最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、交通事故による損害賠償請求事件であるが、事故で死亡した被害者のAが地方公務員等共済組合法の規定に基づく退職年金を受給していたため、その妻のXが加害者のYに対してAの得べかりし退職年金の現在額の賠償などを求めたところ、XがAの死亡を原因として地方公務員等共済組合法の規...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、Yが、戦中、戦後にわたって経営していた長崎県所在の各炭鉱(既に閉山されている。)の従業員として粉じん作業に従事し、じん肺法によるじん肺管理区分等の行政上の決定を受けたじん肺患者(元従業員)六三名の本人又は相続人(Xら)が、Yに対し、雇用契約上の安全...
《解 説》
一 はじめに
本件は、北海道留萌市に居住する肢体不自由者の女子中学生が、同市の市立中学校への入学に際して、学校長から特殊学級に所属させるとの処分を受けたのは、子どもが普通学級で教育を受けることを自ら選択する権利を侵害するものであるとして、学校長の行った右処分の取消し等を求めた...
《解 説》
一 事案の概要等
1 Xは、昭和六三年一〇月に大分市所在の建物を購入したところ、大分県税事務所長(Y)から、課税標準を五一八五万五〇〇〇円、税額を二〇〇万円余とする不動産取得税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)がされたので、本件処分は課税標準を誤った違法があるとして、そ...
《解 説》
一 本件は、依願退職後に公文書偽造、同行使、詐欺の罪で起訴され執行猶予付きの懲役刑の判決を受けた元市長Xに対し、市が、同人の依願退職後起訴前に退職手当支給条例を改正し、在職期間中の行為に係る刑事事件に関し退職後に禁固以上の刑に処せられた場合には、その支給した退職手当等の返納を命...
《解 説》
原告Aは平成元年八月二四日出生し、その父である原告Bが同年九月五日に住所地である被告神戸市(東灘区長)にその出生届をしたところ、右出生届書は東灘区役所市民課職員により本籍地である作東町役場に宛て発送された。しかるにその事情は不明であるが、右届書は作東町役場に到達しなかったため、...
《解 説》
一 学校法人Xは、町長Yに対し、その所有にかかる学校用地(以下「本件土地」という。)につき五年間にわたり毎年特別土地保有税の非課税土地認定申請(以下「本件申請」という。)をしたが、その都度、Yから特別土地保有税非課税土地否認決定処分(以下「本件処分」という。)を受けたので、Yに...
《解 説》
大阪府議会においては、勤続二五年以上の府議に専用車を配車していた。市民グループ「市民オンブズマン」のメンバーであるXら五名は、右配車は、法律又はこれに基づく条例によらない「その他の給付」(地自法二〇四条の二)に当たるから違法であると主張し(その他、地自法二条一三項、地財法四条・...
《解 説》
一 本件は、大阪府の住民が、地方公営企業である大阪府水道企業の管理者の権限に属する事務を処理させるために地方公営企業法一四条に基づいて設置された同府水道部において、昭和五六年一二月二八日に同年度水道事業会計から会議費として八件の飲食店に対して支払われた支出は、手続上は他府県の公...
《解 説》
一 本件で問題となった土地は、和泉市王子財産区が所有するため池である。被告和泉市長Y1は、王子財産区の管理者として本件土地を被告Y2に随意契約の方法で売渡し、所有権移転登記を了して引渡した。原告らは、本件土地は「鏡池」として葛の葉物語等において古来より国文学上の題材となってきた...
《解 説》
一 Xの夫Aは、鹿児島県福山町立牧之原高等学校の教員であったが、昭和五二年一月二七日午後、学校で開催されたPTAの会議に教務主任として出席中、突然意識不明になって倒れ、近くの病院に収容されたが、同日夜、慢性的心不全による心室頻脈により死亡した。
そこで、Xは、Yに対し、Aの死...
《解 説》
一 本件は、被告の退職手当支給規程の変更が就業規則の不利益変更に当たるとして、変更前の退職手当支給規程(以下「旧退職規程」という。)によって計算される退職手当から変更後の退職手当支給規程(以下「新退職規程」という。)によって計算される退職手当を控除した差額を求めたものである。
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《解 説》
一 本件は、私立高校(Y学園経営)の教頭であるXの懲戒解雇をめぐって惹起された労働保全事件である。すなわち、Xが懲戒解雇後も学校に出勤してくることから、Yから土地建物立入禁止仮処分申請(A事件)がされたのに対して、Xからは、解雇無効を理由として地位保全・賃金仮払い仮処分申請(B...
《解 説》
本件は、使用者が労働組合に対し、違法争議行為を理由とした損害賠償を求めた事案である。すなわち、遊技場等を経営する会社Xが、Xの従業員の一部によって組織されている組合支部Yとこの上部組織Yとを相手に、Xが右営業のために所有しているビルの正面玄関等にYらが争議行為の一態様として多数...
《解 説》
Y1梼原町は、明治二一年の旧町村制により四万川村等の六か村を統合した西津野村がその後、梼原村と改称され、梼原町となった地方自治体である。Xは、Y2四万川区(旧村)の一区域である井高部落の全世帯の世帯主二四名により選定され、当事者となったものである。Xは、井高部落の入会地であった...
