最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、Yを債権者、X1らを債務者とする裁判上の和解調書につき、Yが執行文の付与を受けたことに対して、X1らが条件成就を争って、執行文の付与された右和解調書に基づく強制執行の不許を求めた、執行文付与に対する異議の訴えである。
Y及びX1は我が国における代表的なかつらメーカ...
《解 説》
Xらは、Zが賃借していた東京都港区麻布十番所在の土地上にある建物をZから賃借していた者であるが、Zの借地権の存在を前提として右土地を更地価格の二割程度の安価で買い受け、借地期間満了にあたって、Zに対し借地契約の更新拒絶の意思表示をした。右意思表示と相前後してZが死亡したため、Y...
《解 説》
一 本件は、建築基準法四二条二項のみなし道路の指定がされた土地につき、いわゆる通行の自由権(人格権)に基づく妨害排除請求の成否が争われた事件である。本判決は、人格権構成の理論的当否については論ずることなく、判旨のとおり述べて、Xの請求を棄却したものであるが、まず、建築基準法上の...
《解 説》
一 Xは、特許出願をしたところ拒絶査定を受けたため、これを不服として審判を請求したが、Y(特許庁)は、Xの審判請求は成り立たないとして、拒絶査定を是認する審決をした。そこでXは、東京高裁に右審決の取消訴訟を提起した。東京高裁は、Xの主張を認めず、請求棄却の判決をしたが、Xは、右...
《解 説》
一 X1及びX2は、X1を選定当事者として、Y1ないしY5の五名を被告として、不動産、預金、有価証券等の財産が亡Aの相続財産に属することの確認を求める、いわゆる遺産確認請求訴訟を提起した。本件では、Aの死亡後にその相続人の一人が死亡し、同人について更に相続が行われたことから、A...
《解 説》
一 本件は、中学生七名が高校生である申立人を取り囲み強盗に着手したところ、申立人が護身用に携帯していたナイフでリーダーの中学生を刺し殺した事案で、盗犯等の防止及び処分に関する法律(以下「盗犯等防止法」という。)一条一項の正当防衛の成立の有無が問題となったものである。
二 事案...
《解 説》
一 本件の事案は、次のようなものである。
Y土地区画整理組合(被告・被控訴人)は、Xら(原告・控訴人)に対し、換地処分甲を、Yに対し保留地の設定を、訴外Aらに対し換地処分乙(その一部は、Xらの従前地の所在していたところにされた。)をした。Xらは、換地処分甲には、照応原則違反、...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年七月当時、青森県立田名部高校二学年に在籍し、ボート部に所属していた者であるが、同月一九日、新田名部川で行われたボート部の練習に参加し、シングルスカル艇に乗って操艇中、艇が転覆して水中に投げ出されたため、溺死するに至った。
そこで、Aの父X1と母X2は、(...
《解 説》
一 Xは、独立したイラストレーターとして、出版物のイラストの仕事に従事していた者であるが、昭和六三年七月二〇日、東京渋谷のレストランで食事をしようとした際、隣の客と煙草の煙りをめぐって口論となり、隣の客に暴力を振ったため、かけ付けた警察官に神宮前派出所に同行を求められ、同派出所...
《解 説》
一 市街化区域内の農地の固定資産税、都市計画税は、宅地並課税されるのが原則であるが、長期営農継続農地として認定されている場合には、農地並課税との差額の徴収を猶予し、五年間、長期営農継続農地として保全した場合にはその差額を免除し、保全されなかった場合には猶予を取り消してその差額を...
《解 説》
一 本件の事案の概要
Xは、昭和六二年に司法書士業を開業したが、開業した昭和六二年分の所得税から、青色申告の承認を受けるとともに、租税特別措置法二五条の二(平成四年法律第一四号による改正前のもの)のみなし法人課税の選択をしていた。しかし、その後の法改正により計算が複雑になった...
《解 説》
一 X1とX2は、平成二年二月一五日、Y銀行福岡支店に対し、据置期限を同年五月一五日として、各自二五〇万円の定期預金をしたので、据置期限経過後にその払戻しをしたが、Yが、右定期預金はX1、X2に対する融資の担保になっているとしてその払戻しを拒否したため、右定期預金の払戻しを求め...
