最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、参議院(比例代表選出)議員の選挙後に欠員が生じた場合の繰上補充による当選人の決定を争う当選訴訟であり、本来であれば繰上により当選人となるべき名簿登載者Xについて、当該名簿を届け出た日本新党から除名届が提出されていたために、選挙会が後順位の名簿登載者Aを当選人と定めた...
《解 説》
一 本件は、男子同性愛者向け雑誌の出版等を行っている被告人が、同雑誌の編集者Aとともにアメリカ合衆国サンフランシスコ市内に赴き、ポルノショップにおいてビデオテープや雑誌等のいわゆるわいせつ表現物を入手し、Aと手分けして携帯して、これらわいせつ表現物の日本国内への持ち込みを図った...
《解 説》
一 本判決は、いわゆるトリカブト殺人事件の第一審判決である。
本件は、被告人が、保険金目当ての殺人を計画し、その意図を秘して被害者に接近して結婚し、高額の生命保険を掛けた上、昭和六一年五月、沖縄・石垣島旅行中にトリカブト毒等を用いてこれを殺害し、生命保険会社四社から合計一億八...
《解 説》
一 船員保険法によれば、船員保険の被保険者資格は、一〇条において定義された船舶所有者(船舶賃借の場合であれば船舶借入人)に船員として使用される者につき認められるが(一七条)、その取得は、船舶所有者の住所地又は主たる事務所の所在地の都道府県知事の確認によってその効力を生じるものと...
《解 説》
一 熊本市においては、昭和五七年九月六日以降、一部の課(市民課、保険課、年金課等)において、職員の昼休みの休憩時間を交代で繰り下げることによって、午後零時から午後一時までの時間も継続して窓口業務(以下、この業務を「昼休み窓口業務」という。)を行うこととなり、これに伴い、当時の市...
《解 説》
一 本件は、原告が過半数の従業員で組織する第二組合(社員会)との間では三六協定を締結して時間外労働をさせながら、原告が提案した賃金計算方法の不利益変更を受諾しなかった申立組合との間では三六協定を締結せずに時間外労働を禁止し、これに違反した組合員らに対して懲戒処分をした行為などが...
《解 説》
一 本件は、平成三年度の明治大学の入学選抜試験に際し、現役の大学生などを替え玉受験生に使って入学選抜試験を受験させたいわゆる明治大学替え玉入試事件の上告審決定である。替え玉受験の方法は、志願者の代わりに替え玉受験生となる現役の大学生などの顔写真を入学志願者票に貼付して出願した上...
《解 説》
一 本件は、アメリカ合衆国から、同国独占禁止法違反(正確には、シャーマン法一条違反)被疑事件についての捜査共助依頼を受けた検察官が、国際捜査共助法に基づき、裁判所に対して関係箇所の捜索差押許可状の発付を請求したところ、令状担当裁判官が誤って「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関...
《解 説》
平成二年に天皇の即位の礼及び大嘗祭がとり行われたが、その一環として同年一〇月一〇日大分県玖珠郡玖珠町において主基斎田抜穂の儀が行われ、これに県知事Y1、副知事Y2及び農政部長Y3が参列した。Xらは同県の住民であるが、右抜穂の儀に県知事らが列席することは政教分離の原則(憲法二〇条...
《解 説》
一 本件は、土地区画整理事業における換地予定地的な仮換地の違法性が争われた事案であり、Xらは、仮換地の違法事由として、①照応原則違反、②換地計画を定めずに換地予定地的な仮換地を行った、③換地設計基準に合致していないことを主張した。
二 本判決は、まず前記一の②の主張に対して、...
《解 説》
X1は、Y2市に勤務する公務員であり、Y1製作所が製造し、Y2が設置管理するごみ処理プラントで技師として働いていたが、ある日、残灰処理のため灰バンカー内部を点検したところ、プリッジ現象のため灰が落ちなくなっていたので、鉄棒で灰だまりを二、三回突き崩そうとしたところ、突然爆風を浴...
《解 説》
一 Xは、海砂採取船(本船)と押送船を所有するところ、平成三年四月、福岡県沖にて海砂を採取積載したうえ、宮崎港に向けて航行中、関門航路において海中の機雷に接触して爆発したため、本船に大破損が生じ、座洲した。
そこで、Xは、右事故は、(一)防衛庁・海上自衛隊が、関門航路を掃海し...
《解 説》
一 本件は、被告の職員であり、通信産業労働組合の組合員である原告が、全労連の結成大会に参加するため、被告の設置する職員の訓練・研修施設でのディジタル交換機の保守業務についての集合訓練期間中の一日につき、年休を取得する旨請求(時季の指定)をしたところ、被告から時季変更権を行使され...
