最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
中国国籍を有する原告は、日本人女性と婚姻し、出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)の改正前の四条一項一六号及び法施行規則二条一号の日本人の配偶者としての在留資格で我が国に入国していた。原告は、その後妻と不仲になり、家を出て、別居した。妻は婚姻無効確認請求の訴えを提起し、...
《解 説》
一 A公立高専の第一学年に在学していたXら四名は、いずれも「エホバの証人」の教義に従って第一学年の必修課目である体育課程の剣道の実技に参加しなかったため、校長Yから体育の単位を認められず、原級留置とされた。そこで、Xらは、右処分が信教の自由及び学習権を侵害するなどとして、その処...
《解 説》
一 本件は、県立高校の教職員Xら一七名に対する県教育委員会Yによる停職六か月ないし減給の懲戒処分の取消しが求められた事案であるが、原審の宮崎地判昭63・4・28本誌六八〇号六五頁は、本件懲戒処分に裁量の範囲の逸脱はないとして、Xらの請求を全部棄却した。Xらのうち二名を除く全員(...
《解 説》
一 本件事案の概要は、原告(控訴人、被上告人)が被告(被控訴人、上告人)に対し、東京都公文書の開示等に関する条例(以下「本条例」という。)五条に基づき、「個人情報実態調査に関して警視庁から入手、取得した一切の文書」の開示を請求したところ、被告は、右開示請求の対象となっている文書...
《解 説》
一 本件は、全国自動車交通労働組合連合会高知地方本部(「全自交高知地本」という。)が、原告会社(被控訴人・上告人)の労働条件の改善、殊に、歩合給のみの従業員の給与体系に固定給を加えることを要求して実施したストライキに際し、同地本の組合員である被告ら(控訴人、被上告人)が、同地本...
《解 説》
本件は、高速道路の走行車線に停止していた被害車両に加害車両が追突したという交通事故を原因とする損害賠償請求事件であるが、事故の態様ばかりか、事故の前後の事実経過も特殊で、被害者は、事故の約一月前に仮眠中の車内で一酸化炭素中毒に罹患し、事故の数日後に精神障害を呈し、以後、三年近く...
《解 説》
本件は、解散した合名会社の残余財産の分配をめぐる事件につき、商法一四四条所定の権利行使者の指定の要否が問題となった事案である。事実関係は錯綜しているが、本判決の要旨に関係する部分を抽出すると、問題となっているY社は、大正15年に設立された合名会社で、昭和14年当時、甲・長女の乙...
《解 説》
本件は、水産業協同組合法に基づき設立された水産業加工業者を組合員とするY組合において、組合員のために買い付けた冷凍サンマ等の価格が暴落し、事前に購入を希望していた組合員が引き取らない事態を招き、値下げをして組合員に売り捌いたが、結局、一億円以上の損失を生ずる見込みとなったため、...
《解 説》
本判決は、熊本地判平3・8・8本誌七八〇号一七二頁の控訴審判決である。事案の概要は原判決のコメント記載のとおりで、Xらがした転入届け出についてYが不受理処分をしたことが違法であるとして、主位的にYにはXらが届け出た内容のとおり住民票に記載すべき義務の確認、予備的に本件不受理処分...
《解 説》
一 Xは、東京都武蔵野市内でマンションの建設、販売を行っている会社であるが、昭和五一年から昭和五三年にかけて同市吉祥寺南町に「ヤマキマンション」を建設した際、Y1(武蔵野市)から、同市が制定した「武蔵野市宅地開発等に関する指導要綱」に基づく行政指導を受けたが、右指導要綱に定めら...
《解 説》
一 Y(被告、控訴人)は、平成元年一〇月、浪費者であることを理由として準禁治産宣告を受けた者であるが、平成二年一〇月、貸金業者であるX(原告、被控訴人)から、自己が準禁治産者であることを秘して五万円を借り受けた。
しかるに、Yが平成三年二月以降元利金の支払いを怠ったため、Xは...
《解 説》
一 本件は離婚、財産分与請求訴訟中に被告夫がその所有する財産を実妹に贈与したという事案に関するものである。
二 財産分与請求権を保全するために詐害行為取消権の対象となるかについては、従前これを本格的に論じた判例学説が見当たらない。財産分与はその協議、審判、取消判決が確定して初...