《解 説》
YはAとの間で二回にわたり、代金の支払時期はYが中国から支払いを受けたときとする約定でAが中国で抵抗器製造設備の納入、設置、稼働調整、技術指導等をするとのプラント契約を結び、代金の一五パーセントに当たる前受金を支払い、XがAのためYに対し前受金の返還を保証した。その後YはAの要...
《解 説》
一 事案の概要は必ずしも定かではないが、概ね次のようである。即ち、YはXから本件土地を昭和四六年二月ころから賃借しているが、契約書においては使用目的が「植木植込場、仮店舗用地」とされ、「一時使用」の文言もあるところ、Yは本件土地を植木の植込み・陳列販売用地として使用し、その一画...
《解 説》
Aは昭和六三年六月四日、Y銀行に合計三〇〇万円の定期預金(二口)をした。Aは平成三年八月一七日に死亡し、相続人であるXが右預金の払戻しを求めた。これに対しYは、平成三年二月二八日、Aに本件定期預金を担保として三〇〇万円を手形貸付の方法により貸し付け、同年四月三〇日、右貸金と定期...
《解 説》
一 本件は、A(割賦購入あっせん関係販売業者)と売買契約を締結したX(購入者)が、Y(割賦購入あっせん業者)との間で、その売買代金の一部について立替払契約を締結したところ、Aが倒産し、右売買契約を解除したことから、昭和五九年の改正後の割賦販売法三〇条の四の抗弁権を行使して、Yに...
《解 説》
Xは古稀の記念として句集を自費出版することとし、平成四年四月一三日、Yに書籍一〇〇部の印刷製本を九〇万四〇〇〇円で請け負わせた。Xは同年五月二九日、目的物を受け取り、代金を支払ったが、書籍の表紙が波打つような状態となったため、消費者センターに相談した。同センターの照会を受けたY...
《解 説》
XはAからオフィスコンピューターによる経理処理システム等のソフトウェアのバグの除去作業、改善作業等を請け負い、これをタイムチャージ制によりYに下請けさせた。XはYが報告した作業時間を正当なものと信じてYに下請代金一三九七万円余を支払った。しかし、Xは、Aから作業時間が水増しであ...
《解 説》
登校中の学童A(当時小学校六年生)は、平成二年二月二四日午前七時五五分頃、登校中、県道大分太郎丸線の歩道工事現場内に立ち入り、仮設してあったクランク型コンクリート製歩道用ブロックの上をしばらく歩いた後、右歩道用ブロックのクランク型になっている先端部分に乗り、その下を流れる農業用...
《解 説》
Xは、Y1県の県道上を原動機付自転車を運転して通勤する途中、転倒して脳挫傷の傷害を負った。右道路は、Y2がY1からマンホール設置工事を請け負い、一辺二メートルの正方形にアスファルトが掘削され、砕石が敷かれていた。Xは、Y1の右県道の設置管理には瑕疵があり、Y2は速やかにアスファ...
《解 説》
本件は、追突事故を起こした加害者Xから被害者Yに対する損害賠償債務不存在確認請求本訴事件と、これに対するYからXに対する四九五〇万円の損害賠償請求反訴事件とから成っている。Xは、追突事故を起こしたときのXの進行速度は時速一一キロメートル程度であり、この場合に生じる加速度は無傷限...
《解 説》
一 Xは、幼児期に血友病性関節症に罹患し、満四歳時から満一八歳時までの長期間にわたり、国立小倉病院に入院して治療を受けたが、股、膝、足関節等の運動障害や肝機能障害等が残ったため、同病院の医師らが、Xが血友病B患者であるにもかかわらず、血友病Aの患者と診断し、Xに抗A型製剤の投与...
《解 説》
一 原告らの主張した本件死亡事故の経緯は、次のとおりである。
貧血傾向にあった亡Aは、かかりつけのY被告病院で造血剤の点滴を受けたが、点滴終了後、嘔吐し、直後、その症状が急変し、苦しみもがきだした。Yは、Aに喘息の古い既往症があること等から、気管支喘息状態になったと判断し、も...
