最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 (判示事項一、二について)
1 原審は、検察官及び東京都知事の申立に基づき、抗告人の代表役員麻原彰晃こと松本智津夫の指示又は承認の下に、抗告人の組織的行為として、人を殺すこと以外に使途のないサリンの生成プラントを建設し、これを稼働させてサリンを生成した殺人予備行為が、宗教...
《解 説》
一 事案
本件は、全国の税関に勤務する職員により組織されている労働組合(以下「全税関労組」という。)の大阪支部組合員(以下「支部組合員」という。)らが、任命権者である大阪税関長から、支部組合員であることを理由に、昇任、昇格及び特別昇給において不当な差別を受け、経済的・精神的損...
《解 説》
一 本件は、株式会社X(債権者)が営む司法試験受験予備校の専任講師を務め監査役にも就任していたY1(債務者)と、その代表取締役を務めその後監査役であったY2(債務者)とが、Xを退職後株式会社を設立し、同社が営業主体となって司法試験受験指導を行う「司法試験塾」を開業したため、Xが...
《解 説》
一 本件は、暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、平成三年五月八日成立、同月一五日公布、平成四年三月一日施行)三条に基づき暴力団指定の処分を受けた原告(北九州市に本拠を置くいわゆる二代目工藤連合草野一家)において、公安委員会である被告に対し、その指定処分の取消し...
《解 説》
一 本件は、電力会社が設置し水力発電の用に供していたダムについて河川法七条にいう河川管理者である被告が、同法二三条及び二四条に基づいてした水利使用許可処分(以下「本件処分」という。)に対し、右ダムが原因となって洪水災害を被るおそれのある地域内に農地を有している原告らが本件処分の...
《解 説》
一 Xは、平成三年六月一四日、同級生のAとともに、Yの設置する岩根中学校の校庭に遊びに入り、校舎裏側に同校が置いていた本件ゴールポストで遊んでいた際、右ゴールポストが倒れてXがその下敷きとなり、脳挫傷、頭蓋骨開放骨折等の傷害を負った。
そこで、Xは、右事故は本件ゴールポストの...
《解 説》
一 事業協同組合の組合員である原告は、事業協同組合から土地建物について所有権移転登記(以下「本件登記」という。)を受けたが、その際、登録免許税につき、租税特別措置法(以下「措置法」という。)七八条の三第一項所定の軽減税率の特例の適用があることを知らずに通常の税率を適用した結果、...
《解 説》
一 Y社は、碍子の生産においては我が国最大手の企業であり、昭和三〇年からベリリウムを新分野製品開発の素材とするため研究開発を行い、昭和三三年からベリリウム製品の生産を開始していた。Aは、Y社の社員であり、昭和三七年から昭和四二年までの約五年間ベリリウムの研究、製品試作・加工等の...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
Xらは、いずれもYから共同住宅の一室を賃借し、敷金を差し入れていたが、右共同住宅は、原因不明の出火により全焼し、賃貸借契約は目的物滅失により終了した。Xらが敷金全額の返還を求めたのに対し、Yは、①本件賃貸借契約には、賃借物件が火災など...
《解 説》
平成二年一一月、X・Y間においてXがYに対し中国烟台産の河砂毎月二万ないし五万立方メートルを継続的に売るとの基本契約が締結され、そのころY・A間において右砂をYからAに転売するとの契約が締結された。右各契約に基づき、Xは同三年二月、烟台港においてクレーン設備を有しない大型貨物船...
《解 説》
一 本件は、韓国人である原告らが、太平洋戦争の終戦直後、樺太(現ロシア領サハリン)の敷香郡敷香町において、日本国の憲兵らにより、父親と兄弟をスパイ容疑で逮捕・連行・虐殺されたとして、憲兵らの使用者である国に対し、民法又は国際法に基づいて、それぞれ慰謝料三〇〇〇万円の損害賠償と謝...
《解 説》
Xは六七歳の男性であるが、平成二年六月、Y1銀行から七〇〇〇万円の融資を受け、長男Aを被保険者として基本保険金額一億一五〇〇万円、保険料三〇七〇万円余及び基本保険金額一億一〇〇〇万円、保険料二九三七万円余の二口の変額保険契約を締結した。Xは同三年六月、これらを解約し、解約返戻金...
《解 説》
六三歳の男子Xは、平成二年七月、Y3銀行(担当者Y4)から九〇〇〇万円を借り受け、Y1生命保険会社(外務員Y2)との間で基本保険金額一億四二三二万円余、保険料八〇〇〇万円の変額保険契約を締結したが、同四年三月、変額保険契約を解約し、解約返戻金七三七六万円余を受領した。Xは、Y2...