《解 説》
一 Xは、自己名義で開設されている総合預金口座の普通預金について、預金通帳と印鑑を所持してY銀行に赴き払戻請求をしたが、Y銀行は、Xの前夫Aから支払差止め依頼を受けているとして預金の払戻しを拒絶した上、XとAとが預金の帰属を争っているので預金者を知ることができないとしてその弁済...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年八月当時、一六歳で通信制高校に在学中の生徒であったが、同月一六日夕刻、二八歳でXと同じ通信制高校に在学中の生徒であったY外二名と伊勢原市内の飲食店で食事を共にした後、自動車で平塚市内のホテルに連れ込まれ、同夜と翌朝の二回無理矢理姦淫され、翌一七日夜秦野市内の...
《解 説》
Xの娘であるA(当時一八才)はY(当時二六才)と心中を図ったが、Aのみが死亡し、Yは生き残った。Yは自殺幇助事件として起訴され、実刑判決を受けた。XはYに対し、Aの死はYが教唆したものであると主張し、Aの逸失利益及び慰謝料の相続分並びにX自身の慰謝料総計九三九七万円余の内金とし...
《解 説》
一 X1は、訴外Aの妻、X2~X4は、いずれもAの子であるところ、Aが、平成元年一二月一四日、Y1の起こした交通事故により死亡したため、加害者Y1とその使用者Y2に対して、損害賠償を請求したものであるが、主として、逸失利益の算定に当たり、Aの老齢年金受給権喪失による逸失利益が認...
《解 説》
一 Aは、妻Y1(被告・控訴人)と不和となって別居し、夫と死別していた職場の同僚の女性X(原告・被控訴人)及びその娘二人とで暮らすようになって約一〇年経過後、Xに遺産全部を包括遺贈(本件遺贈)する旨の公正証書遺言をし、その約一年後に死亡した。ところが、遺産の不動産甲・乙について...
《解 説》
X1、Y1及びY2の先代AはBから土地を賃借し、その上に建物を建築して生活していた。Aはその後Bとの間で自己の有する借地権と賃借している土地の一部(本件土地)の所有権を交換する契約を締結し、本件土地の所有者となった。X1はAの承諾を得て本件土地上に建物(本件建物)を建てA夫婦と...
《解 説》
一 XとYとは、昭和三六年婚姻した夫婦であり、その間に長女(昭和三七年一二月生)と長男(昭和四三年一二月生)の二子を儲けた仲であったが、その後夫婦仲が悪化し、昭和六〇年三月、Yは離婚を決意してXと別居するに至った。しかし、その際Yは、Xが自宅の鞄に入れて保管していた二一口の国債...
《解 説》
被相続人には子たる相続人一一名があったところ、「本件土地を含む一切の財産を(子たる)被告両名に平等に相続させる」旨の公正証書遺言により、相続開始後、右両名は本件土地につき相続を原因としてそれぞれ共有持分二分の一とする所有権移転登記を受けた。共同相続人の一人である原告は相続開始後...
《解 説》
一 亡Aは平成三年四月二一日に死亡し、その相続人は、Aの子七人である。Aが四男Yに対して本件土地を相続させる旨の遺言をしていたため、Yは、本件土地について相続を原因とする所有権移転登記をした。これに対し、X(Aの次男)は、Yに対して遺留分減殺請求の意思表示をした。Xは、右の事実...
《解 説》
一 本件は未だ離婚に至らない別居中の妻が夫に対して子の引渡しを求めた人身保護請求事件である。弁護士である夫Aは、子(一歳九か月)の世話をきちっとするから安心して腰痛の治療のためアパートへいきなさいと嘘をいって、その隙に子Cを連れだし、自己の住居に移した。それ以後、夫婦がいた旧住...
《解 説》
一 本件は、X(原告・控訴人)とY(被告・被控訴人)外三名間の佐賀家裁伊万里支部昭和五三年(家イ)第三一号遺産分割調停事件について、Xが、昭和五八年一一月八日成立した調停のうち、Yに関する部分は無効であると主張し、Yを相手方としてその無効確認を求めた事案である。
二 一審は、...
《解 説》
一 本件は、両親が死亡し、配偶者も子供もおらず、長年一人で暮らしてきた明治四四年生まれの資産家の女性で、昭和六〇年一一月に脳出血で倒れて病気入院中の甲と、その兄弟姉妹(いずれも死亡)の子供、配偶者あるいは孫の乙らが、昭和六一年四月から昭和六二年一〇月にかけて養子縁組をしたのに対...