《解 説》
一 Xは、昭和五七年一〇月、自転車に乗って走行中、路上に転倒して左上腕骨粉砕骨折の傷害を負ったため、Y1の経営する病院に入院し、Y2医師の執刀により骨折部の骨接合手術を受けたが、右手術の際尺骨神経を損傷し、手術部に感染症が発症したため、左肘関節、手掌、上腕骨等に知覚運動障害の後...
《解 説》
一 X2は、昭和五七年八月、Yの開設する医療センターで、X3を出産したが、X3は、分娩中の低酸素が原因で仮死状態で出生したため、脳性麻痺により精神に著しい障害を残し、常時介護を要する身体障害者になってしまった。
そこで、X3とその父X1、母X2は、医療センターの分娩担当医師と...
《解 説》
本件は、市立中学一年生の生徒がクラブ活動の柔道部での練習中、二年生の有段者の部員から大外刈りの技をかけられて頭部から転倒し、意識不明となる重症を負って脳の器質変化による精神障害の後遺症が残った学校事故であり、該生徒とその両親から、顧問教諭に指導上の安全配慮義務違反があったとして...
《解 説》
一 Xは、平成元年、仕事上の接触がきっかけでY2と知り合い、平成二年一一月には結納も交わして婚約し、平成三年五月五日に結婚式を行うことに決めたが、結婚式の打ち合わせの際、Xの母が引出物の選定等に関して意見が通らないとして不快な言動を示したことなどから、Y2は、Xとの結婚生活に入...
《解 説》
XはA宗教法人の代表役員であったが解任された。Xは、右の解任が無効であると主張し、Aと新代表役員Bとを債務者として、Bの代表役員としての職務の執行の停止等を求める仮処分を申請したところ、原裁判所はこれを認め、代表役員職務代行者としてC弁護士を選任し、右職務代行者が常務外行為をす...
《解 説》
本件は、妻Xから夫Y1及びその両親Y2、Y3に対し、当年一歳の幼女Zの引渡しを求めた人身保護請求事件である。
本件について、先に札幌地判平5・10・18は、「被拘束者は、身体的発達のために細やかな面倒を受ける必要があるばかりでなく、母親から抱かれたり・あやされたり等その手によ...
《解 説》
XはY1教会(代表役員Y2)の信徒であったが、役員会において離籍処分を受けた。Xは、役員会には離籍処分をする権限がなく、またXには離籍の対象となる非行はなかったと主張して、Y1との間で信徒たる地位を有することの確認を求め、その他、離籍処分とそれに至る間のY2の演説により名誉を棄...
《解 説》
Xら一四六名は、当初、国Yに対し、自衛隊員のカンボジアへの派遣の差止め、右派遣が憲法違反であることの確認、右派遣による財政支出により被る損害賠償として各人それぞれが一万円の支払を求める訴えを提起し、その訴額を合計一四六万円として一万二一〇〇円の収入印紙を訴状に貼用した。第一審裁...
《解 説》
福岡地裁は、まず競売不動産の所有者に対し、売却前の保全処分として占有移転禁止命令及び執行官によるその公示命令を発し、執行官によるその執行もなされたが、所有者は競売不動産の管理を暴力団関係者の手に委ねて自らは放擲してしまい、その暴力団関係者は右保全処分執行後にこれを無視して、次々...
《解 説》
Xは中国の企業法人であり、日本法人Yとの間でYの編み袋を生産する設備を導入する契約を締結し、右契約から生じる紛争については中国国際経済貿易仲裁委員会の仲裁により解決する旨合意していた。その後XとY間で右契約の履行について紛議が生じ、Xが右委員会に仲裁を申請したところ、同委員会は...
《解 説》
一 オーナー制リゾートホテル(以下「本件施設」という。)の管理組合X2は、その管理運営をリゾート開発会社X1に委託している。
X2は、オーナーに対し年間五枚の無料宿泊券を発行し、それ以上の利用がされた場合にはオーナーから一泊四八〇〇円の料金を徴収し、また、オーナーから本件施設...