最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、乙(町田市)が、野犬及び野良猫の発生を防止するための施策の一つとして、補助金交付要綱によって、獣医師に飼犬、飼猫の不妊手術を受けさせた市民である飼主にその手術料の一部に相当する金員を本件補助金として交付するに当たり、その獣医師を東京都獣医師会町田支部に所属する獣医師...
《解 説》
一 事案の概要
Xの母は、昭和四八年九月二〇日、出産のためYの経営する産婦人科医院に入院し、翌二一日、Xを未熟児の状態で出産した。Xの母は、Xの兄、姉にも出生時に黄だんが出ており、このような場合次に生まれる児の黄だんが強くなると児が死ぬかもしれないと他人から聞かされ、また、母...
《解 説》
Yは平成七年四月九日施行された県議会議員一般選挙に立候補して当選した者であるところ、妻A及びYの選挙運動に従事していたBがYに当選を得させる目的で金銭を供与した等の罪(公選法二二一条一項一号違反等)により有罪判決の言渡しを受けた。検察官Xは、同法二五一条の二、同条の三の連座規定...
《解 説》
一 地方税法六〇三条の二第一項二号、同法附則三一条の四の二、同法施行令附則一六条の二の四によれば、同法附則三一条の四に規定する「特別市の区域」内であっても、建築基準法七条三項に規定する検査済証を交付された建物と一体的に利用されている土地の取得に係る特別土地保有税は免除されること...
《解 説》
一 T市は、本件マンションを賃借し、昭和五三年二月一日以降、自治省からの出向職員の宿舎として使用してきた。Y2は、自治省出向の職員として、T市財務部長の職にあったが、その間、平成三年四月一日から平成五年四月三〇日まで、T市より本件マンションを宿舎として貸与されていた。その間の本...
《解 説》
Xは、M市の住民であるが、同市の市議会議員が平成二年度に受けた旅費の支給が違法であるとして、市長Yに対し、合計二四三万円余の損害賠償を求め、住民訴訟を提起した。Xが違法であると主張する旅費の第一は、市議会議員二〇名がそれぞれ一五万円宛支給を受けた個人研修旅費であり、五名について...
《解 説》
Y(A理事長)は昭和六二年にM大学を開設した学校法人であり、Xは平成元年にM大学経営学部の教授に就任した者である。Xは、平成六年三月末日をもってM大学を定年退職したが、同年四月以降は特任教授(定年退職した教授がその後任期を一年として任用される)の地位にあると主張し、これを否定す...
《解 説》
本件は、主債務者が消滅時効完成後に一部弁済したことにより時効の援用権を失った場合、物上保証人ないし物上保証の対象となった不動産の第三取得者が消滅時効を援用し得るか否かが問題となった事案である。事実関係に争いがあるが、本判決が認定したところによれば、次のとおりである。
Xは、昭...
《解 説》
Aは、Bに多額の借入があり、その担保として定期預金証書を差し入れていた。ところが、Bは、Aから右定期預金証書が偽造されたものであることを告げられたため、同じグループに属するYのAに対する担保(割引債)に余力があったことから、右貸金債権をYに譲渡し(以下これを「本件譲受債権」とい...
《解 説》
一 原告は五階建ビルを平成二年五月に前所有者から買い受けたものであるところ、同ビルの一室は昭和六二年五月に前所有者からA会社に賃貸され、A会社はこれを前所有者の承諾を得て昭和六三年三月にB会社に転貸していた。原告が本件ビルの所有権を取得して二ケ月ほどたった後、Bの使用する一室に...
《解 説》
一 X会社(債権者)は、昭和四六年二月の設立以来平成六年三月まで、Y会社(債務者)の委託に基づき、Y会社の製造に係る冷菓製品等をY会社の工場から各地の物流倉庫まで大型車により運送してきた。X会社とY会社との間では、昭和五三年三月までは契約書が作成されずに運送委託が行われてきたが...
《解 説》
一 Yらの子A、B、Cは、昭和六三年二月二一日午後五時頃、X1の居宅から数メートル離れた竹藪内で、新聞紙にライターで火をつけて遊んでいたところ、その火が付近の枯れ葉や居宅の縁の下に積んであった材木に燃え移り、居宅が全焼した。
そこで、X1と右居宅に居住していたX2は、A、B、...
《解 説》
Xは大正六年三月生まれの男性であり、Y証券会社との間で株式の信用取引及びワラントの購入を行った者であるが、Xは、Yには①適合性原則違反、②説明義務違反があり、③禁止されている断定的判断を提供したため、損害を被ったと主張し、債務不履行又は不法行為に基づき、一三九三万円余の賠償金の...
