最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、平成四年七月二六日執行の第一六回参議院通常選挙(以下「本件選挙」という。)の沖縄選挙区選出に係る補助参加人(以下「島袋候補者」という。)の当選無効等請求事件である。
公選法六八条一項五号は、投票の無効原因として、「公職の候補者の氏名のほか、他事を記載したもの。ただ...
《解 説》
一 Xらは、一部事務組合(地方自治法二八四条一項)である名古屋競輪組合がその議員に対して費用弁償をしたのが違法であるとして、Yら(同組合管理者の職にあった者及び議員個人)に対し、同組合に代位して損害賠償を請求する住民訴訟(同法二九二条において準用する二四二条の二第一項四号の請求...
《解 説》
一 原告は、県立高等学校教諭であるが、勤務校の定期考査期間中に勤務場所を離れて自主的研修を行うことを計画し、被告校長に対し、教育公務員特例法(以下「教特法」という。)二〇条二項に基づく研修の承認を求めた。被告校長は、右研修を承認しなかった(以下、この措置を「本件研修不承認」とい...
《解 説》
一 本件は、公正証書遺言がされた場合において、遺言公正証書の正本の保管者がこれを公表しなかった行為につき、民法八九一条五号にいう遺言書の隠匿に当たるか否かが問題となったものである。相続欠格事由に関する裁判例は乏しく、実務上参考になる最高裁判例である。
本件事案の概要は、以下の...
《解 説》
一 旧民訴法六三三条は「期日ニ於テ異議ノ完結セサルトキハ異議ヲ申立テタル債権者ハ他ノ債権者ニ対シ訴ヲ起シタルコトヲ期日ヨリ七日ノ期間内ニ裁判所ニ証明ス可シ其期間ヲ徒過シタル後ハ裁判所ハ異議ニ拘ハラス配当ノ実施ヲ命ス可シ」と規定するのみであり、起訴証明をすべき相手方及びこれをしな...
《解 説》
一 本件は、台湾の住民である被告人が、日本人Aが台湾から日本国内に覚せい剤を密輸入するに当たり、Aの依頼を受けて、台湾国内において、同じく台湾の住民であるBとともに、覚せい剤を入手してAに交付して幇助した行為(第一の犯行)、及び被告人がBとともに台湾から日本国内に覚せい剤を密輸...
《解 説》
一 総説
本件は、大阪地判昭63・10・14本誌六九〇号一二〇頁の控訴審判決であるが、大阪地判昭57・3・24本誌四六三号七六頁(箕面忠魂碑訴訟)、大阪地判昭58・3・1本誌四八七号一七四頁(箕面慰霊祭訴訟。なお、忠魂碑訴訟、慰霊祭訴訟は控訴審において併合されている。控訴審判...
《解 説》
一 本件は、広島県知事・因島保健所長が、骨関節結核の集団発生を認知し、その予防及びまん延を防止するために結核予防法及び医療法上の適切な措置をとるべき作為義務があったにもかかわらず、何らの有効適切な措置も講じなかった、との広島県知事・因島保健所長の不作為を理由に、骨関節結核の患者...
《解 説》
一 X会社の従業員Aは、会社の大型トラックを運転して京都市道久世六六号線を北に向って走行中、本件事故現場において道路上に約一・一メートルはみ出している新幹線軌道(市道東側をこれに沿って並行に設置されている。)橋桁にトラックの荷台前上部を衝突させてトラックは破損した。そこでX会社...
《解 説》
原告は、東京都江戸川区でコンビニエンスストアを経営する者で、その店舗を販売場所として酒類販売業の免許申請をしたが、酒税法一〇条一〇号(申請者の経営の基礎が薄弱であると認められる場合)及び一〇条一一号(酒類の需給の均衡維持の必要上販売免許を与えるのが適当でないと認められる場合)に...
《解 説》
一 Xの夫Aは、昭和三六年四月、静岡県浜松市に採用され、同市清掃部北清掃事務所に清掃業務員として勤務し、ごみ収集業務に従事していたが、昭和五二年六月二五日、業務中に倒れ、救急車で病院に収容されたが、同日、脳卒中で死亡した。
そこで、Xは、昭和五四年三月、Y地方公務員災害補償基...
《解 説》
Y所有地上には二棟の建物があり、Xは昭和二七年五月ころ、そのうち公道に面しない北側部分上の建物をYから買い受けるとともに、敷地(甲地)をYから賃借し、残地(乙地)の西側部分を通行して公道に出ていた。Xは同三一年七月ころ、右建物を建て替え、他方、Yは平成元年春、自己の建物を建て替...
《解 説》
農業を営む父親Xは、約三五年間にわたりXと同居してXの農業を助けてきた長男のAに、農地を一括して生前贈与し、その贈与には、受贈者であるAが贈与者であるXと同居して農業を助け、X夫婦を扶養し困窮に至らせないとの負担が付されていた。ところが、その三年後長男Aが死亡し、Aの弟たちがA...
《解 説》
一 本件の争点は多岐にわたるが、Yは、自分が株式運用を委託しているAをXに紹介した。XとAはXがその所有する株式三万株をAに運用資金として一年間預託し、これに対して、AはXが預託した株式の元本及び一定の年一五パーセントの運用利益を保証することを約する旨の株式運用契約(以下「本件...
《解 説》
X(代表者A)及びB社(代表者A)は、昭和五九年一一月、Y税理士との間で、税務顧問契約を締結し、税務代理、記帳代行等を委託した。Aは、同六〇年五月ころ、Yに対し、Xを解散し、株主たる地位に基づき、有利な残余財産の分配を受けたいとの税務相談をした。その趣旨は、XのB社に対する貸金...
