最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、衆議院議員で国務大臣北海道開発庁長官であった被告人が、その在職中に、北海道内においてリゾート総合開発計画を有していた株式会社共和の副社長から、北海道総合開発計画に基づく道路整備事業として事業化が見込まれていた高規格幹線道路の右リゾート開発地周辺の新設予定箇所に関する...
《解 説》
一 本件は、行政書士である被告人が平成二年一一月一六日から平成五年一月二五日までの間に、のべ一七回にわたり、多数の依頼者から嘱託を受け、四箇所の法務局支局ないし法務局出張所において、有限会社の設立、変更のほか、所有権移転、抵当権抹消など、合計一七件の登記申請代理を行った事案であ...
《解 説》
一 本件は、自賠法七五条の定める二年の消滅時効の起算点に関する。
原告は、昭和五九年三月二四日ひき逃げされ、同六〇年二月二日に症状固定し、後遺症が残った。被疑者Aが同六一年二月二七日棚疑不十分で不起訴となり、賠償責任を否定し始めた。原告は、Aを被告とする賠償請求訴訟を提起した...
《解 説》
一 本件の事案は、以下のようなものである。被上告人会社は、㈱東辰という会社から建物を賃借し、賃料等を同社の第一勧業銀行大森支店の当座預金口座に振り込む方法で支払っていた。他方、被上告人会社は、㈱透信という会社と取引があったが、同社との取引においては、その取引代金を富士銀行上野支...
《解 説》
一 「漁業種類」を「いわし・あじ・さばまき網漁業」とする大分県知事の中型まき網漁業許可を得て、同漁業を目的とする船団を形成していた被告人らは、共謀の上、八回にわたり、大分県内の豊後水道海域において、いさき合計七万キログラム余り(時価合計七二〇〇万円余相当)を採捕した。この行為に...
《解 説》
Xは、京都市内に事務所を有する権利能力なき社団であるが、京都市公文書の公開に関する条例に基づき、Y市長に対し、平成四年度上半期の市議会議員の出張費用に関する支出命令書の開示を請求した。Yは、右文書は条例八条七号の事務事業に関する情報であって、公開すると関係当事者間の信頼関係が著...
《解 説》
農林水産大臣Yは、植物防疫法七条に基づき、同法施行規則九条、別表一によりアメリカ合衆国(ハワイ諸島を除く)産のりんごの生果実を輸入禁止の対象に指定していたが、平成六年八月二二日付けで施行規則を改正し、その輸入を解禁した。Xらは、日本各地のりんご等の生産農家であるが、右改正は、ア...
《解 説》
一 Xは、殺人未遂等被告事件で懲役一〇年の確定判決を受けて熊本刑務所で服役中の者であるが、(一)平成三年四月、実母及び二男宛の手紙(本件信書)の発信が不許可にされたこと、(二)同年五月、刑務作業後の洗体の際に使用水量を制限されタオルの石けんによる洗濯を禁止されたこと、についてい...
《解 説》
Xは、ブラジルからひき割り小麦を輸入して国内で販売し、利益を挙げようと計画し、関税法七条三項の事前教示制度を利用して東京税関に照会したところ、関税率等及び他法令として食品衛生法のみを教示され、小麦三トンを輸入することができた。Xはさらに八トンの輸入を計画し、着荷後、輸入申告した...
《解 説》
一 電気配線工事業を営む原告は、昭和六一年ないし昭和六三年分の所得税の申告を行った。これに対し、被告(税務署長)部下職員が原告事務所を訪問して税務調査に協力を求めたが、税理士でない第三者の立会いを求めるなどして調査が進められない状況に陥らせ、その後も繰り返し帳簿書類等に基づき説...
《解 説》
I市は、第三セクター方式により株式会社を設立して地域開発計画を推進していたところ、市の都市整備課において開発計画の対象地域の土地所有者の戸籍謄本等を市内の居住者については課長の名により公用として交付を受け、市外の居住者については市長Yの名により各市町村長に対し公用として交付を受...
