最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 浦和地判平2・10・12(判タ743号69頁、判時1376号24頁)
2 浦和地判平3・3・25(判タ760号261頁)
《解 説》
一 出入国管理及び難民認定法(以下「法」という)別表第二の在留資格(「日本人の配偶者等」の在留資格はその中のひとつである)は、特定の活動を行う目的でわが国に在留する外国人に付与される別表第一の在留資格(就労は禁止される―法一九条)とは異なり、一定の「身分若しくは地位を有する者と...
《解 説》
本件は、ゴルフ場開設を目的とした開発許可の申請を受けて、県知事が都市計画法附則四項に基づく開発許可処分及び森林法(平成三年法律第三八号による改正前のもの)一〇条の二第一項に基づく(林地)開発許可処分をしたことなどに対し、右ゴルフ場外周部に隣接する集落に居住する原告が、県知事らを...
《解 説》
本件は、国民年金法(昭和六〇年法律第三四号による改正前のもの。以下「法」という。)に基づく障害福祉年金及び老齢年金双方の受給権の裁定を受けたXが、法二〇条のいわゆる併給調整規定に基づいて老齢年金の支給停止措置を受けたため、右規定及び措置が違憲無効であるとして、国に対し、未支給の...
《解 説》
一 契約上の給付が契約の相手方以外の第三者の利益になった場合に、右給付をした契約当事者が第三者に対してその利益の返還を請求することがあるが、そのような請求権は一般に「転用物訴権」と呼ばれる。本判決は、極めて限定された場合においてのみ転用物訴権の成立を認めることを明らかにしたもの...
《解 説》
平成四年法律第一四号による改正前の租税特別措置法七八条の三第一項は、中小企業者が集団化等のため取得する土地等の所有権移転登記について、「登録免許税の税率は、政令で定めるところにより、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の二十五とする。」と定めている。そして、同法施行令四二...
《解 説》
一 本件は、鴨島町の住民である原告が鴨島町営住宅の設置及び管理に関する条例(以下「本件条例」という。)八条の二に基づき住宅地区改良法二七条二項の規定により国の補助を受けて建設された町営住宅に入居許可申請したところ、被告(町長)がこれを拒否したため、被告に対し入居不許可処分の取消...
《解 説》
一 X1(訴訟中に死亡)及びその子であるX2、X3は、同一世帯を構成し(X1の妻は訴訟提起直前に死亡した。また、X1夫婦の長男は別世帯として独立している。)、X1において生活保護費を受給していたが、学資保険を保有し、その満期返戻金を受領したことが判明したため、Y1福祉事務所長は...
《解 説》
一 本件は詐欺罪で逮捕されたが勾留されることなく釈放された原告が捜査機関の違法行為によって精神的苦痛を被ったとして国家賠償法一条一項に基づき損害賠償を請求した事案である。
原告が逮捕されるに至った被疑事実は「原告はA会社代表取締役Bの実兄であったが、同社の前代表者であった実父...
《解 説》
一 本件は、その所得税につき青色申告の承認を得ていた個人小売業者が、税務署長(被告)の所得税調査の際に、その所属係官による帳簿書類の提示要請にもかかわらずこれを提示せず、税務調査に協力しなかったとして、被告が右個人小売業者に対して所得税法一五〇条一項一号を根拠になした青色申告承...
《解 説》
本件訴訟は、K市民生局における昭和六〇年五月から同六一年二月までの間の架空接待に関し、Xら住民が提起した代位損害賠償請求訴訟である。
Xらは、同六二年三月、市長A、民生局長B及び同和対策室長Cに対して代位損害賠償訴訟を提起していたが、第一審判決は、Cに対する訴えを却下し、A、...
《解 説》
本件は、Y銀行の窓口業務、証券保管業務、公金収納業務等に従事していた女子銀行員Xが両手等の痛みにつき、安全配慮義務違反に基づき、合計四三〇八万円余の損害賠償を求めた事実である。Xは、業務により生じた障害として、手根管症候群、右母指中手基節間関節変形性関節症、右デケルバン氏病、右...
《解 説》
一 A(昭和二五年生)は、昭和四九年四月、大阪府立養護学校の教員に採用され、小学部二年生を担任したが、昭和五〇年一〇月ころ、腰痛を訴え、腰椎分離症と診断され、右腰痛について、昭和五二年一二月二六日付けで「療養の範囲は、急性症状の消退するまでの間とする」との限定を付して公務上の災...
