最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
被審人は、一定地域の貸切バス事業者を会員とする事業者団体である。
貸切バスの運賃等(運賃及び料金)の決定、変更は運輸大臣の認可に係らせられており(道路運送法九条一項)、認可によらない運賃等を収受した場合は処罰の対象となり(同法九九条一号)、会員の運賃等も一定の金額の幅の中で認...
《解 説》
一 A会社(代表者B)は、平成三年一〇月二日、C会社から、六〇〇〇万円を、利息一か月二・五パーセント、弁済期平成四年一〇月一日の約定で借り受けたが、その際、Aは、Cに対し、平成四年七月二日から同年一〇月一日までの利息の支払のために、Aが振り出し、Bの妻YとBが保証の趣旨で順次裏...
《解 説》
一 Xは、平成三年八月一四日、退去強制令書の執行を受けて本国に送還された。
本判決は、退去強制手続きは、退去強制令書に基づき本人が本国に送還されたときは、その目的を達してその効力が消滅するから、執行完了にかかわらずその取消しを求めるには、取消しによって回復すべき法律上の利益が...
《解 説》
一 事案の概要
1 愛知県では、県知事交際費の名目で、県知事及び副知事の交際費を支出している。Xは、愛知県公文書公開条例(以下「本件条例」という)に基づき、平成二年七月一九日、「請求しようとする公文書の内容又は題名」を、「平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの県知事交際...
《解 説》
Y(土木事務所長)は、府知事から権限の委任を受け、A社が申請した砂防指定地内に果樹園を造成する工事の許可をした。これに対し、周辺住民であるXら六名が右工事は将来、土地を宅地化ないし墓地化するための脱法的準備行為であり、Yがこれを知りながら許可したのは違法であると主張して、その取...
《解 説》
一 X1は、木材の加工販売等を目的とするY1会社のトラック運転手として勤務していた者であるが、平成三年二月九日、神奈川県逗子市池子米軍住宅建設予定地内において、ワイヤロープで束ねた重量約八五〇キログラムのチップ原木を、クレーンを用いて、大型トラックに積み込む作業に従事中、玉掛け...
《解 説》
XはY1に対し、昭和五九年六月、一九〇〇万円を貸し付け、Y2の連帯保証を得た。なお、右貸金はY1がAから買い受けたという不動産代金に充てられており、Aは顧客のローン債務を包括的に連帯保証し、BがAのため物上保証していた。XがYらに対し貸金の返還を求める訴えを提起したところ、Yら...
《解 説》
Xは集合住宅の区分所有者全員で構成される管理組合であるが、集会の決議に基づき、区分所有者の一人Yに対し、①管理費及び修繕積立金合計一九万四八八〇円並びに外装補修工事負担金一二八万円、②本件の訴訟費用及び弁護士費用等一切の諸経費七〇万円、総計二一七万四八八〇円の支払いを求めて提訴...
《解 説》
事実関係は複雑であるが、要約すると次のとおりである。
Xらは、本件マンションの敷地の所有者ないし借地権者(旧地権者という)であったが、本件マンションの建設に際し、建設業者T社(後に事業主体がD社に代わる)との間で等価交換契約を結び、本件マンションの区分所有権を取得した。本件マ...
《解 説》
Xは貸金一七二三万円余の担保としてA振出し、Bら裏書きに係る受取人欄及び振出日欄とも白地の約束手形三通(額面合計二二五〇万円)を受け取ったが、振出人が倒産したので、農協職員の紹介により弁護士であるYに会い、法律相談を依頼した。Yは、本件手形について振出日欄を補充してから金融機関...
《解 説》
本件の事案はやや複雑であるが、これを要約すると次のとおりである。
Xは、イランを中心に中東地域に機械を輸出することを業とする会社であるが、イランの政府組織との間でXが気象用風船の安定機五〇〇〇台を代金四億五〇〇〇万円で開発、製造、販売する契約を締結し、イランのM銀行がXを受益...
《解 説》
本件は、友人であるAにクレジットカードを貸与してこれを不正に使用されたXが、クレジットカード会社であるYに対し、本件カードの不正使用に基づく代金債務等の不存在確認を求め、他方、YはXに対し、加盟店から譲り受けた右売掛代金債権等の支払を求めた事案である。
本事案においては、①カ...
《解 説》
Xは不動産の販売、斡旋等を業とする会社であるが、Y1の発行する日刊紙に暴力団関連企業であるとする記事を掲載されたため、Y1、編集局長Y2及び記事を執筆した記者Y3を相手に五億円の損害(逸失利益及び信用損害)の賠償とY1に対し謝罪広告の掲載を求めて出訴した。これに対しYらは、記事...