《解 説》
本件は、兄Xから弟Y1に対し、本件土地(一)の所有権に基づき地上建物三棟の収去及び土地明渡しを求めた第一事件と、Y1からXが代表者であるY2社に対し、本件土地(二)の所有権に基づき建物一棟の収去及び土地明渡しを求めた事件が併合審判されたものである。そのいずれの事件においても当該...
《解 説》
一 本件は、控訴人(一審原告)から被控訴人(一審被告)に対し、被控訴人が編集発行する月刊誌プロモーションニューズ(プロモーション)のプロモーションフォーラム(フォーラム)欄に掲載された、被控訴人執筆に係る記事(本件記事)により控訴人の名誉が棄損されたとして、損害賠償請求とフォー...
《解 説》
一 加害者Aは、かねてから恨みに思っていた隣人Bと自宅前路上で口論になったことから、B殺害を決意し、実弾を装填した散弾銃を自宅から持ち出し、路上にいたBに向けて至近距離から散弾銃を発砲したが、身をかわしたBには命中せず、背後の被害者C、D親子に命中した。加害者は、Bを追いつめて...
《解 説》
一 本件は、Y1が経営するゴルフクラブの会員権の購入等をしようとしたXらが、右会員権等の購入・販売をしており昭和六三年に破産宣告を受けたゴルフ会員権販売業者であるA会社及びその取締役であるBに金員・会員権を騙し取られたことにつき、ゴルフ場の経営会社であるY1に対し、A会社がY1...
《解 説》
一 Xは、訴外Aの妻であるが、夫であるAがYと情交関係を持ち、いわゆる不倫関係となったことから、Aとの婚姻関係が破綻の危機に瀕して精神的損害を被ったとして、Yに対し慰謝料五〇〇万円の支払を請求した。
本判決は、YはXとAが婚姻関係にあることを知りながら情交関係に及んだもので、...
《解 説》
一 X1は、海外旅行中の観光地で階段から転落して頭を打ち、いったんは同地の病院に入院したが、帰国後、医師であるYの勤務するT病院に赴きCTスキャンによる頭部の撮影を受けたところ、脳梗塞、脳腫瘍、脳挫傷が疑われ、同病院に入院することとなった。その後、Yにより、X1についてルンバー...
《解 説》
本件は、遺産分割の審判に対して即時抗告がなされ抗告審に係属中、抗告人と相手方の一人から寄与分の申立てがなされた事案であり、いずれの申立ても適法とされたうえ、抗告人については三〇〇万円の寄与分が認められ、相手方の一人については理由がないとして却下された事例である。
遺産分割の審...
《解 説》
判示事項一は、扶養義務者の一人が負担した過去の扶養料について、通常の民事訴訟手続により他の扶養義務者に対し求償することができるかという問題に関する判断である。この問題に関しては、判決にも引用されている最判昭42・2・17民集二一巻一号一三三頁が、「扶養権利者を扶養してきた扶養義...
《解 説》
一 A会社は皮革製品の加工を業とする有限会社であるところ、Y1はその代表取締役であり、その妻であるY2もA会社の取締役に一時就任したことがあったが、その後辞任し、その旨の登記もされていた。Xは、A会社に対して皮革等を継続的に販売していたものであるが、A会社が倒産し、商品代金の支...
《解 説》
一 原告は、判決別紙目録一記載の本件商標を有している者であり、被告は、カミソリ刃及びその包装に「KⅡ」からなる被告商章(判決別紙目録二記載)を付して、製造販売している。
本件は、原告が、本件商標は外観上「K」と「Ⅱ」の接合体と看取できるから被告標章が本件商標に類似するとして、...
《解 説》
Xはフリーのカメラマンであり、Y1は海外旅行者向けに旅行情報誌を出版している出版業者であり、Y2は右雑誌を制作している会社である。
本件は、Xが撮影した写真を、その掲載を企画していた旅行情報誌の特集記事以外の同種旅行情報誌にXの氏名表示をしないで使用したことについて、Y1、Y...
《解 説》
一 本判決は、宗教法人である寺の檀信徒が寺院に対し、その会計帳簿等の閲覧謄写を求めるとともに、権利能力なき社団である檀信徒会に対してもその会計帳簿等の閲覧謄写を求めたが、檀信徒にはこれら会計帳簿等の閲覧謄写の請求権がないとしてこれを斥けた原判決(本誌八四二号一九九頁)を取り消し...
《解 説》
一 XはY学校法人の理事会決議無効確認の本案訴訟を提起しているものである。本件は、そのXが、Yに対して、①学長選考委員会の会議議事録及び事務局が作成した会議の進行・内容に関するメモ等について、民事訴訟法三一二条三号に当たる文書であるとして、同法三一四条に基づき、②同委員会の会議...
《解 説》
一 本件は、被告人が犯行日の前日に知り合ったばかりの若い女性とデートをし、多量に飲酒をしたうえ同女を誘っていわゆるラブホテルに入ったが、同ホテルの客室内で同女の顔面を殴打するなどの激しい暴行を加えたうえ頚部を両手で扼して殺害したという事案である。犯行現場及び死体の状況等からみて...
《解 説》
一 本件は、真言宗の総本山のある高野山において、A寺の住職の長男(犯行時少年)である被告人が、まずA寺の東隣にあるB寺に放火したが自然鎮火したため位牌等を焼毀したにとどまり未遂におわり、ついでその約四か月後にA寺の西隣にあるC寺に放火してこれを全焼させ、さらにその約三か月後に被...