最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 平成二年八月のイラクによるクウェイト侵攻から勃発したいわゆる湾岸戦争において、わが国は、平成三年一月二五日にアラブ諸国協力理事会が設立した湾岸平和基金に対して九〇億ドル相当を振り込んで資金を拠出し、その後の正式停戦までの期間においてペルシャ湾内の機雷除去のために自衛隊の掃海...
《解 説》
一 事案の概要
少年七名は、平成五年三月一日午前零時半ころ、京王線調布駅前南口広場等において、一九才の男性ら五名に対し、殴る、蹴る等の暴行を加え、うち一名に全治約三週間の傷害を負わせたという傷害、暴力行為等処罰に関する法律違反の非行事実で、東京家裁八王子支部に事件の送致がなさ...
《解 説》
一 不法在留外国人Xは、交通事故で重傷を負ったために治療費についての生活保護を申請したが、福祉事務所長Yは右申請を却下し、これに対する審査請求も却下された。Xは、①生活保護法(以下「法」という。)の適用対象に外国人も含まれているものと解すべきであるから、外国人であることを理由に...
《解 説》
Xら一三名はY土地区画整理組合の施行地区内の土地について所有権を有するYの組合員であるが、Yが平成二年五月にした仮換地指定処分が照応の原則に反すると主張して、取消しを求める訴えを提起した。Xらは、その具体的根拠として、Xらが適式な地積更正申請をしたのにYはこれを無視したこと、Y...
《解 説》
一 A(ゴルフ場開発業者)は、岐阜県恵那郡山岡町馬場山田地区一帯の山林をゴルフ場として造成することを計画し、Y(岐阜県知事)に対し森林法一〇条の二に基づき、開発行為の許可を申請し、Yはこれを許可した。
Xらは、本件開発行為をする区域内の土地に入会権を有している者、立木を所有し...
《解 説》
Xらの子AはY市立中学校一年生でサッカー部に所属していた。Aとその同級生三名は、サッカーの練習をするためYが建設した一般公開前の多目的広場に入った。ゴールキーパー役をするつもりのBは広場に置かれていたゴールの位置がダッグアウトに近くて後ろに倒れると危ないと考え、Cにゴールを前に...
《解 説》
一 本件は、被告である中間市長が河川法六条一項三号によって河川区域に指定されている原告所有の土地(以下「本件土地」という。)に係る固定資産税の賦課決定処分(以下「本件処分」という。)をしたところ、原告が、本件土地は地方税法三四八条二項一号所定の「公共の用に供する固定資産」に該当...
《解 説》
一 Xは、長年タクシー会社に勤務してタクシーの乗務員として稼働していた者であるが、昭和五六年五月、自宅において就寝中に胸に激痛を感じ、病院に搬送されたが、急性心筋梗塞と診断され、療養のため労働することができなくなった。
そこで、Xは、昭和六三年一二月、右疾病は業務上の事由によ...
《解 説》
X1は昭和三四年一月、Y県の職員に採用された者、X2は同三三年に臨時職員となり、同三七年一月に正職員となった者であり、いずれも、県職員で構成される労働組合の反主流派に属していた。Xらは、右の反主流派に属していたことを理由に当局から昇任、昇格において不当な差別を受けたと主張し、逸...
《解 説》
一 Xは、ハンバーガー販売店を全国的に展開する会社であって、平成四年六月、国道二〇号線に面した東京都杉並区下高井戸所在のマンションの一、二階を賃借して、いわゆるドライブ・スルー方式の店舗を開店したところ、付近にマンションを所有しているY1とY2が、右店舗の西側にある本件私道を通...
《解 説》
一 Xは、先代から建物所有を目的として賃貸してきた東京都中野区所在の本件土地の賃貸借の存続期間経過後、賃借人Yの使用継続に対して遅滞なく異議を述べたうえ、期間満了により賃貸借が終了したとして、昭和六二年一二月、Yに対し、地上建物を収去して本件土地の明渡しを求める訴訟を提起した。...
《解 説》
一 Xは、貸金業を営む会社であるところ、平成二年一二月から平成三年八月までの間に、訴外A会社の代表取締役Bに対し、A会社の資金として合計一億一五〇〇万円を貸付けたが、右貸付けに際し担保を要求したところ、Bは、A会社がYに対して有する独身寮新築請負工事代金中二億円をXに代理受領さ...
《解 説》
一 X(本訴原告・反訴被告)は、化粧品の輸入販売等を目的とする会社であり、Y(本訴被告・反訴原告)は、広告宣伝に関する業務等を目的とする会社である。Xは、Xの輸入販売するぬいぐるみ(本件商品)について、小道具としてテレビ番組「渡る世間は鬼ばかり」(本件ドラマ)の映像に乗せること...
