最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。
大阪府の住民等であるXらは、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号。以下「本件条例」という。)に基づき、昭和六〇年一月から三月の間に支出した大阪府知事(Y)に係る交際費についての関係公文書の公開を請求したところ、本件条例の実施機...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
栃木県の住民であるXは、栃木県公文書の開示に関する条例(昭和六一年栃木県条例第一号。以下「本件条例」という。)に基づき、昭和六〇年度に栃木県知事(Y)が支出した交際費についての関連文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求したところ、本件条例...
《解 説》
一 事案の概要
大阪府の住民であるXは、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号。以下「本件条例」という。)に基づき、大阪府水道部が昭和五九年一二月に支出した会議接待費の請求書等の関連文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求したところ、本件条例の実施機関である大阪府水...
《解 説》
一 本件市議会議員選挙には、A(本件訴訟の参加人平野善重郎)を含めて平野姓の候補者が五人いたが、「平野(善)」と記載した投票が二票あり(以下「本件投票」という。)、これがAに対する有効投票であるかどうかが問題になった。選挙会においては本件投票が無効とされ、〇・一二六票差でXが最...
《解 説》
一 本件事実関係及び問題の所在
1 本件は、アメリカ人である被告人が、最終的にはアメリカ合衆国に持ち込んだ上で同国で売却して利益を得る目的で、ヘロインをタイ王国からいったん本邦に輸入したという事案である。本邦にいったん持ち込んだ理由については、必ずしも明らかでないが、手荷物を...
《解 説》
一 X1は、本件(一)の土地を、X2は、本件(二)及び(五)の土地を、X3は、本件(三)及び(四)の土地を、それぞれ所有していたが、各土地に関する宅地造成のため、Xら等が都市計画法二九条の開発許可申請手続きをするにあたり、(一)ないし(四)の土地は遊水地の用に供し、(五)の土地...
《解 説》
監獄法は、死刑囚の監獄における処遇について特別の規定をおかず、刑事被告人に適用すべき規定を準用するものとしている。
同法は、在監者一般の信書の発受について、これを許すものとする規定をおき(四六条一項)、同法施行規則が、在監者の発受する信書を所長が検閲することなどを定める。受刑...
《解 説》
タクシー会社Aは、運輸局長Yに対し、京都地区においてタクシー運賃の一割値下げを計画し、道路運送法九条一項に基づき認可申請をしたところ、Yは平成五年一一月一八日に期間を同年一二月一日から同六年三月三一日までとして右申請を認可した。①事件の申立人Xら三名は、競業するタクシー会社であ...
《解 説》
一 Xは、根抵当権者であるY1の申立で競売に付された山林について、執行官の現況調査報告書の記載や添付の図面及び写真等からその位置を判断して、警察犬の訓練所に適した土地と考えて競落し、後に犬舎等を建設した。ところが、その土地は、担保権の設定された土地(甲土地)ではなく、第三者所有...
《解 説》
一 A町は、町有地(本件土地)をBの所有地と交換する契約を締結し、Bは同土地につき所有権移転登記を経由したが、その後同土地には、Y1の所有権移転仮登記及びY2の抵当権設定登記がそれぞれ経由された。
A町の住民であるXらは、本件土地の交換契約は、本件土地とB所有地との価格差が大...
《解 説》
東京都は、普通会計及び交通局の特別会計において、訴外Aから土地を購入したところ、これが六価クロムにより汚染されていることが判明したことから、Aに対し瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求訴訟を提起したが、Aにおいてこの汚染土壤の処理工事を施工する旨の裁判上の和解が成立した。本件は、右...
《解 説》
一 本件は、タクシー運転手である原告Xが、昭和六〇年ないし昭和六四年の四年の間、毎年年末から年始にかけて連続した四日間にわたる年次有給休暇を申請し、その間実際に出勤しなかったところ、これに対し、タクシー会社である被告Yが、時季変更権を行使して、Xが出勤しなかった期間を欠勤として...
《解 説》
一 Yはゴルフ場経営会社であり、Xら一〇六名は、昭和四八年から平成四年にかけて、Yとの間で、Yの経営する預託金制ゴルフクラブの個人正会員となる旨の会員契約を締結し、入会金及び預託金の支払いをした本件ゴルフクラブの会員である。
本件は、Yが会員権を大量販売したことにより、プレー...
《解 説》
一 Xらは、いずれも、Y1とY2が共同経営する「ジャパン・トリミング・スクール」神戸校の「高等本科」と「専門科」に入学していたものであるが、同校では、Xらに対し、プロ・ペット・トリマーに必要な一般技術とペット美容理論を習得させるような指導、教育を行わなかったなどと主張し、Yらに...
《解 説》
一 本件は、殺人未遂の被疑者として逮捕されたXが、その際の警察官による連行方法に人権侵害があったと主張して、慰謝料及び弁護士費用合計五五〇万円の支払を求めた事件である。
本判決は、被告となった警視庁の警察官による連行方法には人権侵害の違法があったと判断してXの主張を認めたもの...
