最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、いわゆる貝塚ビニールハウス殺人事件で、強姦・殺人(X1についてはさらに窃盗)の被告として起訴され、一審で有罪判決を受けた後、二審で無罪判決(確定)を受けたX1、X2、X3、X4及び、一審判決に控訴せず服役した後、再審で無罪判決(確定)を受けたX5が、①...
《解 説》
一 本件事案の概要
運送業を営むA社は、その保有する本件自動車につき、Y保険会社との間で、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の契約を締結していたところ、本件自動車は、昭和五二年四月二〇日、交通事故を起こし、B1、B2の両名に傷害を負わせた。B1、B2から多額の損害賠償請求を...
《解 説》
違法収集証拠の証拠能力について、最高裁は、①最一小判昭53・9・7刑集三二巻六号一六七二頁、本誌三六九号一二五頁をリーディングケースとし、以後、②最二小判昭61・4・25刑集四〇巻三号二一五頁、本誌六〇〇号七八頁、③最二小決昭63・9・16刑集四二巻七号一〇五一頁、本誌六八〇号...
《解 説》
一 福井県内に居住するXは、福井県公文書公開条例(昭和六一年福井県条例第二号、以下「本件条例」という。)に基づき、実施機関である福井県知事(Y)に対し、A町営土地改良事業に関する換地計画書の公開を請求した。Yはその一部を公開したが、従前の土地に係る評定及び換地交付基準額欄等(原...
《解 説》
一 本判決は、浦和地判平4・3・2(本誌七九一号一一〇頁)の控訴審判決である。
本件の事案は次のようなものである。
埼玉県上尾市は、JR上尾駅東口の市街地再開発事業にあたり、地元企業等と共同出資によってY会社(被告・控訴人)を設立し、Y会社との間で、同社の申出に基づき、経営...
一 生活保護の実施機関である政令指定都市の市長が生活保護法49条により指定を受けた医療機関の診療報酬請求について診療報酬の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託している場合において、市長が社会保険診療報酬支払基金の審査意見に基づいて医療機関の診療報酬額を決定する行為が行政処分にあたるか (積極)
二 社会保険診療報酬支払基金が生活保護法49条により指定を受けた医療機関の診療報酬請求の審査をする場合において、審査資料を医療機関から提出された診療報酬請求書類に限定することは違法か
三 生活保護法49条により指定を受けた医療機関が生活保護受給者に対して実施した診療について、医療機関からの診療報酬請求に対しその支払の一部を拒否した市長の同法53条1項の決定に違法があるとして、その一部が取り消された事例
(京都地裁平7・2・3判決)
《解 説》
Yは中小企業等協同組合法に基づいて設立された協同組合で、傘下に多数の中小企業を擁し、それらの組合員を加盟店として割賦購入あっせん業務、割賦債権の買い取りやクレジットカードを利用して総合割賦購入あっせん業務等を行い、貸金業も営んでいる。XはYと日専連カード会員契約を締結し、日専連...
《解 説》
一 X(原告・控訴人)らの子Aは、昭和六二年四月当時、神奈川県立伊勢原養護学校高等部二年に在学していたが、同月一五日、同校の体育授業の一環として行われた水泳訓練に参加し、学級担任教諭からマンツーマン方式で指導を受けていたところ、頭を水中につけすぎたため、水を吸引して溺死するに至...
《解 説》
一 地方自治法二条一三項は「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては……最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と、地方財政法四条一項は「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」と規定している...
《解 説》
一 Xは、夫であるAの不貞行為に悩んでいたところ、NTTタウンページの宣伝広告を見て、Yに夫の調査を依頼すれば、適時に的確な調査と報告を得ることができるものと考え、平成四年八月二五日、Yとの間で、夫の行動調査を依頼する旨の調査契約を締結し、調査費用として七二万一〇〇〇円を支払っ...
《解 説》
一 X(原告・反訴被告)は、自己所有地に四階建店舗付共同住宅の建築を計画したところ、近隣住民であるYら(被告・反訴原告)は、他の住民とともに、右建築に対する反対運動を展開し、Xに対して建築計画の撤回を要求したほか、市役所に建築確認をしないように働きかけたり、県土木事務所に建築反...
《解 説》
一 XらはY1の設置する有料老人ホームに入居していた者(契約者一二名、同居者五名の一七名)である。同老人ホームは三重県伊勢市と松阪市のほぼ中間の閑静な地域にあり、二五八室・定員四一三名というかなり大規模な終身利用型(同一施設内介護)のホームとして昭和六〇年一二月に開業した。しか...