《解 説》
Xは一二階建マンションの一階に三四五平方メートル余の専有部分を有するものであり、これを事務所として第三者に賃貸していたところ、右賃借人が撤退し、これを新たにレストラン営業を目的とする会社に賃貸することとして、右マンションの管理組合Yに承諾を求めたが、Yにおいては、平成元年一二月...
《解 説》
X社は日本企業であり、中国資本との合弁によりM社を設立した。X社は、中国との貿易に熟達したY1社(代表者Y2)との間でM社についての企業管理代行委託契約を締結し、X社からY1社にその手数料として毎月三〇万円を支払う約束をした。本件の紛争は、X社からY1社に対し、Y1社がM社の中...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年九月二〇日、Y銀行に対して、一億五〇〇〇万円を預け入れて定期預金契約を締結し、X2は、昭和六三年一一月一日、Yに対して、二億円を預け入れて定期預金契約を締結し、X3は、昭和六三年九月二二日と同年一一月一日、Yに対して、合計二億円を預け入れて定期預金契約を締...
《解 説》
一 Xは、平成二年一二月、ゴルフ会員権の販売業者Y1から、静岡県駿東郡小山町所在の「ギャツビイゴルフクラブ」の会員権を購入し、申込金一〇万円を支払うとともに、翌平成三年七月代金四一〇万円支払って会員の登録を受けた。
しかし、Xは、登録後プレーの予約をしても、会員権の大量販売の...
《解 説》
本件は、Xが、A精神病院を開設するYに対し、精神病者でも精神病質者でもないのに精神衛生法(現在の精神保健法)三三条所定のいわゆる同意入院としてYによって違法に同病院に入院させられたとして、損害賠償を求めた事案であって、本誌八一八号一〇八頁に掲載された福岡地方裁判所昭和六一年(ワ...
《解 説》
一 本件は、いわゆるベルギーダイヤモンド事件として、全国各地で、訴訟が係属した事件の一つである。すでに同種の訴訟について、各地で多数の判決がでている(公序良俗違反とした裁判例として、①神戸簡判昭60・8・28本誌五七七号五三頁、②大阪地判平3・3・11本誌七七三号二〇四頁、判時...
《解 説》
一 X1は、昭和六一年一一月当時、電子機器メーカーに勤務して測定器の組立作業に従事している者であるが、同月二八日、横浜市緑区荏田町内の交差点を横断中、Yの運転してきた普通乗用自動車に衝突され、腰部打傷、両膝挫傷、左座骨骨折、頭部打撲等の傷害を負った。
そこで、X1は、昭和六一...
《解 説》
一 Xは、歯科医Yから、喪失した歯に代えて顎骨に支台を設置して人工歯根(義歯)を装着するインプラント治療を受けたが、うまくいかず、他の病院でインプラントを除去する手術を受けることを余儀なくされた。そこで、XがYに対して、診療契約上の債務不履行に当たるとして、二二五三万円余の損害...
《解 説》
一 X1とX2の長男Aは、平成元年一月当時、東京都立田無工業高校の一学年に在学中であって、同校の企画で同月二三日から二五日までの二泊三日の日程で菅平高原で行われたスキー教室に参加したものであるが、二三日の深夜ないし二四日の早朝、喘息の発作が始まったので、スキー講習会を休んで宿泊...
《解 説》
XとY保険会社は昭和五七年五月、Xを契約者及び受取人、被保険者をA(Xの子)とする生命保険契約を締結したが、それには「不慮の事故」を原因として事故の日から一八〇日以内に死亡したことを保険事故とする三〇〇万円の災害割増特約保険金三〇〇万円が付されていた。ところでAは、同六二年六月...
《解 説》
日本法人Xは、サーカスの興行を業とする米国法人Aとの間でXが日本にAのサーカス団を招聘し、二年間興行させる契約を締結したが、Xは、Aの代表者Yが一年目は極端な手抜きを省いて二年目の報酬を受け取り、Xを安心させて二年目の興行で手抜きをする意図で契約を締結したと主張し、わが国の裁判...
《解 説》
一 本件は、眼科医であり、かつコンタクトレンズの販売等を行う会社の実質的経営者である被告人が医師資格を有しない右会社の従業員にコンタクトレンズの処方、そのための検眼及びコンタクトレンズの着脱等をさせた行為が、右従業員と共謀のうえ医師法一七条の医業をなしたものとして起訴され、第一...
《解 説》
一 本件は、いわゆる日産サニー再審請求事件の抗告審決定である。日産サニー事件については、本決定第一でも触れられているように、昭和四四年四月二日福島地裁いわき支部において、請求人に対し、「昭和四二年一〇月二七日午前零時過頃、金品窃取の目的をもって、ドライバーを携え、いわき市〈番地...