《解 説》
一 Xは、横浜弁護士会に所属する弁護士であって、オウム真理教被害対策弁護団の一員として活動していたものであるが、平成二年五月二七日、山梨県西八代郡上九一色村富士ケ嶺地区のオウム真理教が事務所予定地に基礎工事を進めていた現場を視察し、所携のカメラで現場の写真撮影をしていたところ、...
《解 説》
X2・X3夫婦の子X1は、Y国立病院での出産の過程(牽引娩出術を試みた後、帝王切開が行われた)において臍帯脱出があり、そのため循環障害を来し、低酸素虚血症により重篤な脳性麻痺を後遺するに至った。Xらは、担当医師Aに過失があったと主張し、Yの使用者責任を追求して、総額一億〇四七二...
《解 説》
一 事案の概要
X(原告)は昭和六一年一月九日当時高校二年生であったが、同日午後四時三五分頃、バイクの運転を誤って路上に転倒し、右下腿開放骨折の傷害を負い、直ちに救急車でY(被告)経営の病院に搬送された。Y医師は同日午後五時二五分頃より手術を開始し、酸素吸入・止血・麻酔などの...
《解 説》
Xは美容外科医亡A(相続人Yら)に依頼し、豊胸手術(第一手術)を受けたところ、数日後に右胸下の創部がしゃ開したため、再度亡Aに依頼し、右胸のシリコンパックを再挿入して貰った(第二手術)。Xはその夜から痛みを感じ、その後、嘔吐をするなどしたため、救急病院に行って、「右乳房異物、右...
《解 説》
一 X(昭15・7・30生)は、アルコール症患者として、Y1病院に入院中、同じく入院中のアルコール症患者であるY2から、殴る蹴るの暴行を受けて傷害を負い、その結果、後遺症等級第二級に相当する視力障害が残った。そこで、Xは、Y1に対して、入院中自傷・他害の事故を惹起することないよ...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年七月当時、京都市立洛南中学校二年に在籍し、野球部に所属していたが、同月二三日、同校運動場において、野球部のクラブ活動としての紅白戦の審判(主審)をしていたところ、打者の打ったファールチップのボールが左眼に当たり、左前房出皿の傷害を負った。
そこで、Xは、同...
《解 説》
一 新聞社である原告は、その社員である新聞記者が作成した新聞記事についての著作権者である(著作権法一五条)ところ、被告は、原告の右記事を要約して英訳し、他の記事と共に主題別に分類して編集して、文書、ファックス、オンラインにより頒布、送信した。
二 本件は、被告の右の行為が原告...
《解 説》
X(株式会社神戸製鋼所)は、明治四四年に鉄鋼の製造販売等を目的として設立された資本金二一二八億円余、年商一兆三二一四億円のわが国有数の会社であり、「神鋼」の名を冠した系列会社多数を擁しているところ、昭和五〇年に設立され、不動産の売買等を目的とする資本金一〇〇万円のY2(神鋼開発...
《解 説》
Xら夫婦の子Aは、市立中学二年生で、サッカー部に所属していた者であるが、冬休み期間中、市営グランドで他の部員らとともに自主練習をしていたところ、突然、倒れたまま起き上がれなくなり、救急車で病院に運ばれたが、急性心不全のため死亡した。Xらは、日本体育・学校健康センター法(センター...
《解 説》
一 ここに紹介する二つの判決は、非営利目的の覚せい剤所持と営利目的の大麻所持が観念的競合の関係となる場合において、懲役と罰金の併科刑が言い渡されたものである。
二 観念的競合又は牽連犯の関係にあり、科刑上一罪の関係にある数個の罪は、「其最モ重キ刑ヲ以テ処断」する(刑五四条一項...
《解 説》
一 本最高裁判決は、訴え却下判決に対する控訴審において訴えの変更が許されるか否かを扱ったものである。
本件訴訟の経過については、本判決理由の一の1に詳しいが、その大要は次のようなものである。
Xは、昭和六三年八月二二日、XはA(養父、昭和五一年一一月九日死亡)とY(養母)夫...
《解 説》
本件二件の判決は、いわゆるワラント取引により顧客に生じた損失につき、違法な投資勧誘があったとして証券会社に対する損害賠償請求を認容した事例である。ワラント取引による損害賠償請求事件の認容判決は、これまで公にされたことがなかったので、東京地裁と大阪地裁で時を同じくして言い渡された...
《解 説》
本件は、総合商社イトマン株式会社役員によるいわゆるイトマン事件のうち、商社役員である共犯者らのマスコミ対策等に関して、雑誌社のオーナーである本件被告人に対し霊園開発事業資金の名目により商社から約一〇億円の融資が行われたことにつき、本件被告人が商社元役員らとともに特別背任罪の共謀...