《解 説》
XはY学校法人(代表者A理事・校長)の経営する高校の教員であり、山岳部の顧問であったことから、平成五年九月、Yの許可のもとに同六年一一月五ないし七日に開催される神奈川県高等学校体育連盟(Aも役員である)主催の登山大会の実行委員となり、同六年六月及び一〇月には出張許可を得て打合せ...
《解 説》
Xは、昭和六一年七月、Yの注文により鉄骨造陸屋根四階建共同住宅車庫(本件建物)を建築し、同年一〇月これをYに引き渡したが、代金の完済を受けていないとして、同六三年一一月、右債権を保全する目的で本件建物のY名義による保存登記の抹消登記手続請求の訴えを訴訟代理人をつけずに提起した。...
《解 説》
XはAから土地を買い受け、これを四分割し、そのうち三筆上に三棟の建物を建築して駐車スペース付住宅として売り出すことを計画したところ、周辺のいわゆる二項道路の所有者であるYらが自動車の通行に反対したため、地役権、囲繞地通行権、通行の自由権のあることを主張し、自動車通行権の確認を求...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、いわゆる国鉄改革の実施に伴い、日本国有鉄道(国鉄)の債務の償還等を行うことを目的として、昭和六二年四月一日国鉄から移行した特殊法人である。Yら(ないしはYらの代表取締役の先代)は、昭和二〇年代に国鉄から本件高架下の使用承認を受け、以後ほぼ三年ごとに使用承...
《解 説》
AはYから店舗を賃借していたが、賃料の支払いを遅滞した後、店舗を明け渡し、Yに対する敷金返還債権及び造作買取代金債権をXに譲渡した。XはYに対し、右譲渡に係る債権の額は合計一五四六万円余であるとしてその支払いを求める訴えを提起した。Yは、賃貸借契約の終了原因がXの主張する合意解...
《解 説》
一 本件は中国法人との間の広告物設置場所使用許諾契約について、中国政府の経済政策の変更により契約の継続が困難となった場合に関する紛争であり、渉外関係につき契約条項において予想しなかった事態が生じて紛争となった一事例として紹介するものである。
二 本件で問題となった広告物設置場...
《解 説》
一 本件は、Xがその実妹Y1の夫Aに建物所有の目的で土地を使用貸借していたところ、Aの死亡後、第一次的には借主死亡により使用貸借は終了したとして、第二次的には使用収益をなすに足るべき期間を経過したとして、建物の相続人であるY1と長女Y2を相手に建物収去土地明渡しを請求した事案で...
《解 説》
一 本件は、被告から土地、建物を買い受けた原告が、右建物に付属する物置内において売買契約の約七年前に当時の所有者が自殺行為に及び、その後これにより死亡したことを、売買契約後に知り、隠れたる瑕疵があるとして、売買契約を解除し、解除に基づく原状回復請求権に基づき、代金の返還を求めた...
《解 説》
一 本件は昭和六〇年改正前の厚生年金保険法に基づく、老齢年金と遺族年金の受給を受けていた者の死亡交通事故に関し、その逸失利益性が争われた事案である。本判決は、老齢年金については逸失利益性を肯定し、遺族年金についてはこれを否定した。
二 従来、各種年金の受給者が不法行為によって...
《解 説》
一 X1は、衣料品の製造販売を目的として昭和二七年に設立された株式会社であり、X2は、昭和六二年六月からX1の代表取締役に就任している者であるが、Y(信用金庫)は、昭和五五年頃から昭和六二年頃までの七年余りにわたり、売上高一億円程度の規模のX1に対し、多額の過剰融資を強要し、ま...
《解 説》
1 事案の概要
本件は、腰痛捻挫等の症状のある原告に対し、被告が治療のため薬剤(ビタノイリン及びノイロトロピン)を投与したところ、原告がショックを起こし心臓停止に至ったため、他の病院で緊急措置として施行された手術により後遺症を負ったという事案である。
2 本件の要約
本件...