《解 説》
Mが本件建物を所有していた当時、Xは本件建物に第一順位、Yが第三順位の抵当権の設定を受けていた。Mはその後、敷地である本件土地の所有権をも取得し、右敷地についてYが第一順位、Xが第二順位の抵当権の設定を受けた。本件土地建物について不動産競売手続が開始され、執行裁判所は、本件建物...
《解 説》
XがAに対し本件建物を期間二年の約定で賃貸した際、Yは賃借人Aの一切の債務について連帯保証をした。右賃貸借は期間満了とともに合意更新されたが、その後、Aが賃料等の支払を怠った。それにもかかわらず、Xは保証人Yに通知することなく、更にAと二回にわたり合意更新し、賃料不払期間が四年...
《解 説》
一 本件の事案の概要
Yは、もと日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の職員であり、国鉄の公舎基準規程に基づいて本件宿舎の利用を認められ、本件宿舎に居住していた。Yは、昭和六二年四月一日の国鉄改革時に東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)に不採用となり、X(国鉄清...
《解 説》
一 Xが所有しAに賃貸中のマンション居室に、直上階の部屋から水漏れがあり、部屋の内部及びAの所有物件を汚損した。この水漏れ事故について、Xが、直上階の部屋の所有者Y1、Y1にその部屋を仲介した業者Y2、本件マンション管理組合との間においてマンション管理について業務委託管理契約を...
《解 説》
Xは、いわゆる「ロス疑惑」事件で公判中の者であるが(東京地判平6・3・31は殺人罪等により無期懲役刑を言い渡した)、Yが発行するスポーツ日刊紙に、「麻薬密売容疑も」と題する記事が掲載され、Xの名誉が毀損されたと主張し、五〇〇万円(控訴審において二〇〇万円に減縮)の損害賠償を求め...
《解 説》
Xは、いわゆる「ロス疑惑」と呼ばれる刑事事件で裁判中の者であるが(東京地裁は平成六年三月三一日、Xに殺人等の罪により無期懲役の刑を言い渡した)、フリーライターY2が執筆し、Y1が発行する日刊スポーツ紙に昭和六三年五月、全七回にわたり、「一美さん銃撃事件・7年目のXデー」とのタイ...
《解 説》
一 Xはいわゆるロス疑惑事件といわれる殺人等被告事件で公判中の者であるが(なお、Xは、平成六年三月三一日、東京地裁で有罪判決の言渡しを受けた)、Yが発行した「犯罪百話」昭和篇と題する文庫本の表紙カバー裏側に「阿部定、正田昭、小原保、大久保清、X、かい人21面相…といった“名高い...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。
原告は、一九六三年生まれのスリランカ女性であり、被告は、国際結婚の斡旋を業とする日本人である。被告が、日本人男性と結婚させるスリランカ女性を集めるため、その目的を秘し、現地の新聞に、「日本で三か月間のコンピューターの技術研修を受けた後、スリ...
《解 説》
一 本件は、もと妻(請求者)が、もと夫(拘束者)に対し、人身保護法に基づき、その間の六歳になる女児(被拘束者)の引渡を求めた人身保護請求事件である。本件の事案の概要は、次のとおりである。請求者と拘束者は、昭和六二年一〇月三一日、婚姻し、昭和六三年二月八日、その間に被拘束者を長女...
《解 説》
一 中国法人であるXは、日本法人であるYとの間の売買契約中に中国における仲裁条項を設けていたところ、Yに債務不履行があったため、中国の渉外仲裁機関である中国国際経済貿易仲裁委員会に仲裁を申し立て、Yに対して賠償金等の支払を命じた仲裁判断を得た上、右仲裁判断に基づき、外国仲裁判断...
《解 説》
一 X(市川税務署)は、Yの申立てにかかる不動産競売事件について、租税債権徴収のため国税徴収法八二条一項に基づき交付要求をした。右租税債権の本税額は、納期限においては一〇四三万八〇〇円であったものが、国税通則法の規定に基づく還付金の充当により順次減少していたことから、Xは本税欄...
《解 説》
被告は、原告に店舗を賃貸し、その賃料及び損害金について公正証書を作成していたが、その後、原告が賃料を被告の銀行口座に振り込むのを拒絶した。右受領拒絶には正当な理由がなかったが、本件公正証書によれば、賃料の不払があると、以後高率の違約損害金を支払うべき約定になっており、被告はこの...
《解 説》
一 本件第一審判決は、強盗が既遂の強盗強姦未遂罪において、有期懲役刑を選択し未遂減軽をした上懲役四年の判決を言渡した。これは、この場合の処断刑の範囲が懲役三年六月以上七年六月以下であることを前提とするものである。ところが、これでは、強盗は既遂に達しているのに強姦が未遂なるが故に...
《解 説》
一 本件は、暴力団組員であった被告人が、組長Aの内妻であるBに暴行を加えて死亡させたという起訴事実について、被告人の捜査段階における自白及びAの証言の信用性をいずれも否定して、無罪(併合審理された別件の道路交通法違反については有罪)を言い渡した事案である。
二 本件は、次のよ...
《解 説》
一 本件は、ダイヤルQ2に関する一連の訴訟のうち大阪簡裁判決(平5・3・4本誌八一一号二五一頁)に対する控訴審判決である。事案の詳細は、本判決及び本誌前掲のコメントを直接参照されたいが、概略は電話業者であるY(原告・控訴人)が代金完済時に名義変更するとの約定でAに本件電話を売却...