最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、小野市に在住する原告X1(提訴当時小学五年生、現在中学二年生)及び参加原告X2(参加申立て当時小学四年生、現在中学一年生)並びにその両親である参加原告X3X4が、同市立小野中学校の「中学校生徒心得」に、男子生徒の頭髪を丸刈りとする旨の定め、生徒は外出のとき原則として...
《解 説》
一 本件の争点
本件は、食用とする目的で狩猟鳥獣とされるマガモ又はカルガモをねらい洋弓銃(クロスボウ)で矢を四本射かけたという事案である。「捕獲」という用語は、小野幹雄裁判官の補足意見にもあるとおり、一般に、「とらえること、いけどること、とりおさえること」を意味するものと解さ...
《解 説》
AはBらと共謀し、法務局において他人の土地の登記簿原本の甲区欄を閲覧中に抜き取り、予め用意しておいたタイプライターと登記官名の印鑑を用いてAに所有権が移転したかのごとき記載し、もとの登記簿冊に挿入して謄本の交付を受けた。Aは、右登記簿謄本を金融業者であるXに示し、右土地に抵当権...
2 市長が議会の議決を経たうえでした土地の著しく低廉な価格の売却が違法であるとして、市長らの損害賠償責任が認められた事例
(奈良地裁平7・7・19判決)
《解 説》
一 Xの夫Aは、昭和五一年一一月から、名古屋市内にある訴外B会社に勤務し、大型貨物トレーラーの運転手として稼働していたものであるが、昭和六三年三月一日夜、鋼材を積載したセミトレーラーを運転して、静岡県沼津市に向う途中、静岡県榛原郡金谷町付近において運転席内で倒れ、救急車で付近の...
《解 説》
1 本件は、被告を通じてワラントを購入した原告が、被告またはその従業員のした当該ワラントの勧誘に、適合性の原則違反あるいは説明義務違反等の違法があるとして、被告に対し、ワラント購入代金相当額につき不法行為(民法七〇九条又は七一五条)による損害賠償を求めた事案である。
原告は、...
《解 説》
XらはYに対する土地賃貸借契約期間が平成三年一月九日に満了したとして更新を拒絶し、Y所有建物の収去と土地明渡しを求めた。Xらが主張する正当事由は、Yから土地の明渡しを受けて、跡地にX2が営む新聞販売店の従業員二六名を居住させる建物を建築する必要があるというものであり、正当事由を...
《解 説》
一 事案の概要 八二歳の老人Xが、暴力団組長の妻Yから(実質的には同組長Aから)二五〇〇万円の融資を受け、その際、Yのために、自己所有の山林等四筆につき売買を原因とする所有権移転登記(買戻特約の付記登記あり)を経由し、ミカン畑一筆につき売買を原因とする条件付所有権移転請求権仮登...
《解 説》
Xら四名は、医療法人Yが設置する看護学校を卒業し、Yに就職が内定していたが、いずれも内定を辞退する旨意思表示した。XらはYに対し、文書等により、卒業証明書及び成績証明書の交付を求めたが、Yはこれに応じなかった。Xらは、各証明書の交付を求める仮処分を申し立て、これを認容する決定を...
《解 説》
一 主要な争点に関する事実関係を摘示する。
大手不動産業者であるXは、バブル経済のピーク時である平成元年に六階建のビルを転貸目的でYから賃借した。賃料は月五五〇万円、敷金は七二〇〇万円、賃貸借期間は一二年間であった。ところが、Xから右建物を転借したAは、バブルの崩壊後である平...
《解 説》
信販会社Xは、Yとの間のクレジットカード契約に基づき、Yがカードを利用して借り受けた金員の残元金一九万円余とYの夫AがYのカードを利用して買った商品の残代金三一一万余の合計三三〇万円余の支払いを求めて提訴した。これに対しYは、①同居人のカード不正利用による損害をカード会員の全額...
《解 説》
一 Xは、Yの組織するお好み焼きを扱うフランチャイズチェーンに加入し、従来Yが直営店として営業していた店舗を引き継いで営業を開始したが、売上が伸びず赤字経営が続いたため、約一年九か月後に閉店した。Xは、①本件フランチャイズ契約を締結するにあたってYの従業員が内容虚偽の試算表を示...
《解 説》
Xは、午後のアウトスタートのプレーを始めるため、クラブハウスを出て一番ホールのティーグラウンドに向かって通路を歩いていたところ、後ろから走行してきた自走式のゴルフカートに追突され、転倒して肋骨を折るなどの負傷をした。
そこで、Xは、ゴルフ場を経営するYに対し、損害賠償を請求し...
