最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 被相続人が、相続人に対し、生前贈与し、又は遺産相続に関して相続分の指定、遺贈等の遺言をした場合、これらの処分が相続人の遺留分を侵害することがある。この場合、遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権を行使することによって当該贈与又は遺言の効力を遺留分侵害の限度で否定するこ...
《解 説》
A所有の不動産について、Xが二番抵当権者、Yが三番抵当権者であったが、二番抵当権と三番抵当権の順位変更の登記がされた。本件は、XがYに対してその抹消登記手続を求めるものである。Yは、抗弁として、XとYによる順位変更の合意(民三七三条二項)を主張し、乙第一号証として「抵当権順位変...
《解 説》
Xは昭和五九年一一月に強盗殺人罪等により逮捕され、同六二年一〇月死刑判決の言い渡しを受け、平成五年七月上告を取り下げ、同判決が確定した者である。Xは、平成元年五月から同五年七月までの間、東京拘置所の旧舎の北三舎の独居房に拘禁されていた。北三舎からは、運動場及び北一舎の房が見通せ...
《解 説》
一 Xは、「巻原発住民投票を実行する会」の代表者であるが、同会では、「巻原発」の建設の是非を問う自主管理住民投票を主催することを決定し、巻町教育委員会に対し、投票所として「町営体育館」、「ふるさと会館」、「漆山地区公民館」の各使用申込みをしたところ、右各施設の使用を許可しないこ...
《解 説》
本判決の認定したところによれば、事実関係はおよそ次のとおりである。
X弁護士とA弁護士の両名は、爆発物取締罰則違反事件(第一事件)の被疑者Bの弁護人であったが、Bは平成五年四月二一日起訴されるとともに、別件の爆発物取締罰則違反事件(第二事件)で再逮捕された。同日午後八時二〇分...
《解 説》
Xは、N市内に土地を有する者であるが、平成六年度の固定資産課税台帳の縦覧により右土地の評価額が急増したことを知り、N市固定資産評価審査委員会に登録事項に関する審査を申し出たが(地方税法四三二条)、これを棄却されたので、棄却決定の取消しを求めて提訴した。その理由は、①同年度の固定...
《解 説》
本件土地は、もとAの所有であったが、Aは昭和三七年六月死亡した。Aの相続人は、妻B、長男C、次男Y、三男D、長女E、四男Xの六名であり、同年一一月、遺産分割協議によりBが本件土地を取得した。Bは、平成三年一月一八日死亡した。本件土地については、昭和五四年一月、真正な登記名義の回...
《解 説》
一 平成元年三月二六日、兵庫県姫路市のA蒲鉾会社の一階原料解凍室において、電気温風機の異常過熱に起因するとみられる火災が発生し、右解凍室内全部及び隣接建物の一部が焼失したため、Aは、約二〇〇〇万円の損害を被った。
Xは、A会社との間でA会社を被保険者とする火災保険契約を締結し...
《解 説》
一 本件(①事件)は、ゴルフ会員権を目的とする譲渡担保権者であるXが当該ゴルフ会員権の名義人であり譲渡担保設定者であるYに対して、被担保債務の債務不履行があったとして、右ゴルフ会員権を取得する旨の譲渡担保実行通知をしたことに基づき、右ゴルフ会員権の帰属の確認と、自己及び自己から...
《解 説》
本件は、船舶の売買契約について、買主であるX(一審原告、控訴人)から売主であるY(一審被告、被控訴人)に対し、民法五六一条に基づく解除による原状回復として売買代金と右解除までの利息金の支払請求がなされ、これに対し、YからXに対し売買目的物(船舶)の使用利益返還請求権をもって相殺...
《解 説》
一 Xらは、それぞれ、平成元年一月、Yとの間に、Yの経営する「プリムローズカントリー倶楽部」の会員となる旨の入会利用契約を締結し、入会金二五〇万円と預り保証金一五五〇万円を支払ったが、ゴルフ場の開場予定は平成四年秋となっていたにもかかわらず、右ゴルフ場は開場されないため、平成七...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yが訴外保険会社からローンを利用して金員を借り入れた際、Yの連帯保証人となったが、Yについて期限利益喪失の事由が生じたことを理由にYに対して事前求償権を行使して、ローンの残元金及びこれに対する支払済みまでのローン契約の約定遅延損害金の支払を求めたものであり、事...
