最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、不動産競売手続において、物上保証人に対する抵当権の実行による競売開始決定の送達(民執法一八八条・四五条二項)が、郵便に付する送達(民執法二〇条・民訴法一七二条)により行われた場合における被担保債権の消滅時効の中断の効果が問題となった事件である。
X(信用保証協会)...
《解 説》
本件は、原告(警察官)が、被告により懲戒免職処分を受けたところ、その原因となった非違行為により起訴された別件の刑事事件において、非違行為当時心神喪失の状態であったとして無罪判決がなされたため(この判決は控訴されることなく確定している)、前記処分の無効確認を求めたものである。
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《解 説》
一 訴外Aは、昭和五〇年三月当時、東北大学金属材料研究所助手であったが、同月二七日、同研究所附属道川爆縮極強磁場実験所において、同研究所B教授の指導のもとに、火薬爆発を利用した極強磁場下におけるゼーマン効果の磁気分光学的実験を行うため、他の助手とともに準備作業をしていたところ、...
《解 説》
Xの夫Aは資本金一〇〇〇万円のY株式会社に雇用されていた。YはB生命保険会社との間で、Aを被保険者、Yを保険金受取人とする死亡保険金三〇〇〇万円の生命保険契約を締結した。YがAの同意の署名捺印を得てB宛に提出した「生命保険契約付保に関する規定」と題する書面には、「この保険金契約...
《解 説》
X及びAは、昭和六二年七月、B社から懲戒解雇され、同六三年三月、法律扶助協会の扶助決定を得て、同年五月、Y弁護士にBらに対する訴訟手続を委任した。Yは、X及びAの代理人として、一年一一か月後の平成二年四月、B社及びその代表取締役Cを被告として不当解雇を理由とする慰謝料請求訴訟を...
《解 説》
一 事案の概要
本件土地の所有者であるXは、A株式会社に対し、地上権を設定した。A株式会社は、本件土地上に区分所有建物(ホテル)を建設し、区分された部分を本件地上権の割合部分とともに一般に分譲した。A株式会社は分譲を受けた各地上権者から各割合的持分の地代を徴収し、まとめてXに...
《解 説》
本件は、創価学会員Xらから日蓮正宗に所属する寺院Yに対して遺骨改葬等を申し出たのに対し、Yの住職Aのとった対応が不法行為となるか否かが争われた事案である。本判決の事実認定によれば、事実関係は、およそ次のとおりである。
X1は、Y寺に埋蔵された養父らの遺骨を改葬しようとしてYの...
《解 説》
原告は、神戸市内に診療所を構える歯科医師であるところ、平成二年七月、相続税対策として保険会社の従業員の勧誘を受け、同年九月六日付けで、被告生命保険会社との間で、自己を被保険者とする死亡保険金三億円、終身型の一時払変額保険契約を締結し、保険料一億〇七五六万五〇〇〇円は、銀行からの...
《解 説》
一 本件は、被告テレビ局の記者が人権擁護団体に同行して原告法人が経営する精神病院との交渉の様子と病院の内部を無断で撮影取材した行為の不法行為の成否、及び被告テレビ局が右病院を実名で取り上げ精神病院一般の閉鎖性を問題とするドキュメンタリー番組を制作放映した行為が名誉毀損の不法行為...
《解 説》
Xは夫を交通事故で亡くした昭和一三年生まれの主婦であるが、平成元年一一月一日にY証券会社からドル建てワラントを一九七万円余で購入し、同月八日に受渡しがあったものとされた。右ワラントは無価値となって行使期限を迎え、Xは損害を被ったので、Yに対し、無断売買、説明義務違反、適合性原則...
《解 説》
Xは、昭和三年生まれであり、貸しビル会社のオーナー社長であるが、Y証券会社の社員Aの違法な勧誘により、五回にわたりワラントの取引をし、その結果、五〇七四万円余の損害を被ったと主張し、弁護士費用を含めて合計五五七四万円余の損害賠償を求めた。Xが主張するAの違法行為とは、①機関投資...
