最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 Xら五三名は、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)によって指定された倉敷市内の第一種地域又はその隣接地域に居住し、慢性気管支炎、気管支喘息等の指定疾病にかかったとして認定された者又はその相続人らである。Xらは、水島コンビナートを形成する化学工業、製鉄会社、電力会社Yら...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、川崎市川崎区及び幸区(以下「本件地域」という。)に居住又は勤務し、公害健康被害の補償等に関する法律(以下「公健法」という。)に定める指定疾病の認定を受けた患者ら又は死亡した患者の相続人らが、川崎市川崎区に事業所を有する企業一三社、本件地域内を走行す...
《解 説》
相続税法によれば、相続により取得した財産の価格は、原則として、当該財産の取得の際の時価によることとされている(同法二二条前段)。課税実務は、宅地については、「財産評価基本通達」(以下「通達」という。)を適用し、いわゆる路線価方式等によりその「時価」を評価すべきこととされているが...
《解 説》
一 Xは、平成三年八月、Yから一一〇万円を借り受けたが、その際、訴外A会社から所有権留保で買い受けた自動車を、Yに譲渡担保に供し、Yに引き渡した。
しかし、Xは、平成三年九月、Yに対し、元利金の支払いの申立をし、平成四年一〇月、元利合計一二九万五七三九円を供託したので、右譲渡...
《解 説》
一 事案の概要 Xは、カード会社のYとクレジットカード使用契約を締結していたが、同居の息子AがXに無断でカードを持ち出して使用し、平成三年三月二二日から同年四月八日までの間に一二九万九五六四円相当の物品を購入した。そこでYは、会員Xに対し、カード契約の責任条項に基づきカード使用...
《解 説》
本件は、XがYに対し、XY間の中古仮設材等の売買代金の支払のためにYが振り出した約束手形金と利息の支払を求め(①②事件)、YがXに対し、同売買契約の錯誤無効ないし解除を主張して支払済みの代金の返還と法定利息の支払を求めた(③事件)事案である。本件売買(第一ないし第三取引)は客観...
《解 説》
Xは著名な刑事被告人であり、名誉ないしプライバシーの侵害を理由とする民事訴訟を多数提起している者であるが、Yの発行する雑誌に掲載された右の民事訴訟に関する記事がXの名誉を毀損したとして損害賠償を求め、原審では請求の一部を認容された。Yは、Xの社会的評価はもともと消極的であり、本...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月、Yから五〇万円を借り受けたが、その際、自己所有の自動車に売渡担保を設定し、右自動車を、車検証及び保険証明書とともに引き渡した。
しかし、Xは、Yに対し、右自動車の時価は一八七万円程度であるから、これを僅か五〇万円の債権の担保として売渡さすことは、公序良...
《解 説》
本件各事件は、宗教法人(幸福の科学)及びその現存する本尊(大川隆法)に関する中傷記事により信者の宗教上の人格権が侵害されたとし、記事を掲載した雑誌社等に対し、信者から慰謝料請求がされたものである。
本件各事件は、一九九一年九月から同年一一月にかけて、札幌、仙台、東京、名古屋、...
《解 説》
本件は、顔や手足のしびれ等を訴えて国立病院に入院した患者Aが、入院から数時間後に意識不明となり、転送先の病院で約一日後に死亡した事故につき、Aの遺族Xが国Yに対して、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を請求した医療過誤事件である。Xは、国立病院の担当医Bの過失として、①専...
《解 説》
X男とY女は、昭和四四年に結婚し、一男、二女を設けたが、同五九年に協議離婚した。Y女が養母Aから相続した本件土地(五九八平方メートル余)上の建物についてX・Y間に争いがあり、民事訴訟の結果、X男の所有に属することを確認する旨の判決が確定した。X男はY女に対し、本件土地のうち、右...
《解 説》
本件は、自筆証書遺言を記載した書面には遺言者の捺印がないが、これを入れた封筒の封じ目に封印をした場合に民法九六八条一項が定める押印の要件を満たすか否かが争われ、XからYらに対し、遺言の無効確認が求められた事案である。第一審の前橋地判平4・8・25は、本件において、「遺言者の同一...