《解 説》
一 X1は、昭和五五年ころ、Yに対し、東京地方裁判所に係属中の認知事件と親子関係存在確認事件の訴訟遂行を委任し、また、X1の母親X2は、Yに対し、右事件の和解事件において利害関係人として参加することを委任したところ、Yは、X1とX2との代理人となり、昭和五八年三月、右訴訟事件と...
《解 説》
本件は、Y(国)の設置する病院で出生したXが、分娩を担当した医師の過失により右腕神経叢麻痺の後遺障害を受けたとして、Yに対し使用者責任に基づく損害賠償を求めた事案について、医師の過失が否定された事例である。
Aは、Xを出産するため本件病院に入院した。分娩に当たったB医師は、経...
《解 説》
一 Xらの長男A(昭和三四年一〇月生れ)は、昭和五七年二月から、精神分裂病のため、都立甲病院に入院していたが、平成二年二月、同室の精神障害者Bに頸部を締められ、口腔内深部に多量のティッシュペーパーを塊状に挿入されたため、気道閉塞により窒息死するに至った。
そこで、Xらは、同病...
《解 説》
一 X1は、昭和五九年四月、日大付属板橋病院において、脊髄動静脈奇形(AVM)と診断され、同年六月、同病院において、脊髄動静脈奇形摘出の手術を受けたが、手術後、歩行不能、両下肢麻痺等の障害が残ったため、妻X2とともに、同病院の開設者であるYに対し、手術の必要性の不存在、手術前の...
《解 説》
一 X(原告・控訴人)は、妻のY(被告・被控訴人)と五年以上別居していることなどにより婚姻関係が破綻しているとして、Yとの離婚を請求したが、一審で敗訴したので、一審判決を不服として控訴し、一審判決を取消したうえ、Yとの離婚と長女の親権者の指定を求めるとともに、XからYへの財産分...
《解 説》
Xは土木建築の請負等を目的とする会社であり、平成二年一〇月、Aからマンション(本件建物)の新築工事を代金七億九三一〇万円で請け負った。Xは同四年一月、右工事を完成させ、Aの完了検査を受けたが、残代金の支払いを受けられなかったため、本件建物について商事留置権を行使する旨告知し、こ...
《解 説》
一 X(原告・相手方)は、サイボー株式会社(東証二部上場)の株主であるが、同社が平成三年三月第三者割当増資として行った新株発行に関して、取締役会決議で著しく不公正な発行価額が定められたことにより同社に総額八三億九八〇〇万円相当の損害が生じたと主張して、当時の取締役又はその相続人...
《解 説》
一 本件事案は次の通りである。
原告は、「株式会社東北アイチ」の商号で、椅子の製造・販売を業とする株式会社である。これに対し被告は特殊車両等の販売整備を業とする株式会社であり、かつて原告とは別の商号を使用していた。ところが被告の親会社が系列企業の社名統一を決定したことを受け、...
《解 説》
本件の事案は、Y(被告、控訴人)がX(原告、被控訴人)に対する債務名義に基づきXのAに対する給料債権等を差し押さえた後に、Xが破産宣告を受けたが、同時廃止となったため右強制執行手続が続行されたところ、さらにXの他の債権者が右給料債権等を差し押さえたので、第三債務者であるAが供託...
《解 説》
本件は破産会社Aのした債権者Yに対する弁済が破産法七二条一号のいわゆる故意否認条項に該当するとして管財人Xが原状回復を求めた事案である。
昭和六三年七月末から同年九月末までの間に発生したYのAに対する売掛金債権は八〇五二万円余に達した。Aの代表者Bが自殺した後、AはYにこれと...
《解 説》
一 平成七年法律第九一号による刑法の一部改正によって尊属殺人、尊属傷害致死等の尊属加重規定はすべて削除され、かつ同法律の施行(平成七年六月一日)前にした行為についても右加重規定は適用されないこととなった(同法律付則二条一項但書)。そこで、同法律の施行前に犯した尊属加重規定に該当...
《解 説》
一 本件は、共犯者と共謀の上、覚せい剤を営利自的で所持したとされる事案について、第一審が共犯者の証言の信用性を認め、被告人に対して有罪を言い渡したのに対し、控訴審は、共犯者の証言は信用できず、その余の証拠も証拠価値が乏しいとして、事実誤認を理由に第一審の有罪判決を破棄し、被告人...