最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本判決は、特許請求の範囲の文言にそのまま当てはまらないY製造販売の遺伝子組換技術によって産生された蛋白質等が、均等論により特許権侵害に当たるとして製造販売等の差止めを命じた高裁判決である。
Xは、バイオテクノロジーのベンチャー企業のパイオニアとして注目されている会社である。X...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教信者らによる殺人等の不法行為(いわゆる松本サリン事件、地下鉄サリン事件、S弁護士殺人事件及びK監禁致死事件)により損害を被ったと主張する債権者ら四五名及びその被害者らやその家族に労働者災害補償等を行った国がオウム真理教に対する破産宣告を求めたところ、第一...
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件のうち、NTT取締役である被告人乙及び文部事務次官である被告人丙に対するリクルート関連会社の未公開株の譲渡がそれぞれ右二名の職務に関するわいろであるとして起訴された事件と、右二名のほかNTTの社長B及び企業通信システム部長Cへの同株の譲渡に関し...
《解 説》
本件は、大阪市が日雇労働者に対して行っていた「応急援護金」の貸付手続の中止を原因として、平成四年一〇月にいわゆる「あいりん地区」で労働者による抗議行動が発生した際、警備中の警察官に投石を行ったとして現行犯逮捕された原告が、現行犯逮捕の違法性及び警察官による暴行を理由として、大阪...
《解 説》
一 本件は、原告らが、最高裁上告審の判決言渡期日において、傍聴券の抽選を受けようと最高裁周辺に並んでいた者に対し、警備をしていた警察官らが傍聴希望者を外壁に押しつけたり、裁判所職員が抽選番号の呼び上げをよく聞こえない音量で行ったり、配布された抽選番号の飛ばし読みを行ったり、ゼッ...
《解 説》
原告は、自己の経営するスナック付近で生じた傷害事件の被疑者として通常逮捕され、勾留延長の上、傷害罪で起訴された。
一審の大阪地方裁判所堺支部は、原告に対し懲役一年執行猶予三年の有罪判決を言い渡したが、控訴審の大阪高等裁判所は、第一審判決を破棄し、原告に対し無罪の判決を言い渡し...
《解 説》
Xは、昭和四二年Yに入社し、同四五年から自宅購入資金として給料天引きにより積立てを始めたが、預金通帳等はYが管理し、これをYが借入金の担保や社屋建築資金に使用することがあった。Xは、積立金七八一万円の内から既に五三〇万円の払戻しを受けていたが、平成四年に退社してから、残額二五一...
《解 説》
一 Xらは、平成二年九月から平成三年五月にかけて、建築工事、不動産売買等を業とするYから、それぞれ本件マンションの一室を購入した。Xらの購入価格は、Yが当初設定していた販売価格であったが、Yは、Xらが入居を開始した後である平成三年一〇月ころから、本件マンションの未売却住戸を、当...
《解 説》
一 Xは、平成二年一〇月、宇都宮市内に「J&Pゴルフクラブジャパン」ゴルフ場を建設予定しているYとの間で、会員入会契約を締結し、入会金五〇〇万円、預託金二〇〇〇万円を支払ったが、右ゴルフ場の開場が当初の開場期限である平成四年一〇月より大幅に遅延し、平成八年秋以降にずれ込むことに...
《解 説》
Xは、Y証券会社本店投資相談室から送付されたダイレクトメールをきっかけとして、自己や夫、子供の名義で株式売買及びワラント取引を数百回にわたり継続し、ワラント取引に二七億二四五八万円余をつぎこんで一億一四二一万円余の利益を上げるとともに二億八九三六万円余の損失を出した(権利消滅分...
《解 説》
一 Xは、愛知県豊橋市でパチンコ店を経営する会社であるが、平成元年八月、名古屋国税局の査察調査を受け、関連企業と合わせて、約二〇億円を脱税していることが判明したため、善後策に苦慮していたところ、Yらから税額を五億円以下にし、法人税法違反で起訴されないようにしてやるといわれたため...
《解 説》
一 Xの夫Aは、全国紙の記者(司法担当)であるが、女子中学生に対する強要の被疑事実で逮捕され、後に不起訴処分となった。Yが発行する週刊誌は、「『ビデオ』で逮捕された東大卒朝日記者の妻はロイター社員」と題する記事を掲載し、その中でXについて、仮名ではあるが、出身地、大学と学科名、...
《解 説》
本件は、住宅街に二〇台程度を収容する相当規模の大きい駐車場を作ろうとしている者に対し、近隣住民が交通上危険であり、騒音や排気ガスのために迷惑を被るとして反対運動を展開した中で生起した事件である。原告らは、住宅地のバス通りに接続する一方通行の道路に面して建てられている一群の一戸建...
《解 説》
本件は、大手百貨店の社員の詐欺行為について百貨店の使用者責任が問われた事案である。本判決の認定したところによると、事実関係の概要はおよそ次のとおりである。
Xは、フランチャイズを含む約六〇の飲食店を経営する会社であるが、大手百貨店Yの販売推進部に所属していたAがXの代表者に対...
《解 説》
一 本件は、運転免許を取得し、責任能力を有する未成年者Y1が、その所有する自動車で交通事故を起こして被害者のXに損害を負わせたため、Xから、Y1及びY1の親権者であるY2に対して損害賠償請求がなされた事案である。
Xは、Y1の運転技術が未熟であること、他人所有の車両を運転して...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年八月当時、山口鋼業株式会社に勤務していたものであるが、同月一七日、同会社で就労中、金属プレス機のローラーに両手をはさまれて両手に圧挫傷の傷害を負ったため、救急車で岐阜大学附属病院に搬送され、直ちに同病院に入院した。
そして、Aは、同日、同病院において、右...
《解 説》
一 本件は、保険会社が詐欺による保険契約の無効、給付金の請求に関する詐欺行為などを理由とする保険契約の解約を主張して契約の効力を争ったのに対し、原告が保険契約者たる地位の確認を求めた事件である。
原告は、平成元年一月二五日から同年一二月二一日までの間、生命保険会社との間の契約...
《解 説》
一 Xは、平成三年一月当時、汽船第八富士宮丸(総屯数一四一トン、以下「本件船舶」という。)を賃借して石油製品の海上及び河川上の運送業務を行っていたが、同月五日、荒川を遡航して京成押上線荒川橋橋下の通航路を航過しようとした際、同橋の橋脚に衝突し、鉄橋を損傷したことにより京成電鉄に...
《解 説》
一 久留米競輪の場外車券売場を建設しようとするY(甲事件債権者兼乙事件債務者)が建設に反対するXらの一部の近隣住民(甲事件債務者ら)に対し、専用道路の通行権及び建物新築権に基づき、通行妨害禁止及び建設工事妨害禁止の仮処分を求めた事案(甲事件)と車券売場の近隣住民及び近隣職場に勤...
《解 説》
一 事案の概要
1 別件の大麻取締法違反事件の被告人として甲警察署留置場(代用監獄)に勾留中であったA参考人から、覚せい剤事件等の情報を入手した甲警察署のB警察官が、後日裏付けができたら調書化して読み聞けに行くと話してA参考人から白紙の供述調書用紙に署名、指印を徴していたが、...
《解 説》
本件は、申立人が第一審で平成四年三月一九日恐喝罪により懲役二年の実刑判決を受け、控訴・上告したが、いずれも棄却され、同判決は、平成七年三月一七日確定した(なお、申立人は、平成五年八月二四日の控訴棄却判決当日保釈されている)。そこで、検察官は、申立人に対し、刑執行のための呼出しを...