最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本判決は、岐阜県海津郡海津町、三重県桑名市、岐阜県武儀郡板取村及び岐阜市に居住する住民二〇名の原告らが、現在長良川河口から上流五・四粁地点に建設中の河口堰の建設差止めを求めて、その事業主体である水資源開発公団を被告として提訴した、いわゆる長良川河口堰建設差止訴...
《解 説》
一 本件は、日雇い労働者(約二万人)の街として知られる大阪市西成区の「あいりん地区」において犯罪が多発しまた過去暴動等が発生していたことから、大阪府警察が街頭に十五台のテレビカメラを設置して街の様子について情報収集しそれらの防止等を図ってきたところ、同地区に住居を有しあるいは労...
《解 説》
一 原告は、被告(武蔵野市)が制定した「武蔵野市宅地開発等に関する指導要綱」(本件指導要綱)に基づいて、被告に教育施設負担金一五二三万円余を納付して同市内にマンションを建築したが、被告が本件指導要綱ないしはこれに基づく行政指導が違法な公権力の行使に当たると主張して、右教育施設負...
《解 説》
一 Xは工場抵当法(以下「法」という。)一条にいう工場に属する建物(本件建物)につき順位一番の根抵当権を設定していたが、右設定登記について法三条に規定する目録(以下「三条目録」という。)は提出されていなかった。Yは後順位の抵当権者であるが、その抵当権設定登記については三条目録が...
《解 説》
東京拘置所に刑事被告人として収容されている者に対し、アムネスティ・インターナショナルの担当者が当該被収容者に治療を受けさせる件で第三者に送付した英文の手紙の写しが差し入れられたが、東京拘置所長は、部内取扱いに従い、被収容者にその翻訳費用の負担を求めた。被収容者は負担を希望せず、...
《解 説》
Xは、不動産の取引業者であり、土地四筆を一四区画に分割して分譲することとし、国土利用計画法二三条に基づき、Y県の知事(企画調整部土地利用対策課指導係所管)に対し、予定対価(私道部分を含む一平方メートル当たりの単価は、五万八三九六円ないし八万三一八四円)を届け出た(その前にXから...
《解 説》
一 本件はX(被控訴人)がY税務署長(控訴人)に対し、Y税務署長のなした更正処分、過少申告加算税の賦課決定、延滞税の賦課決定の取消を求めた事案であるが、その事実関係の概要は次のとおりのようである。
(1)Xは知人Aの経営するB社(実質上Aの個人会社)の取締役であったが、B社の...
《解 説》
原告は、固定資産課税台帳に登録されていない借地権付きの土地を購入したが、被告都税事務所長から、その土地の課税標準となるべき価格を更地価格として評価し、これによって計算した額の不動産取得税の賦課決定を受けた。
そこで、原告は、右賦課決定には、借地権を考慮しないで税額を決定した違...
《解 説》
一 A市の水道事業管理者Y1は、配水を受けている県営水道の事業管理者との間で県営水道事業が水源開発等のために要する資本費の一部を八年間にわたって負担する旨の負担協定(以下「本件協定」という。)を締結し、これに基づいて初年度の県営水道負担金を支出した。A市の住民Xらは、住民監査請...
《解 説》
Xは昭和五〇年一月、Yに対し、東京都渋谷区にある本件建物の三、四階のうち、合計一五六平方メートル余を賃料月額二一万円で賃貸した。右賃料月額は、当事者の合意により、同五六年九月から二五万円、同五九年九月から二七万円、同六二年九月から三三万円に増額された。Xは平成二年九月以降の賃料...
《解 説》
本件被告はノンバンクのようであるが、原告会社は平成二年二月、被告から、一一〇〇万円を、元金は一五年後一括返済、利息は当初約三月半分を借入日に前払いするほかは毎月一月分を前払いするという約定のもとに借り受けた。利率は、当初年九・九八%、但し「公定歩合の引き上げ等金融情勢の変化、そ...
《解 説》
一 本件は、Xが、昭和五二年から、Yに本件建物を賃貸していたところ、XYは、昭和五七年三月八日、①賃貸借契約を合意解除し、その明渡しを平成四年三月末日まで猶予して、その間の賃料相当損害金は、解除当時の五万円のまま据え置くという合意、又は②賃貸借契約を昭和六七年三月末日をもって解...
《解 説》
一 本件は豊田商事の系列会社であったY社のダイヤ販売商法が不法行為を構成するかどうか争われた事件で、一審では消極に判断されたが、控訴審で逆転し、一部原告の請求が認容されたものである。
二1 Y社の販売組織はダイヤを購入した者が会員となって、ダイヤの販売媒介活動を行い、成功した...
《解 説》
原告は中国国籍を有する在日外国人であるが、結婚斡旋業を営む被告会社と結婚斡旋契約を締結して、国際結婚申込金二四七万二〇〇〇円、同追加料金三〇万円等を支払った。そして、被告会社の斡旋により台湾在住の女性と見合いした結果婚姻するに至ったが、一年余りで離婚するに至った。
そこで、原...
《解 説》
Xは昭和四九年六月二八日以来、Y宗教法人の代表役員として任期(五年)を更新していたが、平成四年一月一七日、責任役員会において解任され、同年三月八日、新たにAがYの代表役員に選出された。Xは、Xの解任決議をした責任役員会は、召集権限を有しない者が集まった私的会合にすぎないこと、代...
《解 説》
XはYらに対し、貸付金二三億円を有すると主張し、その利息についてのみ訴えを提起した。Yらの訴訟代理人は右請求を認諾したが、その後、右認諾に錯誤があったと主張して、裁判所に期日の指定を求めた。Xの主張する錯誤の内容の詳細については、本判決の別紙として添付されているので、これを読ま...
《解 説》
XはY1に金銭を貸し付け、その所有不動産等に抵当権の設定を受けたが、Y1は期限の利益を失い、Xは右不動産等の競売を申し立てた。しかし、右不動産には暴力団、政治団体等が占拠するようになったので、Xは民事執行法一八八条が準用する同法五五条に基づきY1のほか占有者と見られるY2らに対...
《解 説》
本件は、抗告人(債務者兼所有者)が、抵当権による本件任意競売手続において、対象不動産を特別売却したことに重大な手続違反、すなわち、執行裁判所がした特別売却実施命令に基づく執行官の特別売却の実施が抗告人にとって不意打ちとなる手続違反があったから、執行裁判所のした売却許可決定は取消...
《解 説》
一 本件は、信用組合理事長の職にあった被告人が、不動産会社経営者である共犯者Cらと共謀のうえ、同人が経営権を掌握したホテルの簿外債務処理資金として、総額約二七一億円を手形割引名下に右不動産会社に不正融資したというものである。本件公判では、主として、被告人の図利加害目的の有無と行...
《解 説》
本件は、東名高速を走行する夜行定期高速バスの運転手が、当時降雪のため路面がシャーベット状となり、規制速度も変更されていたのに、雪道に対する甘い判断から、ダイヤどおりの走行を考えて規制速度を無視し、並走していた大型貨物自動車を追い越すべく同車の動向に注意を分散させて進行した過失に...
《解 説》
判示事項一について
判示事項一は、覚せい剤取締法違反被疑事件につき、捜索場所を「甲方居室」、差し押さえるべき物を「取引メモ、電話番号控帳、覚せい剤の小分け道具」とする捜索差押許可状の執行の現場において、その場に現在する乙が両手をズボンのポケットに突っ込んだままという異常な挙動...