最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
東京都新宿区内にある旧陸軍軍医学校跡地である国立予防衛生研究所建設予定地から人骨が発見された。同区は、埋葬等を行う者が不明のときは死亡地の市町村長が行う旨の墓地、埋葬等に関する法律九条一項に基づき、右人骨の火葬又は埋葬に要する費用(以下「本件費用」という。)と...
《解 説》
一 Xら一三名は、いずれもY(東京電力株式会社)の従業員である(但し、一名は訴訟中に死亡したため、相続人が承継した。)。本件は、Xらが、日本共産党員または同党支持者であることを理由に、Yから、仕事上及び私生活上の種々の差別ないし人権侵害を受けてきたと主張して、Yに対し、主として...
《解 説》
一 本件は、京都市に事務所を置く権利能力なき社団(X)が、鴨川の河川管理者である京都府知事(Y)の設置した鴨川改修協議会に提出されたダムサイト候補地点選定位置図の公開を京都府情報公開条例(昭和六三年京都府条例第一七号。以下「本件条例」という。)に基づいて請求したところ、Yはこれ...
《解 説》
一 被上告人国税局長が、国税通則法五七条に基づき、同人に対する所得税の還付金を上告人の滞納相続税に充当したところ、上告人は、還付金発生の前提となっていた更正処分が無効であり、したがって右還付金についての充当も違法であるとして、右充当の取消しを求めた。
一審は、充当処分が抗告訴...
《解 説》
一 申立人は、大阪府泉北警察署長から委嘱を受けた少年補導員(少年補導員制度の内容等については、兼頭・少年補導と相談の実務、武石・少年警察の実務〔再版〕一〇一問等参照)である被疑者Aが、同警察署の警察官ら及び他の少年補導員らとともに少年補導に従事中、申立人に対し暴行を加えたことが...
《解 説》
パキスタン・イスラム共和国の旅券を有する外国人で、短期滞在の在留資格をもって本邦に上陸している間に日本人女性と婚姻し、出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)の改正前の四条一項一六号及び同法施行規則二条一号の日本人の配偶者としての在留資格により在留期間三月の在留資格変更許...
《解 説》
一 本件は、土地とその地上に二個の区分所有建物を所有する者Xが、抵当権の実行に基づく競売において、一個の建物のみを除外して売却が実施されたことにより、除外された一個の建物の敷地利用権を失い、収去することを余儀なくされたと主張し、土地とその地上の二個の区分所有建物の一括競売を実施...
《解 説》
一 Xは、昭和五九年一〇月当時、大宮市立宮原中学校二年に在学し、男子バレー部に所属していたが、同月一九日、大宮市民体育館において、バレーボール新人戦の終了後、同部の顧問教諭Y1から、試合の反省を迫って平手で顔面や頬を数回殴打され、よろけてコンクリートの壁に頭部を打ちつけたため、...
《解 説》
Xら三名及びYら二名は、本件三筆の土地及び一棟の建物の共有者である(Y1の持分のみ三分の一、その余の者の持分は各六分の一)。Xらは、本件共有不動産について、現物分割では著しく価格を損ずるおそれがあると主張し、競売による売却代金の分割を申し立てた。これに対し、Yらは現物を分割し、...
《解 説》
一 Xは、昭和五六年五月から同年八月までの間にAに対して合計一四五〇万円の貸付をしたとして、Aの相続人であるY1及びY2に対して、右貸金の元本及び約定利率による遅延損害金の支払を求めた(主位的請求)。これに対し、Yらは、右貸付当時Aは意思能力を欠いていたとして、契約の無効を主張...
《解 説》
本件は、月刊誌「宝石」昭和六三年三月号に掲載された「自然保護の美名の下でおしすすめる『日本野鳥の会』のあこぎな金集め」と題する新聞記事について、記事の対象となったX財団法人日本野鳥の会から執筆者Yに対し、名誉毀損を理由として、全国紙への謝罪広告の掲載と損害賠償金五五〇万円の支払...
《解 説》
Xは五歳一〇か月であった昭和五〇年一一月自転車に乗っていたところ、Yの従業員Aの運転する小型貨物自動車と接触し、左大腿骨骨折等の傷害を受けた。Xには左右の脚長差が生じ、昭和六〇年一月からB病院に通院し、腰椎椎間板ヘルニア等の診断を受けた。Xは、Aには徐行義務及び前方注視義務違反...
《解 説》
Yは昭和五八年一月、普通乗用車を運転して交差点を左折した際、左折先の道路左端を歩行していたXと衝突し、Xを負傷させた。Xは、その損害について一四九三万円余の填補を受けたが、さらに椎間板ヘルニア等の後遺症が残ったと主張し、逸失利益、慰謝料等の残額として三六六七万円余を請求した。Y...
《解 説》
一 本件は、近時目につくようになってきている保険金の不当請求事例である。
動物の剥製等を展示・興行することを主たる業務とする有限会社であるX1は、損保会社Yとの間で、昭63・1・5当時開設していた動物館に展示する剥製・骨格標本・アルコール標本を保険の目的とする火災保険契約を締...
《解 説》
一 本件は、受送達者乙の同居人と称する丙が訴状及び呼出状を受領したが、丙は薬物の使用等による精神障害のため訴状等を受くべき事理弁識能力を著しく欠いていたとして、訴状等の送達の効力が争われるとともに、乙が判決正本を受領した際にも同様の精神状態であったとして、控訴期間の経過の有無が...
《解 説》
本件は、XからY3及び同人を代表者とするY1、Y2に対し、建物明渡し、売掛代金の支払いを求めた訴訟である。判旨の解説に必要な限度で、XからY1に対する訴訟の一部の骨子を述べると、XがY1に食品類の売掛金六〇万円余を請求したのに対し、Y1は、Xの依頼により額面金額三一五万円の為替...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク郡第一審裁判所(ニューヨーク地裁)において金銭の支払いを命ずる勝訴判決を得、民訴法二〇〇条、民執法二四条に基づいて本国における執行判決を求め、民訴法二〇〇条各号の要件として、(一)管轄について、我が国の民訴法上の...
《解 説》
本件は、先に本誌八四二号二一〇頁で紹介した原判決(大阪地裁平5・4・27第四刑事部判決・付審判請求事件)に対する控訴審判決である。事案の概要は、「昭和六〇年度のプロ野球において二一年振りに優勝した阪神タイガースのファン多数が大阪市内でお祭り騒ぎを繰り返し、その間不法事犯も続発し...
《解 説》
判示事項一について
本判決において、被告人は、警察官の停止の呼びかけを無視し自動車の走行を続け、停止後前歴紹介の結果等から覚せい剤所持の嫌疑をもたれ、自動車内の検索等を求められているうち、警察官が自動車を外から覗いた際その床上に結晶状の物があることを発見しこれにつきいわゆる予...
《解 説》
一 本件は、「わいろ支出 会社に損害」、「元役員に賠償命令」等と新聞に大きく報じられるなどし、注目を引いたハザマ株主代表訴訟の第一審判決である。いわゆるゼネコン汚職をめぐりハザマの元取締役らを被告として提訴された株主代表訴訟は、本件以外にも東京地裁に係属しているようであるが、本...
《解 説》
一 本判決は、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする民法九〇〇条四号但書前段の規定(以下「本件条項」という。)が憲法一四条一項の規定に違反し、無効であるとした判決であり、東京高決平5・6・23日(本誌八二三号一二二頁)に続き、民法の同条号の規定について違憲の判断を示し...