《解 説》
Yの発行する月刊誌「選択」上において、就職情報誌の発行を目的とする株式会社Xに不渡り騒動があったとの記事が掲載された。Xは、右記事が読者にXがいつ不渡りを出してもおかしくないほどの経営危機の状態にあるとの印象を与えるもので、Xの名誉・信用を著しく毀損されたとして、Yに対し、名誉...
《解 説》
Xは、保険会社Y1の外務員であるY2の勧誘により、A銀行から一億二〇〇〇万円を借り入れたうえ、平成二年六月、Xを被保険者とする保険料七〇〇〇万円の変額保険及び妻Bを被保険者とする保険料三〇〇〇万円の変額保険に加入した。Xは、同四年九月、変額保険を解約したが、解約返戻金は六七一九...
《解 説》
一 Xらは、商品取引員に委託して、取引所において生糸の先物取引を行っていたものであり、Y1は、生糸先物取引の公設市場である。
本訴は、平成元年二月頃から同年五月頃にかけて生糸相場の高騰のために先物取引で損害を被った売り方のXらが、取引所が生糸相場の高騰に際して取った規制措置あ...
《解 説》
事案の概要は次のとおりである。
X1は、Y医院で昭和六〇年一月九日午後九時二七分、予定日(一月三一日)より早く低出生体重児として出生した。Yは、一一日午後八時ころ、X1の血清ビリルビン値を測定したところ、正常範囲の八・四㎎/dlであったが、その際多血症が疑われた。Yは、一二日...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五一年四月、Y1(保険会社)に入社し、昭和六〇年八月から東京営業第二部小岩支社勤務となっていたが、昭和六二年一一月、東京女子医大病院において肺癌による呼吸不全により死亡した。
そこで、Aの姉であるX1と兄であるX2は、当時Aが勤務していたY1がY2(診療所)...
《解 説》
一 本件は、原告がハンガリー出身の画家エルミア・ド・ホーリィの制作した絵画三点(本件各絵画)を輸入しようとしたところ、被告が本件各絵画はボナールら著名画家の制作した絵画(本件各原画)の複製物ないし二次的著作物であり、関税定率法(平成六年法律第一一八号による改正前)二一条一項四号...
《解 説》
XはAに対し、土地を代金七億三一二一万円、違約損害金は代金の二割との約で売り渡し、手付金一〇〇〇万円を受領したが、Aから残代金の支払がなかったので、催告をした上で右売買契約を解除した。XがAに対し、違約金から手付金を控除した金額の支払いを求める訴えを提起したところ、Xの全部勝訴...
《解 説》
Xは、建物の増改築を業とする会社であるが、平成五年三月七日、八四才の老人Y(翌六年一〇月二五日に禁治産宣告を受けた)との間で代金額一七五万円(消費税を除く)の屋根改装工事契約(フッ素樹脂塗装鋼板の販売と取付工事請負契約の混合契約)を締結し、工事を施工したが、解除されたため一七六...
《解 説》
本件は、現に訴訟係属中の事件において自働債権として相殺の抗弁を主張している債権を別訴において請求した事案である。本件判決は、右のような場合においても審理の重複と判断の矛盾を避けようとする民訴法二三一条の趣旨は妥当するとして、本件請求中、係属中の先行訴訟において相殺の抗弁が提出さ...
《解 説》
一 本判決は、生命保険金取得目的で被害者を殺害し、保険金を騙取したといういわゆる上磯沖保険金殺人事件の控訴審判決であり、主犯とされた被告人に対して無罪を言い渡した一審判決(本誌八一八号一二九頁)を破棄したものである。
本件公訴事実の要旨は、被告人が、①共犯者A、B、C、Dと共...
《解 説》
一 本件は大阪府知事の昭和六〇年一ないし三月の交際費に関する公文書の公開を拒否した処分の取消訴訟である。第一審大阪地裁はこの公文書を全て公開すべきものとして知事の拒否処分を取消し、差戻前の控訴審大阪高裁も同様に判断して控訴を棄却した。しかし上告審の最高裁第一小法廷は控訴審判決を...