《解 説》
X1はX2、X3の両社の経営者であるが、Y1が経営するゴルフ場の東一〇番ホールのバックティーグラウンドに向かって歩いていたところ、隣接する東一八番ホールでプレーヤーY2の打った打球がX1の左目を直撃し、視力障害が生じたため、Xらは、Y2に過失があり、また、Y1の工作物に瑕疵があ...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年四月二日、Y1会社の同僚Y2と仕事終了後飲酒したうえ、会社の自動車に乗ってドライブに出かけたが、運転していたY2のハンドル操作のミスにより車道側のガードパイプに激突して転倒したため、同乗のAが頭蓋内出血により死亡した。
そこで、Aの母Xは、加害自動車の所...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。
訴外A(女性、昭和三四年四月八日生)は、平成四年一月二二日午後五時五〇分ころ、分娩誘発目的のため、被告Y1医療法人が開設するB産婦人科医院に入院し、翌二三日午前一一時、女児を出産したが、その直後から大量の出血が始まったため、同日午前一一時二...
《解 説》
一 XYは、ともに亡Aの相続人であり、他に相続人はいないが、両者はAの生前、「Aが死亡した場合には、その遺産のうちからXは七二〇〇万円を、Yはその残余をそれぞれ分割相続する」との合意をなしていた。そしてAの死後、右合意に基づいて、XがYに対して七二〇〇万円の支払を求めたのが本件...
《解 説》
一 本件は、被相続人の妻及び三男が原告となり、被相続人の遺産である土地を同人の二女に遺贈する旨の公正証書遺言及び被相続人の遺産である骨董品を同じく二女に遺贈する旨の自筆証書遺言がいずれも被相続人の意思に基づかずに作成されたものであるとして、二女を被告として、右各遺言の無効確認を...
《解 説》
一 Xは、Y(パチンコの景品交換を業とする資本金四〇〇万円の株式会社)の代表取締役であったが、預金利息が下がり有利な投資先を求めたことと、折りからの財テクブームに乗せられて、大量の株式の信用取引を行ったほか、インパクトローンと称する外貨建ての借入による投機取引を行っていた。しか...
《解 説》
一 本件は、Xらが保険契約者となって締結した損害保険について、保険事由(火災)が発生したとして保険金の請求をしたのに対し、Yが、保険約款上の免責事由(重過失、不実表示等)とともに保険契約の公序良俗違反を主張して争った事案である。
本判決は、(一)保険契約締結の日が火災発生の五...
《解 説》
一 Xは多摩市(Y)の住民であり、Yが設置している多摩市立図書館において、Yが管理する著作物である「土木工学事典」(本件著作物)の一項目につき、複写を申請したが、窓口の担当職員は、著作権法の規定により、Xの希望する部分全部の複写サービスは実施しかねる旨回答した。そこで、Xは、著...
《解 説》
一 事案の概要
X女は昭和四五年ころから民宿を経営していたが、放漫経営もあって当初から赤字続きであり、Xは、運転資金の借入れを繰り返したり、その返済のために無計画に借入れを行ったりした結果、日を追って負債が増大していった。この間、Xの夫T(国家公務員であり、転勤により各地を転...
《解 説》
一 本件は、北海道比布町議会議員であった被告人が、当時同町内に建設の計画があったゴルフ場の建設に関し、関係者から現金三〇〇万円を収受したとして収賄罪に問われた事案である。
本判決は、まず、本件三〇〇万円の現金は被告人の議員としての立場とは関係がなく、専ら建設予定地の地権者らの...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は収賄被告事件(贈賄者は自白しており、すでに有罪判決が確定している)の被告人甲と交遊のある本件被告人が、収賄の日時には甲とホルモン店で会った旨のいわゆるアリバイの記載のある日記帳及び手帳を甲の弁護人を通して右収賄被告事件の公判廷に提出し、証人として宣...
《解 説》
本判決中判示事項として紹介するのは、被告人が窃盗(すり)未遂を行い、かつこれとは別の機会にその被害者を脅迫したという公訴事実につき、犯人は被告人であるとする被害者の供述の信用性を肯定し有罪とした原判決とは逆に、その信用性が十分でなく、かつ被告人のアリバイ等の弁解も排斥し難いとし...
《解 説》
本件は、国営八郎潟干拓事業によって造成された八郎潟中央干拓地に関し、入植者に営農に関する契約違反があったとして国が入植地の買収を求めると共に、これに関し、国が入植者に代って支払った金員等の返還を求めた事件である。
判決は、国による売買予約完結権が二名の入植者に対し、昭和五七年...