《解 説》
一 Xは、昭和五六年四月から、貨物自動車運送事業等を目的とするY2会社に勤務していた者であるが、同年九月、売主から運送の依頼を受けた缶入り清涼飲料水を目的地である買主の支店にまで運送し、買主の簡易リフトを使い、これに搭乗して清涼飲料水を二階倉庫に運搬中、突然ワイヤーが切れ、右リ...
《解 説》
Xは、Y証券会社との間で、平成元年五月に、分離型の外貨建ワラントの取引を行い、三五八万円余を支払ったが、右ワラントを発行した会社の株価が権利行使価額を下回ったまま権利行使期間を経過したため、右ワラントが無価値となった。Xは、Yの担当社員AがXに対して右ワラントを勧誘する際、分離...
《解 説》
一 Xは、本件当時、いわゆる「ゼネコン疑惑」の渦中にあった有力政治家Aの公設第一秘書の職にあった者であるが、Y1の発行するスポーツ紙上で連載記事を掲載している政治評論家のY2が、(1) Aのゼネコン汚職疑惑に関わりXが東京地検特捜部の取り調べを受けた(本件第一記事)、(2) X...
《解 説》
一 Xは、Y1の経営するスイミングスクールのアルバイト水泳指導員であり、上司のY2の監督を受けながら受講生の水泳指導をしていた。
事故当日、Xは、指導員二名で一五名の受講生を水泳指導する予定であったが、他の指導員が休みをとったために、Y2の指示により一五名の受講生を一人で指導...
《解 説》
一 本件は、肺癌患者に対する放射線治療の当否が争われた事例である。
亡Aは、昭和五九年当時、五二才の主婦であったが、被告Yが運営する国立療養所松戸病院で、肺の腺様嚢胞癌であることが判明した。手術はできない状態であったので、Yの担当医は放射線治療を実施することにして、同年暮(第...
《解 説》
XはAに対しイカ釣りロボットの前面操作パネル三〇一台を一台二六万六〇〇〇円、合計八〇〇六万六〇〇〇円で売り渡した。AはBに運送を委託し、Yとの間で右貨物につき一台三三万四〇〇〇円、合計一億〇〇五三万四〇〇〇円として運送保険契約を締結した。Bの運転手は、右貨物をトラックに積載して...
《解 説》
一 本件は、昭和六一年から平成五年までの間に休刊又は廃刊となった雑誌二八六誌の最終号の表紙、休廃刊に際し出版元等の会社やその編集部、編集長等から読者宛に書かれた文章(「本件記事」)やイラスト等を電子複写機器により複製してこれらを休廃刊の年毎にまとめ、写真製版の方法により印刷した...
《解 説》
1 事案の概要
判例要旨は、本訴事件の実体法上の判断に関するものであるから、その限度で紹介する。
原告らは、中小企業等協同組合法上の協同組合である被告組合の組合員ないしその相続人であったが、その脱退に当たって、被告組合の定款の定めに従い、持分の全額の支払いを請求した。それに...
《解 説》
一 本件は、X社が、従来から株式取引をしていた証券会社Y社が、取引上の損失を出したことから、同社の従業員との間で一定期間経過後に一定の価額でY社又は第三者が株式を買い取る旨の買戻条件付の株式売買取引をするに至り、その後一〇回の同取引を経たが、一一回目の取引において定められた価額...
《解 説》
Y電力会社は、原発の立地環境調査をするため県知事から海域の占有許可を受け、また、X1漁協ら隣接八漁協が設置した共同漁業権管理委員会の同意を得て、流況調査、水温・塩分布調査、水質・底質調査、海生生物調査、深浅調査等を実施している。X1漁協、その正組合員であるX2ら漁民は、右立地環...
《解 説》
本件は、保線作業中列車看視の業務に従事していた者については、接近してくる電車の有無を常に確認して、作業員に電車の接近を知らせて避譲させる義務があるのに、これを怠った過失があり、また、電車運転手については、前方を注視して進路の安全を確認すべき義務があるのに、これを怠った過失があり...
《解 説》
本件は、精神薄弱の障害を持つ被告人が、飲酒の上、夜間、次々に放火を繰り返し、そのうち二件について起訴されたという事案である。
弁護人は、被告人が、本件各犯行時、幼児期からの難聴及びこれを主因にした精神薄弱に加え、異常酩酊若しくはこれに近い強度の酩酊のため、是非弁別能力又は行動...
《解 説》
一 本件は、罪となるべき事実に対する証拠の標目として、「被告人の当公判廷における供述及び検察官提出の各証拠によって認めることができる」と記載していた原判決につき、被告人の原審公判廷における供述を示している点では証拠の標題又は種目を示しているものの、それのみでは罪となるべき事実を...
《解 説》
被審人は、石油製品販売業者を組合員とする事業者団体である。被審人は、石油製品の小売価格の低落防止のため、旗振り行動、記念セール、安値の看板掲示等をしないなどの内容の「自粛ルール五原則」を定め、その後さらに、その一部である記念セールの禁止条項を緩和して、記念セールをするときには、...