《解 説》
Xは、学校法人の理事長及び幼稚園の園長をしている女性であるが、平成二年九月、Y保険会社の従業員であるAの勧めにより基本保険金額一億五〇〇〇万円の変額保険に加入し、保険料として五二二四万円余を支払った。Xは、同五年三月、右保険契約を解約し、解約返戻金及び積立配当金合計三七五一万円...
《解 説》
本件は、証券会社Yの社員Aが顧客X(代理人として妻B)にワラントの購入を勧誘した際に説明義務を怠ったか否かが争われた事案である。本判決は、AがBに電話でワラントの購入を勧誘した際、ワラントにつき、①株を買う権利であり、予め権利を行使する価格が定められていること、②価格は、株価と...
《解 説》
昭和六三年一月二六日、第十二多賀春丸は台船を曳航中、伊豆半島石廊崎西方沖合で何の連絡もなく沈没し、船員らは後に失踪宣言を受けた。第十二多賀春丸を所有している会社X1及び船員の遺族X2らは、台船の製造業者Y1、所有者Y2及び国Y3に対して損害賠償を求めた。Xらは、本件海難事故の原...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和一七年五月生れの女性であるが、平成元年九月三〇日、右乳房外側上方にしこりを感じたので、Yの開業する産婦人科医院で受診したところ、腫瘤が認められたが、乳癌かどうかの確定診断ができなかったので、生理後に再度受診することにした。
Aは、生理後の一〇月二一日、Yのも...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年七月二一日、テニスの試合に出場する生徒を自家用小型自動車に乗せて、松山市を出発し、高松市内のグランドまで送った後、帰宅するため右自動車を運転して、松山市方面に向って西進中、香川県坂出市付近の道路上で二度にわたって追突事故を起こし、路上に停車した。警察官が...
《解 説》
Aは、昭和六二年一〇月から平成三年七月までの間、Yら保険会社四社等との間で生命保険を多数締結していたが、Aは平成三年九月、京滋バイパスから垂直距離で約二〇メートル下の地点で死亡しているところを発見された。Aの死因は、外傷性クモ膜下出血及び多発骨折による外傷性ショックと判断された...
《解 説》
一 Xは、小規模の映画を二本監督した経験がある映画監督であり、Y1は映画の企画、製作などを目的とする会社、Y2は映画の製作、ビデオソフトの製作、販売などを目的とする会社である。Xは、自らが脚本を執筆した新たな映画の製作の企画を他の映画製作会社とともに進めていたが、その製作費用六...
《解 説》
一 本件は、平成四年七月、貸金業者であるYから二〇〇〇万円を借り受けたうえ、その所有土地建物について極度額を三〇〇〇万円とする根抵当権を設定し、かつ、右二〇〇〇万円の債務の弁済に関する公正証書を作成したXが、債務全額を弁済、供託したことにより、Yに対する債務が消滅したなどと主張...
《解 説》
本件は、暴力団事務所の隣にある飲食店の建て替え工事にからみ、かつて暴力団の顧問弁護士を標榜していた被告人が、二名の幹部組員らと共謀して、組長のために、組の組織、威力等を背景にして、右工事の施主及び施工業者の各代表者から工事に伴う近隣対策費名下に高額の物品を喝取しようとしたが未遂...
《解 説》
一 被告人は、覚せい剤所持で起訴され、第一審においては事実を全面的に認め有罪判決を受けたが、控訴審において弁護人は、「①本件の発端となった職務質問等には重大な違法があり、これに基づき収集された証拠を採用して被告人を有罪とした原判決には訴訟手続の法令違反がある。被告人が原審でこの...
《解 説》
一 本件は、不動産について所有権移転登記を経由した譲渡担保権者Xが、先行する根抵当権設定登記を経由していた根抵当権者Yに対し、Xの滌除権行使によりYの根抵当権が消滅したと主張して、右根抵当権設定登記の抹消を請求する事件である。なお、Xの滌除権行使は、被担保債権の弁済期前で譲渡担...
《解 説》
一 本件は、建物収去土地明渡請求訴訟(前訴)の事実審口頭弁論終結後に建物買取請求権を行使して、その効果を前訴の請求を認容した確定判決に対する請求異議の事由として主張することができるかという問題、すなわち確定判決の既判力の遮断効と基準時後の形成権行使の効果という法律問題が争われた...
《解 説》
一 本件は、自家用自動車保険普通保険約款(以下「本件約款」という。)の第一章賠償責任条項八条三号の対人賠償免責条項(てん補しない損害―その2対人賠償。以下「本件免責条項」という。)にいう「配偶者」に内縁の配偶者が含まれるかという法律問題が争われた事件である。
自家用自動車保険...