最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
「水俣病」は、工場におけるアセトアルデヒド製造工程において副生されたメチル水銀化合物を含む排水が不知火海に排出されたことにより、魚介類の体内にメチル水銀が蓄積され、地域住民がこれを多量に経口摂取したことによって発生した中毒性神経疾患であり、このことは今や周知の事...
《解 説》
一 本件の事案は、次のとおりである。
気象庁職員で組織されている全気象労働組合の東北支部仙台分会は、給与の改善等を目的として、昭和四六年七月一五日午前八時五分ころから同四八分ころまで、約四〇名の組合員ら(そのうち、当日午前八時三〇分から勤務することを要する者は二一名)を集めて...
《解 説》
一 損害保険の被保険利益は法律的な権利そのものではない(商法六三〇条。西島梅治・保険法〔第二版〕一七〇頁参照)。しかし、被保険利益の存することが、損害保険契約の本質的内容となっており、被保険利益は損保契約の目的となっている。すなわち、損害保険契約を締結できるのは、被保険利益を有...
《解 説》
一 現行法上、風俗営業については、風俗営業の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)によって、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を要することとされ(同法三条一項)、その許可の基準が定められている(同法四条)とともに、その委任に...
《解 説》
本件は、一般旅券の交付を受けていた女性が、外務大臣からその返納命令を受け、これを返納させられたので、その命令の取消と、違法な公権力の行使によって、精神的被害を被ったとして、その損害の賠償とを求めた事案である。その返納命令の理由は、右女性が、外務大臣において、著しくかつ直接に日本...
《解 説》
Yは、幼稚園、小学校、中学校及び高校を設置し、一貫教育をその特色としている学校法人である。Xは、昭和五九年四月Yの幼稚園に入園し、同六一年四月Yの小学校に入学した児童であるが、小学校から中学校への進学をYから拒否されたので、①Yとの間の在学契約は特段の事情のない限り上級学校への...
《解 説》
X(妻)Y(夫)は、二人の未成年の子をもうけた夫婦であるが、本件は、XがYとの離婚及び自己に親権者の指定を求めたケースである。本件事実関係の特徴としては、①Yがくも膜下出血の後遺症で体が不自由で、両親の下でリハビリを続けている状態であり、Xは看護婦であること、②Xは、Yがくも膜...
《解 説》
一 本件は遺産分割協議書の効力が問題になった事案である。被相続人Aは昭和五二年一二月二日死亡したが、Aの相続人は、その妻の参加人Z、Aと先妻との間の子X1、X2、Yであった。その間で、Aの殆ど唯一の遺産である不動産をYの所有とすると記載された昭和五三年一月二五日付「遺産分割協議...
《解 説》
一 ①②の二つの事件は相互に関連するものではないが、比較的近接した時期の裁判例で、いずれも、凶器を使用しないひったくり類似の犯行を、強盗致傷の訴因で起訴された事案について、強盗罪或いは窃盗罪ではなく、恐喝未遂罪と傷害罪の事実を認定したものであるところから、一括して紹介することに...
《解 説》
一 本件は、仕手集団のリーダーとして著名なAが、藤田観光やT社との関係で生じた債務を処理したり、自らが経営権を掌握したK社に対する債務を返済する目的のため、自らの保有する藤田観光株をT社の関連会社に高値で引き取ってもらうこととし、T社側の税務対策上、市場価格で取引をする必要があ...
《解 説》
一 事案の概要
本判決は、公正証書の内容が利息制限法及び割賦販売法に違反するものであったとして、債権者であるY1協同組合、債務者A及び連帯保証人X(Aの父親)の代理人として公正証書の作成の嘱託をした司法書士Y2、公証人Bの過失を認め、国Y3を含む被告三名に対し、公正証書の執行...