《解 説》
Xは医師であるが、平成元年三月以降、大手証券会社であるYとの間でワラント取引を行ったが、ワラントの取引期限が経過したことなどにより合計二億三二六八万円余の損害を被った。Xは、Yの社員らがXに対し、ワラント取引の危険性について説明せず、「絶対にもうかる」などと言ってワラント取引を...
《解 説》
Yの発行する週刊誌上に保険会社のXが有力政治家Aに対し、西洋の絵画の買戻しの形式で不法献金をしたかのごとき印象を与える記事が掲載された。そこで、XはYに対し、取材記者、執筆者、編集者の不法行為についての使用者責任に基づき、損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めて出訴した。これに対しY...
《解 説》
本判決の認定した事実関係の概要は次のとおりである。
Y1銀行は、有限会社A(代表者B)に対して信用保証協会の保証のもとに貸付を行っていたが、Aは利息を支払うのみで、元本の返済を行っていなかった。信用保証契約は一年の期限付きであったが、Bはその期限が切れるころ、顧問税理士のXを...
《解 説》
一 X(昭和一八年一月一日生)は、塗装工であるが、平成元年一一月一六日、足踏み式自転車に乗って帰宅する途中、Y1運転の普通乗用自動車に衝突され、頭部打撲、胸腹部打撲、腰椎捻挫、右下腹部打撲、左右上腕肘前腕打撲の傷害を負い、翌一七日から平成二年六月三〇日まで病院に入院して治療を受...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五八年一月二二日、喉に異常を覚えたため、近くの医院に赴いたところ、口腔内にチステがあるとして切開手術を受け、直ちに気管内挿管をした後、Yの経営する総合病院に搬送されたが、同病院の医師が直ちに抜管を行ったうえ、経過観察を行わなかったため、チステの切片が喉頭の声門...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
Xは、三四才であった昭和五七年秋、腰痛でY1が経営する病院を受診し、同年一二月に、Y2医師を執刀医として腰椎椎間板の神経根の圧迫を除去する手術を受けた。しかし、その後も足にしびれ感が残ったので、翌昭和五八年九月、馬尾神経部の癒着剥離を目的と...
《解 説》
一 Aは、非定型精神病によりY府立精神病院の準開放病棟に入院していた者であるが、同じく入院患者であったBに対し、腹部を十数回踏みつけるなどの暴行を行い、膵挫傷により死亡させた。Bの母(唯一の相続人)であるXは、同病院の医師らには、①Aを閉鎖病棟に入院させる義務、②仮にAを準開放...
《解 説》
X、Yともコンピューターのシステム及びプログラムの開発を業とする会社であるところ、T電力をユーザーとする水力発電工事管理システムをN社がYに発注し、YがXに右システムの開発業務を代金二八六二万円で委託した。右の代金はXにおいてプログラムを三万五〇〇〇ステップとして見積もった金額...
《解 説》
Xら二名は、A社の株主であるが、同社の取締役であったYら六名に対し、五五〇億円から最高八八〇億円までの損害賠償をA社に支払うよう求める株主代表訴訟を提起した。Yらは、商法二六七条五項、六項、一〇六条二項により右訴訟の提起は、「悪意ニ出デタルモノ」であると主張し、相当額の担保の供...
《解 説》
Aは、平成三年九月に保険金社Yとの間で搭乗者傷害保険金額一名につき一〇〇〇万円などとする自動車総合保険契約を締結した。Aは、同四年四月、常磐自動車道上り線を走行中、ガードレールに衝突し、車両が横転したはずみに車両から放り出されて車線上に倒れていたところ、二台の後続車に相次いで轢...
《解 説》
一 Xは、平成四年二月当時、旭川市近文町所在の木造二階建居宅を賃借して、長男と二人で居住していたが、同月一五日夜、右建物から出火し、右建物内にあるXの家財等が焼損するなどの火災事故が発生した。
Xは、平成三年五月、Y1保険会社との間で、また、平成四年一月、Y2保険会社との間で...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Xが、Y証券会社に対し、いわゆる「飛ばし」取引に関する合意の履行を求めた事案であり、証取法の平成三年法律第九六号による改正前に締結された右合意の私法上の効力をめぐって争われたものである。
Xは、Yとの間において、平成二年九月二六日、Aが保有する株式を...