《解 説》
1 ワラントとは、新株引受権付き社債(ワラント債)から新株引受権のみを分離した証券をいい、その特色として、株価に連動してその価額が大きく上下する一方、新株引受権の権利行使期限を経過すると無価値になってしまうなどの危険性を有するいわゆるハイリスク・ハイリターンの証券であり、バブル...
《解 説》
本判決が認定したところによると、事実関係の概要は次のとおりである。
Y1は平成四年一二月三〇日午後二時ころ、三畳間の仏壇に長さ約一〇センチメートル程度の蝋燭二本にマッチで点火して燭台に差し、仏壇に立てて線香を上げ、礼拝した後、夫Aと昼食を取った。その後、Y1は食事の後片付けを...
《解 説》
Y2は喫茶店を経営しており、Y1は同店にマネージャーとして勤務していた者であるが、Xが同店に客として入店したところ、Y1とXとの間でトラブルが発生した。Xの主張によれば、Y1は交番で警察官にXが以前店内で騒いだ旨虚偽を述べ、店内に戻ったXに対して追加注文を要求し、拒否したXに暴...
《解 説》
一 平成元年一一月八日夜九時半頃、東京都新宿区歌舞伎町の路上で客を見送っていた飲食店勤務の四〇歳のホステスXにY1の運転する普通乗用自動車がアクセルとブレーキの踏み違えから衝突した。Xは両側肋骨骨折、肺挫傷、脊髄損傷等々の傷害を負い、両下肢機能全廃の後遺障害で、自賠責後遺障害等...
《解 説》
本件は、顆粒球減少症(以下「本症」という。)に罹患して死亡した亡Sの遺族であるXらから、担当医師のY1、Y2を相手に、診療行為上の過失があったとして提訴された医療過誤訴訟の控訴審判決である。
1 事案の概要
亡Sは、風邪症状でY1医師に受診し、各種抗生物質等の投薬、注射を...
《解 説》
一 被相続人は、昭和二九年四月五日死亡し、相続人は、妻、二男の代襲相続人、三男、四男X、五男Yの五人であった。X、二男の代襲相続人及び三男の三名の相続人について、昭和二九年七月五日付で相続放棄申述書が千葉家庭裁判所八日市場支部に提出され、同年七月二〇日上記相続放棄申述書が受理さ...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
A社の有力株主であり、代表取締役であったY1は、B社の経営権を取得したのち、両社を一体と考えて経営し、A社に対する継続的な融資やA社の債務についての保証等をB社の代表取締役として行ったが、Y2らB社の取締役はこれを制止しなかった。A社は...
《解 説》
一 本件はローン提携販売により役務の提供を内容とする会員権を購入したXらが、役務提供業者が倒産して役務の提供が受けられなくなったことを理由として、右購入資金を融資した金融機関であるYとの間で作成された公正証書の執行力の排除を求めた事案である。右事案において、Xは役務提供業者が役...
《解 説》
YとAとの間において、(1)Aが平成二年一一月末日限り本件建物の五室から各入居者を退去させて右五室をYに明け渡す、(2)右の明渡しが遅滞したときは、各室の遅滞一日につき五〇〇〇円の金員を支払うとの内容の裁判上の和解がされた。Aはその後死亡したが、Aの相続に関する準拠法である韓国...
《解 説》
本件更生手続開始申立は、被申立人会社がその営業を停止してから一年余を経過した後、労働債権を有する従業員が債権者の立場で更生の申立てをしたという事案である。原決定によれば、申立人らが被申立人会社の資本金の一〇分の一以上の債権額を有することは明らかなようである。被申立人会社は、生コ...
《解 説》
一 本件は、大手都市銀行である住友銀行の支店長らが、支店の顧客からいわゆる仕手筋への巨額の融資を媒介したことについて、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(「出資法」と略称する)三条違反の罪(以下「本罪」という)に問われた事案であり、当時の住友銀行会長が辞任する引...
《解 説》
一 本件は、大麻所持及び覚せい剤の自己使用の公訴事実に対して、違法な身柄拘束状態を利用した違法収集証拠であるとして証拠物である大麻及び大麻と被告人の尿に対する鑑定書等の証拠能力を否定して無罪を言い渡した事例である。
二 捜査経緯の詳細は判文を参照されたいが、要するに、被告人が...
《解 説》
一 本件は、阪神・淡路大震災に起因する借地関係の紛争について、罹災都市借地借家臨時処理法(以下、「罹災法」という。)に基づく借地権確認等の決定がされた事例である。事案は、Yから建物を賃借していたX1、X2(ただしX2については後述のような問題がある。)が、右建物が阪神・淡路大震...