債権、Y2証券会社に対する預託金返還請求権の各一二分の一の支払を求める訴えを提起したところ、Yらはいずれも遺産分割協議が成立しておらず、共同相続人全員の同意のな...
《解 説》
Xは日本人男性、Yはイタリア人女性である。二人は昭和五八年に日本国内で婚姻し、同六〇年に双子の男児を得た。しかし、双方の勉学や仕事の都合で同居した期間は四か月程度に過ぎず、Yは、六一年三月、子ら二人を連れてイタリアに帰国し、同年四月、Xに対して離婚を申し入れた。Xの拒否にあい、...
《解 説》
X1はT市で産業廃棄物処理業を営んでいる者であるが、N市で新たに産業廃棄物処理業を営もうと考え、Aに共同経営の話を持ちかけた。その結果、昭和六三年一二月、有限会社Y(現代表者A)が出資金五〇〇万円で設立され、出資口数は定款の上ではX1が二〇〇口、その妻X2が五〇口、Aが二〇〇口...
《解 説》
Xは、母Aが合名会社であるYの社員であり、合計二分の一の持分を有していたところ、Aが死亡退社したので、Xの相続分二分の一に応じた持分の価格七九九四万円余の払戻請求権を有すると主張して、その支払いを求める訴えを提起した。これに対しYは、本案前の抗弁として、Aの遺産につき、分割の協...
《解 説》
Yは平成三年一〇月、X(NTT)との間で四本の電話につき電話利用契約を締結したが、同年一二月分ないし同四年一月分から電話料金を滞納したので、同年二月ないし三月から通話停止となり、同年一一月には電話利用契約を解除された。XはYに対し、同年三月ないし四月分からの未払電話利用料金合計...
《解 説》
一 本件は、被告人(女性)が共犯者A男・B子から誘われ、飲食店経営者に睡眠薬を飲ませて金品を取るという昏酔強盗の計画に加わり、三名でスナックに入って経営者Vにビールを勧め、B子が睡眠薬をVのグラスに入れて飲ませたものの、Vが眠り込むには至らなかったため、A男が待ち切れずにVに暴...
《解 説》
一 本件は、甲、乙を起訴後も取り調べることによって検察官調書が多数作成され、甲の検察官調書のなかには第一回公判後のものもふくまれていたところ、それらを共犯者である本件被告人の事件において取調べたことの適法性が控訴審で問題となった事例である。
弁護人は、起訴後の取調べは違法であ...
《解 説》
一 本件は、四才の幼女に対し、猥せつ誘拐、殺人、死体遺棄をなしたといういわゆる足利幼女殺害事件の控訴審判決である。捜査の過程で、犯行現場付近の川底に投棄されていた被害者の半袖下着に付着していた精液と被告人が捨てたティッシュペーパー付着の精液の血液型及びDNA型が一致するとの鑑定...