《解 説》
一 X1は、昭和五八年一二月、第二子Aを出産するため、Y1の経営する診察所に入院し、分娩誘発剤ないし陣痛促進剤の投与を受けて、Aを出産したが、仮死状態で出生したため、低酸素性虚血性脳症に罹患し、平成四年一月、植物人間の状態のまま、肺炎により死亡するに至った。
そこでX1とAの...
《解 説》
一 本件は、原告Xが全部勝訴した手形判決に対して、被告Y1らが異議申立てをした事件である。
①約束手形(振出人Y1、第一裏書人Y2、第二裏書人A、第三裏書人C、被裏書人欄はいずれも白地)及び②約束手形(振出人Y1、第一裏書人Y2、第二裏書人B、第三裏書人C、被裏書人欄はいずれ...
《解 説》
H社(代表取締役X)は宝石の展示会を開催したが、展示品につきY保険会社との間で保険期間一週間の動産総合保険契約を締結した。保険金額は二億三二六六万円余、保険料は二〇万円余であった。右保険契約を締結した日の翌日の午前中、展示会場が火災となって展示品が焼失したため、HはXに保険金請...
《解 説》
XはY1寺の代表役員兼責任役員(住職)であったが、同寺の包括宗教団体から、「正当の理由なくして宗務院の召還に応じない者は、その情状に応じて、……罷免……に処する」との宗規に該当するとして罷免され、Y2が新しく代表役員兼責任役員に選任された。その背景としては、XがY1寺を他に移転...
《解 説》
本件は、連帯保証人であるXから他の連帯保証人であるY1及びY2に対し、Xが代位弁済した額について求償を求めた事案である。原判決は、Xの出捐は、自己の不動産を売却するのに根抵当権設定登記を抹消してもらう必要があり、Xの出捐にもかかわらず、Xの包括根保証人としての地位に変更はなかっ...
《解 説》
一 Xは、訴外A、B、C、Dと五名で本件土地を共有し、昭和六〇年一〇月、訴外E会社に対し、本件土地をゴルフ場用地として賃貸していたところ、訴外F会社が譲渡担保の実行として本件土地の賃借権を取得し、その後、Yが、F会社から本件土地の賃借権の譲渡を受けた。
そして、F会社は、平成...
《解 説》
一 本件は、土地、建物を共有する債権者らが、債権者らの土地の南側と東側に隣接する土地を所有し、その土地上に日影規制の対象外の三階建の建物(本件建物)の建築を計画しているY1とその建築工事を請け負ったY2に対して、本件建物が完成することによって、著しい日照被害及び圧迫感を受けると...
《解 説》
本件は、現住建造物等放火未遂被告事件につき、同罪の実行の着手を認めた一事例である。
上記のような法律問題もさることながら、本件は、事実認定も非常に複雑な事案だったようであり(興味のある向きは併せて検討されたい。)、本判決は、犯行直後の現場の状況や現場に残された物証、さらには被...
《解 説》
被審人は、船舶用塗料等の製造販売業を営む者であり、同業の九社とともに船舶用塗料等の価格カルテル行為を行ったとして排除措置を命ずる勧告審決(違反事件審決)を受け、その審決は確定した。本審決事項の理解に関係する範囲でその勧告審決の認定した違反事実を紹介すると、被審人らは、船舶用塗料...
《解 説》
Xは、兄の経営するY会社の役員となり、Y会社に対して倉庫及び事務所を賃貸していたが、Y会社が賃料の支払いを怠ったため、賃貸借を解除した上、その明渡を求めて本件訴訟を起こした。
一審では、賃料不払いによる解除の有効性が認められ、請求認容となった。
その控訴審である本件では、Y...
《解 説》
一 本件は、年金額の変更を求めて原告が提起した訴えに対する最高裁判決について、再度、原告が、国を被告として、判決の無効確認及び年金額の変更を求めた行政訴訟である。一審は、口頭弁論を開くことなく訴えを却下し、訴状及び判決正本を国に送達しなかった。控訴審も、口頭弁論を開かずに控訴を...