《解 説》
Xは、Aに妻Bの殺害を依頼してその目的を遂げたとの事実により公訴を提起され、第一審東京地判平6・3・31本誌八四九号一六五頁は、Aを殺人の点につき無罪としたが、Xについては有罪判決を言い渡した。Yは新聞社であるが、Xが右殺人事件で逮捕された二日後に、「ロス銃撃」、「Aへ約束は二...
《解 説》
一 Xは、平成五年四月から、社団法人奈良県建設業振興会に勤務していた者であるが、平成六年六月四日、同会の理事長Yと八木の文化会館に行った帰路、電車内で、Yから太腿を触わられ、同月一七日、Yの伊勢の別荘へ赴いた際、Yから胸を触わったり、性交渉に及ぼうとされるなどのセクシュアル・ハ...
《解 説》
Xの孫娘(乳児)Aは、Yが製造販売するアルミ蒸着ラミネート製袋入りの「カルビーポテトチップス」(内容量一〇〇グラム)を手に持っていたが、Xが顔を近づけて声をかけたところ、Aが手を振る動作をしたため、袋の角がXの目に当たった。Xは、角膜上皮剥離、外傷性虹彩炎の傷害を受けたが、右事...
《解 説》
Xは乳酸菌飲料の販売等を業とする会社であり、Y1及びY2との間でそれぞれを「販社」とする契約を締結し、商品を卸していたが、Yらはいずれも業績が挙がらず、一三か月後に営業を停止した。XはYらに対して卸売代金、車両賃貸料及び人件費の立替金を請求した(甲・乙事件)ところ、Yらは、Xに...
《解 説》
Yの発行する日刊紙、英字紙及びファックス新聞において、学校法人X1大学のグループである学校法人X2がオランダに設置した短大分校の教職員・医師が同国に不法滞在していること、日本人学生の同国滞在に問題のあること、教職員・医師が同国で不法労働をしていること、X1の関連企業が同国におい...
《解 説》
一 X1は、平成三年一月当時、天王中学校の二年生であったが、同校の三年生であったY1、Y2、Y3から、同校内のトイレ内で、殴る、蹴るなどの暴行を受け、その精神的影響から、心因反応を発症し、その治療のため入退院を繰り返さざるを得ない健康状態になってしまった。
そこで、X1とその...
《解 説》
一 空気塞栓(空気栓塞ともいう。)の事例二件を紹介する。
まず、①事件の概要は以下の通りである。
昭和六二年春頃、当時六二才であったAは、めまい、ふらつき、吐き気等の症状のためある病院を受診、入院し、小脳部に腫瘍があると診断されたので、三月二六日にその摘出手術を受けた。とこ...
《解 説》
一 本件は、虫垂炎治療の首尾が争われた事例である。
ペルー人であるAは、あるペルー企業の極東営業所長として東京に駐在していたが、平成元年四月二四日頃から腹部に不快感を感じ、同月二七日から激しい腹痛に襲われるようになったので、同日午前中にYが運営する病院を受診した。応対した医師...
《解 説》
一 Xの先代Aは、昭和二六年までに、Yらに対し、その所有の土地を小作地として賃貸していたものであるが、相続によりその所有権を取得するとともに、賃貸人の地位を承継したXは、平成四年一二月と平成五年一二月、Yらに対し、固定資産税等が増額されたことを理由として、賃料(小作料)を増額す...
《解 説》
Xは、兵庫県に在住の音楽家であり、その一方で、パソコン通信サービスにおいて「チアリコンピューターワールド」という大規模なシグを主催する者である。Y1は、東京都に本社を置く大手出版会社であり、雑誌「週刊文春」を発行する者であり、Y2及びY3は、Y1の従業員であり、Y2は右の雑誌の...
《解 説》
一 Xらは、いずれも熊本県山鹿市の住民であるが、Yが、同市鍋田地区の山林等に産業廃棄物最終処分場を設置、使用、操業しようとしていることについて、水質汚染、大気汚染による健康被害等の差し迫った危険を理由とする、生命、健康を維持し、快適な生活を営む権利(人格権)に基づく差止請求権を...