《解 説》
Xは、平成六年六月一六日、Yから神戸市東灘区所在のマンションの一室(三階)を保証金一〇〇万円、賃料月額八万円、共益費月額五〇〇〇円、期間二年の約で借り受け、さらに駐車場を保証金七万五〇〇〇円、賃料月額二万円の約で借り受けた。マンションの保証金については、契約終了時に三割を敷引き...
《解 説》
XはAを債務者としてA所有の土地建物に共同抵当権の設定を受けた。その後Aは、建物を取り壊し、跡地に建物を新築して保存登記をしたうえ、直ちにBに所有権移転登記をした。その後Bは、新築建物についてC(代表者B)を債務者とする抵当権をDのため設定した。Xは、土地と新築建物の一括競売を...
《解 説》
X(一審原告・被控訴人)はY(一審被告・控訴人)に対し、学校法人Aのセミナースクール第二期工事の前渡金として三〇〇〇万円を支払ったが、Yは旧建物の解体工事(二〇〇万円相当)をしただけで工事を続行せず、そのためにXは工事を他の業者に依頼し、セミナースクールの利用者である高校生が近...
《解 説》
原告は、男性同性愛者であることを標榜して参議院議員選挙等に多数回立候補して落選した経歴を有する者であるところ、平成四年七月二六日に行われた参議院議員選挙に立候補した際、スポーツ新聞に掲載された「彼は自分を『雑民』といっているが、保守系超大物政治家・Aのキンタマ(汚ない表現だな、...
《解 説》
Yは、その発行する雑誌「暮しの手帖」の「安全でおいしい水は取り戻せるか」と題する飲料水に関する特集記事において、「浄水器は役に立つか」との題名で、数種の浄水器の性能を比較する記事を掲載したが、Xは、その記事が、記事に名を借りて特定の浄水器を宣伝し、またXの製造・販売する浄水器(...
《解 説》
一 訴外A(昭和二年四月生)は、昭和五六年七月ころから心房細動、不整脈等の症状が認められるようになり、昭和六二年八月の人間ドックによる精密検査によって継続的な治療を受ける必要がある旨指示されたので、同年九月から静岡病院に入院して治療を受けることになった。
そして、Aは、同年一...
《解 説》
一 X2とその妻の訴外Aは、昭和六三年一月当時、岩手県大船渡市において洋品店を経営していたが、同月七日、火災により、X3所有の本件店舗が全焼し、A所有の本件倉庫が消火のため、破損、水ぬれするなどの損害を被った。
そこで、Y1ないしY4保険会社との間で、本件店舗と本件倉庫につい...
《解 説》
一 Xは、日本舞踊音羽流の家元であり、同流派に属する者のうち名取以上の者は「音羽」の姓を冠した名取名を称することになっている。Yは、同流派に所属し、名取として「音羽」の姓を冠した名取名を称していたが、同流派を退流した後も、「清派音羽流」を称して舞踊活動を行うとともに、従前の名取...
《解 説》
一 Xは、Yに対して立替金等の支払を求める支払命令を申し立て、右支払命令が発せられたが、Yの異議申立により訴訟に移行し、原判決は、Xの請求を認容した。Yは、右判決の送達日に破産宣告及び同時廃止の申立てをなし、ついで、右判決を不服として控訴した。
二 Yは、控訴審において、同時...
《解 説》
本判決は、特別公務員暴行陵虐致死被告事件につき無罪とした一審判決に対する控訴審の判決である(結論は控訴棄却。)。
本件公訴事実の概要は、警察官である被告人が、甲を公務執行妨害等の現行犯人として逮捕する職務を行うに当たり、甲に対し所携のけん銃を発射し、よってその上腕部を貫通し、...
《解 説》
一 本件は、女性関係のもつれから、被告人と被害者とが一丁の包丁を使用して決闘を行い、その際、被告人が殺意をもって被害者の腹部を包丁で突き刺したが、傷害を負わせるにとどまったという事案である。
本件の主たる争点は殺意の有無であるが、本判決は、決闘罪と殺人未遂罪との罪数関係につい...